目次
・事業化検証を進めている7プロジェクト
・プロジェクト推進の成功要因と失敗要因
・数字で紐解くプログラムの軌跡
・軌跡1) プロジェクトエントリー 〜 採択
・軌跡2) プロジェクト公開 〜 チーム組成
・軌跡3) 事業コンセプト設計 〜 一次選考
・軌跡4) 事業ニーズ調査 〜 二次選考
・軌跡5) プロトタイピング 〜 最終選考
プログラムの状況(2020年10月現在)
現在3回の選考を終えて、全体のうち7プロジェクトが事業検証を継続している状態です。
プログラムが立ち上がった時点では、全体で30件のプロジェクト案が採択されました。
現在、プロダクトローンチまで実現できたプロジェクトが8件なので、およそ25%の割合でプロダクト化まで走れるということが検証できました。
事業化や事業売却への実績はまだまだこれからですが、プロジェクトを進めている方々はアーリーアダプターや、優秀な方が多いので事務局としては非常に頼もしいです。年内いっぱいをかけてユーザー獲得や実取引などの実績作りに励んでいきます。
事業化検証を進めている7プロジェクト

Earmind – カスタマイズイヤーモニター(D2C)
モノラボ – モノづくりプラットフォーム
Career to – キャリアシェアプラットフォーム
YourApparel – 洋服のCtoCレンタルサービス(シェアエコ)
Connelva – 参加者間交流特化型イベントプラットフォーム
Abroach – 海外進出支援SaaS
Freeat – 廃棄間近食品の無料提供アプリ(アド)
プロジェクト推進の成功要因と失敗要因
当初採択された30プロジェクトのうち、半年を経て残ったのは7プロジェクトになってしまいましたが、一体、どういったところで躓くことが多いのでしょうか。
主な要因を大まかにまとめてみました。
うまくいく要因
・チームバランスが取れている(コアメンバーは3人程度)
・チーム全体の熱量が高い
・チーム外の周辺協力者もうまく巻き込んでいる
つまづく要因
・本業が多忙すぎてプロジェクトに集中できない
・プログラムスケジュールでの実現困難
・チームマネジメントに失敗
・ニーズなし
その他(プログラム上終了だがポジティブな動き)
・起業します!
・もう一度しっかり顧客検証してみます!
CB INSIGHTSが発表しているスタートアップが失敗する20の要因のTOP5に、市場ニーズなし、や適切なチームでなかったとありますが、この点では共通しています。一方で、資金の枯渇や競争での敗北、価格設定という点ではスタートアップスタジオプログラムではあまり当てはまらないです。(プロダクトローンチ前にプロジェクトを中止するチームも多かったため)
プロダクトローンチ分岐点の壁
プロダクトローンチを分岐点として大変そうなポイントを振り返ってみると、ローンチ前では事業アイデアに基づいた顧客ニーズの抽出やプロダクトへの落とし込み、ローンチ後では創ったプロダクトの認知獲得やサービスのトラクション(実績)作りに苦労をしているプロジェクトが多い印象です。
上記以外では技術的な問題によってプロダクト化が難航や、PoCの検証方法が間違っていた、などが要因で終了したケースもあります。
個人的な印象としては、計画面では初期時点からプロダクトの構成をなんとなく頭に思い浮かべながら顧客ヒアリングや計画立てをしていたかどうか、マインド面では心が折れないようにセルフマネジメントが出来ていたかが成否をわける要因になっているように感じます。
数字で紐解くプログラムの軌跡

2020年3月にプレスリリースや一部SNS広告を使ったり、Clusterを使ってVR上で説明会イベントをするなどしてSTARTUP STUDIO by Crewwで事業化したい方たちを募りました。1ヶ月間でおよそ150件の応募があり、事業を創りたい人たちのポテンシャルを感じました。
皆さんがすごい熱量を持たれていたこと、本業を続けながら起業(事業立ち上げ)という点に非常にメリットを感じられていた声を多く頂いたこともあり、日本でのスタートアップ創業率をあげる施策として、「ながら起業」がやはりハマるんじゃないかと思ったことを覚えています。
軌跡1) プロジェクトエントリー 〜 採択

