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月曜日, 11月 29, 2021

新規事業創出に大切なのは、ワクワクする事業のタネを見つけ、明るい将来ビジョンを描くこと

2016年からオープンイノベーション推進室を設置し、新規事業創出の取り組みを加速させているセイノーホールディングス。これまで事業化されたプロジェクトは10を超えており、子会社化したプロジェクトも複数社ある。
その一つに、ラストワンマイル問題を解決するためセブン-イレブン・ジャパンとの業務提携によって誕生したGENie株式会社がある。2019年よりその代表を務める田口義展氏は、オープンイノベーション推進室時代、Creww(クルー)のアクセラレータープログラムを活用して株式会社ファームシップとの協業で生産から物流まで一括管理する野菜工場事業「KOTO no HA fresh farm」を企画立案した。創業家4代目でもある田口氏は、セイノーホールディングスでどのような動きを取ってきたのか。話を伺った。

新設の部署に自ら志願して異動

2012年にセブン-イレブン・ジャパンへ入社し、生鮮食品などの生産から消費まで低温に保つ物流方式「コールドチェーン」を担当していました。2015年になると、セイノーホールディングスにコールドチェーンの部署が立ち上がるという話を聞き、「これは自分のスキルを生かせる」と思ってジョイン。

新設されたコールドチェーン推進室は、初めて社内ベンチャーを作った河合が室長になり、一緒に新しいスキームを考える日々を送っていました。そこから発展的にコールドチェーン推進室からオープンイノベーション推進室(以下:推進室)へと変わったのですが、この変化は不安よりもワクワクが大きかったですね。

推進室を作った背景にあったのは、セイノーグループに新たな柱となる事業を作りたい、新規事業によって課題を解決したいという思い。高速道路のない時代に、トラックでの混載輸送を創造した創業者精神を再びセイノーグループに取り戻すべく、始動しました。

当時、推進室にいたのは河合を含めて7人のメンバーです。全員が志望して集まっており、セイノーグループが持つアセットをうまく活用して新たなビジネスを立ち上げるために、それぞれがいろんなスタートアップに話を聞いて、新規事業のタネを探していました。

ただ、社内に根付いていない新しい文化なので、グループ会社に「スタートアップとオープンイノベーションの取り組みをしないか」という話をしても、最初は懐疑的な人が多かったですね。

大切なのは、全員が明るいビジョンを描けて“やりたい”と思えること

実際、Crewwのアクセラレータープログラムを活用して、工場野菜のノウハウを持つファームシップさんとの協業で岐阜県土岐市の物流センター内に作った野菜工場事業「KOTO no HA fresh farm」を立ち上げるときも、今一緒に取り組んでいるグループ会社に話をするまで、調整が難航しました。

そこから学んだのは、オープンイノベーションで新規事業を作るには「全員がやりたいと思えるか」「明るいビジョンをみんながいかに描けるか」が大切であること。それを引っ張っていくのが推進室の役割なので、僕自身が心から「この事業を実現したら面白い」と思えて、スモールスタートかつ最小限のリスクで着手できる提案が必要だとわかりました。

その点、野菜工場はコールドチェーンに携わっていた僕にとって本当に実現させたい事業でした。なぜなら、生産から物流までを一括管理する野菜工場を作れば、コールドチェーンの一番のネックになる「荷主を集められない」という問題をクリアでき、セイノーとしてのコールドチェーンネットワークの実現につながると考えたからです。

生産と物流の連携がうまくいけば、全国展開はもちろん海外進出も夢ではなく、セイノーの大きな力になり得る。

そこで、現在組んでいるグループ会社・東海西濃の社長に「この農業事業はセイノーグループを大きく発展させる可能性を秘めたプロジェクトです。これから世界との勝負を考えたとき、物流会社として製造一貫型のコールドチェーンは世界と戦う武器になります」と、明るいビジョンとワクワク感を伝えました。

その思いに社長が賛同してくれたことで「KOTO no HA fresh farm」の事業化につながりました。現在、「KOTO no HA fresh farm」は順調に成長を続けています。

自分が心から面白い、ワクワクする事業を提案する

オープンイノベーションを実行するにあたって苦労したのは、スタートアップと大企業はプロジェクトの進め方に違いがあることです。大企業は決めたことでも社内のプレゼンを経て方向転換が必要になることもありますし、合意形成に時間がかかってしまうこともあります。だから、お互いがいかにフレキシブルなマインドを持てるかは難しい点でした。

その中でも成功したプロジェクトは、将来ビジョンの合意形成ができていて、お互いが臨機応変に対応できたケースです。同じ将来ビジョンが描けていたら、目の前がどんな状態になったとしても、“それなら何をすべきか”とできることのすり合わせができます。とはいえ、どのプロジェクトを推進するにも紆余曲折がありましたけどね。

いま、いろんな企業で新規事業を立ち上げようと奮闘している人はたくさんいると思います。巻き込み方は会社の文化等によって違うと思いますが、僕が一つアドバイスを言えるとしたら、「収益ではなく、どんな未来を作れるのかを想像し、その事業を心から面白いと思う」ことです。本当に面白いと思えなかったら、壁にぶつかったとき簡単にダメになると思いますし、そもそもワクワクしないのであればやめた方がいい。

また、今は提案を受け入れてもらえなかったとしても、会社のステージや社会のマインドの変化によって、違うタイミングなら実現できる可能性があります。諦めずにタイミングを見計らって提案するといいかもしれません。

オープンイノベーションやアクセラレータープログラムは、ひとつの手法でしかありません。そういった手法を使わずに社内を説得して新規事業ができるなら、活用する必要はないと思います。でも、セイノーグループには、アクセラレータープログラムが必要でした。

最初は「オープンイノベーション」という言葉自体を煙たがれることも多かったのですが、相手が面白いと思えるようにグループ会社や担当部署のメリットを考えながら提案し続けていたら、少しずつですが「新規事業が面白い」と共感してくれる人が増え、推進室にも手を挙げて異動する人が出始めています。

だから、オープンイノベーションや新規事業の文化がない会社でも、諦めずに、相手がメリットだと思うことを提示しながら、継続して提案することで状況は変えられると思います。「新しい挑戦をしたい」人が、社会にとって価値ある事業をたくさん創出できる世の中になれば、もっと楽しい世の中になると思っています。

インタビュイー
田口 義展 氏 GENie株式会社 代表取締役社長
岐阜県大垣市育ち。15歳~19歳までイギリスに留学し、学習院大学へ入学。セブン-イレブン・ジャパンで3年間勤務し、西濃運輸へ転職。
オープンイノベーションを含む各種部署を経由し現在に至る。
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田村 朋美
2000年雪印乳業に入社。その後、広告代理店、個人事業主を経て、2012年ビズリーチに入社。コンテンツ制作に従事。2016年にNewsPicksに入社し、BrandDesignチームの編集者を経て、現在はフリーランスのライター・編集として活動中。

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