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土曜日, 10月 23, 2021

上場スタートアップ「ギフティ」の流儀|eギフトを軸として、人、企業、街の間に、さまざまな縁を育むサービスを提供する

成長の加速を落とさないスタートアップにフォーカスをして、失敗事例や克服のストーリー成功体験など、生の声を配信している連載「スタートアップの流儀」。今回は、コロナ禍において、サービスのニーズがより高まっているという株式会社ギフティの代表取締役である鈴木 達哉氏にお話を伺いました。

ギフトを介して、気持ちのロスをなくしていきたい

ーギフティ様のサービスを通じて解決したい社会課題について、ビジョン・ミッションを含め、お聞かせください。

鈴木:僕らのサービスは、人と人、人と企業、人とまちをeギフトでつなぎ様々な縁を育む一つの手段なんです。気持ちをカタチにしてつながりを作るための、媒介としてeギフトを活用していただいていると認識しています。

フィジカルなモノを贈り合うと、どうしても配送料がかかったり、また買いに行く時間とか、それを受け渡す時間を確保する必要がありますが、デジタルという手段を用いれば、タイムリーに、デリバリーコストなく、ギフトを贈ることができます。そうなると、低単価なモノでも非常に贈りやすくなってくる。

最近はSNS等で、友人の誕生日を知る機会が昔より増えていますが、単純にメッセージで「おめでとう!」と送るだけじゃなくて、eギフトを活用すれば、より相手を思う気持ちをカタチにすることもできますし、気持ちを伝える機会も増えます。「おめでとう」というメッセージだけでは物足りないし、わざわざ会ってプレゼントを渡す関係でもない場合、結局何もアクションせずに、相手の誕生日をお祝いしたいという気持ちがロスしてしまう。この気持ちのロスを発生させない手段がeギフトであり、eギフトを上手に活用すれば、より気持ちが流通する社会・循環する社会になるのかな、と思って取り組んでいます。

人間ひとりで生きていくのは辛いと思うんですが、友人や家族など周囲の方が自分のことを思ってくれていると感じる機会が増えれば、必然的に周囲とのつながりを感じられるようになるし、つながりを感じられれば応援してくれている方が周囲にいると思える。そのことで、仕事でもプライベートでもチャレンジしやすくなると思うんです。

何かに挑戦する際に、「応援しているよ」、「失敗してもカバーするよ」みたいなことを言ってくれる人がいると前向きになれるなあというのを、僕ら自身も起業するなかで、これまで日々感じてきたので。そのためにも、気持ちをカタチにしてつながりを育む手段をもっと広げていきたいと思っています。

コロナ禍における強みと、抱えている課題

ー今のコロナという状況を踏まえながら、御社のサービスの強みと課題についてお話しいただけますか?

鈴木:コロナの感染が拡大する中で、リモートワークに移行する企業が増えていますが、従業員同士顔を合わせられない状況下で、「Zoomでもいいからみんなで集まってランチしよう」とか、「Zoomで飲み会しよう」といったことを実行される企業が増えています。例えば、企業側が費用を負担して、ギフティで取り扱っているデリバリー系のフードバウチャーのeギフトを従業員の皆様に配るというように、福利厚生の一環としてeギフトを利用いただくケースも増えています

最初は外資系金融機関が採用くださって、「外資系らしい施策だなぁ」と思っていたら、その後、日系の大企業からスタートアップまで、企業から従業員へ「直接顔を合わせて働く機会は減ったが会社はあなたのことを思っていますよ」という気持ちを伝える手段として、ピザやデリバリーフードのeギフトや自宅で動画が楽しめる動画配信サービスのeギフトを贈るようなケースが増えてきたのも、コロナ禍における特徴的なeギフトの活用事例だと思います。

ギフティの事業上の強みは、eギフトを生成するシステムの提供、流通、販売(個人・法人)といった、eギフト業界のバリューチェーンを一気通貫で提供している点です。eギフトを発行されるブランド、eギフトを購入される個人・法人BとC両サイドにサービスを提供しています。eギフト発行者と、eギフト利用者両者をクライアントとしているので、双方のニーズをマッチングすることができるんです。そのため、eギフトを発行するブランドが増えれば利用者も増える、またその逆もしかりで、利用者が増えるとeギフトを発行するブランドも増える、といったプラットフォーム型かつ循環型のビジネスモデルであり、ネットワーク外部性が働く事業である点も強みです。