全体でおよそ150件のエントリーがありました。プレスリリースやイベント実施の効果かと思いましたが、現在残ってるファウンダーに聞いたところ『Facebook広告で見ました!!』と言っていた方が多かったようです。
スタートアップスタジオを始めた理由のひとつに、「”ゼロイチ”へ興味関心が高いものの、中々機会が少ない」という、課題解決の場にしたいことが当初からあったので、採択率20%はひとつのKPIになりそうです。
軌跡2) プロジェクト公開 〜 チーム組成

プロジェクト公開後にはメンバーの募集をプレスリリースとCAMPFIREが運営する仲間集めプラットフォーム「TOMOSHIBI」や副業プラットフォームの「Anotherworks」との提携によって様々な方からプロジェクトへ応募頂きました。餅は餅屋ということで、多様な人材を持つプラットフォームとの提携によって、プロジェクトチーム組成は順調に進みました。


軌跡3) 事業コンセプト設計 〜 一次選考
プログラムの一次選考の基準として、事業コンセプトの設計固めということでリーンキャンバスの作成や具体的なPoCの計画を一つの基準にしました。チーム組成後、1番最初に実施するコンセプトワークのため、選考基準の難易度は易しいものに設定しています。
ここで事務局として設定していた基準は、前に進める意志のあるプロジェクトの選別です。そのため、プロジェクトごとに計画の精緻さに濃淡はあれど、今後の半年間での目標を立てて実行する、という意志を見ていました。
多少の壁打ちはしつつもファウンダーおよびチームがその領域のプロフェッショナルとして活動をしてもらいたい想いもあったので、基本的なスタンスとして計画の内容の質に対する選考評価はしないことに決めていました。
軌跡4) 事業ニーズ調査 〜 二次選考

二次選考では練った企画を顧客に当てる、とにかく当ててブラッシュアップするための期間にしました。初期スタートアップでよくある事例として、「プロダクト創りに多く時間を使ったにも関わらず、誰も使ってくれない」という事象がしばしば起きます。事業の壁打ちやユーザーヒアリングという名目でプロダクトローンチ前にいかに潜在顧客を捕まえておくか、ということを目標にしていました。
事業を創る上で戦略企画を経てから、実際の行動に移すことが最も大変だと思っています。机上の空論でいくら事業の可能性を謳ったところで、顧客が使いたいと思うかどうかは別の話です。そのため、スタートアップスタジオのプログラムにおいては、プロジェクトのサービスを使うユーザー(アーリーアダプターの設定)とその層に対するユーザーヒアリングを50件集めてくることを「選考基準」にしていました。
本業がある中で、サービス検証やユーザーヒアリングに時間を割いていくことはすごく馬力が必要です。単独ではなく、プログラムの利点である「同期プロジェクト同士での顧客紹介」や「認知向上の助け合い」「それぞれのパートナー企業との接点」をうまく活用することで、採択時の半分の15プロジェクトが選考を通過しました。Creww単独では限界があるので、パートナー企業となりうる方も募集しております。
軌跡5) プロトタイピング 〜 最終選考
潜在顧客を捕まえたり、ユーザーヒアリングを経て仮説が検証できたプロジェクトには、実際の顧客の声に基づいてプロダクト創りを進めるフェーズに移っていきます。昨今流行りのNoCodeツールを使ったプロトタイピングで価値提供検証を進めているチームもあれば、スクラッチ(ゼロから開発)で進めているプロジェクトもあります。スクラッチ開発の場合では、「何を検証したいのか」が不明瞭なまま進めてしまうと時間ばかり要してしまうので要注意です。
原理原則、当初の価値検証で測るべき要素を定めたら、仮説を検証するための最小機能でのプロダクト実装という進め方を推奨しています。「リーンスタートアップ」という考え方に基づいた新規事業開発の手法なので、知らない方は読むことをオススメします。
検証すべき点とはなにか?
あなたの事業の価値は一体なんなのか?という視点で考えるといいと思います。サービスの性質によって様々ですが、例えば毎日サービスサイトに〇〇万人がアクセスされている状態=「広告的な価値」、サービス内での取引量が月に〇〇万件ある状態=「顧客基盤的な価値」、プロダクトの販売量が〇〇件ある状態=「具体的なユーザーニーズを拾えている状態」、などがあります。
