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月曜日, 11月 28, 2022

長野県が開催オープンイノベーションプログラム「NAGANO-OIC 2021」の 成果を一挙公開

2021年8月長野県が初めて開催したオープンイノベーションプログラム「NAGANO-OIC 2021 」参加企業の成果を共有するDEMO DAYが、2022年3月24日(木)オンラインにて開催されました。“オープンイノベーションチャレンジ”と題された本プログラム。本記事では、オープンイノベーションという手法を活かし、新たな産業創造を目指した長野県の既存企業とスタートアップとの協業の成果をレポートにしてまとめました。

「NAGANO-OIC 2021 」参加企業によるオープンイノベーション事例

https://growth.creww.me/ff748498-3091-11ec-9883-3b9d1019fe52.html

Challenge1▶株式会社ミールケア
「サスティナブル・フード・プラットフォームーフードロス削減への挑戦ー」

株式会社ミールケア 専務取締役 関 友樹氏

ミールケア会社概要:受託給食を中心に、“食”から派生した事業を行っています。幼稚園・保育所・医療福祉施設への食の提供や、食のシステム管理など多方面に展開中です。

OIC参加の背景と進捗状況:本テーマには、給食の構造的な限界を突破し、より価値のある持続可能な給食の仕組みを作りたいといった背景があります。ミールケアは、持続可能な地域の“食”をデザインするプラットフォームモデルの確立を目指しています。本プログラムでは、一連のモデルにおいて、給食に関わる上流行程をhakkenさんと、現場レベルの実質的な場面に関してはCALCUさんとの協業を進めております。

今後の目標:hakkenさんとは、地域生産モデルの確立を目指しております。乾燥野菜を用いた地域のバイオマスは、カーボンニュートラルの着手に繋がります。再生可能エネルギ―に代わるものも視野に入れた地域内の流通モデルを構築していきたいと思っております。CALCUさんとの協業においては、IoT型のゴミ箱を用いて食品ロスを見える化することで、食材利用を最適化していきます。今後も、協業を重ね、既存事業をより価値化し、長野県からロールモデルを発祥していきたいと考えています。

【ミールケア×hakken  】:地域ネットワークによる廃棄野菜活用プログラム

株式会社hakken 竹井 淳平氏

◆hakken会社概要:食糧ロス野菜を使用した食品や加工品の開発・提供をしています。野菜を廃棄せずに乾燥させることで、保管できる期間を延長し、運用コストもダウンできます。これまでも、これからも小規模生産にこだわる理由は、大量生産に伴う大量廃棄を避けるためです。また小規模であれば地域に根ざした丁寧な関係基盤の構築が可能です。
地域課題の解消に貢献しながら、よりおいしくアップサイクルできるモデルを作っていきます。

また、現代に不足している野菜の摂取量を十分に増やすため、個々の情報に沿ってパーソナライズされた野菜パウダーを提供するサービスも考案しました。

◆協業内容:ミールケアさんの既存事業である給食用の子ども向けパン作りに、ロス野菜のパウダーを使用しています。実証実験も行っており、改良を重ねています。給食や一般向けに提供する中で、パン作りを通した食育へと展開し、地域から全国へ、行く行くは世界へとサービスを展開していけたらと思っております。

▶️株式会社hakkenについて
https://creww.me/ja/startup/ghuligiua

【ミールケア×CALCU 】:AIゴミ箱による食の現場のフードロス削減

株式会社CALCU 代表取締社長 金子 隆耶氏

◆CALCU会社概要:フードロスの中でも、事業系食品ロスにアプローチしています。フードロスの実態が正しく把握されていない現状に課題を感じ、正確なデータをもとに分析を可能にするサービスを展開しています。具体的には、ゴミ箱をIoT化することで、なるべく人の手をかけずにフードロスを可視化。何がどう捨てられているのか、カテゴリー別に分けて顧客にダッシュボードで表示することで、コスト管理や、改善プランの意思決定に貢献します。

食材ごとのCO2排出量を測ることで、カーボンニュートラルに向けアプローチが可能です。

4月から実証導入がスタートしており、年度内100事業者導入を目指しています。

◆協業内容:ミールケアさんがサポートされている園などに、抱き合わせでソリューションを提供しています。食材利用の最適化に貢献できたらと思います。

▶️株式会社CALCUについて
https://creww.me/ja/startup/9w3vx0yd6

Challenge2▶VAIO株式会社 
「VAIOが実現するサクサクVPN ソコワク」

VAIO株式会社 開発本部 ITソリューションセンター センター長 安藤 徹次 氏

VAIO会社概要:PCおよび関連製品・サービスの企画・開発・製造・販売・サポートを一貫して行うと同時にIoTデバイスなどに関わる先端的な製品・サービス、ソリューションの提供を行っています。IPCが利用される環境におけるさまざまな課題への解決策の1つとして、VPNサービス「ソコワク」を提供しています。これは、簡単かつ安全性が非常に高いリモートアクセスのサービスです。一分一秒を争う報道現場や、個人情報を扱う電子カルテへのアクセスなどに利用されています。

