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日曜日, 5月 16, 2021

お互いの資産を持ち寄れば新たな価値が生まれる。ゴールを見据えたスタートアップとの協業

1967年に誕生し、国内外で事業やサービスを展開する「三井住友カード」。決済を中心と したさまざまなサービスで、多くの人に“心地よい瞬間”を提供すべく、進化を続けている 。そんな同社は、クレジットカード以外の領域で新たな新規事業を創出しようと、2017年 に新規事業開発の組織を発足。そして、Crewwのアクセラレータープログラムに取り組ん だ。具体的にどのようなプロセスで新たな事業を創出したのか。当時、新規事業開発に属 していた経営企画部グループマネージャーの永田圭氏と、マーケティング本部 会員サービ ス開発部・副部長の起博昭氏に話を伺った。

強みを組み合わせたら、新しい価値を創出できる

―三井住友カードがアクセラレータープログラムを始めたきっかけについて教えてくださ い。

三井住友カード株式会社 会員サービス開発部 副部長 起 博昭 氏

:2017年度中期経営計画において、クレジットカードの本業とは異なる領域で“次の柱”となりうる新事業を創造しようと、新規事業開発室という組織ができました。当初は、組織はできたが取組み方は決まっていない状況でした。

手法を学び知見を得るため、新規事業に取り組むさまざまな会社へ出向きヒアリングを重ねる過程で、アクセラレータープログラムとCreww(クルー)の存在を知りました。

もともと、既存事業とは違う領域で新規事業に取り組むには、スタートアップのような若い会社とタッグを組んだ方が早いだろうと考えていたこともあり、アクセラレータープログラムを新規事業のきっかけにしようと、導入を決めました。

―導入するにあたって社内からの反対等はなかったでしょうか?

:新規事業開発室は経営企画部の中にできた小さな組織で、自分たちの知恵で新規事業を創造するには限界がありました。

アクセラレータープログラムを実施すると、我々も驚くほどたくさんのご応募をいただきました。そのうち4社が実証実験に進み、最終的に今でもお付き合いが続いているのがナイトレイです。ナイトレイとは最初から「お互いが持つ資産を持ち寄って組み合わせたら、新しい価値を創出できる」とゴールイメージを持てたんですよね。

永田:ナイトレイは移動や滞在情報にフォーカスした独自のロケーションデータ収集・解析技術を持つスタートアップで、訪日外国人の滞在・周遊・興味関心を解析し、訪日外国人対策支援サービス(inbound insight)を提供していました。我々は訪日外国人のクレジットカード決済データを持っているので、ナイトレイとタッグを組めば「訪日外国人はどの地域でどんな消費をしているのか」がわかります。

三井住友カード株式会社 経営企画部 グループマネージャー 永田 圭 氏

それを事業化すれば、インバウンド対策をしたい企業や自治体向けにサービス提供できるのではないかと思いました。それに、我々が抱えていた「大量のクレジットカード決済データを利活用できていない」という課題も解決できる。だから、話はトントン拍子で進んでいきました。

社内での議論を重ね、実証実験実現のために知恵を絞った

―最初からゴールをイメージできたということは、実証実験までかなりスムーズに進んだのでしょうか?

永田:ナイトレイとの間ではスムーズでしたが、役員にプレゼンするまでに「本当にそれが正しいのか」という議論が社内で何度も出ました。

:実際に誰が使うのか、お客様にとってのメリットは何かというかなり具体的な話で議論は白熱しましたね。加えて、データ活用を生業とする企業がたくさんある中で、なぜナイトレイなのか、それが正しい意思決定なのかという議論も。

これはゴールが明確だからこそ生まれた議論ですし、それだけ、真剣に思考するメンバーが集まったことに恵まれたと思いました。ただ、我々の議論が長引いてスタートアップの時間を無駄に使うわけにはいきません。

永田:時間価値も財務インパクトも違いますからね。僕らにとってはひとつの実証実験ですが、スタートアップからしたら実証実験につながるまでの時間と、その成否が運命をわけてしまう。だから我々も本気で真正面から向き合っていました。

―プレゼンから事業化までの期間はどれくらいでしたか?

