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モビリティ関連企業のOTICS
~シェア100%!年間1億個造る確かな実力!~
ーーOTICSの事業内容について教えてください。
OTICSは、モビリティ関連企業として、トヨタ自動車をはじめSUBARU、いすゞ自動車などを主要ユーザーとし、各種自動車部品の製造・販売をしています。
中でも、エンジン機能部品を主要のプロダクトとしており、「ローラアーム」や、その「ローラアーム」の揺動支点として荷重を受ける「HLA (ラッシュアジャスタ)」といった部品を製造しております。
「ローラアーム」は、弁であるバルブを開閉する部品です。「HLA」は、各部の摩耗や温度変化に追従し、バルブのクリアランスをゼロに保つ機能を有する部品です。どちらもトヨタ自動車の国内シェア100%を生産し、海外でも大きなシェアを有しています。生産数は年間それぞれ約1億個です。
これらは、エンジン性能に大きく影響する部品であり、吸排気を司っているため、高い信頼性も求められる精密機能部品です。

HLA…ローラアームを支える部品。スプリングと油圧により自動で上下し、クリアランス調整を行う。
また、乗り心地を快適にするため、エンジンの振動と異音を抑制する「バランサASSY」も、エンジン部品として主要プロダクトの一つであります。

この様に、主には自動車のエンジン部品を中心に開発・試作から生産まで行っておりますが、生産に必要な専用設備自体の設計・製作、ロボット部品・ロケット部品などの製作もしております。
風通しの良い職場 × モノづくりメーカーのノウハウで、新規事業を!
ーーOTICSが掲げるビジョンについて教えてください。
先程少しお話した通り、弊社は「開発・試作から生産」「粗材から加工・組付」まで一貫してお任せいただける「モノづくりメーカー」です。創業100年を超える歴史のなかで培った豊富な開発経験、生産技術力を活かし、モビリティの進化に貢献しています。
2038年の創業120周年に向け、2018年には、長期経営計画「VISION 120」を策定し、中期経営計画に落とし込んでいます。主に、モビリティ関連企業として、変化への対応とスピード感をもって、持続的に成長できる企業を目指します。
また、培ってきた豊富な経験とノウハウを活かした「新規事業」の創出にも挑戦します。新規事業を通じて、新たな経営基盤を構築できればと思っております。
さらに、自然環境保全を中心とした社会・地域への貢献も目指しています。
ーーアクセラレータープログラムを開催するにあたって、OTICSの強みを教えてください。
私たちの強みは、「モノづくりメーカーとしての開発・技術力」と、「愚直で明るく楽しい企業風土」です。
社内は、開発から受注、生産準備までの6部門(営業部、技術部、生産技術部、品質保証部、調達部、生産管理部)が1フロアーに集約されているため、他部署とすぐに相談できる環境です。従業員同士だけでなく、家族とも交流を深め、役員も「さん」付けで呼び合えるなど、和気あいあいと楽しく仕事をしています。
縦も横もつながりが強く、何事にも一致団結して進めることができる風土は、私たちのリソースとしての強みであると思います。そして、とても風通しの良い職場です。

全社一丸となって掴んだデミング賞大賞!
ーー昨年2021年には、デミング賞大賞も受賞されていますね!
私たちは、TQMに全員参加で、取り組んでおります。TQMの強化活動は実を結び、2018年にデミング賞(※)、2021年には、デミング賞大賞も受賞することができました。
ーー「経営の質」を向上させる取り組みを追求なさっているのですね。TQMや、その活用方法について教えてください。
TQMとは、“Total Quality Management”の頭文字を取ったもので、日本語では「総合的品質管理」と言われる経営管理手法の一種です。顧客の満足する品質を備えた品物やサービスを適時に適切な価格で提供できるように、全組織を効果的・効率的に運営し、組織目的の達成に貢献する体系的活動です。
OTICSは、長期経営計画「VISION 120」の実現へ向けて、効果的なTQMの実施を追求してきました。
まずは、2014年に、持続的成長ができる企業基盤の構築を目的として、TQM強化宣言を発出しました。翌2015年には私達が現在所属するTQM経営戦略室の前身のTQM推進室を設立し、強化体制を整えてきました。
また、弊社TQMの客観的な評価を得るために、日本科学技術連盟によるTQM診断なども活用し、強み・弱みを分析しながら、「長期ビジョンと方針管理」「新製品開発と工法開発の連携」「未然防止と工程管理」「モノづくりの進化と生産量管理の強化」の4つを重点的に強化しています。
※デミング賞…戦後の日本に統計的品質管理を普及し、日本製品の品質を世界高水準に押し上げた大きな礎となった故W.E.Deming博士の業績を記念して、1951年に創設されたTQMに関する世界最高ランクの賞。
ーーTQMを効果的に活用することで、未来にわたって成長を止めない企業となるのですね!
そうですね。成長し続けることができる企業でありたいと思っています。

