12.8 C
Japan
金曜日, 7月 17, 2020

ベンチャーキャピタル出向者によるオープンイノベーション戦略の新攻略法

11月13日、都内で開催された大手事業会社のイノベーション活動に従事されている方を対象にした本イベントのテーマは、企業成長を加速させるイノベーター人材の発掘と活用~イノベーション戦略の新攻略法~だ。
第2回目となる本編では、株式会社デンソーより、事業企画に従事し、オープンイノベーションを推進しながらベンチャーキャピタルへ出向している堀川 健一郎 氏にお話をしてもらった。

イベント企画背景

大企業が社外と行なうオープンイノベーションは、時間が経過した事で一巡し、一般的な手法となりつつあります。

ビジネスマッチングやアクセラレーションプログラムで、オープンイノベーションを実施した企業の中には「思ったような成果が出なかった」「持続的に行なわれず頓挫した」「マッチングは成立したが結果的に離散した」という声や、現行続けつつも手段が目的化しているようなケースが多々あります。

課題を分解すると以下のような理由が挙げられます。

・新規事業創造が業務化してしまい、イノベーションになっていない。
・ゴール設定及び、認識が社内外で統一されていない。
・社外と組むべき領域や自社のリソースが整理されていない。
・オープンイノベーションの進め方が体系立てられていない。
・etc…

また根底には【オープンイノベーションや新規事業を推進できる人材がいない】 という課題も挙げられます。一方【社内にはいる可能性があるが発掘できていない】というケースもあると考えられます。

そこで、オープンイノベーション手法のひとつであるアクセラレーター支援でこれまで120社の新規事業創造に携わってきた「Creww(クルー)」と、1億件を超える世界中のイノベーションDBを収集・保有し、未来市場の予測や、未来課題の定義化を行ないイノベーション支援を行なう「アスタミューゼ」の2社が、持続的にオープンイノベーションをする為にも「イノベーション」という大きな枠組みから始めるプログラムを実施することになり、本セミナーが企画されました。

オープンイノベーションの難しさ

デンソーは設立約70年ほどの企業です。デンソー規模の会社ですと、新規事業と言いながらも2000億規模になってくるので、何かやると「100億の売り上げは見込めるのか?」と問われることになります。売り上げや利益という話になると構造上、新規事業では難しいですね。大企業ならばどこでも同様な壁にぶつかることがあるかと思いますが、このような数値議論は新規事業の構造上、現実的に結構難しいです。

社内の力学では、既存事業やオペレーションをやっている部門がやはり強いです。そのため、既存事業の管理がオペレーション部門に及ぶと、「売り上げがたっていないから3年でそろそろ終了だよね」と言われ、終了に追い込まれてしまうんです。新規事業をやっているオープンイノベーション部隊は既存事業とは全く逆のことをやっているので、数値での管理やKPIの話をされると、もはや真逆すぎて管理できないんです。

ビジネス概念の違いのため、事業のキーマンが既存事業と新規事業とでは異なります。既存事業ではマネージャー(管理者)がキーマンですが、新規事業ではリーダ、つまり経営者視点を持つ者がキーマンとなります。新規事業の立ち上げは、自ら意思決定をしていくことが重要になります。リーダー育成には経営の実践経験が必須ですが、社内ではなかなか機会がありません。

オープンイノベーション戦略の新攻略法

お客様が要求書を出してきて、これに対し良いものを追求していく形の既存事業と、BtoBのモノづくり企業の新規事業とでは事業環境が異なります。後者は、自社の技術・アセットはあるものの、お客様がわからないし、売るマーケットも手探りなので非常に難しい。では、どう攻略していくのか。それが「ベンチャーキャピタルへの出向」です。

ベンチャーキャピタル出向は、若手に経営スキルを習得する機会を与えることができます。

オープンイノベーションは自社の事業領域以外でチャンスがあります。独立系のにベンチャーキャピタルにいると、宇宙をはじめ、様々な自社領域以外の情報が入ってくる。これが結構重要だと思っています。

