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火曜日, 12月 5, 2023

【Hamaru Strategy × JVCケンウッド】エンタメ・オタク業界に心おきなくハマれる世界を創る

株式会社Hamaru Strategyは、エンタメ・オタク業界に刺さるビジネスを企画提案する注目のスタートアップです。創立者は、トイホビー業界で10年以上の経験を持つ清水和幸氏と、現役 “オタク” ならではの定性的な分析×ひた向きな感性×高い企画推進力を兼ね備えた道場月音氏。お二人は、インタビューでも高い魅力を醸し出すツーマンセルを活かし、半年の間に、オープンイノベーションプログラム4件に採択される実績を有しています。本レポートでは、事業化まで辿り着いた株式会社JVCケンウッドとの共創の軌跡や待望のプロダクトについてお話を伺いました。

エンタメ・オタク業界に届けるエッジな提案

ーーHamaru Strategyのビジョンについて教えてください。

道場:私たちは、「心おきなくハマれる世界を」というビジョンを掲げ、エンタメ・オタク業界に特化した新規事業を企画している会社です。炎上や、適当にIPを使っただけの商品といったファンにとっての悲しい背景を、弊社の面白い企画でカバーできたらと考えています。

清水とともに立ち上げた会社ですが、前身に当たる株式会社フーモアでは、2人ともオープンイノベーション事業に従事していました。2019年に開催されたアクセラレータープログラム「JVCケンウッドアクセラレーター2019」にも応募し、独立後に当時の案件を引き継いだ経緯があります。

ーーHamaru Strategyの他社にない強み・課題を教えてください。

道場:強みは、私たちのツーマンセルが生きていることです。清水は、「エンタメ×ものづくり」に強みをもっています。私は、「プロのオタク」としてオタク業界に身を置きながら、定性的に観察して分析することと、アイデアをプレゼンテーションすることが得意です。お互いのノウハウが組み合わさっていることが、Hamaru Strategyにとっての強みであると思います。

課題としては、事業内容が新規事業のコンサルティングや企画であるため、成果をお話できるまでに、どうしても3、4年かかることです。実績がないと営業がしにくいので苦労しましたが、創業から4期目に入り、こうして初めての実績ができました。

オープンイノベーションで非エンタメ業界との共創に挑戦

ーーアクセラレータープログラム「JVCケンウッドアクセラレーター2019」に参加した背景を教えてください。

道場:前身であるフーモアという会社は、クリエイティブ系ベンチャー企業で、新規事業の創出に力を入れていました。私達は、当時から2人でアクセラレータープログラムや、オープンイノベーションへの参加を専任的に取り組んでいたことから、JVCケンウッドさんの「JVCケンウッドアクセラレーター2019」にも、応募させていただきました。

ーーご自身の経験から、事業会社との協業に期待することを教えてください。

道場新規事業の創出には、「オープンイノベーション」・「アクセラレータープログラム」・「共創」は外せない要素であると思っています。現在も、エンタメ・オタク業界に新しい事業を創っていくのに適切な手段として、アクセラレータープログラムを使わせていただいています。

ーー企業のどんなリソースに魅力を感じられますか?

道場:Webサービスや家電製品、ゲームなど、技術や製品を持っている会社に魅力を感じますね。「モノ」が出るということは1番分かりやすいんです。消費者がダイレクトに手に取ることができ、推し活や生活に大きく影響するという点で、やりがいを感じます。

ーー今回ローンチされたプロダクトは「JVCケンウッドアクセラレーター2019」で提案されたものと同じですか?

道場:地続きではあるものの、当初の製品とは変わっています。
当時は、新製品を作る予定ではなく、フーモアのリソースを活かせるプロモーションに寄った製品を提案していました。JVCケンウッドさんとブラッシュアップを重ねる中で、新製品が創られていきました。

ーープログラムに参加して良かった点を教えてください。

道場:JVCケンウッドの担当者様が、オーディオ担当ではないにも関わらず、私たちの提案に興味を持ってくださり、ご自身の仕事を抱えながら、共創アイデアを事業化まで繋げてくださったことです。

ーー想いが一致するかどうか。「共感性」は、共創を行う上で大切だと思われますか?

