12.8 C
Japan
火曜日, 3月 21, 2023

エネルギー大幅削減の革新的な製造技術を開発する「エレファンテック」21.5億円の資金調達!累計調達70億円

プリント基板製造における水・資源・エネルギーを大幅に削減する革新的な製造技術を開発するエレファンテックは、このたび、第三者割当増資を実施し、21.5億円の資金調達を実施しました。エレファンテックは、これまで融資や助成金を含め約49億円の資金調達を実施しており、今回の調達により累計資金調達額は約70億円になります。

エレファンテックの事業について

エレファンテックは、「新しいものづくりの力で、持続可能な世界を作る」をミッションとし、既存製法に比べてCO2排出を77%、水消費を95%削減できるインクジェット印刷による電子回路製造技術の実用化・普及に向け、2014年の創業以来開発に取り組んできました。
6年間の基礎研究を経て、2020年、量産に成功、以後市場での量産採用が進んでいます。また、量産後2年が経過した現在までリコールを起こさず、当社技術の信頼性を高めています。

今回の資金調達で目指すこと

今回の資金調達を経て、以下の2つを目指します。

  1. グローバル展開の本格化
  2. さらなる研究開発による応用拡大

これまで、前回資金調達時に掲げたマイルストーンである「大型量産実証拠点の稼働」に成功し、ディスプレイやセンサ等、一般に流通する電子機器に、エレファンテックがインクジェット印刷によって製造したフレキシブルプリント基板 P-Flex® が量産採用され搭載されています。
ラボレベルから量産レベルへのスケールアップ、また一般的な電子機器での量産採用という、いずれも一般的に非常に難度の高い事業マイルストーンを達成できたことは、目指す未来に向けての大きな一歩であると考えられています。

量産に成功した現状、どのようにして最速でグローバル標準の地位を獲得していくかが課題となり、そのためには前述の2点がキーであると考えております。

前者については、当社プロダクトはローカライズが必要なく、世界のどこでもそのまま使えるものであり、既に現状で国内向けよりも海外向けの出荷がメインとなる生産計画となっています。そのため、事業のグローバル化は進みつつあります。ただし、現状はエレファンテックが名古屋に持つ量産拠点が世界で唯一このプロダクトを製造できる拠点であり、また当社の体制としても、本格的なグローバル展開に向けては課題があります。

プリント基板製造は 1,000億米ドルを超える市場がありながら、非常に環境負荷が高く、またサプライチェーン依存リスクも極めて高い産業であるという課題が存在しています。これら課題がこれまでとは比較にならないほど大きな課題として顕在化しつつある今、エレファンテックの技術がその課題解決に貢献できる世界唯一のソリューションだと考えています。

今後、そういった課題が喫緊の課題になっている領域に対する特効薬的なソリューションとして、非連続的な成長を実現するため、グローバル展開を本格化します。

後者については、現状で量産しているのは、数あるプリント基板の種類のうち、片面フレキシブル基板のみとなっています。当社の技術は、原理的にはほとんどあらゆる種類のプリント基板製造に対して適用できるものであり、今後研究開発を進めていくことで、製品ラインナップを拡充していきます。

両面化、多層化、微細化、リジッド化などの伝統的なニーズに加え、今後はバイオマス基材への印刷や、リサイクル可能な材料の利用など、新たなニーズが広がっていくと考えており、そういったニーズも捉えつつ、本技術の適用領域を広げていく方針です。

エレファンテック代表取締役社長の清水氏は以下のように述べております。

当社は2014年1月の創業から約9年が経過しましたが、一貫して省資源・省エネルギーの製造技術によって、持続可能な世界を作ることをミッションとして活動してきました。ただ、9年という期間は決して短くなく、技術的にはいつ量産できるのか、また市場的にもいつサステナビリティが価値となる時代が来るのか、先が見えづらい時期も長くありました。そんな中、決して諦めず粘り強く前に進み続け、技術的にも量産に成功し、また市場的にもサステナビリティのニーズが想像以上に急角度で立ち上がりつつある今この瞬間まで事業を進めてきた当社チームを誇りに思います。また、それを支えて頂いたステークホルダーの皆様に大変感謝しています。
ここからいよいよ、我々の製法を世界標準としていきます。またそれによって、世界の持続可能性に関わる課題を解決していきます。それに向けて、新たに共に歩む投資家の皆様を迎えることができたことを大変嬉しく思っており、最速で世界の課題を解決していけるよう、尽力してまいります。

ANRI株式会社の鮫島氏は、以下のように述べています。

「エレファンテック社に新規株主として参画できたことをとても嬉しく思います。当社のインクジェット印刷による電子回路製造技術は既存手法に比べて大幅にCO2 排出量や水消費を削減できる革新的な技術です。投資検討を進めさせて頂く間にも、複数の大手企業から引き合いが来ており、これから市場が大きく変化する事を肌で実感致しました。また、清水さんはじめ経営陣の皆さんが目指す到達地点は時価総額1兆円企業であり、その頂きを目指したいと思います。当社はこれからの日本を背負い、日本を代表する企業になると確信しておりますので、全力で支援させて頂きます。」

信越化学工業株式会社 社長室室長の大西氏は、以下のように述べています。

「エレファンテック社の金属インクジェット印刷技術は、省資源・省エネルギーでの電子回路基板製造を可能にすることで、持続可能な社会の実現に貢献する技術です。その技術力に加え、同社のスピード感、清水社長のリーダーシップにより、今後ますます存在感を発揮していくものと確信しています。
また同社の技術は応用範囲が広く、成長余地が大きいと思います。化学・材料メーカーとして、この新しいモノづくりに関わる機会を得たことを嬉しく思っています。」

