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月曜日, 12月 4, 2023

清水建設、イノベーションと人財育成の拠点「温故創新の森 NOVARE」がついに運用開始!

清水建設株式会社が、期待のイノベーション拠点『温故創新の森NOVARE』の運用を開始!9月4日には、JR京葉線潮見駅に近接する建設地にて、記者向け見学会が開催されました。
本レポートでは、清水建設のビジョンを具現化する施設のコンセプト内容や、拠点を構成する5つの建物の魅力、イノベーションを推進する新たな組織や技術について、たっぷりとご紹介!各施設それぞれが自立かつ融合することで創出される「建設業界の枠を超えた未来の可能性」を、ぜひ感じてください。

「温故創新の森 NOVARE」とは?

「温故創新の森 NOVARE」を生み出した清水建設の2030年ビジョン

「温故創新の森 NOVARE」を整備した背景には、2019年に当社が掲げた長期ビジョン「SHIMZVISION 2030」が存在しています。清水建設は、目指すべき企業像として、時代を先取りする価値を創造する「スマートイノベーションカンパニー」を掲げています。

「温故創新の森 NOVARE」は、その実現に向けた道のりの上に建築されました。

2023年9月には、「NOVARE Hub ノヴァ―レハブ」・「NOVARE Academy ものづくり至誠塾」・「NOVARE Lab 技術研究所潮見ラボ」の3つが運用を開始。創業220年を迎える2024年春には、「NOVARE Archives 清水建設歴史資料館」・「旧渋沢邸」の稼働が予定されています。

コンセプトは、「温故創新の森(Smart Innovation Ecosystem)」

「温故創新の森 NOVARE」のコンセプトは、「温故創新の森(Smart Innovation Ecosystem)」。
古きを尋ね新しきを知る論語の「温故知新」に着想を得たものです。

イノベーションの語源でもあるラテン語の「創作する、新しくする」という意味を持つ動詞「NOVARE(ノヴァーレ)」には、社会とともに自らも進化し続けるという強い意志が表現されています。

オープンなマインドで建築業界の枠を超えるイノベーションを!

清水建設は、未来を予測することが難しい現代においても、常に原点に立ち、変化する社会を見つめ直し、未来に挑戦していくことが大切であると考えています。

「従来の建設業の枠に捉われず、オープンなマインドで新しい未来を作り上げていくこと」「時代の求める技術を育て、変化に負けない人を育てていくこと」

その様な活動を行うために、「温故創新の森 NOVARE」は、用途の異なる5棟の施設群で構成されています。

まるで、「森」が自然の循環を促すエコシステムを形成するように

大自然の中で「森」が動植物や土壌、水、大気の循環を促す生態系を形成するように、「温故創新の森 NOVARE」にもまた、多様な種が互いに補完する生態系が思い描かれています。

各施設は、それぞれの活動や目的に応じて、構造や材料・外観を異にするものの、エネルギーや情報そして機能においては、融合・補完し合うよう計画され、デザイン的にも一つのキャノピーが全体をつなぐ形に設計されています。

「温故創新の森 NOVARE」は、単なる複合施設ではなく、多様な人々が連携し、国内外の知を結集して新たなイノベーションを加速させる場であるのです。

自立かつ融合する施設群!5つの施設の魅力を紹介!

01.拠点のコア!「NOVARE Hub ノヴァ―レハブ」

「温故創新の森 NOVARE」全体の中心機能を果たす施設であり、全社員参加型のイノベーション活動が行われる場所です。 変化し続けるプログラムに柔軟に対応し、イノベーションを推進させる情報発信や交流の拠点となります。

清水建設は、イノベーションのプロセスを4つの段階を繰り返し行うことだと考えています。そのプロセスとは、1つ目の「ディスカバー(Discover)」で共に課題を発見し、 2つ目の「ディファイン(Define)」で仮説を立て、3つ目の「リファイン(Refine)」で検証を実践し、 4つ目の「スケール(Scale)」で社会実装を経て、また次のディスカバーに繋げるというものです。

「NOVARE Hub ノヴァ―レハブ」は、このDDRSの繋がりが、イノベーションプロセスとして落とし込まれた空間構成となっています。

02.ラボ「NOVARE Lab 技術研究所潮見ラボ」

建築の基本となる構造や材料の研究、そしてこれからの建設の最先端となるロボティクスとデジタルファブリケーションの研究開発拠点であり、技術研究所の一部機能がこの拠点に移転します。
各分野で独立しがちな異分野研究員の交流を促進するため、 中心のオフィス空間を取り囲むように実験空間が配置され、多方面に連続する空間構成となっています。

03.体験型研究施設「NOVARE Academy ものづくり至誠塾」

ものづくりの原点を体験し、これからのデジタルのものづくりを探求する研修施設です。
リアルとデジタルの両面からのアプローチにより、ものづくりの人財を育成します。

大空間の中に、 建築から土木まで、実物大モックアップを備えており、実際のものづくりのプロセスをリアルで表現しているモックアップやVR等のデジタル技術を学ぶことができる施設になっています。社内外問わず、これからのものづくりを一緒に考えていくための施設として計画されました。

また、地域の方々が建設業を身近に感じられるように、道路に面して建築されています。

04.「NOVARE Archives 清水建設歴史資料館」

清水建設に保管されてきた歴史資料などを展示し、220年の歩みとともに 建設業の歴史を振り返ることができる施設です。

社会の変化も織り交ぜながら、歴史資料を開設するコンテンツが計画されており、幅広い方々が楽しめる内容となっています。

05.「旧渋沢邸」

二代清水喜助氏が手掛けた唯一の現存する建物です。

明治11年に、現在の江東区永代に建設された表座敷が母体となり、造改築が行われ、三田綱町へ移築されました。その後も、洋風の書斎などが当時の清水組により増築され、 青森県六戸町に再度移築された経緯を持ちます。


2018年には、清水建設が取得し、再び江東区に3度目の移築を行い、指定文化財として保存していくことになりました。

多様な連携がイノベーションを加速する新組織!

