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アネスト岩田のイノベーションを牽引するイントレプレナー

―小針さんがアネスト岩田に入社したきっかけと、どのような仕事をされているのかを教えてください。
私は学校を卒業後、プリンター関係の製造業で4年ほど働いていました。しかし、リーマンショックで会社の経営が悪化し、早期退職を余儀なくされてしまったのです。
そこで転職活動を始めると、人材紹介のエージェントから強くお勧めされたのが、アネスト岩田でした。もともとアネスト岩田の製品は扱っていて馴染みもあったので、お勧めされたまま面接に行くと、かなり好印象だったんですね。
そのまま入社が決まり、後日エージェントから聞かされたのは「実はアネスト岩田で人事をしていた」という話。「アネスト岩田のカルチャーは熟知しているから、小針さんにぴったりだと思った」と言ってくれて、とてもご縁を感じました。
現在は入社7年目で、6年ほど品質保証を担当し、2020年3月に品質保証との兼務でアクセラレータープログラムのブラッシュアップ担当に指名されました。6月にデジタルマーケティングに異動して現在に至ります。
どこに行っても通用する力を身につけたい
―全く違う職種への異動と、アクセラレータープログラム担当の指名の時期が近いですが、両立は大変ではなかったですか?
いえ、むしろ嬉しかったです。実は今、通信制大学の3年生でもあって、経営やマネジメントを学んでいるんです。というのも、前職で早期退職を経験して「社内だけで通用するスキルを持っていても、外に出たら通用しない」「スキルを一つしか持たないのは怖いことだ」という危機感を持っていたから。
「どこに行っても通用する力を身につけたい」と思って起こした行動が、デジタルマーケティングの仕事に生きていますし、さらにスタートアップと共創するアクセラ担当にも指名されて、とてもありがたい成長の機会だと思っています。
コンディションを良くする運動の文化を広めたい

―今回、アクセラレータープログラムのブラッシュアップ担当として、どのようなことをしたのか、またスタートアップとのオープンイノベーションで何を生み出したいと思ったのかを教えてください。
50社以上の応募があったのですが、ブラッシュアップ担当はそれぞれに協業したいスタートアップを選んで、プロジェクトを進めています。
そのなかで私が選んだのは、スポーツやトレーニングイベントの検索・参加ができるプラットフォームを運営する、「KuruSPO(以下、クルスポ)」というスタートアップです。提案は、「健康経営をスポーツで実践しませんか」というもの。
ちょうど、アネスト岩田は経済産業省の「健康経営優良法人」のホワイト500に認定されることを目指して、健康に関する制度や取り組みを充実させています。加えて、私自身筋トレが好きで、運動する文化を広めたいという思いがありました。
会社にはフットサルコートもありますが、人数を集める必要があるので頻繁に開催することはできません。だけど、社内にあるジムに1人でもフラッと行けば、ジム内での活発なコミュニケーションが生まれるし、コンディションも良くなります。だから、どうにか広められないかと考えていたんです。
会社が目指している方向性と、私の思いが合致して、ぜひクルスポと協業したいと思いました。
企業向けの運動支援サービス、コンサルティングサービスを目指す

―自分ごと化できるテーマだったのですね。具体的に、どのような実証実験に取り組んでいるのでしょうか。
社員20人にモニターになってもらって、運動習慣をつけるための実証実験を行っています。具体的には、「1日10分のトレーニング動画」を配信し、週1回40分間の「オンライングループレッスン」を実施。
さらに、ウェアラブルデバイスで1日の運動量や睡眠時間と質を計測して、パーソナルトレーナーが改善のためのアドバイスをしたり、栄養士さんがおすすめの食事メニューを伝えるサービスを導入したりしています。
クルスポが協業しているパーソナルトレーニングの知見やサービスを取り入れて、企業向けサービスとして成り立つかを検討しているのです。
ただ、従来の運動はプライベートな時間で行われるものであり、会社として強制はできないので、これを全社員に展開しても使われないかもしれない、またコストもかかるのでサービス化は難しいかもしれないと思うように。そこで、新しい実証実験として、オフィスでできる運動をテーマにした新規事業の検討も開始しました。
企業が従業員の運動を支援する、と聞くと不思議な感じですが、肩こりや腰痛など体の不調による仕事のパフォーマンス低下は生産性の低下と直結しています。
運動は生産性向上のための手段のひとつであり、企業が生産性向上を目的として従業員の運動習慣化を支援することは今後一般的になると考えています。
クルスポの知見やサービスを活用して、企業向けの運動支援サービス、もしくはコンサルティング事業を実現できたらいいなと思っています。
いつの間にか、ブレーキをかけていた自由な発想
―スタートアップや他社と協業したことで得られた気づきはありましたか?
スタートアップの皆さんが、自由な発想でいろんなアイデアを出す様子を見て、気づかないうちに、自分の頭が固くなっていたことに気付かされました。組織の一員として働くうちに、実現可能性が低いと思ったアイデアは発言しなくなり、いつの間にか考えることすらやめてしまっていたのだな、と。
もっと自由に発想していいはずなのに、なぜ自分の中でブレーキをかけていたのかを問うきっかけにもなり、四角い頭が丸くなっていくのを感じました。加えて、スタートアップのスピード感は見習うべきだとも思いましたね。
普段の仕事は、既存の事業に何かを足す、もしくは何かを変えることしかなかったけれど、今回、初めてゼロからビジネスを考える経験を積んで、自分に足りないことが明確になりました。その機会を得られて本当にラッキーだと実感しています。
アネスト岩田は、今後もスタートアップをはじめ、他社との協業の継続を決めているので、会社にとって有益な人材として貢献し、社会に価値を提供する存在になるためにも、今後も新規事業の創出やスタートアップとの協業には挑戦し続けるつもりです。そして、いつかは自分で事業を興したいと考えています。
社名 | アネスト岩田株式会社 |
設立 | 1926年5月 |
資本金 | 33億5,435万円 |
代表者 | 壷田 貴弘(つぼた たかひろ) |
事業概要 | 空気圧縮機(エアーコンプレッサ)、真空機器、塗装機器・設備並びに液圧機器・設備の製造・販売 |
URL | https://anest-iwata.co.jp |
