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水曜日, 9月 28, 2022

続 【ものづくり企業6社×スタートアップ】8つの注目協業案!「浜松アクセラレーター2021」(後編)

浜松市とCrewwが主催する「浜松アクセラレーター2021」の成果報告会レポートの後編。優れた技術力・製品を持つ静岡県浜松市内のものづくり企業6社と、全国141社のエントリーから採択されたスタートアップの協業案8件が事業化に向け実証実験をスタートさせています。本記事は、オープンイノベーションという手法を活かし、新規事業の創出に挑んだ成果、注目の事業案をまとめています。

【ものづくり企業6社×スタートアップ】8つの注目協業案!「浜松アクセラレーター2021」(前編)

2022年4月12日

ものづくり企業4 ▶株式会社浜名ワークス

技術部開発グループ 鈴木 智氏

会社概要:浜名ワークスは、トラックボディの製造・販売を行う会社です。トラックと特装車製品の2つを取り扱っていますが、どちらも100%ハンドメイドカスタマイズのビジネスを展開しています。キャリアカーのトレーラータイプは、国内シェア95%を占めています。

プログラム参加の背景:現在のトラック業界は、労働人口の減少によるドライバー不足、シェアリングの普及による物流量の増加や自動運転・無人運転などの技術革新などにより、大きな変革期を迎えています。浜名ワークスは、技術開発を加速させ、産学連携を含めた技術ネットワークを駆使して、社会の変化や課題に真っ向から取り組んでいます。

「ドライバー不足や整備士不足など輸送業界の本質的課題をデジタル技術で解決したい」「ドライバーと車を繋ぐサービスを作りたい」を実現するため、本プログラムに参加しました。

<株式会社浜名ワークス×Hmcomm株式会社>
協業案:音×AIによる異常モニタリングシステムの開発

Hmcomm株式会社は、音とAIのスペシャリスト企業です。今回の協業では、トレーラーの異常を音の変化で早期に予知する技術を確立すること、さらには、ドライバーと車両を繋ぐことでドライバーや整備士の業務を支援することを目標に、両社で開発を進めています。

現在は、一つの異常に特化して検知技術を確立させることに取り組んでおり、異常を再現し、集音分析を繰り返している段階です。中期的には、モニタリングシステムのプロトタイプを作成し、その精度を検証し実現性を確認します。長期的には、他の異常でも実証を繰り返すことで運転席からトレーラ全ての異常がわかる技術を確立させることを目指します。


ものづくり企業5▶ヤマハ株式会社

研究開発統括部 第2研究開発部  谷高 幸司 氏

会社概要:あらゆる楽器音響機器を作っている世界で唯一の総合楽器音響メーカーです。音楽で培った技術を幅広く応用して、さまざまな製品サービスの拡充を行ってきました。2018年6月に稼働したイノベーションセンターでは、研究開発デザイン部門の社員が終結しており、世界最先端の音に関する設備が完備されています。ここでは、組織を超えた社員の交流や社内外の協業により継続的なイノベーション創出を目指しています。

プログラム参加の背景:スタートアップとの共創が目的です。研究開発部では、グミストラと称しますゴムのように伸び縮みするセンサーを開発しています。従来、弊社においては、装着型のシステムを構築して、演奏者の動きを可視化するような取り組みを行ってきました。今回は、このセンサーにおける「社外での用途を探っていきたい」「ベンチャー企業とのオープンイノベーションによって技術をさらに鍛えたい」という思いで、本プログラムに参加しています。

<ヤマハ株式会社×株式会社ワンライフ>
協業案:伸縮センサーを活用した障がい者eスポーツ環境の充実

株式会社ワンライフは、子どもから大人まで障害者の方を対象とした障害福祉サービスを展開。生活介護施設や児童発達支援施設の運営、ワンゲームと名付けたeスポーツで障害者就労継続支援を行っています。ワンゲームは全国に拠点を拡大中で、現在フランチャイズ展開が行われています。

しかし、障害者の方にとっては市販のコントローラでは操作が非常に難しく、専用のコントローラーが使える場合にも、それ自体が非常に高価であったりと、選択肢が非常に少ない現実があります

そこで、ワンライフより、多様性が叫ばれているこの社会において、上記のような現状を改善するようなものを実現できないかという提案がありました。それに対しヤマハは、自社のセンサーであればできるのではと直感的に思い協業に至っています。

弊社の伸縮センサーは非常に柔軟で柔らかく、わずかな動きでも変化します。また、こういった形のプロトタイピングの技術や繊維縫製関係の協力会社も保有しているため、センサーを複数搭載する・その人に合った装具をカスタマイズすることが得意だからです。


ものづくり企業6▶︎ローランド ディー.ジー.株式会社

コーポレート本部 経営企画室 兼 経営戦略室  スペシャリスト 高橋 宏幸 氏

会社概要:世界に100以上の国と地域に製品・サービスを供給しており、海外の売り上げが約9割を占めています。主な事業として、64インチや54インチといった大型のインクジェットプリンターやUVプリンターを作っています。また、今回の協業テーマにもなりましたが、もう一つの主な事業として、歯の詰物や、歯そのものを制作するためのデンタル加工機を作る事業を行っています。

プログラム参加の背景:国内外の既存事業で競争が激化している状況において、新規事業の創出・成長投資の積極化が中期経営計画における重要テーマとなっています。「デジタルと共創で未来を広く」に紐づくアプローチとして今回のプログラムに参加しています。

<ローランド ディー.ジー.株式会社×Hmcomm株式会社>
協業案:AIによるデンタル切削加工機ツール折れ防止システムの開発

Hmcomm株式会社は、産業技術総合研究所のAI音声認識技術を用いたスタートアップです。

ローランド ディー.ジー.との協業は、Hmcomm社の事業柱の1つである異音検知を使用したものです。今回の協業ではHmcomm社の異音検知の知識技術を生かし、デンタル加工機の操作性をより簡単に、さらには自動化することを目指しています。そうすることで、セレブの方々だけでなく多くの方に美しい白い歯を届けられるようになると考えています。

近年、超高齢化社会により、入れ歯や差し歯等の義歯需要の増大が挙げられる一方で、それを作る歯科技工士のなり手が減少していることから、パソコンでデザインしたものを機械が自動で削り出すというプロセスに変化してきています。ローランド ディー.ジー.は、この行程を担っていますが、デンタル加工機の実際に歯を削り出すツールが折れると、その間加工ができなくなり、装置の稼働効率が著しく下がる問題があります。

そこで、装置の稼働効率低下を防ぐために、AIでのツール折れ検知機能の開発を行います。将来的には、高負荷状態の検知や最適設定の推奨などができるようにしたいと考えています。

「浜松アクセラレーター2021成果報告会」を終えて

浜松市産業部 スタートアップ推進担当部長 加藤 路子 氏

今ある自社の技術をどのように新しく活用していくか、そして生まれた新たな事業をどう進めていくかといった観点において、非常に将来性のある事業プランをたくさん聞かせていただきました。
浜松市は、各社の挑戦を地域で引き続き応援をさせていただくと同時に、スタートアップの支援にも力を入れております。来年度も引き続き本プログラムの実施を計画しておりますので、ぜひこういった活動を利用してチャレンジを進めていただけたらと思います。

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ai taniuchi
2020年からPORT by Creww にてフリーランスライターとして活動中。
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