永田:ゼロから新しいものを生み出すのではなく、お互いが持っていたデータや技術を組み合わせたので、半年もかからなかったと思います。

:スピーディーに進んだ要因としてとてもありがたかったのが、早いタイミングで実行部隊である事業部から協力を得られ、実証実験から参加してもらえたこと。

もともと経営企画部だけで進めていたプロジェクトなので、実務フェーズに入ったとき、うまくバトンを渡せるかが課題になるだろうと思っていたんですね。事業部が早期に議論に参加してくれたことは嬉しかったですし、それだけナイトレイが持っていた資産が素晴らしかったのだと思っています。

ナイトレイとのデータ利活用の実績は、今後のデータ戦略に寄与する

―アクセラレータープログラムは2017年の取り組みです。それ以降、新規事業を生み出す文化は続いていますか?

永田:現在、新規事業開発室の業務は、戦略事業開発部が引き継いで、海外の新技術を導入したり、既存事業をリノベーションして発展させたりと本業と融合させたカタチで継続しています。

:三井住友カードは新しいことに取り組んで進化を続けてきた歴史があります。だから「守りの姿勢」ではないんですね。

永田:そうですね。15年前は現金が当たり前の社会でしたが、今はキャッシュレスなど決済方法がさまざまですし、展開も早い。「●●ペイ戦国時代」で生き残ってシェアを取るにはデータ戦略が必要なので、その点、ナイトレイと協業してデータを利活用する事業を先行して立ち上げられたのは意味があったと思っています。

新事業「Custella」を成功させるためにも、他社との協業は続けたい

―三井住友カードの今後の展開について教えてください。

永田:2019年10月に、我々が保有するキャッシュレスデータを、個人・加盟店が特定できないよう統計化し、顧客の属性や消費行動などを見える化する「データ分析支援サービス Custella(カステラ)」というサービスが始まりました。

これは、Custella Insight(カステラ インサイト)とCustella Analytics(カステラ アナリティクス)の2つのサービスから成り、前者はオンラインツールで自社の売り上げや顧客属性などをいつでも閲覧し、マーケティングや営業活動に生かしていただくサービス。

そして、後者は加盟店ごとのニーズに応じてさまざまなデータを分析し、打ち手から効果検証までを考察するフルカスタマイズのサービスです。まさに、ナイトレイとの協業事業もCustella Analyticsに属しています。

―ナイトレイとの事業は、新たな事業の傘下に入ったのですね。

永田:そうです。ただ、Custellaはできたばかりのサービスなので、きちんと事業として成り立たせることが直近の課題。たとえば加盟店が顧客の年齢や行動別にプロモーションできるようなシステムを開発したいと考えています。

具体的には、雨の日に加盟店を訪れたお客様に対してだけ、その日に使える割引クーポン券がスマホに届くような、1to1のマーケティングができるサービスへと進化させたいと思っています。

:今回、アクセラレータープログラムを経験したことで、何かに取り組むときに「スタートアップと協業できないか」と考えるようになりました。思考と意思決定の幅が広がったのは大きな財産です。Custellaの事業も自前だけでどうにかするのではなく、ナイトレイはもちろんさまざまな企業と協業しながら、成功につなげたいと考えています。

インタビュイー
起 博昭 氏 三井住友カード株式会社
会員サービス開発部 副部長
2000年三井住友カード入社。営業企画部門、企画部門を経て現在に至る。会員サービス開発部では、生命保険代理事業の企画・運営を担当。
インタビュイー
永田 圭 氏 三井住友カード株式会社
経営企画部 グループマネージャー
2003年三井住友カード入社。営業部門、債券回収部門、ファイナンスの事業企画部門を経て、現在に至る。経営企画部では中期経営計画の策定や組織改定、諸会議の運営などを行っている。
執筆
田村 朋美 
2000年雪印乳業に入社。その後、広告代理店、個人事業主を経て、2012年ビズリーチに入社。コンテンツ制作に従事。2016年にNewsPicksに入社し、BrandDesignチームの編集者を経て、現在はフリーランスのライター・編集として活動中。

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田村 朋美
2000年雪印乳業に入社。その後、広告代理店、個人事業主を経て、2012年ビズリーチに入社。コンテンツ制作に従事。2016年にNewsPicksに入社し、BrandDesignチームの編集者を経て、現在はフリーランスのライター・編集として活動中。
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