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日曜日, 5月 31, 2020

【松竹×夏目綜合研究所】「瞳孔反応解析技術」とエンターテイメントの協業可能性

演劇や映像をはじめ、様々なエンターテイメントを製作・提供してきた松竹。その松竹が実施したアクセラレータープログラムにおける実証実験の第2弾。「瞳孔反応解析技術」を持つ夏目綜合研究所と、エンターテイメント企業である松竹との協業の可能性をさぐる実証実験の結果とは。

夏目綜合研究所の「瞳孔反応解析技術」とは、瞳孔の反応によって人の情感を数値化するテクノロジーである。嘘発見機などがわかりやすい利用例だろう。

人間の目の瞳孔は、興味関心があるとどんどん拡大していき、興味関心が無くなると縮小していく。これは交感神経と副交感神経、要は自律神経の働きによるものなので人間が自分自身でコントロールすることは出来ない。

視認対象物の明暗反応などのノイズを除去し、本当の興味関心、注目だけを独自のアルゴリズムによって抽出するテクノロジーが夏目総合研究所の強みだ。

夏目綜合研究所 代表取締役の臼倉正氏は、「映像を見ている人の感情が瞳孔の反応から読み取れたら、エンターテイメント企業と協業の可能性が出てくるのではないだろうか。」との期待感から「松竹アクセラレーター2019」にエントリーをしたとのことだ。

世の中を驚かす新しいコンテンツと体験価値を生み続けるために。松竹の挑戦。

2020年1月6日

松竹と夏目綜合研究所のオープンイノベーションによる実証実験の結果とは

夏目綜合研究所 代表 臼倉 正 氏(写真中央)

松竹と夏目綜合研究所の実証実験では、モニターに数本の映画の予告編や特報を見てもらい、効果的な予告編と瞳孔反応の関係性の有無の検証が行われた。もしそれが興行収入と関係性があれば、今後の予告編制作に役立つ可能性が見えてくる。

実証実験は、予告編冒頭の注目度は高いのではないか?予告編のラストの注目度が興味の高い状態で終わる予告編は効果的なのではないか?など様々な仮説を立てて検証しました。

「平均して注目度の高い作品。注目度や情感の起伏の振れ幅が大きい作品。全体的に興味関心度が高く、さらに後半で盛り上がりの反応がある作品。後半で盛り上がるが、全体として興味が薄い作品。」などが今回の実証実験で見えてきた結果である。

宣伝面の活用可能性を期待していたとのことだが、実証実験の結果を見ると、効果的な編集を助けるためのツールとしての可能性がありそうだ。

松竹と夏目綜合研究所の実証実験の裏側

楠瀬 史修 氏/松竹株式会社 開発企画部
的井 友香 氏/松竹株式会社 メディア事業部

実際にどのような実証実験を行ったのでしょうか?また、その中で、難しかった点などはありましたか?

松竹担当者 楠瀬史修(以下、楠瀬)興味関心を瞳孔の動きで解析する技術により、興行成績との関係性に注目しましたが、実際の興行成績は、瞳孔の反応以外にも多くのファクターがあるため、定式化することは難航しました。また、特別なPCを使ってデータを取るため、モニターが任意の場所に集合する必要があり、解析するまでにタイムラグが生じたことも課題となりました。

−どのようにその課題を克服したのでしょうか?

松竹担当者 的井友香松竹の社内には部門横断的に相談できる環境があり、特に映像部門のマーケティングの分野から多くの協力を頂き、これらの知見にアクセスできたことで、実証実験を続けることができました。そして、利用シーンをもっと現場の業務に落とし込み、限定して使った方が効果的であることに気づき、次のステップに進むための可能性を見出すことができました。

例えば、特定の動画のカットで、ディレクターの意図した効果が実際に出ているのかどうかを、「数値化」してチェックするためのツールとして使うことなどが考えられます。

−ブラッシュアップメンバーとしてアクセラレータープログラムに関わることで気づきなどはありますか?

楠瀬:分析コストがかかり、通常の制作予算の中では収まらないことも普及の足かせとなっています。個人レベルで使えるスマホなどのカメラのセンサー性能がさらに向上すれば、遠隔地から瞳孔同行解析が可能になり、解析スピードの向上に役立つことでしょう。五感や脳波の解析分野は、世界的に開発の競争が加速しており、実用化は時間の問題と思われます。

すぐに成果がでるものではないため業績管理上の難しさはあるとは思いますが、短期的なプロジェクト収支だけで判断するのではなく、継続的に取り組み、この分野におけるリテラシーの感度を上げていくべきではないかと感じました。

社名夏目綜合研究所
設立2013年7月16日
資本金25,970,000円(2017年11月1日現在)
代表者臼倉 正
事業概要・瞳孔反応に関する基礎研究
・瞳孔反応から得られる情報(データ)を様々な分野で活用するための測定方法、解析ロジック、(最適化)ソリューションの開発
・実用化に向けた実験の企画実施、情報の収集・分析・評価、機器やソフトに関する開発コンサルティング
・独自技術を使用した各種調査およびコンサルティング
・表情計測による感情分析
URLhttp://natsumelab.co.jp/
社名松竹株式会社
所在地〒104-8422 東京都中央区築地4丁目1番1号 東劇ビル
創業・設立創業:1895年(明治28年) 設立:1920年(大正9年)
資本金33,018,656,000円(平成31年2月28日現在)
代表者代表取締役社長 迫本 淳一
URLhttps://www.shochiku.co.jp/company/
オープンイノベーションプログラム
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コラボに挑むスタートアップに期待する「媚びない」姿勢

※この記事は、2016年2月8日、creww magagineにて公開された記事を転載しています。

タテからヨコへ変わりゆく世界

以前、「会社はコミュニティ化し、仕事はプロジェクト化する」という記事をエントリーしました。あれから1年。2020年という、世界と日本にとって節目となるであろうこのタイミングで、急激に変わりゆく世界を私なりに考察し、「タテからヨコへ変わりゆく世界」という概念でまとめてみました。昭和〜平成を「タテの世界」。令和を起点とする未来を「ヨコの世界」と定義しています。 タテの世界 タテの世界とは、際限なくタテに伸びていく階層構造(ヒエラルキー)です。上と下の概念は、主従関係や強制力と相性が良く、約70年前の世界大戦時においては「国家(軍隊)」、60年前の高度経済成長期は「会社」が代表的な組織構造でした。 上から下へ働く重力は中央集権と金融資本主義を加速させ、誰かや何かとの比較を肥大化させるエンジンとなります。仕事はニュートンのリンゴのように上から落ちてきます。集団の中で、リンゴをキャッチする最も”課題解決”が上手な人間が上へ上へと駆け登り、管理がしにくい個性と美意識は同調同質の圧力に潰されていきます。 タテ型経営の行き過ぎによってビジネスパーソンは会社の歯車と化し、コンプライアンスの徹底によって決められたことしかできない、やらない思考停止状態に陥ります。地球においては資源の奪い合いと温暖化が加速化し、富と機会の二極化は国家の右傾化を招きます。これらは全て、際限なくタテに「伸び切ってしまった」社会のひずみだと感じるのです。タテを否定しているわけではありません。ただし、上と下の距離感はもはや限界に近づいているのではないでしょうか。