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火曜日, 8月 4, 2020

発掘!社内の隠れ起業家!|新規事業人材のモチベーション維持のコツは??

共通の課題を持つイントレプレナー同士が悩みやノウハウをシェア、または共創をすることで、本業の新規事業を加速させるキッカケとなるコミュニティづくりを目指している「Intrapreneur’s Hub」。第6回目は「発掘!社内の隠れ起業家!」をテーマに、新規事業創出の経験が豊富なゲストから、事業作りの担当になった経緯や会社員として事業を作っていく中で感じるメリット、キャリアの側面から見て新規事業に携われることにどう感じているか、またそのリスクを許容する助けになった社内のサポートなどはあるか、これから社内で新規事業を担う人材を発掘し、育てるための工夫などについてをお話しして頂いた。
目次
・イントレプレナーが育ちづらい環境とは?
・新規事業人材のモチベーション維持のコツは??
・飛び地の新規事業の難しさ、撤退基準とは?
・自打球でもいいから塁に出ろ!

イントレプレナーが育ちづらい環境とは?

岩永 龍法/ 株式会社デジタルガレージ DG Lab本部 プロジェクトマネージャー
松尾 圭祐/ 富士通株式会社 FUJITSU ACCELERATOR事務局
青木 雄太/株式会社funky jump CEO

ーどんなところに、社内だけにとどまっていてはダメだ、と思う環境があったのでしょうか?

松尾:富士通はものをつくる会社なので「自分でものをつくる」というDNAを持っているがゆえに、時間がかかってしまう一面があります。また、今までにないユニークな製品やサービスを創ろうとすると、すでにスタートアップが先んじてやっていたりするケースが多かったこともあり、「スタートアップと共創したほうが早いんじゃないか」と思うことが何度もありました。

結果、「新規マーケットを抑えるのであれば、自前にこだわらず、得意なところは活かしつつ、足りない部分は外と組んででやったほうがいい。」というのが私の着想でしたね。

大企業は事業化を承認する際に「これ、もうかるのか?」という、もうかる問答があるんです。そういう問答になるがゆえに、やってもいないのに、もうかると嘘を書いてしまい、ビジネスプランが恐ろしいJカーブになってしまうケースが多々あるんです。たいてい1年目は目標数字に届かず、嘘を言うんですが、その後にものすごいしわ寄せがくるんです。そこで、3年で一気に成長するようなものすごいJカーブのビジネスプランをあげるんです。

「3年やって、脈が無ければ辞めろ」という話だと思うんですが、そこには益転と大企業が考える「もうかる尺度」(売上の金額規模)の話が絡んでくるんです。大企業だと億を超える売り上げを出さないと許してもらえない。社歴の長い会社ほど、すぐにSTOPがかかる傾向がありますね。

スタートアップと組むメリットは、すでに彼らがトラクションを持っていたり、ある程度テストマーケティングが済んでいることから、ビジネスプランが考えやすいという点があります。

ー かなり創り込んで行かないと事業アイデアを途中でつぶされてしまう、というケースはグリーのような新しい会社でもありますか?

岩永:8年在籍していた中で、自分なりの反省点は、アクセラレーションプログラムをやっていた時に「同じような指標を使って、事業を横並びで評価しようとした点」は良くなかったかな、と思います。リソースがインターネットメディアに関連することが多く、「メディアなので、基本的に同じ数値で測れるだろう」と思っていたんです。ユーザーをどれだけ集められるか、どれだけ早くサービスを作ってKPIをまわせるかに、管理をフォーカスをしすぎたかなと思います。

また、会社の通常の評価指標に乗せて新規事業を評価しようとすると、うまく育てることができなくなってしまいます。これは、新規事業に対しては、「いかに新規事業を伸ばすか」と言ったところに別の指標を作ってモニタリングしていました。新規事業については、ある程度は治外法権のように自由にやらせるため、出島として自由にやれる環境を作っていました。

松尾:一方、大企業に関しては自由にしずらい点があるので、戦略を変えることが必要です。会社の人の信任を得るためにはKPIに寄り添う必要がありますが、同じ土俵で戦うと辛い戦いになってしまうんです。ですから、「小さくてもよいから、成果を出す」という点を押さえておかないと長続きしません。大企業が大きい売り上げをたててきている歴史に対して、真っ正面から戦うのはナンセンスなので、死なない戦い方、生き延びる戦略をずっと取ってきました。

ー スタートアップと組む利点についてお話いただきましたが、協業する際のポイントなどはありますか?

