本記事では、2023年2月9日、都内渋谷にて実施されたイベント当日の様子をレポートしました。
目次
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Global Sustainability Accelerator について
日本のスタートアップが世界中のサスティナビリティの推進を牽引

ーープログラムの概要について、Creww株式会社 代表取締役CEO 伊地知 天より
ご説明します。
『Global Sustainability Accelerator』は、サステナビリティを推進する日本のスタートアップが世界中の社会課題の解決を目指すプログラムです。
日本のスタートアップは、優秀なテクノロジーやアイデア・サービスを有しており、それらは国内のみで活用を制限されるものではありません。
本プログラムの目的は、日本のスタートアップのソリューションを、課題に直面する世界中の国や地域に展開することでイノベーションを創出し、持続可能で豊かな社会の実現に向かうことです。

Creww および Google for Startups は、プログラムを通じて、スタートアップの事業成長をサポートします。スタートアップが実績を獲得し、成長性のあることを証明していくことこそが真の目的であり、ゴールでもあります。
サステナブルな世界へ導く4つの募集テーマ

『Global Sustainability Accelerator』では、募集テーマを4つに分類しました。
テーマ1【電力】
1つ目のテーマが、「電力」です。
安価でクリーンな電力アクセスの向上や、低・脱炭素化、配電の仕組みを新たなソリューションで再構築することは、誰もが電気を使える環境にない開発途上国においては特に、解決が期待される課題です。
テーマ2【水資源・水供給】
都市部の人口増加や、気候変動の影響により深刻化する水資源を巡る課題には、安全な水の供給や、水不足を改善するための環境整備が急がれています。
そこで、2つ目のテーマを「水資源・水供給」とし、水に課題を抱える地域を援助する技術・アイデア・仕組みを募集します。
テーマ3 【食料保全(農業・畜産・水産)】
3つ目のテーマは、「食料保全」です。
世界には、飢餓人口が増加する一方で、食品ロスの課題が存在します。
農村部での貧困問題に加え、食糧生産量の約3分の1が廃棄される先進国の現状を踏まえ、農・畜・水産業の生産性を高める解決策が求められています。
需要を予測する、生産管理によって生計を向上させる等の仕組みを検討します。
テーマ4 【その他 保健医療 / 環境管理 / 都市・地域開発 / 運輸交通】
先述した分野以外のサステナブルなテーマについては、4つめのテーマにて募集を行います。
例えば、感染症検査や接触者追跡、国境の水際対策、妊産婦・子どもへの質の高い保健サービス提供などの健康課題を解決する「保健医療」、環境汚染やそれによる健康被害の解決を目指す「環境管理」や、低・脱炭素化や安全で自由な移動を実現する「運輸交通」といったテーマが挙げられます。
「Global Sustainability Accelerator」が提供する豊富な支援

本プログラムでは、採択されたスタートアップに対し、様々な支援を用意しています。
支援の内容は、6つのコンテンツに分類されるので、以下にご紹介します。
①Googleがサポートする英語を使用したピッチのトレーニングや、ワークショップ
②進出先である地域に根付いたエキスパートによる1on1のメンタリングセッション
③世界に70社以上あるGoogle for Startupsのネットワークを活用した資金調達の機会
④会議のファシリテートから海外市場への導入まで繋げる一気通貫支援
⑤本プログラムに参画した国内コーポレートパートナー企業との協業に向けたマッチング
⑥本プログラムに関わる全ての方のネットワーキング
タイムラインとエントリー

スタートアップからのエントリーは2/28まで受け付けています。選考を経て採択されたスタートアップは3/22の「採択スタートアップ発表イベント」にて発表する予定です。その後、英語でのピッチトレーニングやGoogle for Startupsの海外パートナーや海外の連携機関に向けてオンラインロードショーを開催し、国内外の導入先の開拓・支援を実施します。本プログラムの成果は8/30のデモデイにて皆様にお伝えいたします。
また、スタートアップからの本プログラムへのエントリーは英語で行っていただきます。海外の企業に導入されていくことを考えましても、糧となる過程になると思います。Crewwも出来る限りのサポートを行いますので、ぜひエントリーをお待ちしております。
スケールが大きな成長支援をバックアップ!
コーポレートパートナーとは

ーープログラムの体制やコーポレートパートナーについて、Creww株式会社 取締役Coo. 水野 智之よりご説明します。
本プログラムは、Google for StartupsとCrewwが企画・運営を推進していますが、その他にもコーポレートパートナーとして、九電グループ様、清水建設様、三井住友信託銀行様の3社が参画しております。
コーポレートパートナーとは、サスティナビリティやESGに関心がある企業として、本プログラムに賛同し、スタートアップの海外展開など、スケールが大きな成長支援をバックアップするパートナー企業のことです。
世界中にある社会課題の解決を目指し、国内外での協業の機会を一緒に模索していただきます。また、コーポレートパートナーは、今後も増える可能性があります。
本プログラムでは、採択されたスタートアップはもちろん、エントリーした全てのスタートアップにも協業の可能性があります。コーポレートパートナーとの協業の機会が考えられる場合には、しっかりと伴走支援を行います。
採択スタートアップを底上げ!後援にはJICAが参画
ーー世界に根付くJICAの魅力
国際協力機構(JICA)は、日本の政府開発援助(ODA)の中核を担う独立行政法人であり、世界有数の包括的な開発援助機関として、世界約100か国に在外拠点を有し、さまざまな地域で開発途上国に対する協力を行っています。
採択スタートアップ企業が、開発途上国で事業を推進する際には、これまでにJICAが築いてきた国際協力のナレッジや人脈を活かすことこそが、強力な後方支援となります。
キーノートセッション1:
エネルギーを地産地消!
エネルギーフリー社会を実現する【株式会社Looop】