第三者割当増資引受先

ANRI5号投資事業有限責任組合
信越化学工業株式会社
株式会社ノーズ
ノーズ・インベストメント合同会社
静岡キャピタル株式会社
静岡キャピタル9号投資事業有限責任組合
英和株式会社
株式会社ナノバンク
剣菱酒造株式会社
三菱瓦斯化学株式会社
株式会社D&Iインベストメント
ナントCVC2号投資事業有限責任組合
ナントCVC3号あけぼの投資事業有限責任組合
ぐんま地域共創投資事業有限責任組合
SuMi TRUSTイノベーション投資事業有限責任組合

社名エレファンテック株式会社
設立2014年01月
所在地東京都中央区八丁堀四丁目3番8号
代表者清水 信哉
事業内容プリンテッド・エレクトロニクス製造技術の開発、製造サービス提供
URLhttps://www.elephantech.co.jp/
Facebook コメント
PORT編集部https://port.creww.me/
PORT by Crewwは、Creww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。
- Advertisment -
- Advertisment -

Featured

【SceneryScent × アネスト岩田】“香り噴霧器”で新たな価値と市場を生み出す

【Creww Growth活用協業事例インタビュー】日本の塗装機器や空気圧縮機の業界を95年以上リードし続けているアネスト岩田。“開発型企業”として国内外で1,200件を超える特許出願数を持ち、世界20カ国以上の拠点、35社のグループ会社を持つ企業だ。 同社は2020年に導入したアクセラレータープログラムで、香り空間演出・プロデュース事業を展開するスタートアップSceneryScent社(シーナリーセント)を採択し、わずか1年半で、人感センサー内蔵香り演出機器「Ambiscent(アンビセント)」のデモ機を開発。社外でのトライアルがスタートした。 具体的にどのような取り組みを重ねているのか。アネスト岩田の和泉孝明氏と、SceneryScent代表の郡香苗氏にお話を伺った。 #アネスト岩田 #SceneryScent #シーナリーセント #Ambiscent #アンビセント #スタートアップ #オープンイノベーション #活用協業事例インタビュー #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

【熊平製作所 × MAMORIO】創業125年のトータルセキュリティ企業が、スタートアップ共創で未来の「安心・安全」を創る

【Creww Growth活用協業事例インタビュー】広島銀行とCrewwは、広島県下のイノベーションエコシステムの構築に向け、広島県内に新たな事業の創出を図ることを目的に「HIROSHIMA OPEN ACCELERATOR 2021(広島オープンアクセラレーター2021)」を共催しました。本記事では、プログラム参加企業である熊平製作所と、「なくすを、なくす」をミッションに、紛失防止デバイス「MAMORIO」を始めとした 様々な製品・サービスを提供するIoTスタートアップ「MAMORIO」との共創プロジェクトにフォーカス。株式会社熊平製作所 新規事業開発部 取締役部長 茶之原 氏に、プロジェクトの共創に至った背景や、スタートアップとの共創から実際に得た体感や変化について、お話を伺いました。 #広島銀行 #広島県 #イノベーション #広島オープンアクセラレーター2021 #熊平製作所 #MAMORIO #IoT #スタートアップ #共創 #新規事業 #協業事例インタビュー #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

関東近郊2万坪の土地 × スタートアップで、今までにない斬新な “場” を作りたい|Gulliverが挑む!

【オープンイノベーションインタビュー】中古車売買でお馴染みの「Gulliver」を運営する株式会社IDOMが、2022年10月24日から「Gulliver アクセラレータープログラム2022」を実施。新しい購買体験の提供と、生活を彩るクルマの価値を創造する新しいコンセプト店舗の開発をテーマに、関東近郊に2万坪の土地を用意し、スタートアップの皆さんと一緒に新しい場づくりに取り組みたいという。具体的に、どのような構想を描いているのか。株式会社IDOMの経営戦略室チームリーダー、三樹教生氏に話を伺った。 #Gulliver #IDOM #スタートアップ #アクセラレータープログラム #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

スタートアップ募集!【豊富な開発技術力 × デミング賞大賞の社内風土】モノづくりメーカーのOTICSに、今求めるパートナーを聞く

【オープンイノベーションインタビュー】高出力・低燃費・低エミッション化などの要求に対し、積極的な技術提案と高精度な品質で応えるOTICS(オティックス)の自動車部品は、多くの車種で採用されています。一方で、120以上の国と地域が目標に掲げる「2050年カーボンニュートラル」に向け「脱炭素化」の企業経営に取り組むOTICSは、初めてのアクセラレータープログラムを開催。豊富な開発経験と生産技術力を活かせる協業案、自然環境保全や社会・地域に貢献できるアイデア等をスタートアップから広く募集します。デミング賞大賞も受賞したOTICSの社風、アクセラレータープログラムの開催に至った背景や、募集ページだけでは伝わらない魅力、プログラムに関わる方々の想いを、株式会社オティックス 経営管理本部TQM経営戦略室 係長 奥村守氏に話を伺いました。 #OTICS #自動車 #カーボンニュートラル #アクセラレータープログラム #協業 #スタートアップ #デミング賞 #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる
Facebook コメント