松尾:スタートアップの力を元に「既存の事業の補完としての協業」というベースラインを置いています。ベースラインを置いておかないと「君たちの活動は遊んでるのではないのか」と見られてしまうので、まずは会社に貢献しているという部分を成果として見せることはベースラインです。一方で、スタートアップの力を活用しつつ、新しいマーケットを創るところは中長期的に考えています。

既存の事業で売り上げをつくりつつ、新規事業を創ることをやっていくことをしないと、新規事業は維持できないんです。とは言え、既存の事業ではない新規事業を創っていく部分においては、潰されないように粘り強く草の根運動をやってきました。自分自身がプロジェクトリーダーをやったサービスのケースでは、アイデア自体は6年前にはあったのですが、商品化するまで4年かかりました。

新規事業人材のモチベーション維持のコツは??

ー 潰されないようにするためのモチベーションはどのように維持されてますか?

松尾:小さくてもいいので、頑張っている人に光が当たるようにする仕掛けをいつもやっています。具体的には、全従業員13万人向けの社内報で「こういう活動をしてがんばっている勇者がいる」ということを讃えることで、「自分の活動が会社に貢献している」ことを感じ、やる気になっていただいてます。また、プロダクトができる時に、社内の従業員を対象としたテストマーケティング=「社内実践」という取り組みをしています。「社内実践」を通じて、新規プロジェクトに関わる人に光をあてつつ、社内ファンを作っていくことで、自分の活動が会社の中でシンクロしているという実感を生み出すことをしています。社内メディアでの発信によって、社内での認知を広げ、かつスポンサーになってくれそうな幹部の目にとまるように、と言った草の根活動です。

岩永:他の人に当てはまるかはわかりませんが、自分自身がやる気が出るポイントは、モチベーションを維持させるために会社がどのような仕組みを持っているかではなく、半径3メートルくらいに「新規事業をやりたい!」という人がいて、「その人と一緒にやりたい!と思った時」です。

松尾:私も普段は新規事業のサポーターみたいな仕事をしている一方、翻訳サービスでは自分がプロジェクトの発起人でしたので、苦しい思いをしました。十分なリソースが確保できない状態でサービスをローンチしたので、片足でマーケットで戦う場面があり「両足だったら勝てるのに、、、」という悔しい思いをしました。スタートアップと違い、一回出した機能のまま、どこまで改修するかという話になるんです。その時は「開発費を拠出することなく新機能のつくる」という裏技(キャッシュアウトはせず、他部署からお金をもらう!?)をやりました(笑)。

岩永:会社の指標は「ボトムラインを守るのか、バジェットとしてのキャッシュアウトを守るのか」など、プライオリティーが決まっているので、これを守る形でうまく戦略を進めるのは大事ですね。

松尾:「新規事業を潰されない」ためのコツですが、「ホウ・レン・ソウ」はしてはいけないというセオリーがあるんです。もちろん、時と場合によります。プロジェクトを応援してもらうためには相談などが必要なのですが、決裁者との協力関係が作れていない時には、報告をすればするほど、企画を潰されてしまうことがあるんです。

岩永:新規事業を進める人は、部門を横断することに対して恐れが無い人でないとダメですね。松尾さんもマーケティングがご出身なので、もともと組織を横断することにためらいがなく、どうやったらうまく回せるかという部分がベースになっているのだと思います。

飛び地の新規事業の難しさ、撤退基準とは?

松尾:全くやったことがない領域にいきなり踏み込むのは、失敗の確率が非常に高くなると思っています。例えばAMAZONにしても、本屋からはじまり、今はAWSなどをやっていますが、たぶんあれは「最高のECを創る」ところから派生した結果、ECのコンピューティングリソースをお客に出していっている形なので、飛び地ではなく、本業と繋がっているんですよね。なので、例えば機械メーカーがハードからサービスに事業展開するケースは、一見飛び地に見えますが、本業と繋がるような形で進めていけば失敗するリスクは減ると思います。これを自前だけでなく、外の知見を活用し、トライアンドエラーをしながら進めていくことが良いかと思います。