道場:以前、オープンイノベーションに挑戦する中で、採択に至ったケースの要因を明らかにしようと、点数付けをしたことがあるんです。その結果、「担当者様との相性」は、非常に大きな要素でした。Hamaru Strategyや私たち自身との相性もそうですし、「新規事業に前向きかどうか」も大事な点であると感じています。

ーープロダクトができるまでに感じた、協業の「壁」を教えてください。

道場:まず、コロナの影響を受けやすいエンタメ系の商品であった点が、他の会社様と同様に「壁」であったと思いますが、その他にも大きく分けて2つの苦労を感じていました。

1つには、オタクへの理解を深めることに苦戦したこと。特に40代・50代の社員の方には、例えば、チェックのシャツをインしている様なトラディショナルな服装のオタクのイメージが昔のまま留まっている傾向がありました。

2つ目には、新規事業の展開に不慣れな大手企業の仕組みと向き合ったこと。既存事業の仕事をこなしながら新規事業を担当してくださる方は、とてもお忙しいですよね。ですから、1年間で新規事業の結果を出すことは難しいと感じました。制度が整い切れていない中では、お互いに苦しかったのではないかと思います。

ーーその「壁」を乗り越えた秘策を教えてください。

道場:実は、役員を含め、キーパーソンとなる社員の方々に対し、女性オタクの聖地である池袋へのツアーを敢行したんです。アニメイトにお連れして、一見オタクには見えないであろう女性客を直接目にしてもらい、実際にオタク文化に触れていただきながら、丁寧な説明を心がけました。

2つ目に関しても、池袋ツアー同様に、とにかくひとりひとりに納得していただきながら乗り越えるしかないと思っていたので、社内調整には時間を要しました。
組織や上層部の方が変わる度に、また一からの説明となるので、半年、一年とロスが重なり、これだけの月日が経過していました。

清水:新しいことを始める際に、新しいお客さんのことを真に理解することは、とても難しいことです。商品化へのスピードは、事業会社の方が速いと思いますが、反対にオタクへの理解は遅くて当然。相手のペースに合わせながら、丁寧に丁寧に説明してきたことが、ここまで辿り着いた秘訣だと思っています。

ーースピード感や風土も全く違う大手企業との協業には、改めて何が必要ですか。

道場人の気持ちを汲むことが、意外と大事なのではないかと思います。データが全てではないので、「事業部の方はどうしてそう思ったのだろうか」「納得して譲歩してもらうにほ、どの様な条件を出せば良いだろうか」等、相手の気持ちから逆算して考えることも大切にしています。

清水:僕たちが社内での役割分担をしていることが1つのポイントになっていると思います。道場は、お客様に近い立場なので、お客様の声をきちんと代弁すること。僕は、エンタメビジネスの経験を活かして考える、など互いに我を出し過ぎることなく、得意分野を掛け合わせていることが、大事であると思っています。

その考え方は、そのままプロジェクトを推進していく上でも当てはまります。きちんとお客様を見て分析して地道にニーズをお伝えし、反対にオーディオをつくることについては尊重してお任せをしています。これが、協業をうまく運ぶポイントであると思っています。

JVCケンウッド×Hamaru Strategy
「声」を堪能する本気のオーディオ

ーーローンチされたプロダクトについて教えてください。

道場:この度、「EX-DUB1」という「推し声オーディオプロジェクト」と銘打ったプロジェクトの第一弾商品をローンチしました。私たちは、通称ダブワンと呼んでいます。どんな製品かというと、声優の声をより良く聴くオーディオです。

◆熱量の高い「声優ファンに喜んでもらえる」オーディオを本気でつくってみよう!