課題はもちろんたくさんあります。例えば、ブランドがeギフトを導入する際、実店舗で再利用ができないようにeギフトを利用済とする「消し込み」を行います。その際に、店舗のPOSと我々のシステムを連携させる必要があり、そういうインフラをきちんと整備するためのイニシャルコストの大きさも課題のひとつです。この課題を解決するために、POSの改修なしで、かつ低コストでeギフトを導入いただけるよう、電子スタンプによる「消し込み」というソリューション提供もしています。

また、eギフトの平均単価は600円から1000円と比較的カジュアルな価格帯なのですが、eギフトが世の中に出回る以前のギフトの単価というのは、比較的フォーマルなシーンで贈られていたため、高単価です。フォーマルのシーンで贈られていたようなギフトを電子化するというのはリプレイスなので比較的容易ですが、数百円のカジュアルなギフトを「贈ってみませんか?」するというのは、シーンの提案から行わないといけないですし、普及に一定の時間は要します。そういった意味で、「eギフトを贈る」という新しい習慣や文化を醸成することに関しても、まだまだ課題が多いと感じています。

起業に至った経緯とは

ー御社は創業されて10年になりますが、改めて起業に至った経緯についてお伺いさせて下さい。

鈴木:共同代表の太田は、大学時代に友人の誕生日をみんなでケーキ買ってきてキャンパスで祝うという習慣があったんですが、社会人になるとお互い多忙になりスケジュールを合わせて会ってお祝いするというのが難しくなってしまったそうなんです。

SNSで友達の誕生日が表示された時に、ただ「おめでとう」とメッセージで送るだけだと味気ないから、「メッセージと一緒にコーヒーを1杯友達に贈れたらいいのに」と思ったのが起業のアイディアにつながりました。

その後、起業準備のためのスクールで授業を受けた際に、発表した課題が、まさにCtoC向けのeギフト販売サービス「giftee」の原型となる、「友人にTwitterやFacebookでコーヒーを1杯贈る」というものだったんです。

その後、そのアイディアを用いて起業するために、デジタルガレージさんが開催していたオープンネットワークラボというアクセラレーションプログラムに一期生で参加させてもらい、そこで運良く優勝し、創業するに至ったというのが経緯になります。

ギフティに立ちはだかったスケールの壁

ースケールの際に立ちはだかる壁はどのようなものがありましたか。また、どのようにして壁を乗り越えましたか?

鈴木:我々はまず、eギフトを個人向けに販売するCtoCのサービスから始めたんですが、使ったことのないものを友人に贈るってけっこう難しいので、まずはeギフトを体験してもらった上で、「誰かに贈ってみたい!」と思ってもらえる状況をいかに作るのか、というのがひとつ

それから、先ほど説明したように、リアルからデジタルへの単純なギフト形態のリプレイスではなく、カジュアルな価格帯のギフトを贈るという文化がなかった点。eギフトの認知度がないため、それなりにイニシャルコストをかけて、ブランドにeギフトを発行いただいても、すぐに売上は立たない点です。

サービスの認知度が低くイニシャルコストもかかる中で、eギフトを発行してみようという大手さんはなかなかいらっしゃらなくて、そうなると街なかのカフェといった小さい飲食店から開拓することになるんですが、eギフトはもらった人が店舗で受け取る必要があるので、店舗数が少ないとeギフトを受け取った人が店舗に出向けない、贈る側も相手の生活圏にブランドの店舗があるかどうかわざわざ調べる必要があった、この点が2つめの課題でした。

スターバックスコーヒーに導入してもらうための施策とは

この2つの課題をどう乗り越えてきたかについてですが、まず、eギフト発行のパイオニアとなるような大手企業に導入していただく必要があったので、eギフトをギフトとしてのサービスではなく、CRM(顧客関係性マネジメント)ツールとして活用いただくという考え方をご提案しました。

見せるだけのクーポンと違ってeギフトの場合、「誰にお渡ししたものが、いつどこの店舗で使われたのか」というデータを全て取得できるので、そうなると顧客データを活用したマーケティングに注力される企業にとっては、必要なツールになりうるんです。

