12.8 C
Japan
水曜日, 9月 28, 2022

企業の健康経営を支援する『O:SLEEP(オースリープ)』

睡眠不足は日常生活に支障をきたすだけでなく、集中力の低下が引き起こす生産性の低下、ひいては死亡リスクの高まりなど日本経済に多大な影響をもたらしている。少子高齢化時代に突入し、経済が低迷している今、睡眠不足は無視することのできない深刻な課題と言っても過言ではない。そんな国民病ともいえる睡眠不足に対して「体内時計」という切り口で健康を促進する社会の実現に挑戦するスタートアップに注目が集まっている。
※この記事は、2019年5月16日、startup ismにて公開された記事を転載しています。

健康を維持する上で欠かすことのできない“睡眠”

働き方改革関連法が施行され、一人一人が業務時間中の生産性を向上させることがよりいっそう求められるようになり、経営視点から従業員の健康管理に対して積極的に取り組み、生産性と企業の成長につなげていくことが各社に求められるようになりました。食事改善や運動促進、メンタルヘルスサポートなど、さまざまな手法で従業員の健康増進に取り組む事例が増えてきていますが、中でも当社は健康を維持する上で欠かすことが出来ない“睡眠”に着目し、従業員の健康を睡眠から分析して業務中の生産性向上にもつなげる企業向けサービス『O:SLEEP(オースリープ)』の提供を通じて企業の健康経営を支援しています。

 『オースリープ』は、スマホを枕元に置いて就寝するだけで個々の睡眠時間や質を測定し、専用アプリでデータを管理することができます。また、専用アプリ上に設定してある簡単なアンケートに答えることで、その結果と蓄積されたデータを組み合わせてその日の睡眠を分析し、良質な睡眠をとるためのコーチングまで受けられる仕組みとなっています。導入企業はアプリから得た従業員の睡眠データをもとに、個人が特定できない形で部署・年代・性別・勤務体系などグループ単位の睡眠状態、メンタルヘルス状態、生産性の増減を可視化することが可能です。すでに「睡眠改善への意識が向上し、業務中のパフォーマンスにも効果が表れ始めた」「運動や食事による従業員の健康増進に比べ使用方法の手軽さからハードルが少なく、健康経営サポートのサービスの中でも取り入れやすい」「離職につながりかねないメンタルリスクの軽減に役立っている」といったうれしい評価をいただいていますが、現在は2週間分のデータを可視化できる仕様ですが、変化の速い時代においてスピーディかつ柔軟に対応できるよう、さらに細かい時間単位での数値化を検討しているところです。


モーレツ広告マン時代の経験から着目した「体内時計」

 私は2011年に広告代理店に新卒で入社しました。ちょうどリーマンショックからの景気の持ち直しに世界中が奮起していた頃だったこともあり、次々と舞い込んでくる仕事に追われ立ち止まる暇もないような生活を送っていました。数多くの有名企業の仕事を手掛けながら経験を積み重ねることができる生活に誇りと充実感を抱いていましたが、度重なる体調不良や著しい集中力の低下――そういった状態にもかかわらず、仕事をこなさなければという精神的疲労も相まって、悪循環な健康状態に疑問と改善の必要性を感じていました。当時手掛けていたプロジェクトに区切りがついたところで、日常から離れた場所で本格的にリフレッシュするため思い切って無人島に出かけました。約2週間時計を持たずに、太陽が昇ると目覚め、沈むと眠る生活を送ったことで、驚くほどの爽快感に包まれたことを今でも覚えています。この体験を通じて「体内時計」に着目したというわけです。

 急速なITの進化によってあらゆる「便利」が進化しつつあるにもかかわらず、現代人はますます時間に縛られています。そこで、人間に本来備わっており、体のさまざまな生体リズムを調節している「体内時計」を新たな指標とし、人々がより豊かになる生き方を提案しようと考えました。まずは、1日の約3分の1の時間を占め、体内時計に最も影響を与えるとされる“睡眠”にフォーカスしたサービスの開発に着手し、睡眠障害や体内時計の臨床・研究を行う専門医や研究機関の協力を得て、『オースリープ』が完成しました。睡眠時間や浅さ・深さを可視化したデバイス、サービスはすでに乱立していますが、医学的な知見に基づいてコーチングまで行うものは、ほとんどないのが現状です。現時点で100点だとは思っていませんが、自身の過去の経験も活かし、UI/UXのデザインにとどまらず、ユーザーが体験するプロセス全体を視野に、使い続けたくなるサービスを設計しようと挑戦しています。


Redefining Chrono『体内時計という、自分だけの時間に回帰しよう。』

 「体内時計」という言葉自体は広く知られていますが、その実体はまだ解明されていないといっても過言ではありません。しかし、2017年に3人のアメリカ人科学者が「サーカディアン・リズム(=体内時計)」を生み出す遺伝子とそのメカニズムを発見し、ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。これを機に、体内時計を遺伝子レベルで解明する研究は進み、摂食行動、体温、ホルモン、血圧などを変動/調整するメカニズムまでも明らかになりつつあります。中でも睡眠に関しては、睡眠のリズムを崩すことで本来適切な睡眠により調節される体内時計が不規則となることで身体のさまざまな不調を招くほか、代謝低下、生活習慣病への罹患、精神疾患などの原因ともなることが明らかとなっています。日ごろから一定の睡眠リズムを意識することは、予防医学の観点から見ても効果的であるといえるのではないでしょうか。

