「【ズルい起業】会社を辞めずに起業しろ!」をテーマに行われた第4回目の「Intrapreneur’s Hub」。パネリストには、自身のやりたいことを実現するために退職し、株式会社ファイアープレイスを設立した渡邉 知氏、大手コンサルティングファームで活躍する傍らShare Style BBQというバーベキューのプロデュースを行う岩井慶太郎氏、起業に憧れて事業を作る前に退職しコワーキングスペース向けの顧客管理アプリ「TAISY」を開発する株式会社funky jumpの青木雄太氏をお迎えした。
・起業家と事業家に必要なスキルセットとは?
・起業の仲間集めのコツとは?
事業を思い立ったそれぞれの経緯
岩井 慶太郎/Share Style BBQコーディネーター/大手コンサルティングファーム人事
青木 雄太/株式会社funky jump CEO
ー起業を思い立った経緯はみなさん、どのようなものだったのでしょうか?また、事業をやる上で上司とどういうコミュニケーションを取ったのか教えてください。
青木:学生の頃シリコンバレーに行った経緯があって、いつか起業したいと思っていました。シリコンバレーで出会った、日本のメーカーの方が、現地のスタートアップと協業しているのを見てまずは大手のメーカーに入りました。ところがある時起業したい気持ちが強くなり、その際中学校からの同級生の友人が後押ししてくれたこともあり、退職して起業しようということになったんです。特に事業もなかったので今思うとエイヤ!という勢いで退職してしまったと感じています。
岩井:私は今もコンサルティングファームで人事として働きながら「Share Style BBQ」の事業を行っています。とにかくBBQがすごく好きで、どうしてもBBQという領域でビジネスを立ち上げたいという想いから動いていましたね。ですが、所属している企業では副業は禁止されていました。私は会社を辞めたいという気持ちはなく、会社も頑張りたいし、バーベキューにもしっかり時間を割きたい。そんな悩みを上司に相談したところ、「両方やればいい」と私の副業を認めてくれたのです。大変ありがたいことだと思い、仕事もバーベキューもそれまで以上に打ち込むようになりました。
渡邉:私は自分のやりたいことを実現するにあたって、会社に所属したままでは実現できなかったため起業しました。起業と事業には大きな違いがあります。起業はやりたいことが最初にある。やってくれ、と言われてやる事業とは違いますし、必要なスキルセットも異なります。
独立して事業を行うのと企業にいながら事業を行う、というのを比較すると会社の資産(ブランドや潤沢な予算)を使って新規事業を立ち上げた方が、当然社会的に大きなことができると思います。それでも私が起業に至ったのは、「会社のミッションと自分のやりたいことの折り合いがつかなかった」こと、「自分の人生の幸せは自分で決めたいと思ったこと」の2つです。現在、事業としている街づくりがやりたくて、元いた企業ではサラリーマンとして会社の方針に従う必要があり、本当にやりたい街づくりができていないと気づいたんです。「自分の人生を取り戻して、やりたいことをやっていこう!」という想いが強く、独立して起業することを決意しました。
起業家と事業家に必要なスキルセットとは?
渡邉:人生のOSを表す三角形のピラミッドがあるとします。ピラミッドの一番下はマインドセット。真ん中にあるものはスキル・経験・ノウハウだと思っています。一番上はアクション。中段のスキル・経験・ノウハウが変わらないとしても、マインドセットが変わるとアクションは変わるんです。例えば「複業をやってはいけない」という規定があったとしても「どうして複業をやってはいけないんだろう」とマインドが変わった瞬間にスキルや経験が変わったわけではないのに、ものの見方やアクションが変わっていきます。なので、起業家と事業家の違いは、スキル・経験ではなく性格ではないかと思うんです。起業も事業もできる人は相当まれのではないでしょうかね。
青木:わかります。私も起業を考えてからよく起業家の集まりに行くようになりましたから。行ってみたら情報商材のイベントだったときもありましたが笑
岩井:私は法人を持っているわけではなく個人事業主ですが、こうしてみると起業家だなと思います。BBQをどうしてもやりたくてやっています。一方、事業家はマネタイズさせること、スケールさせることができたり、仕組みが作れたり、世の中にどうやれば必要とされるかを考える人なのだろうと思います。両者とも動機は強くなければいけないけれど、動機の向き方が違うだけなので、性格に起因するものではないと思いますね。性格ではなく、動機がどうあって、それが得意か得意ではないかの違いかなと。もちろんスキルとして育てることもある程度はできるとは思いますが、起業家はスキルで出来るものではなく、どちらかと言うと性格が大きく作用し、事業家は、性格と言うよりスキルや経験が要素として大きいというように感じます。
私は好きなバーベキューを広めたり、深めたりするのが好きでやっていて、マネタイズのためにやっているわけではない。そういったところが私が自分を起業家だと考える理由ですね。
起業の仲間集めのコツとは?
ー新規事業を創っていくにあたって「仲間集め」で苦労された点やコツなどはありますか?
渡邉:起業家・社長タイプの人は誰に助けてもらったらいいかわからない、助けられベタが多い印象です。なぜなら、「やりたいことがあるから起業しちゃった。これからどうしよう」と思っているタイプが多いからです。ほとんどの人は起業したことがなく、起業した人が100人いても、3年続く人は3人といわれています。そもそも起業する人も少ないのに、成功した人はもっと少ないんです。起業した人は恐らく誰にどうサポートしてもらったらいいかうまく伝えられないので、一緒に手伝ってくれる人も何をやったらいいかわからなくなってしまう。私自身も同じ船に乗ってくれた人の90%が途中で降りてしまった経験があり、そこの難しさを感じます。
青木:私も「起業しちゃった」というタイプなので身につまされました。私自身は、事業が進んでいないフェーズでは仲間はあまり必要がない気がしています。事業が進んでいくと必要な役割が増えてきて仲間が入れるという印象があります。「船」に乗ってもらった時に、「その人にやってもらう役割がイメージできる」、というのが大事です。
岩井:私のバーベキューのコンセプトは人の“つながり”を作ることなんです。知人、友人、他人と分けてつながりを考えた時、「知人は基本情報の交換」、信頼関係の醸成ができると「友人」となります。ただ「つながり」になると、知人、友人、他人など関係なく、「相互支援が可能な情報のやりとり」ができればつながれるんですよね。この「相互支援可能な情報」とは、「できること=手伝えること」と「したいこと=手伝って欲しいこと」の2つです。この2つを言語化できると人と人とはつながれます。できることとしたいことが同じレベルでマッチすると仲間になれるのではないか、と私は思っています。
渡邉:若い人はじめ、サラリーマンの中には「タスクに落としてください」というタスクワーカーが多いと感じています。期限、納品物、KPIを言われたらできます、という人達です。タスクに落ちている課題解決は勉強と一緒なので高学歴の人や大企業にもたくさんいます。私としては「タスクに落ちていたら苦労しない、、、」と思っています。会場の半分くらいの方が同意してくれたら嬉しいです笑
◆新しい挑戦の場「Startup Studio by Creww」◆
イベント主催者のCrewwは、本業を続けながら、新規事業をつくる場として「STARTUP STUDIO by Creww」を運営しています。 STARTUP STUDIO by Crewwは”本業を退職せず”事業を実現できる個人を主体としたインキュベーションプログラムです。 約半年の期間で仲間集め、プロダクト開発、市場検証までを行い、事業会社への譲渡を目指します。 事業会社は新しい「ビジネスの苗木」に対してリソースを投入することで新規事業リスクを低減することができ、プロジェクトチームは0→1の経験と譲渡金額分配の成功報酬を得られます。