岩永:失敗を失敗と捉えない文化」が大事だと思います。失敗をしたことで、断念してしまうことが本当の失敗だと思っています。個人も含め組織自体が、「失敗は、何かしら生き残るための成功を掴むまでの一つの過程」だと、捉えて活動し続けるような文化を創っていかないと、最終的には成功に繋がらない気がします。ダメだと思って、すぐにやめてはダメなんです。

撤退基準についてもさまざまで、「撤退基準をつくることが大事だ」と言われる方もいますが、「撤退基準に触れたからと、すぐにそれまで積み上げてきたものを捨て、ヤメてしまうことをしないほうが、最終的には成功する」のではないかと、色々な会社さんを見て感じています。「うまく事業と人の気持ちもピボットする」のがうまいところは、事業もどんどん生まれている気がします。

ー自社が「何ができるか」を理解できていると、外からは一見飛び地に見えても、自社としては飛び地ではない、という感じでしょうか?

松尾:同じ会社でもこれを理解してくれない方はいたりします。そのためにもしっかりと社内でコミュニケーションを重ねておくことが重要だと思います。

岩永:組織能力がしっかりと積み上がっていれば、飛び地は少なくなっていくはずなんです。組織の中から人や能力が抜けることで飛び地だらけになっていく。そうなると、新しいものが創り難くなっていくんです。大企業だとシナジーをきかせやすい土壌があると思うので、その土壌を活かし、新しい事業を生み出すことを継続していかないと、その企業は成長していかないだろうなと痛感しています。

自打球でもいいから塁に出ろ!

ー サービスを畳むことのメリット、継続することのメリットとはそれぞれいかがでしょうか?

岩永:サービスの性質によりますね。ただ、どんな観点でもプラスにならないものは早めに察知をして撤退する判断をすべきだと思います。逆に長く続けて良かったケースは、数字が出なかったとしても、「その事業をやることで会社全体としてプラスに感じるもの」です。ただ、「採算を度外視してもやる。」という判断も経営の判断としてありだと思いますが、その事業が継続できない状態、すなわち赤字になってまでやっていてはダメですよね。当たり前ですが。

ネット事業は固定費が高いので、トップラインが下がってしまうことで企業全体が赤字になりやすい。このダメージをどうコントロールするかという点に主眼を置くことが重要。上場企業では赤字になってまで事業継続させることは難しいので、そうならないように塩梅をとってコントロールし続けることが大事なポイントだと思っていました。

松尾:富士通は商品がたくさんあるので、新参の商品であればあるほど日が当たりにくいんです。売り方も確立されていないですし、すぐに大きな売り上げはつきません。売れるモノになるためには時間がかかるんです。ユースケースや売り方のノウハウ、現場浸透を含め、長く続けるからこそ蓄積され、知ってもらえる。「結果として大きなディールに繋がっていく」というケースがあるので、その点のタイムラグも考え「早く畳まない」というのも一つの考え方だと思いますね。

今まで、アクセラレータープログラムを8回ほどやっているのですが、「死なないプログラムにする」という点にこだわっていました。「スケールするまでに時間がかかる」という部分は致命的ではありましたが、小さくてもいいから、継続するような設計をし、「小さくても必ず次に繋がる成果を残して見せること。」「上層部に伝えること。」を継続的にやってきました。「自打球でもいいから塁に出ろ」という形で気が付いたらホームを踏んでいれば成功です。

◆新しい挑戦の場「Startup Studio by Creww」◆

イベント主催者のCrewwは、本業を続けながら、新規事業をつくる場として「STARTUP STUDIO by Creww」を運営しています。 STARTUP STUDIO by Crewwは”本業を退職せず”事業を実現できる個人を主体としたインキュベーションプログラムです。 約半年の期間で仲間集め、プロダクト開発、市場検証までを行い、事業会社への譲渡を目指します。 事業会社は新しい「ビジネスの苗木」に対してリソースを投入することで新規事業リスクを低減することができ、プロジェクトチームは0→1の経験と譲渡金額分配の成功報酬を得られます。

https://studio.creww.me/

「Intrapreneur’s Hub」事務局:共通課題を持つイントレプレナー同士が悩みを共有、ノウハウをシェア、必要に応じて共創をすることで、本業の新規事業を加速させるキッカケとなるコミュニティづくりを目指す「Intrapreneur’s Hub」。毎月ゲストイントレプレナーをお招きし、さまざまなノウハウや失敗事例、成功事例をお話して頂くとともに、イントレプレナーのネットワークを築いていっております。

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