道場:オーディオとは、スピーカーとアンプが一体化したものです。自宅でジャズなどを楽しむ方はすでに愛用されていますが、20代には馴染みのない機器であるかもしれません。私たちは、そんな若い世代にも一定数存在する、声や音にこだわる声優ファンに注目しました。

◆他とは一線を画す「声」の聴こえ方にこだわったプロダクト

道場:声優の声を録音してただ入れただけの製品は、現在も市場にたくさん出ていますが、音響機器は音が聴こえていれば十分な訳ではありません。私たちは、声優のリアルな声の魅力を再現するために、声優のコンテンツに合わせた「音づくり」にこだわりました。
音場表現も含めた「推しの声」を、自宅で存分に楽しむことができるように、それぞれの場面で声優ファンが理想とする音を想定し、使用時に選択できるモードを10個つけました。

◆初動は順調!

道場:おかげさまで初動は順調で、予約販売初日から購入くださるお客様もいらっしゃいました。Xでは、「こんな製品を待っていた!」との嬉しい声もいただき、ありがたい限りです。今後は、11月に本格販売を迎えますが、実は、追加機能の実装展開も予定しています。ぜひご期待いただければと思います。

人気声優・鈴村健一氏の“声”を存分に堪能できる、“推し声オーディオ”専用USBメモリーを発売!

2023年9月27日

Hamaru Strategyのこれから

ーー今後の展望について、お話を聞かせてください

道場:大きな目標としては、オタクの心を読み切れていない雑なコラボ商品を淘汰して、良い世界をつくりたいと思っております。

「鬼滅の刃」以降、IP業界は注目され、「推し活」「オタ活」といった言葉がメジャーになりましたが、一方で、人手不足から企画や施策に十分に時間を割けない現状があるのも事実です。

Hamaru Strategyは、そういった課題を、面白い企画でカバーし、支援していきたいと思っています。

清水:大人向けの玩具が強い日本だからこそ、大人の方に、「そういうのがほしかった」と喜んでもらえるようなプロダクトを作っていきたいと思っています。

今後も、積極的に協業していくスタイルで、自分達の強みを活かしながら、道場の話した未来を実現していければと思っています。

道場:エンタメをビジネスに取り入れてみたいけれど、何から挑戦したら良いか分からないという企業の方々、ぜひ一度、お声がけください!

社名株式会社Hamaru Strategy
設立2020年
所在地〒110-0001 東京都台東区谷中6-4-5
代表者清水和幸
事業概要エンタメのノウハウを活かした新規事業創出、戦略コンサルティング事業。 エンタメ・オタク業界に強みを持つほか、非エンタメ企業の新規事業創出を支援。
URLhttp://www.hamaru.co.jp
インタビュイー
清水 和幸 氏 株式会社Hamaru Strategy 代表取締役Chief ENTAME Officer
(株)バンダイと(株)BANDAI SPIRITSにて、設計・企画・プロモーション・直営店の立ち上げ・イベント出展・品質管理など幅広い経験を経た後、クリエイティブ系ベンチャーの(株)フーモアにジョイン。
オープンイノベーションを中心とした新規事業に従事した後、2020年にHamaru Strategyを創業。オタク×ものづくりの分野に強みを持つ。
インタビュイー
道場 月音 氏 株式会社Hamaru Strategy 取締役Chief OTAKU Officer
事業系ITベンチャーにてライブ配信アプリの企画業務を経て、(株)フーモアにて清水と共にオープンイノベーションに従事。高い企画力とプレゼン力で、半年で4件採択される。
25歳でHamaru Strategyを創業し、プロのオタクとして大企業との共創事業やコンテンツ業界のコンサルティングに携わる。定性的な分析と言語化に強みを持つ。
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ai taniuchi
2020年からPORT by Creww にてフリーランスライターとして活動中。
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