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水曜日, 1月 19, 2022

物流ソリューションの未来を切り開く為、これまでの常識にとらわれない「次の物流」の開発に、スタートアップの皆さまとチャレンジさせていただきたい。

物流業界大手の佐川急便が、2021年度もアクセラレータープログラムを実施する。2014年からオープンイノベーションに積極的に取り組んできた同社は、スタートアップとのアライアンス活動の要となる新たな基地として、昨年「HIKYAKU LABO」を新設。物流を取り巻く環境や顧客ニーズが激変する中、スタートアップとの協業によって持続可能な社会を作るべく、社会課題の解決に取り組んでいる。「アクセラの審査には通過しなかったとしても、応募いただいたスタートアップとは何かしらの協業を模索したい」と語る執行役員・藤野博氏に、佐川急便がオープンイノベーションに取り組む背景やスタートアップと狙いたい領域などを伺った。

※エントリー受付は5月26日(水)23時までです。

物流を取り巻くニーズは多様化かつ高度化

――佐川急便の強みと、オープンイノベーションに取り組む背景について教えてください。

佐川急便はBtoB領域を中心にデリバリー事業を担っています。SGホールディングスグループの事業領域としてそのほかには、ロジスティクス事業や不動産事業、決済サービスなど、物流を取り巻くさまざまな事業を展開しています。強みは、お客さまの課題に寄り添って、それぞれにカスタマイズしたソリューションを提供できること。お客さまの業種や業態、規模に関係なく、あらゆる課題に最適な提案をしています。

オープンイノベーションは、2014年に先進的なロジスティクスの提供を通じ、物流全体の課題解決に挑むグループ横断型のプロジェクトチーム「GOAL®(GO Advanced Logistics)」※を立ち上げた頃から、積極的に取り組むようになりました。

それまでも、グループ内の事業会社が連携してお客さまに最適なサービスを提供してきましたが、社会環境が大きく変化する昨今、グループ内のリソースだけではなく、オープンイノベーションによってスピード感を持ってサービスを提供する必要があると判断したためです。

――スタートアップとの協業もその頃からでしょうか?

いえ、スタートアップとの協業は約2年前からです。GOAL®の取り組みによって、過去に経験のない案件も取り扱えるようになりましたが、お客さまのニーズは多様化し、求められるレベルも高度化しています。

さらに、コロナ禍でマーケットは様変わりし、物流に対する社会の要望も多種多様に変化しています。我々のリソースだけではなく、ユニークな知見や技術、アイデアを持つスタートアップとの協業が必要不可欠となりました。

スタートアップと取り組みたい3つの領域

――今までに解決してきた課題と、コロナ禍で新たに出てきた課題を教えてください。

今まで、BtoBをメインにビジネスを展開してきた背景があるので、たとえば造船所での効率的な部品供給の実現や、携帯基地局のアンテナ、風車など“大きな物”を運べるようになることで、お客さまの様々な要望に応えてきました。

コロナ禍では求められる要望が次々と変わっており、たとえば、新たにECサイトを立ち上げるお客さまが増える一方で、うまく立ち上げられないお客さまに対してのサービス開発の必要性や、不在による受け取り側のソリューション開発が求められるようになりました。

2020年の4月〜5月は外出自粛の影響で一時的に不在率が下がりましたが、
徐々に戻りつつあります。ラストワンマイルの不在問題は、当社を含む業界全体での大きな課題の一つです。

――そうした状況下で、今回のアクセラレータープログラムでスタートアップと取り組みたい領域や解決したい社会課題は何でしょうか。

取り組みたい領域は3つあり、1つは「社会をより良く変えていける新しい物流サービスの創出」です。物流に関連した新しい商品やサービス、物の移動をスムーズに変えていくサービスなど、さまざまな業界で新しいソリューションが求められています。

2つ目は「社会インフラとしての物流機能の安定供給」です。サプライチェーンを止めるとことは消費者を含めて社会に大きな影響を与えてしまいます。持続可能な社会のために必要な技術やサービスを開発したいと考えています。

3つ目は「新たな生活スタイルを物流の力でもっと安心・便利に」です。宅配ロッカーの先にある新しい受け取り方法や、非接触での受け取り方法など、新しい生活スタイルに即した物流のあり方をスタートアップの皆さんと一緒に考えたいです。