ーー株式会社Looop CEO 中村 創一郎 様より、キーノートスピーチをいただきます。
私が、スタートアップに1番大切にしてほしいことは、収益性です。しっかりと稼ぐことを意識しなければ、持続できないからです。収益を上げてこそ、「やりたいこと」を実現できます。そのためには、自分達が存在する意義を持つことが重要です。
では、Looopのパーパスはどの様に決まったのでしょうか。
Looopは、再生可能エネルギーに特化した電力会社です。発電所を造り、発電した電気をコントロールして、お客様に届ける事業を展開しています。独立系の新電力としては、売上・顧客数ともに日本一です。
創業のきっかけは、東日本大震災の被災地ボランティアでした。避難所にソーラー発電システムを無償で設置し、非常に喜ばれました。
さらに、フィリピンを襲ったミランダ台風をきっかけに、私たちは大きな気付きを得ます。
「電気は無料で作ることができるのではないか」
それが、現地での経験から得た私たちの一番大きな気付きでした。
再生可能エネルギーは世界中どこにでもあります。また、一度造った発電所は、自然のエネルギーだけで動くため、原料を必要としません。
送電網に依存する電力でなくとも、その土地のサイズに合わせて発電所を造れば、電力は地産地消できるのです。
そうして、パーパスを「エネルギーフリー社会を実現」に決定すると、事業は拡大しました。日鉄物産とタッグを組みタイへ進出、双日・大阪ガスとは、べトナムに進出するなど、グローバルな展開を果たしました。
自分達の規模だけでは叶わないことも、パーパスに共感し合える大手企業との協業でなら、実現可能であるということも、覚えておいてください。
キーノートセッション2:
世界に先駆ける!
サステナビリティ領域のトッププレーヤー【株式会社TBM】

ーー株式会社TBM 取締役COO LIMEX(ライメックス)事業本部 本部長補佐
坂本 孝治 様より、キーノートスピーチをいただきます。
私たちは、サステナビリティ領域のトッププレーヤーを目指すスタートアップです。
また、積極的に海外展開を行ってきた企業でもあります。環境配慮型の素材開発及び製品の製造・販売、資源循環を促進する事業を行っているため、グローバルに展開しやすいとの評価をされてきたからです。
2016年のシリコンバレーでは、Plug and Playが運営するアクセラレータプログラムのマテリアル部門で賞を受賞。また、同時期にナスダックから上場へのお誘いがあり、刺激を受けました。
海外市場へ進出することで、より多くの資金調達を実施できます。グローバルに展開できる事業を持っていることはスタートアップにとっての強みだと手応えを感じます。
また、独自の技術で開発した、石灰石を主原料とする新素材「LIMEX」は、国内の企業・自治体でも、10000社以上(事業所登録数含む)の導入実績があります。
石灰石を原料とすることで、石油由来樹脂の使用量を減らすことができるため、結果的にCO2含む温室効果ガスの輩出量も削減できます。また、石灰石は、世界中に豊富に存在し、気候変動にも貢献できる鉱物資源です。資源に乏しいと言われる日本でも100%の自給自足を可能にします。
ある調査では、2030年には、資源循環事業の市場は、600兆円程に達する見込みであることが発表されました。
TBMでも、「LIMEX」の開発・製造事業に留まらず、使用後の素材を回収・再生することで循環可能なプラットフォームを構築する資源循環事業を立ち上げています。
環境課題に直面する世界の動きを見越して、グローバルな展開が望める新たな事業柱にもコミットを続けています。
サスティナブルな未来を描く
スタートアップにこそ問われるパーパスがある
ーーサステイナビリティに取り組む上で、スタートアップだからこそできる貢献についてお考えをお聞かせください。
中村:常識を疑うことから始めてほしいと思います。そして、自分が創りたい未来をしっかりと想像する。バックキャスト、フォアキャストどちらでも良いです。大企業ではなく、スタートアップだからこそ提案できるアイディアやビジネスモデルをがあると思うので、自分達が思い描く未来を信じて進んでください。
坂本:スタートアップは、大企業に比べて圧倒的なスピード感を持っています。アイディアを思い付いた時、誰かと組みたいと思った時には、スピード最優先で動くべきだと思います。
サスティナビリティのイノベーションを全世界へ

Google for Startups Japan 代表 ティム ロメロ より
Google for Startups Japanのミッションは、より良い世界を目指して未来を切り拓くスタートアップの成長をサポートすることです。
サスティナビリティは、全世界で共有すべき問題です。そして、サスティナビリティのイノベーションは極めて重要です。
スタートアップは新しい方法や技術でイノベーションを起こし、問題を解決していきます。Googleは、そのサポーターになりたいと考えています。
「Global Sustainability Accelerator」に参加するファウンダ―は、GoogleとCrewwからサポートを受けながら、グローバルなスタートアップコミュニティに参加いただけます。
そこで、ファウンダ―同士は、互いに助け合うことで、コミュニティを築いていきます。
プログラムに参加するスタートアップが、共に学びあい、成長していくことを期待しています。
