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月曜日, 11月 29, 2021

まだ世の中にない新たな体験価値を創出する、「香り噴霧器」の製品化を目指す|アネスト岩田のオープンイノベーション

自動販売機から美味しそうなコーヒーの香りが漂ってきたら、新しい購入体験にならないだろうか――。スタートアップとの協業により、既存技術を生かした“飛び地”の新規事業創出に取り組んでいる、アネスト岩田。日本の塗装用機械器具や空気圧縮機を90年以上リードし続け、世界初となる製品をいくつも開発してきた同社は、世界20カ国以上の拠点と1700名を超える従業員、そして35社のグループ会社を持つ企業だ。そんな同社が2020年から導入したアクセラレータープログラムで、香り空間演出・プロデュース事業を展開するスタートアップ「SceneryScent」との協業を進めているのは、発電システムチームの和泉孝明氏。具体的に、どのような挑戦をしているのかを伺った。

イノベーションを牽引するアネスト岩田のイントレプレナー

アネスト岩田 発電システムチーム 和泉孝明氏

―和泉さんは新卒でアネスト岩田に入社したと伺いました。決め手になったことと、現在のお仕事内容について教えてください。

大学でコンプレッサーの研究をしていたので、就職先は学んだ知識を生かしてモノづくりができる、コンプレッサーメーカーに絞って探していました。その中でも、アネスト岩田を選んだのは、学歴や社歴に関係なく、若手でもモノづくりの中核を担えるから。

実際、入社以来コンプレッサーの技術を転用した新製品、「発電機のタービン」の研究開発に携わっています。この開発で難しいのは、誰も経験したことのない領域なので、知見やノウハウを持つ人がいないこと。自分で調べて学びながら試行錯誤を続け、入社から9年が経ってようやく製品化に近づきました。

研究開発と実証実験を積み重ねた、9年間

―9年間開発を続ける中で、挫折しそうになることはありませんでしたか?

悩んだり考えたりするのが好きなので、課題は難しいほど楽しいです。ただ、入社してしばらくは先輩と2人で研究開発を進めていたのですが、途中から1人になった時期は辛かったですね。

というのも、単に社内で研究開発をするだけではないからです。たとえば、今までかかわりがなかったお客様との打合せや実証試験の実施、現地で性能を確認して改良を重ねるすべてのプロセスを、全部自分の責任で実行する必要がありました。現在は体制を整えられ、チームで研究開発と実証実験を進められています。

―入社以来、ずっと実証実験を続けているのですね。

そうですね。すでに製品化されているものではないので、実証実験と改良を積み重ねています。その意味では、今回のアクセラレータープログラムも、本業でやっていることと本質は変わりませんでした。違っていたのは、社内だけで取り組むのと他社と協業するのとでは、それぞれの考え方や進め方に違いがあること。学びは多かったです。

技術的な難しさをクリアして、香り噴霧器の製品化を目指す

―和泉さんは、今回のアクセラレータープログラムで「香りの空間演出やプロデュース」を展開するSceneryScent社と協業されています。詳しく教えてください。

SceneryScent社と検証するのは、自動販売機に「香り噴霧器」を設置すると、香りによって商品の売り上げコントロールや、新商品の販売促進につなげられるかどうかです。

私がなぜSceneryScent社との協業を選んだかというと、既存製品であるスプレーガンの技術を活用して、既存事業とは違う「飛び地」のサービスを作れるかもしれないと考えたからです。

しかも、「香り」をテーマに新たな体験や演出を考えると、アイデアはたくさん出てくるのに世の中にはあまり実装されていません。それは、技術面のハードルが高いからですが、それをクリアできれば非常に大きな市場にトライすることが可能だと考え、挑戦すべきだと思いました。

2020年10月から、飲料品メーカーと自動販売機メーカー、自動販売機を扱う商社とコンタクトを取り、社内の自動販売機を使って、香りは狙い通りに漂うのか、噴霧器はどこに置くと効果的なのかなどの検証をスタート。

ただ、既存のスプレーガンにはない、香りを噴霧する機能を成立させるのが難しく、設計と試作機制作に予想以上に時間がかかっているんです。現在、3人体制で開発を進めており、試作機が出来上がり次第、自動販売機に設置して実証実験をスタートさせたいと思っています。

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2020年3月23日

―実証実験はどれくらいの期間が必要そうでしょうか?

1年は必要だと思っています。というのも、作ってすぐ効果を解明できるものではなく、ある程度の歳月の統計データをもって機器の成立性を判断する必要があるためです

だから、どの香りが体験や売り上げに影響するのか、約1年をかけてデータを集めたいと考えています。香り噴霧器が製品化できたら、自動販売機だけでなく、アミューズメント施設や商業施設、イベント会場など、小ロットでいろんな場所に導入できると思うので、今からワクワクしています。

ゼロイチは面白い。アクセラレータープログラムの経験を生かして挑戦を続けたい

―スタートアップと協業したことで得られた気づきはありましたか?

入社して数年間は「新しいことにどんどん挑戦したい」と貪欲な思いがありましたが、年月が経って、難しい問いを諦めるようになっていたことに気付かされました。スタートアップの想いの強さや、自信を持ってアイデア出すスタイルに温度差を感じ、これは見習わないといけないと思いました。

今回の取り組みで実感しているのは、やはりゼロイチは面白いということです。もっといろんなことに挑戦して、会社に影響を与える存在になりたいし、もっと積極的に発信していきたいと思うようになりました。

オープンイノベーションがもたらした社内の変化とは

―和泉さんの取り組みによって、社内に変化はありましたか?

意外だったのが、プロジェクトの進捗を聞いてくれる人が結構いることです。香り噴霧器を開発するにあたって、技術的にわからないことを違う部署に聞きに行くと、思った以上に手伝ってくれたんですね。

しかも、メーカーとの打ち合わせをセッティングしてくれたり、キーマンとなる人を紹介してくれたりと、本業ではないのに動いてくれる人が社内にたくさんいたのは、驚きであり発見でした。また、社内で実験をしていると見に来てくれて、その場でアイデアを出してくれる人もいて、やって良かったと思っています。

新規事業への意気込み

―これから挑戦したいことを教えてください。

SceneryScent社との新規事業を成立させるのが、直近の目標です。実証実験は長期戦になりますが、責任を持ってやり切り、製品化を実現させたい。

それから、アクセラレータープログラムで学んだことを生かして、香り噴霧器だけでなく、全く違った新規事業も立ち上げられるよう挑戦し続けていきたいと思います。

協業で四角い頭を丸くする。既存事業の「飛び地」を狙った新規事業を形にしたい|アネスト岩田のオープンイノベーション

2021年3月23日
社名アネスト岩田株式会社
設立1926年5月
資本金33億5,435万円
代表者壷田 貴弘(つぼた たかひろ)
事業概要空気圧縮機(エアーコンプレッサ)、真空機器、塗装機器・設備並びに液圧機器・設備の製造・販売
URLhttps://anest-iwata.co.jp
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田村 朋美
2000年雪印乳業に入社。その後、広告代理店、個人事業主を経て、2012年ビズリーチに入社。コンテンツ制作に従事。2016年にNewsPicksに入社し、BrandDesignチームの編集者を経て、現在はフリーランスのライター・編集として活動中。
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