VC出向により得られる機会
・ベンチャー経営者との対峙機会
・元所属先の職位を超えた役割
・縦割りではない横断的な業務経験
  1. 資金調達などでベンチャーの経営者との対峙機会は会社の命運を左右する決断の場であり、そのような経験は大手企業のサラリーマンのままでは経験ができないもの。
  2. 裁量がある人に対し、プレゼンをする機会は事業部の一部署にいたら経験ができないこと。この点、出向はすごく良い経験ができる。
  3. 技術評価から財務まで、全てを一人で見ることは、やはり縦割りの事業部にいては経験のできないこと。

リーダー育成とベンチャー活用の継続がオープンイノベーションを加速させる

「大企業からベンチャーに出向=成長」という構図は早合点とも言えます。ベンチャーキャピタルへの出向をはさむことで、投資家としての視点を身に着けることが出来、そこで学んだものを次にベンチャーで生かす。投資家視点と事業者視点の双方を身につけることは、企業に戻った際にオープンイノベーションを加速させることに繋がります。大手企業→VC出向→ベンチャー→大手企業 のスキームが理想ですね。
さらに、常にベンチャーキャピタルに出向者をおいて情報を取れる状況にしておくことは、継続的に新しいマーケット情報を入手できるため、オープンイノベーションにとって結構重要なのではないでしょうか。

登壇者
堀川健一郎 氏 株式会社デンソー 
東京支社東京企画室技術企画課
1999年デンソー入社。2001年にデンソー短大情報技術科を卒業しボデー事業部に配属。超音波センサのシステム設計を10年担当した後、社内人材公募を活用し、2012年に新事業推進室へ異動。以降は非自動の事業企画に従事し、オープンイノベーション業務を担当。18年6月から東工大と連携協定を結ぶベンチャーキャピタル(みらい創造機構)に出向し、ベンチャー投資業務と東工大のシーズ探索の業務を遂行しながら、デンソーにベンチャー及び大学シーズをつなぎオープンイノベーションを推進中。

企業成長を加速させるイノベーター人材の発掘と活用~イノベーション戦略の新攻略法~その1

2019年11月19日
PORT編集部https://port.creww.me/
PORT by Crewwは、Creww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。

Featured

資金調達額9億円のユニロボットのファウンダーが語る「日々立ちはだかる失敗の壁との向き合うコツ」

新型コロナのような不測の事態でも、極力スタートアップの成長速度は落とさない為に、数々の荒波を経験し乗り越えてきた先輩スタートアップから失敗事例や成功事例、リリカバリーしてきた経験やノウハウをシリーズでお届け。第一回目は次世代型ソーシャルロボットの開発で知られるユニロボット株式会社代表 酒井拓さん...

「イノベーション立県」広島のオープンイノベーションによる地域課題解決

数年前より、国をあげての「オープンイノベーション」に関する取組が活発化してきており、各自治体においても、イノベーションを加速させるべく様々な施策が練られている。今回は広島県の象徴的なオープンイノベーション事例について広島県を代表して商工労働局イノベーション推進チーム担当課長の金田典子氏と「広島アクセラレータープログラム」の仕掛け人で広島銀行法人営業部 金融サービス室シニアマネージャーの栗栖 徹 氏にお話を伺った。

新しい仕事と「STARTUP STUDIO」に同時にコミット。何歳になっても挑戦し続けたい

社会課題を解決するためのアイデアと、その事業を作り出したい個人をつなぎ、6ヶ月でプロダクトを作って事業会社に売却することを目指す「STARTUP STUDIO」。第一回目のプロジェクト「スマホでありがとうを届けるチップサービス『petip』」の立ち上げに参加したのが、Reproで働く金卓史氏だ...

社長秘書をしながら、3つの新規プロジェクトを牽引。松竹を変える起爆剤へ

演劇や映像をはじめ、総合エンターテインメントを提供する松竹。銀座にある歌舞伎座が象徴的だが、伝統を継承しつつ、実は長年新しいコンテンツや新しい体験を追求してきた、「進化し続ける企業」の一つだ。そんな松竹がグループ各社を巻き込み、2019年に初めてアクセラレータープログラムに挑戦。そのプロジェクトメンバーの公募に自ら手を挙げ、本業がありつつも3つのプロジェクトを推進したのが、秘書室・政策秘書の平岩英佑氏だ。平岩氏はどんなことを考え、どのようにプロジェクトを進めていったのか。話を伺った。