「eGift System」導入の1号案件であるスターバックスコーヒーも、マーケティングにもともと注力されていおり、eギフトをCRMとして活用するというご提案と先方のニーズが合致したため、「eGift System」の導入に至りました。スターバックスコーヒーがeギフトを発行くださったことで、スターバックスコーヒーの顧客でありブランドのファンが、eギフトを購入する機会が増えました。また、eギフトを受け取った方が実店舗に足を運んで、eギフトを体験いただく機会にもつながり、「こういう風に交換するんだ」「バーコード見せれば、商品と交換してもらえるんだ」という仕組みを多くの方に知っていただけたと思います。スターバックスコーヒーの導入により、eギフトの認知も急激に高まりました。これにより、eギフトを発行されたいブランドも増加し、全国に店舗を持つブランドの開拓という課題を解決する大きなターニングポイントになりました。

一方、eギフトを贈っていただくために、まずはeギフトを多くの方に体験して頂くための機会をどう作るのか、といった課題については、法人へのeギフトの販売が契機となり解決しました。

2016年に法人向けのeギフトの販売をスタートしたのですが、従来、法人が顧客向けのキャンペーンを実施する際に、そのインセンティブとしてフィジカルな商品券などを郵送で配布していました。在庫を抱える上に郵送で送るため、商品代金の他に配送費がかかっていました。インセンティブをeギフトに置き換えることで、在庫を抱える必要もなく配送コストも削減できる、また、相手の住所を知らなくとも瞬時に届けることができるという点が好評を頂き、多くの企業に導入を頂きました。企業がキャンペーンでインセンティブを配布する先は個人です。そのため、企業からeギフトを受け取った個人が全国でeギフトを体験するという機会が生まれました。「見たことも使ったこともない」という壁を乗り越えていくためのブレイクスルーになったと思います。

ーまずはCRMとして導入してもらったり、スターバックスコーヒーのようなファンの多い層で、「みたことも聞いたこともない」eギフトの認知を高めるという壁を突破していったアイディアは鈴木様と太田様が考えられたのでしょうか?

鈴木:もちろん太田と私と二人で考えましたが、あとはクライアントとお話ししていくなかで、「自分たちが開発したこのソリューションはクライアントにどのような価値をもたらすのか」という点を改めて掘り下げたり、「こういう使い方ができないか」といったご要望をいただくことで、自分たちの仮説にとらわれすぎずに、皆さんが価値を感じているポイントや課題にに真摯に向き合うということを繰り返し、徐々にサービスをマーケットフィットさせていきました。

資金調達と協業におけるコツ

ーアクセラレータープログラム、企業との資本業務提携など、どのような協業をされてきたかのでしょうか?

鈴木:先ほど申し上げた通り、一番最初に「オープンネットワークラボ」に参加したあと、KDDIが主催する「∞ラボ(ムゲンラボ)」にも参加して、1期生として採択いただいきました。そのとき最優秀は逃したものの、僕らのビジネスモデルも次点で評価いただいており、そのまま、出資を含む協業という提案頂き、とんとん拍子に話が進みました。

これまでのギフティの資金調達先ですが、金融系のVCというよりは、事業場のシナジーを意識してパートナーを探してきたので、事業会社もしくは事業会社の組成したファンドからの調達が多かったですね。三越や伊勢丹のCVCだったり、あとはJCBやマルイなど。三越や伊勢丹は百貨店なので、ギフトにすごく力を入れているし、全国百貨店共通商品券という紙のバウチャーも流通金額が多いです。JCBもJCBギフトカードという国内で最大の流通金額を誇るギフト券を発行されていますし、マルイもカジュアルギフトにすごく力をいれているので、そういった事業上でのシナジーのある事業会社に出資いただきながら、協業を進めマーケットを広げることができましたし、成長を支える大きなドライブになったと思っています。

ーお話を伺っていると、順調に資金調達をされているように感じたのですが、そのあたりのコツというのはあるのでしょうか?

鈴木:自分たちがうまくやったというよりは、「運とご縁に恵まれた」ことが大きいんですが、業務提携や協業させていただくなかで、相手から信頼を得て、ご出資のお話をいただくケースは結構ありました

あとは「eギフトを軸として、人、企業、街の間に、さまざまな縁を育むサービスを提供する」というビジョンに賛同いただいて、短期的にはシナジーがなくても、長期的に目指すところはいっしょだから、長期的な視点で協業をしましょうということで出資いただいたというケースもいくつかあります。

ースタートアップと大手企業ではまったく社風が違うと思うのですが、そこをうまく乗り越えていくためのコツを教えていただけますか?