 しかし、日本においては、この数十年、長時間労働をはじめとする睡眠不足の弊害を、組織内価値観からくる集団的意識によってうやむやにしてきた傾向があります。ある調査によると、日本はOECD29カ国の中で比較しても睡眠時間がワースト1~2を争うほど短いという結果が出ています。また、睡眠不足に起因する経済への影響がGDP比で最も深刻とされたのは日本であり、GDP比2.92%の損失が算出されています。睡眠を削ってまで一生懸命働いているはずが、なんとも皮肉な結果となっているわけです。

 今はまだ睡眠の重要性すら社会的に正しく認知されていない状況ですが、まずは睡眠を把握するところから始め、働きやすい社会を創りたいと考えています。そして、自分だけの時間である「体内時計」という新しい指標を通じて、人々がより健康で豊かに暮らせるような世の中にしたいと本気で考えています。ヒトと体内時計の関係は人間本来のあるべき姿を取り戻し、心身ともに健康的な生活を送るための第一歩となるはずです。

「24時間戦えますか」、「5時から男」はもう古い。従業員の健康こそが日本経済の復活のカギ

2020年7月13日
Founder/CEO 谷本 潤哉氏
社名株式会社O:(オー)
設立2016年12月5日
所在地目黒区目黒3-9-1目黒須田ビル101
代表者谷本潤哉
事業概要体内時計に関する事業
URLhttps://o-sleep.com/
執筆
PORT編集部 
「PORT」はCreww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。
Facebook コメント
PORT編集部https://port.creww.me/
PORT by Crewwは、Creww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。

Featured

OPA × somete の挑戦|「まちクロッ」でファッションロス問題の解決を目指す!

【Creww Growth活用協業事例インタビュー】金沢フォーラス、キャナルシティオーパ、横浜ビブレなど、OPA・VIVRE・FORUSの3ブランドを主軸に、都市型商業施設の開発運営を行う株式会社OPA。そんな同社は2021年、「OPAアクセラレータプログラム2021」を実施し、地域と連携したファッションロス削減に取り組むsometeとの協業をスタートさせた。OPAとsometeは具体的にどのような実証実験を重ねているのか。株式会社OPA 事業創造部 新業態開発チームの安達有美氏と、someteを運営する株式会社Play Blue代表の青野祐治氏に話を伺った。 #OPA #somete #オープンイノベーション #活用協業事例インタビュー #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

【空間ID × スタートアップの着想】デジタルツイン社会実装への挑戦

【オープンイノベーションインタビュー】現実世界をデジタル空間に複製する絶対的な技術を持つダイナミックマップ基盤株式会社は、「cm」級の高精度3次元データを有し、モビリティの自動走行において要となる同社のプロダクトは、既にグローバルに展開されています。今般、デジタル庁の肝煎り案件となるアクセラレータープログラムを開催。リアル/サイバー両空間を組み合わせたユースケースの創出に向け、「空間ID」を活用した共創案を募集します。ダイナミックマップ基盤株式会社 第二事業部 事業開発2課 課長 兼 空間IDプロジェクトPMOの望月洋二氏に話を伺った。 #ダイナミックマップ基盤 #デジタルツイン #空間ID #デジタル庁 #ミラーワールド #アクセラレータープログラム #共創 #Creww #大挑戦時代をつくる

【スタートアップ募集】第一三共ヘルスケアと一緒に、「ヘルスケア」領域に新しい価値を創出しませんか

【オープンイノベーションインタビュー】「Fit for You 健やかなライフスタイルをつくるパートナーへ」をコーポレートスローガンに掲げ、鎮痛薬「ロキソニン」をはじめ、かぜ薬「ルル」、キズ薬「マキロン」など、生活に身近な市販薬ブランドを多数展開する第一三共ヘルスケア。他にも、敏感肌向けスキンケアブランド「ミノン」やオーラルケアなど、さまざまな製品を展開している。そんな同社は、もっと幅広くヘルスケアや生活改善に貢献すべく、製薬会社だけでは発想できないアイデアや技術を求めて、アクセラレータープログラムの実施を決定した。具体的に、どんなスタートアップとの協業に期待しているのか。同社・経営企画部の松尾健氏と製品企画室の古市亜美氏に話を伺った。 #第一三共ヘルスケア #アクセラレータープログラム #インタビュー #オープンイノベーション #スタートアップ #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

使い捨て傘ゼロへの挑戦 100年続く雨の日のインフラを築く「アイカサ」

【スタートアップインタビュー】ビニール傘の利用が、日本を「世界一位の傘消費国」にしています。これまで私たち日本人が他に選択肢を持たずにビニール傘を躊躇なく購入していたのは、そのビニール傘が欲しかったからではなく、濡れない体験が欲しかっただけ。株式会社Nature Innovation Group代表の丸川 照司氏は、「傘をシェアする」という発想のなかった日本に、「アイカサ」という傘のシェアリングサービスを提供。デザイン性の高いお洒落な傘を前に「雨の日に少しでもハッピーになってもらえたら嬉しい」と語ってくれました。使い捨て傘ゼロのサスティナブルな社会へ向け挑戦を加速する「アイカサ」のサービスとは?今や30万人が登録するまでとなった事業展開のコツやマネタイズのポイントについてもお話を伺いました。 #NatureInnovationGroup #アイカサ #傘 #シェアリング #サスティナブル #SDGs #スタートアップ #Creww #大挑戦時代をつくる
Facebook コメント