そこで、今回は青森のオープンイノベーション事例を重要キーワードと共に紹介します。
青森県のオープンイノベーション状況

必要な技術や知識を自社だけで調達するクローズドイノベーションに対して、他社のリソースも活用するのがオープンイノベーションです。ここではまず青森県内でのオープンイノベーション状況を解説していきます。
青森県の産業の特徴とは
経済産業省の「2020年工業統計調査(概要)」によると、さば缶詰やコネクタなど国内トップクラスの工業製品が豊富です。また、県内は農林水産物も豊かであることから、「あおもり農工ベストミックス新産業創出構想」を打ち出し、農業と工業を結びつけた新しい産業の創出も目指しています。
青森市のアクセラレータープログラム事例
青森市では、市内のベンチャー企業・スタートアップの育成のためアクセラレータープログラム「青森アクセラレータープログラム」を実施しています。第1期目となる2021年度は、27件のビジネスプラン応募の中から、8社のスタートアップが採択されました。
青森ライフイノベーション戦略とは
青森県庁のオープンイノベーションへの方向性を知る上で、青森ライフイノベーション戦略が参考になります。青森ライフイノベーション戦略とは、県民の生活の質・幸福度の向上、基幹産業化、新規ビジネス創出、青森県のブランド確立を基本的目標とし、県内企業による外貨獲得の強化を図るものです。
青森ライフイノベーション戦略の重点分野は医工連携、サービス、プロダクトの3点で、特に医工連携についてはオープンイノベーション事例にも関連してきます。
事例1 イノベーション・ネットワークあおもり

最初に紹介するのは、青森県での新規事業や新規産業を目的とするイノベーション・ネットワークあおもりです。
ネットワークを活用して相乗効果を発揮
イノベーション・ネットワークあおもりはラウンドテーブルとタスクフォースという団体で構成されています。青森県工業会などの「産」、弘前大学などの「学」、青森県庁などの「官」、青森銀行やみちのく銀行などの「金」が構成メンバーになっていることから、産官学金と青森県内の多岐にわたる団体が集結している点が特徴です。
地域・分野ごとにおこなわれていた連携が広域化される点や、ネットワークを通じた加速度的な事業効果の獲得が期待できます。
活動内容を紹介
ラウンドテーブルとして、定期的にタスクフォースの活動状況報告や青森県のイノベーションの方向性提言がおこなわれています。また、あおもり産学官金連携イノベーションアワードを毎年開催し、先導的で優良な取り組みをしている県内の民間事業者を表彰していることも活動内容のひとつです。
事例2 健康未来イノベーションプロジェクト

続いて紹介するのは、弘前大学が中心となり、青森県も協力する弘前大学COIが取り組む健康未来イノベーションプロジェクトです。
最短命県ゆえに誕生したプロジェクト
厚生労働省の都道府県別平均寿命ランキングによると、青森県は平均寿命最下位の状態が続いています。日本一の短命県という事実をネガティブにだけ捉えるのではなく、短命県だからこそ医療・健康面での実証開発フィールドに適していると考えて始まったのがこのプロジェクトです。
健康未来イノベーションプロジェクトでも産学官民が連携し、強力な推進体制を構築しています。
活動内容を紹介
県内の幅広いネットワークを活用した健康に関する膨大なビッグデータがプロジェクトの特徴のひとつ。弘前大学COIではこのデータを活用した研究開発やビジネス化に取り組んでいます。
さらに特筆すべきは、第1回日本オープンイノベーション大賞における最高賞、「内閣総理大臣賞」の受賞です。弘前大学COIのビッグデータを活用した予兆法・予防法に伴う経済効果や県民の健康への価値観のシフトに貢献したことが評価され、受賞に至りました。
青森のオープンイノベーションは健康に注目

青森県が打ち立てている青森ライフイノベーション戦略や弘前大学COIの事例からもわかるように、青森県におけるオープンイノベーションは医療や健康が重要なキーワードとなります。青森県には健康に関するビッグデータを保有している点も見逃せません。
医療・健康分野でのスタートアップを予定している方や、こちらの分野に強みを持つ経営者の方は、青森県のオープンイノベションに今後も注目してみてください。