物が動かなくなる社会は想定できないからこそ、課題は山積

――顧客層が広いぶん、求めるスタートアップの領域も広いのですね。

そうですね。物流に直接関わる技術やノウハウではなくても、我々のリソースと掛け合わせることで、二乗三乗の価値を生み出せるなら、どんな領域のスタートアップでも大歓迎です。周辺領域で新しい市場を生み出す可能性や、社会に求められる価値を創出できる可能性があるなら、積極的に協業したいと考えています。

個人的には、消費者の物の調達の仕方がダイナミックに変化しているので、そこに対して何かしらの新しいビジネスモデルを創出できれば面白いなと思っています。

昨年は、コロナ禍で急激に荷物の数が増加し、お客さまの荷物を約束通りお届けすることにかなり多くのリソースを割きました。この変化に対応し、現場も安定したことで、もう一つ先にあるお客さまの多種多様なお困りごとを解決すべく、オープンイノベーションを促進しています。例えば、2021年4月にはイスラエルに開発拠点を構えるLISUTOと資本業務提携契約を締結し、AIを活用したEC事業者向けサービスの協業を始めました。

このように、周辺領域も含めて我々はもっといろんなサービス開発に取り組まないといけません。たとえば、海外向けにECサイトを運営したいお客さまに対する支援は、マーケットとしては開拓の余地があり未成熟です。ここに対してスタートアップと組んでサービスを生み出せるならチャレンジしたいですね。

まだしばらくは、物が動かなくなる社会は想定できません。だからこそ、我々は社会インフラとして世の中のニーズに応える必要がありますし、それによって持続可能な未来を作らないといけません。このチャレンジに興味を持ってくれたスタートアップの皆さんとは、ぜひお話ができると嬉しいです。

アクセラで採択されなくても協業の可能性は大

――アクセラ自体は昨年が初めてですが、社内に変化はありましたか?

当社のアクセラレータープログラムで特に重要と考えているのはスタートアップの皆さまに対する姿勢です。イベントとして終わるのではなく、アウトプットを確り出していきたい。そのために専任の事業開発担当者を社内公募によって募り、採択されたスタートアップ1社毎に担当者を選任しています。もちろんその期間、開発担当者は他の業務は行いません。彼らも集中してプログラムに参加できることから中身の濃いPOCを実現できると考えています。また、社内報などで開発担当者の活躍や、プログラムの進捗を取り上げることで当社のアライアンスに対する活動を全社員へ周知しており、次に自分もチャレンジしてみたいと思って頂ける社員創出にも繋がることから、企業風土の変化もあると考えています。

――佐川急便の今後の展望と、スタートアップへのメッセージをお願いします。

我々が目指しているのは、さまざまなパートナーと一緒に持続可能な社会を実現することです。もしかしたら佐川急便はアライアンスに積極的なイメージが無いかもしれません。でも資本を含めたアライアンスに積極的に取り組んでいますし、さまざまな企業と協業することで社会に貢献すべく取り組んでいることを知っていただけると嬉しいです。

それから、昨年の『SAGAWA ACCELERATOR PROGRAM』の審査では落選したものの、「GOAL®」のチームと研究開発を進めているパートナーや、別の部署でPOCを継続しているパートナーもいます。協業するのは採択するスタートアップに限りませんし、我々は真摯に向き合って知恵を絞りたいと考えています。

それがグループ全体の方針でもあるので、物流には関連していないけれど、佐川と組んだら面白いことができそうだと少しでも思っていただけたら、ぜひエントリーして欲しいです。できるだけ多くのサービスをローンチできるよう、一緒にPDCAを高速で回しながら持続可能な社会に必要なサービスを作りませんか。たくさんのエントリーをお待ちしています。

※※先進的ロジスティクスプロジェクトチーム「GOAL®(Go Advanced Logistics)」
2014年に始動。先進的なロジスティクスの提供を通じ、物流の課題解決という『ゴール』へお客さまと共に突き進むグループ横断型専門家集団を意味します。お客さまと共に成長するパートナーとして、いま目の前にある課題の解決だけでなく、潜在的な課題まで敏感にキャッチしながら体制を構築し、物流の全体最適解の提案をミッションとしています。
https://www.sagawa-exp.co.jp/goal/about/

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田村 朋美
2000年雪印乳業に入社。その後、広告代理店、個人事業主を経て、2012年ビズリーチに入社。コンテンツ制作に従事。2016年にNewsPicksに入社し、BrandDesignチームの編集者を経て、現在はフリーランスのライター・編集として活動中。
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