
広島ホームテレビとスタートアップによるオープンイノベーション
広島ホームテレビは、今年開局50周年を迎える民間放送テレビ局(テレビ朝日系列)です。「超テレビ×超ローカル」をビジョンに掲げ、魅力あるコンテンツで、いつでも・どこでも、生活者とつながっている、信頼度・好感度No.1の情報発信企業を目指しています。
今回のアクセラでは「広島から全国に広がるビジネスを創りたい」「AI、ICT、VRなど新たな技術を活用した新しいメディア価値を創りたい」の2つを掲げ、スタートアップからの提案を募集し、5社を採択しました。
Case1、3rd compass(サードコンパス)
DtoCのバーチャルアンテナショップによる産地イノベーションを実現
総合編成局メディアデザイン部 安村遼太郎
3rdcompassは、生産者が消費者に商品を直接販売する販売配送支援サービス「エドノイチ」を運営しているスタートアップです。中間業者を通さず、直接消費者や店舗に販売しているため、「適材適額」を実現されています。

今回の協業では、弊社の広報・宣伝力とコンテンツ制作力、地元企業とのアライアンスといったリソースとエドノイチを掛け合わせ「広島県産品特化型バーチャルアンテナショップ」を作ります。弊社は広島県内の活性化と放送外事業の展開を、3rdcompassは一次産業支援と地域創生を目指します。

Case2、SandBox(サンドボックス)
脳波分析を駆使したオンラインeスポーツジムの開講
サンドボックスは脳波を測定して人の感情を可視化する脳波解析サービスを提供しているスタートアップです。今回の協業で目指すのは、脳波分析を組み込んだオンラインの「eスポーツジム」を開講すること。

弊社のマスへのリーチ力とコンテンツ制作力に、サンドボックスの感情分析によるマーケティング評価を掛け合わせて、弊社はeスポーツ市場の活性化と新たなスポンサー収入の獲得を、サンドボックスは自社サービスのeスポーツ業界への普及を目指します。
測定するプレイヤーの脳波データは、eスポーツに必要なマウスやキーボード、チェア、ヘッドセット、飲食品といった関連企業も活用できるようにし、周辺領域へも新たな価値を創出したいと考えています。

Case3、トルビズオン
ドローン航行のための空の道の開拓
トルビズオンは、土地所有者とドローンユーザーをつなぎ、空撮や練習するための空をシェアするマーケットプレイス「ソラシェア」を運営している会社です。地権者の上空権をつなぎ、空にドローンの道を作ることで空の基盤を創造しています。
テレビ業界にとって、すでに欠かせないツールになっているドローンですが、物流や移動の領域でも欠かせないツールとなる日は近いはずです。しかし、民法207条で「土地の所有者の権利は、その上下に及ぶ」と、空の権利は土地所有者にあるため、上空使用権を管理する存在が必要になっています。
そこで今回の協業では、広島ホームテレビが広島県内の土地所有者やドローン事業者、小売事業者をトルビズオンのプラットフォームに参加・登録してもらうよう働きかける役割を担いたいと考えています。

広島ホームテレビが持つ県内企業や自治体とのコネクション、コンテンツ発信力によってプラットフォームへの誘導を促し、トルビズオンは自社プラットフォームを広島に普及することを目指します。このプラットフォームを通じて広島の土地所有者とドローンユーザーをつなぎ、広島県の社会問題解決に貢献したいと考えています。
Case4、NEXT VISION(ネクストビジョン)
動画自動編集システム「video cash for TV Man」の開発
ネクストビジョンは、動画売買プラットフォーム「videocash」を運営しているスタートアップです。videocashとは、世界中の人から投稿された動画をメディアが購入できるサービスで、投稿者は撮影した動画を販売でき、メディアもリアルタイムの動画や決定的瞬間を購入できるというもの。
これから開発する「video cash for TV Man」の特徴は、購入した動画を自動編集できること。まずは、弊社が地域の生活者の知りたい情報をリアルタイムで届けられるメディアになることを目指し、業界へ普及させたいと考えています。

Case5、NEXT BASE(ネクストベース)
科学的見地に基づいた映像解析によるオンライン野球アカデミーを開講
ネクストベースは最先端のスポーツ科学とITを融合させて、スポーツデータ解析を行うスタートアップです。今回の協業では、ネクストベースの客観的データによる野球指導を行うサービスに、弊社のスポーツ応援キャンペーン「勝ちグセ。」を連携させて、オンライン野球アカデミーを開講します。