OIC参加の背景:PCを長年設計してきた知見を活かし、コロナ禍以降急速に普及した在宅勤務や推進されるIT化による課題解決に取り組んでいます。本プログラムへの参加を通じ、どこからでも安心して働ける環境を作るサービスを作ることで社会のデジタル化に貢献し、企業のDXを支援するソリューションを提供したいと考えています。

【VAIO×MAMORIO】:法人向け紛失防止IoTソリューション「MAMORIO Biz」

MAMORIO株式会社 代表取締役 増木 大己氏

MAMORIO会社概要:小さな忘れ物防止タグを作っているスタートアップです。
企業の中で、個人情報の漏洩などのセキュリティ事故の原因で一番多いのは、「紛失」「置き忘れ」によるものであるというデータがあります。こういった課題を解決するために、「最小クラスのセンサー」「99.8%の紛失防止機能」「発見ネットワーク」の3つを組み合わせ提供しています。MAMORIOは、“あれどこ行った”を“ここにあった”の安心へ変える製品です。

◆協業内容:PCを持ち運ぶ機会が増えてきた現代において、VAIOとMAMORIOが協業することで「なくすをなくす」を、PCでもよりスマートに実現できる世界が作れるのではないかと実証実験を進めています。

MAMORIOの紛失防止タグをVAIO PCに貼ったのでは、見た目の問題に加え、タグが剥がされてしまうとPCをトラッキングできないという課題がありましたが、MAMORIOのソフトウェアをVAIO PCの中に組み込むことで「タグを付けずに、どこにPCがあるのかをトラッキングする」ことが可能となります。また、テレワーク端末やモバイルルーターなどのテレワークに利用される機材などIT資産を管理するコストは、企業にとって大きな課題でもありましたが、これをMAMORIOのテクノロジーを活用することで管理の自動化を実現し、コストを削減できるめどが立っています。さらに「ソコワク」と組み合わせることにより、機材管理を自動化し、企業の管理コストを削減するとともに、PCを持ち歩く際の不安をなくします。万が一の紛失時には、機器の探索・発見までをワンストップで実現できるソリューションで企業に安全と安心を提供します。

▶️MAMORIO株式会社について
https://creww.me/ja/startup/mamorio

Challenge3▶長野朝日放送株式会社 
「サーキュラー・インフォメーションー地域循環をつくる新たなメディア体験ー」

長野朝日放送株式会社 取締役 信州元気プロジェクト本部長 五十嵐 洋人 氏

長野朝日放送会社概要:長野朝日放送は、長野県内を放送エリアとするテレビ朝日系列の放送局です。キー局からの番組を放送するだけではなく、県内に丹念に取材し自社制作番組を放送するなど、地域課題の情報発信に努め、SDGSなどにも着目した社会性のある地域密着型の放送局です。

OIC参加の背景:テレビ離れ等の要因からテレビ広告による収益が以前と比べ見込めないという課題に直面する今、広告で利益を上げるのではなく、我々が発信する色々な情報を、地域社会や行政、企業に双方向で還元して「新しい価値を生んでいく」活動がしたいと考え、自社に留まらないアイディアを求めOICに参加しました。

【長野朝日放送×AZAPA 】:「AI&IoT活用による感情の見える化」

AZAPA株式会社 竹内 精治氏

AZAPA企業概要:生態データを測り、感情を推定する“感情を見える化”するサービスを提供しています。

協業内容:放送コンテンツを視聴する視聴者の感情を見える化し、地域住民の感情を知ることで、地域の発展に貢献することを目指します。生態データを測る上でのポイントは、「どうやって意識させずに計測すのか」ですが、テレビやネットの前においては、従来の主観ベースのアンケート調査とは異なり、番組を視聴しているだけで視聴者のリアルタイムの感情を分析することが可能となります。ネット配信により興味度を測定する実証実験も済んでおりますが、協業により、番組製作担当者が結果をフィードバックされることで、コンテンツを振り返ることを可能としております。また、生態を知ることで様々な事業に発展できる可能性があります。

「視聴者の感情から広告効果を明確化する」「蓄積された感情のデータを活かし地域企業へプロモーションの機会を提供できる」「地域の方のQOL向上に寄与するデータが持てる」など地域に根付いた長野朝日放送様を通して、地域への貢献に期待がもてる協業です。

▶️AZAPA株式会社 感性・感情を用いたソリューションを提供する”Project Olive” についてhttps://creww.me/ja/startup/www.project-olive.info

【長野朝日放送×toraru】: 「メタバースで実現するユニバーサル・ツーリズム」

株式会社toraru 西口 潤氏

toraru企業概要:行けない方と現地にいる方をマッチングするプラットフォーム「行けないを解決する」メタバースサービス「GENCHII」を提供しています。弊社は、仮装交通網を世界中に張り巡らせたいと構想しております。ワークシェアリングの観点からは、交通機関に払っている交通費を、現地にいる方の人件費に置き換えるようなモデルになっております。また、オンライン配信等において現地の人が主役になる形とは異なり、「依頼者が主役であり、希望地にいる人に繋いで自分の代わりに働いてもらう」仕組みになっております。