モビリティ業界に携わるものとして、「2050年カーボンニュートラル」を達成したい
ーーでは、反対に課題となるポイントについて教えてください。
自動車業界に携わるものとして、「2050年カーボンニュートラル達成」は、大きな課題の一つであります。また、自然環境保全を中心とした社会・地域に貢献する取り組みも、積極的に推進していきたい課題であります。
しかし、現段階では、現実的に可能な二酸化炭素排出量の低減や吸収といったアイテムが不足しているため、目標の達成は非常に困難な状況であります。
工場で使用している熱やエネルギーを利用し、環境に優しいモノ(発電や熱源として利用などで)を生み出し、二酸化炭素低減や地域環境の改善などを推進できればと思っています。工業部門だけでなく、農業分野も含め多くの分野でそれらが活用できることを期待しています。
今まで自動車業界でしか経験のないOTICSが、どのように事業を展開し、どうやって社会課題を解決していけば良いのか、模索しているところです。
なぜ、OTICSはアクセラレータープログラムを開催するのか
ーーオープンイノベーションを推進している背景を教えてください。
そうですね。既存事業の縮小を予測して新規事業を模索している面もありますが、弊社は、「オティックスファンを増やそう!」を合言葉に「お客様」「社員」「地域」に愛され、なくてはならない会社となり、社会・地域貢献ができることを目標としています。
一方で、そうするために、自社の技術や製品を活用したいとは思うものの、社内だけでは答えが見つからないのが現状です。
そこで、違う領域に強みを持つスタートアップの皆さまと一緒に、オープンイノベーションでこの課題を解決できたらと考えております。
ーーオープンイノベーションを実施するにあたって、大切にしたいことは何でしょうか?
課題解決のアイデアをお互い話し合い、膨らませてより良いモノを作り上げ、サクサク実行できたらと思います。最終的に楽しくて、面白いと思えるものになれば最高ですね。
今回のアクセラレータープログラムは、社長や役員も一緒に取り組んでおりますので、上層部との乖離もなく、意思決定も早いと思います。
ーースタートアップにとっても、とても魅力的な風土ですね。今後、ブラッシュアップメンバーは、どのような形で決めるのでしょうか?
応募の内容に合わせて社内から候補者を人選しますが、自薦・他薦も含め見極めていきたいと思っています。
ーープログラム開催が周知されていると、各部署を跨いでメンバーを選ぶこともできますね。プログラムが進行していく際にも、貴重なポイントになると思います。
まだ話が具体的に進んでいる段階ではないので、不透明な部分はありますが、実は、社内からも新規事業のアイデアを公募しているんです。
私たちの企業名「OTICS」を、反対から読むと「SCITO」になりますよね。「SCITO」は、ラテン語で「知る」という意味があるので、“OTICSにはない逆転の発想を”という意味を込めて、エントリーシート(SCITO)に書いてもらい募集をしたところ、社内から155点程の事業案が集まりました。
社内で実行できない事業案は、「今後スタートアップとの協業をしたい」と社内発信をしているので、オープンイノベーションを実施することに対する社内の意識は、盛り上がっていると思っています。
OTICSがスタートアップに求めるもの
ーースタートアップとの協業に期待することを教えてください。
異なる事業領域でスタートアップの皆さまが持っているアイデアと、私たちのリソースの何かが組み合わさって、私たちだけでは創出できなかったモノを共創したいと思っています。
また、異なる業種の皆さまに見てもらうことで、私たちがリソースと思っていなかったものが、実は皆さまから求められていたものだった!という気付きもあれば嬉しいですね。
ーースタートアップと共に解決したい社会課題は何かを、改めて教えてください。
先程お話した通り、弊社の主力製品はエンジン機能部品であり、電動化への移行などモビリティ業界が大きな変革期を迎える今、それを補填する新たな製品の開発や、自動車事業以外の分野への参入も模索しているところです。
しかしながら、SDGsなど環境問題に対する取り組みが、全世界で急速に拡大する中においては、何としても、まずは「2050年カーボンニュートラル達成」をしたい想いでいます。
社会・地域貢献に繋がるヒントや、きっかけとなる様なアイデアを、スタートアップの皆さまからいただけたらと期待しております。
ーーどういったスタートアップと協業したいのか、イメージはありますか。
そうですね。「こんなアイデアがあるけどモノとして作り出す技術や設備がない。」または、「QOLを上げるモノを一緒に作りたい。」というスタートアップや、環境や農業といったものに強みを持っているスタートアップと協業してみたいです。

ーーアクセラレータープログラム開催に対して、社内からの反響は?
とても良いです。以前、社内で新規事業に取り組み、植物工場の実証実験を行ったことがあります。なんとかレタス等を育てることはできたのですが、販路・コスト等で頓挫し、フェードアウトしてしまった経緯があります。
今回は、オープンイノベーションでの「新規事業活動再開」ということもあり、皆、ワクワクしています。
デミング賞、デミング賞大賞の頃のように、全社一丸となって取り組めるベースはできていると感じています!
OTICSが創る未来は?
ーー成し遂げたい目標や未来についてお話ください。
とにかく、まずは明るく楽しい雰囲気で、良い製品やサービスを提供していきたいと思っています。
その上で、これまではモビリティ関連の事業しか展開した経験がなかったので、今後は、今回のアクセラレータープログラムのような新しいサービスを活用し、別の視点からのモノづくり・人づくり・地域とのコミュニケーションづくりを行いたいと感じています。
そして、出来るものならば、今回のアクセラレータープログラムの開催をきっかけに、1つの事業の柱となるような協業案が生まれたら良いなと、思っています。

社名 | 株式会社オティックス |
創業 | 1918年(大正7年)6月 |
所在地 | 〒444-0392 愛知県西尾市中畑町浜田下10番地 |
代表者 | 代表取締役社長 小田井 勇樹 |
事業概要 | ・自動車部品製造 ・自動車開発試作部品製造 ・専用工作機械設計製作 |
URL | https://www.otics.co.jp/ |

静岡大学卒業後、株式会社オティックスに入社。生産技術部にてバルブリフタやローラアームといったエンジン部品の開発、量産立ち上げに従事。プレス工程の工法開発や金型設計、設備導入、原価低減等に愚直に取り組む。2022年よりTQM経営戦略室へ移動し、新規事業創出により脱炭素社会の実現を目指している。
特技:何でもおいしく、たくさん食べることができる。