弊社の県内でのリーチ力と「勝ちグセ。」連携による魅力訴求で、新規事業の拡大と地域貢献につなげ、ネクストベースはアマチュアへのサービス普及と地方でのサービス展開を目指します。実証実験は2021年の夏を予定しており、対象としている小中学生の夏休みを有効活用してもらいたいと考えています。

※2021年3月時点の状況及び情報です。
ヤマネホールディングスとスタートアップによるオープンイノベーション
創業110年のヤマネホールディングスは、広島で1万棟を超える家づくりを展開しており、「木」と「住まい」、そして「ライフスタイル」の継承発展に貢献する事業を行っています。今回のアクセラでは「100年先の暮らしを豊かに」をテーマに、新しい住まいの選択肢を作ることを目指して、日本サポートアットホームとの協業を採択しました。
日本サポートアットホームとは
弊社は広島で、在宅生活をしている高齢者の訪問看護、訪問リハビリを行い、在宅をよりアットホームに変えていくお手伝いをしている会社です。介護の大きな課題は、年齢とともに身体機能が衰え、要介護4もしくは5になると在宅での生活が大変困難になること。本当は生涯自分の家に住み続けたいけれど、泣く泣く施設に入る方をたくさん見てきました。
この状態を解決するために必要なのが、もう一歩踏み込んだバリアフリーです。なぜなら、要介護4や5になると5メートル先のトイレやお風呂に行くのが困難になり、清潔の維持が途端に難しくなるのですが、それを担保できる福祉用具には限りがあるからです。
介護ベッドやポータブルトイレ、手すりなどでは対応しきれなくなると、介助も在宅生活も不可能に。この問題を解決しないと、社会保障費の増大や要介護者の増加と担い手不足、空き家問題など連鎖した社会問題の解決にもつながりません。
そもそも、福祉用具の発達が進まないのは、住宅、住宅設備、家具、福祉用具のメーカーそれぞれが設計・販売をする、縦割りの状態だからです。介護が必要になる日は、ある日突然やってきます。誰にでも平等にあるリスクだからこそ、身体機能が低下しても家に住める環境を作る必要があります。
そこで、山根木材の住まい作りの知見と我々の訪問看護の知見を掛け合わせて、「最後まで豊かに暮らせる住まい」作りを目指して、協業の提案をさせていただきました。

協業で開発する「さいごまで暮らすちいさな家」
今回の協業では、弊社が販売している「山根木材のちいさな家」をリデザインし、段階的なリフォームプランを組み込んだ「さいごまで暮らすちいさな家」を開発します。「山根木材のちいさな家」は、ローンを組まなくても購入しやすい650万円から手に入り、シニア世代にちょうどいい広さで、改修しやすいシンプルな構造。これをリタイア後の世代の方に購入いただくことを想定して、あらかじめ2回の改修を行う想定でリデザインします。
まず、新築時には健常者の使用を想定した標準設計の住まいを提供します。

ステージ2では、手すりを設置したり玄関土間を広くして腰掛けを設置したり、状況に合わせた改修を実施し、ステージ3で入浴や排泄の介助が必要になったら「ケアユニット」を設置します。

ケアユニットとは、入浴、排泄、食事、移動など生活に必要な機能をコンパクトにまとめた設備で、今回の実証実験で本格的な開発をしたいと考えています。
目指すのは、介護する人もされる人も、最後まで楽しく豊かに暮らせる社会を作ること。そのために、まずは物理的に暮らせる空間をつくり、それを起点にIoTを利用した在宅医療サービスや高齢者を地域で支える仕組みづくりの発展につなげたいと考えています。自分の家で自由に自分らしく暮らし、長生きが楽しみになる社会を実現させたいと思っています。
※2021年3月時点の状況及び情報です。
広島県は2021年もオープンイノベーションを推進!
2019年度の開催から今年で3度目となる2021年においても、広島県下の企業の経営資源と全国のスタートアップ企業の持つ全く新しいアイデアや斬新なノウハウの双方を活用して、新たなビジネス・サービスの共創や既存事業のイノベーションをはかることを目的に『広島オープンアクセラレーター2021』を実施します。