新組織の名称も施設名と同様「NOVARE」!

「温故創新の森 NOVARE」には、従来のイノベーション活動を統合して推進し、展開をサポートする新たな組織が置かれました。組織名は、施設名と同じ「NOVARE」。「創作する・新しくする部門」という意味が込められています。

イノベーション活動を推進するビジネス部署も移管

「温故創新の森 NOVARE」には、従来、技術研究所の中で社内外の技術活用を核に事業創出を担ってきた組織が「イノベーションセンター」として移管されます。
このセンターには、スタートアップとの新規事業創出の機会となる「アクセラレータープログラム」等、ビジネス系のイノベーション活動を推進する組織も加わります。

全員参加型のイノベーション組織へ

ベンチャー企業への出資支援や社内へのベンチャー技術の導入、社内ベンチャー制度の運用や海外ベンチャーの情報収集等を行うベンチャービジネスユニットは、企画広報機能を持つプロモーションユニット・総務管理系機能を持つアドミニストレーションユニットと合わさり、「ノヴァ―レプランニングオフィス」を構成します。

「ノヴァ―レ」は、90名規模の組織となり、イノベーション活動を活性化させながらシナジーの創出
を図る
と同時に、技術革新や新たなビジネスモデルの構築を推進します。

未来の建築空間を創る革新的な技術を導入

森(エコシステム)を実現する3つの要素とは

「温故創新の森 NOVARE」では、森というエコシステムを実現する3つの要素が想定されています。一つ目は、大地。森を育む創造の基盤として、まずは、 建物にインストールされる情報基盤が整備されました。

これからは、建物が人のパートナーとしてコミュニケーションを取る時代です。建物が、ロボットを自らの手とし、位置情報を自らの目として、人々の活動をサポートしていくでしょう。

「温故創新の森 NOVARE」では、位置情報を利用することで、人の位置や、好みに合わせて1つ1つの空調を自動的に制御し、個人に合わせた温熱環境や光環境の提供を可能にしています。

清水建設は、全体と個人・公共空間とプライベート空間を、デジタル技術の力で両立させていくことが、未来の建築空間に向けた糸口であると考えています。

経験の伝承を担う技術の種

森というエコシステムを実現する2つ目の要素は、木々。森において木々は、種を残し続けるものであり、経験の伝承を意味しています。

「NOVARE Hub ノヴァ―レハブ」では、屋根の変形を支える木架構は伝統的な継手・仕口の原理を使用した3D仕口が用いられた他、「NOVARE Archives 清水建設歴史資料館」の外壁は、二代目の清水喜助氏が手掛けた旧渋沢邸の手掘りの床柱を、独自のAI技術によって3Dクローン複製し、刻み込んだものになっています。

「旧渋沢邸」は、移築を機に、社会的課題である軒を持った伝統的建造物の防火システムとして、AI検知による省水源の無破損放水システム「慈雨」が開発・適用されています。

また、「NOVARE Academy ものづくり至誠塾」では、3Dプリンター技術が導入されました。

「温故創新の森 NOVARE」には、建設業の未来に向けて継承し発展させていくべき新たなデジタル技術の種も多く植えられているのです。

随所にある交流の拠点がオープンなイノベーションを創出

森というエコシステムを実現する3つ目の要素は、風と水。森を流れる水と風は、外部との繋がりを意味しています。

「温故創新の森 NOVARE」では、社内外に捉われないオープンイノベーションの創出を目指し、セキュリティや情報インフラを整備し、随所に交流の拠点が設けられています。

外部との繋がりを通して社会課題を捉え、社会課題を思考することを求めているからです。

マインドセット「超建設」を体現化する NOVARE!

建設事業の枠を超える!「超建設」という思考の提案

『超建設』とは、建設すること自体が目的であった建設事業の枠を超え、社会やお客様の本質的な二―ズを堀り下げていき、それに対して建設という手段を含めた様々なアクションを通じて応えていく。そしてその結果として、多様な価値を社会に提供することで、持続的に会社も成長するという心構えであると言えます。

今回オープンした「温故創新の森 NOVARE」は、「事業構造」「技術」「人財」という3つのイノベーションを強力に推進しながら、社会とのコミュニケーションを図っていきます。

建設事業の枠を超え、レジリエント、インクルーシブ、サステナブルな社会を実現する拠点となり、さらには50年先、100年先を見据えた清水建設と、社会の発展に貢献できる人財を育成する注目の場となるのです。

社名清水建設株式会社
創業1804年
所在地〒104-8370 東京都中央区京橋二丁目16番1号
代表者井上 和幸
事業概要建設事業・非建設事業・建築事業・土木事業・海外建設事業・不動産開発事業・エンジニアリング事業・LCV(ライフサイクル・バリュエーション)事業・フロンティア事業
URLhttps://www.shimz.co.jp/
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ai taniuchi
2020年からPORT by Creww にてフリーランスライターとして活動中。
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