鈴木:やはりいっしょに飲みに行って、腹を割って話して、お互い信頼できる人間関係を構築するというのが大事かなと。ちょっと古臭い考え方かもしれませんが、互いの生まれ育ってきた環境は違うし、業界も企業風土も様々ですし、過去と今と未来という視点でしっかり腹を割ってお話しさせていただくということが、良好な関係を構築するうえでの前提かなと思っていますので。

また、オープンイノベーションプログラムのご担当者が社内で強い人脈があったり信用力の高い方である場合、協業は成功しやすいと感じています。投資や協業の効果が出るまでに一定の時間がかかるとなったときに、担当者個人の力量で、シナジーが出そうな事業部とスタートアップをつないで頂いたことがあったのですが、その結果、事業進捗のスピードが格段に上がりました。スタートアップと事業会社の協業って、PoCを経て本格的に事業へと進む確率はそんなに高いものではないので、スピード感を持って協業を実現されるためには、やはりロジックだけではなく、人と人との関係性であったり、運、縁、勘含めロジックを超える何かだと思っています。

2020年は、ギフティが投資家として業務提携を含めスタートアップ企業に出資するといケースも複数案件実現しましたし、今後も当社が取り組むeギフトプラットフォーム事業を拡大するために、資本業務提携は適宜実施しようと考えています。これまで出資をいただいた経験を生かしながら、投資先と円滑に協業を進め両社の事業をドライブしていきたいと考えています。

今後のビジョンと目標について

ーコロナもまだまだ続くと思うのですが、そういった時代の変化も捉えつつ、ギフティ様の今後のビジョンや目標についてお聞かせください。

鈴木:

20年12月25日に当社株式の上場市場を東証マザーズから東証第一部へと変更させていただき、より一層気を引き締めているところです。

今は1つ山を登ると、次の高い山が見えているという感じで、経営戦略もがどんどん更新されつづけているという状況です。気持ちをカタチにする時に手段は制限されない方がいいと思っているので、世の中で提供されるありとあらゆるサービスをギフトとして贈れるようになる世の中をつくりたいなあ、と考えているところです。

例えば、昔から社内でも「牛丼ってギフトたりえるんですか?」という声がすごくあったんですが、昔お父さんと一緒に食べた思い出の一杯であるという人もいますし、そういう人にとっては牛丼はギフトになりますし、世の中のありとあらゆるモノやサービスがギフトたりえるかどうかを決めるのは、事業者側ではなく、あくまでも、贈る個人、贈られる個人の間の定義でしかないんです。

そういう意味では、選択肢を増やし続けることが、今後も僕らのやるべきことだと思っていますし、今世の中に存在していないギフトコンテンツを自分たちで生み出していくということも手がけたいなあと思っています。

また、クライアントの皆さまから、お客様とeギフトという接点でつながるだけでなく、eギフトを利用した後も、お客様のロイヤルティ を上げていきたいから、そのための仕組みを提供してほしいというお声も受け、2020年に「giftee Loyalty Platform」という新サービスをローンチしました。すでに、サーティワンアイスクリームやミニストップに導入をいただいています。eギフトプラットフォームに参画いただいているプレイヤーの方々のベネフィットを高めていくソリューションを今後も提供していきたいと考えています。

なお、eギフトは、アメリカと韓国の市場が大きく、他のリージョンでは、市場を開拓する余地があると考えています。ギフティは、現在日本の他にマレーシアを拠点にビジネスを展開していますが、eギフトプラットフォーム事業を、ポテンシャルのある海外の他のエリアでも横展開することを考えています。グローバルな視点で「eギフトを贈る文化を広げる」ということに取り組みエリア拡大していきたいなあと思っています。

インタビュイー
鈴木 達哉氏 株式会社ギフティ 代表取締役

1985年生。一橋大学経済学部卒業。2008年株式会社インスパイアにて大企業の新規事業支援やベンチャー支援業務に従事。2011年 UXコンサルティング会社wacul社の取締役に就任。2012年 ギフティ社(https://giftee.co.jp/)の取締役に就任。2020年3月24日にギフティ社の代表取締役に就任。

社名株式会社ギフティ
創業2010年8月10日
資本金1,536,199千円(2019年12月31日現在)
代表者取締役太田 睦/鈴木 達哉
事業概要インターネットサービス事業
URLhttps://giftee.co.jp/
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石神 美実子
広告代理店、広告制作事務所を経て、現在フリーランスのコピーライター・ライターとして活動中。キャッチフレーズやネーミング、プレスリリース等の制作から、WEBメディアの執筆まで幅広く従事。とりわけ、円滑なコミュニケーションを必要とする人物インタビューが得意。
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