協業内容:長野朝日放送様の社内から、長野市内のワーカに接続し、指定の観光ポイントを回る実証実験を行いました。現地側の音の出力が小さい・長時間の接続時や電波の悪い場所を通過した際に、画像が乱れるといった課題も見えてきておりますが、従来テレビ局が自身で編集し、固定の時間に視聴者に提供していたものと比べ、まるでプライベートのカメラマンがいるかのような映像を提供できる協業となっております。

▶️株式会社toraru GENCHI〔クラウドソーシング型体験共有サービス〕についてhttps://creww.me/ja/startup/genchi.net

「NAGANO-OIC 2021」オープンイノベーション実績事例

シナノケンシ株式会社
「製造現場向けに搬送省人化をサポートする自動搬送ロボット『AspinaAMR』」

シナノケンシ株式会社 代表取締役常務 金子行宏氏

シナノケンシ企業概要:モーターを中心に幅広いハードウェア製品をグローバル展開している会社です。「家電・住設分野」「医療・福祉分野」「自動化分野」「車載分野」でビジネスを行っております。4年前から、社内にスタートアップ協業チームを組織し、オープンイノベーションへの取り組みを実施。政府のプロジェクトへも参画しています。

AspinaAMR開発の背景:製造業の搬送工程は、製品の付加価値を付ける行程ではないためコストを削減したい行程です。一方で、加工工場において作業の20%が、この搬送工程であると言われています。また、搬送作業は従業員への負担もかかることから、自動化が求められてきました。固定されたガイドテープ上でのみ走行が可能な無人搬送装置AGVに対して、AMRは、ガイドなしの自律走行が可能であり、障害物を検知し、自動で回避行動をとることが可能です。一方で、AMR導入にも「導入時の初期設定が難しい」「工数・コストがかかる」「製造現場に適した大きさがない」といった問題もあります。この課題解決に向け開発されたのが、AspinaAMRです。

AspinaAMRと「NAGANO-OIC 2021」での取り組みについて:AspinaAMRは現場のレイアウトを変更することなく導入が可能であり、小回りの利くサイズです。また、わかりやすいソフトウェアで初期設定が簡単になりました。さらに一年以内に投資回収ができる他、生産システムや製造ラインとの連携が可能であり、ソフトウェアが定期的にアップデートされるため拡張性が高い装置になっています。

AMRのハード面以外のビジネスモデルをオープンイノベーションにより実現するため、従来よりスタートアップをはじめとした協力会社と開発を繰り返しながら、実証実験を行ってきました。DXを視点にNICOLLAP様やaptpod様、bjit様にお知恵をいただき、ビジネス全体像を策定。bjit様のご協力のもと、クラウドを活用した操作アプリを開発しました。ソフトウェア・クラウドシステムを活かした保守プランや、クラウドソフトのサブスクリプション型のサービスモデルを目指している点が、今回のプログラム参加により追加された目標です。

「NAGANO-OIC 2021 」について

一般社団法人長野ITコラボレーションプラットフォーム(NICOLLAP)荒井 雄彦氏

今回のプログラム「NAGANO-OIC 2021」には、長野県内の参加事業者3社に対して65件のスタートアップ様からのエントリーがありました。

NAGANO-OIC 2021 開催の背景には、信州ITバレー構想があります。信州バレー構想とは、長野県既存産業のDXを促進し、その支援者となるIT産業とコラボレーションすることで、新たな産業創造を目指す構想のことです。なぜDXが必要なのかというと、日本は先進国の中で最も経済成長率が低く、データからもデジタル投資をしていないことが要因であることが裏付けられているからです。新しい産業を起こすために、DXを伴うコラボレーションが必要であり、そのためにはスタートアップとのOIという手法が適切だとして、今回のプログラムを開催しております。

「NAGANO-OIC 2021」を振り返って

Creww株式会社 執行役員 中島 克也氏

今回のプログラム開催に対する所感として、関連メディアの露出やスタートアップからの問い合わせを含め、非常に反響が大きく、また、信州エリアでのイノベーション創出にスタートアップが進出できる可能性の高さも感じました。今後も「イノベーションを創出できる仕組み作り」を継続的に行っていきたいと思います。

どんなに斬新な事業の種が生まれたとしても、結局それを具体化し前に進めていく為には、継続的なイノベーション活動にチャレンジする社内の体制が必要であると伺っています。事業化という軸だけではなく、社内の組織に継続的な仕掛けを行っていくことは重要であり、両者を同時に構築していくためにはスタートアップとのオープンイノベーションが非常に合理的であると思いますので、ぜひ継続的にチャレンジしていっていただければと思います。

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ai taniuchi
2020年からPORT by Creww にてフリーランスライターとして活動中。
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