「Intrapreneur’s Hub」事務局:共通課題を持つイントレプレナー同士が悩みを共有、ノウハウをシェア、必要に応じて共創をすることで、本業の新規事業を加速させるキッカケとなるコミュニティづくりを目指す「Intrapreneur’s Hub」。毎月ゲストイントレプレナーをお招きし、さまざまなノウハウや失敗事例、成功事例をお話して頂くとともに、イントレプレナーのネットワークを築いていっております。新型コロナウイルスの影響もあり、4月に続き5月25日もオンライン実施で開催します。

株式会社funky jump CEO
東北大学農学研究科卒業後、2016年パナソニックに入社。住建分野における物流関連業務に従事。NPO法人ドットジェイピー執行役員。ボランティアスタッフのチームビルディングやチーム内でのエンゲージメント向上に努め、業績改善に貢献している。2018年3月より株式会社ゼロワンブースターに参画。その後独立し、2019年2月に株式会社funky jump を立ち上げた。

Share Style BBQコーディネーター/大手コンサルティングファーム人事
横浜市出身。東京農業大学 農学部 畜産学科卒業。飲食業界やリクルートでの人材ビジネスを経験後、現在は大手コンサルティングファームの人事部門にて勤務。本業の傍ら、BBQイベントやBBQ施設開発のプロデュースを行う「Share Style BBQ」の代表としても活動。組織の枠を越えた人材交流やコミュニケーションを目的とした企業向けのBBQ企画や、地域食材のPRを目的にしたファン交流企画など様々な企画を多数手掛ける。「野菜やお肉を美味しく食べるには?」「参加者同士が仲良くなるには?」「子どもも大人も一緒に楽しむには?」などの切り口で繋がりをデザインし、これまので参加者は10,000人を超える。また「ROCK HILLS GARDEN 川崎」「FARMERS BBQ 吉祥寺」などBBQ場に対するプロデュース・アドバイス実績多数。

株式会社ファイアープレイス CEO
1999年(株)電通国際情報サービス(ISID)入社。人事部採用グループマネジャ−、経営計画室勤務を経て、2008年より(株)リクルートへ中途入社。大手企業の人材採用・育成支援部門で営業活動に従事した後、2011年よりじゃらんリサーチセンター エリアプロデューサー/研究員。主として都市圏から地域への交流人口増をテーマにした社会課題に関わる。複数回の営業MVP、全社横断の営業表彰TOPGUN AWARD受賞(2010年度)。2014年よりISIDオープンイノベーション研究所。ビジネスプロデューサーとして、主にICTを活用した地域コミュニティづくりに携わる。
2015年、(株)ファイアープレイス設立。つながりが生まれる、つながりが深まる、「場づくり」を事業ドメインと置く。