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土曜日, 2月 4, 2023

潜在ニーズにシナジーをかけられるか?「フーモア×あいおいニッセイ同和」異業種コラボの実現

日本独自の文化である「漫画」を主軸にビジネスを展開するフーモア。設立から5年目のスタートアップながら大手企業をクライアントに持つなど、コンテンツ制作を武器に快進撃を続けている。
そんな同社が「crewwコラボ」を通じて協業したのが、全くの異業種である、あいおいニッセイ同和損保だ。当初思い描いていたコラボから軸足を変えつつ、相互のリソースを掛け合わせることに成功した両社。大企業×スタートアップの異業種コラボが実現した背景をフーモア漫画事業部マネージャー白壁和彦氏、制作マネージャー・井本洋平、あいおいニッセイ同和損保・宮崎健太朗氏に聞いた。
※この記事は、2017年9月22日 、creww magagineにて公開された記事を転載しています。

「保険×漫画制作」異業種のコラボが実現した理由

― まずは、フーモアの事業内容について教えていただけますでしょうか。

白壁和彦(以下、白壁):弊社は「クリエイティブで世界中に感動を」をビジョンに掲げ、イラスト制作や漫画制作を行う会社です。イラストレーターや漫画家などのクリエイターネットワークを擁し、弊社がディレクションすることで企業に最適な内容とクリエイターをご提案しています。最終的には、漫画で世界中に感動を届けることを目指しております。

― 競合他社と比較し、フーモアが持つ強みを教えてください。

白壁:外部におよそ6,000名のイラストレーター、400名の漫画家の大きなネットワークを持ちながら、自社の社員もイラストレーターや漫画家が半数を占めるところでしょうか。案件をやりとりする際、言葉や会話だけは最終的なアウトプットをイメージしづらく、クライアント様からすると良い悪いの判断が難しい。しかし弊社は自社に作家が在籍しているため、依頼内容を提案時からビジュアルで表現し、早期段階からイメージを共有することができます。

― クリエイターが社内に多数在籍していることで、スムーズなやりとりができるということですね。

(左より)白壁和彦氏、井本洋平氏

井本洋平(以下、井本):クラウドソーシングのように、弊社ネットワークの外部クリエイターに依頼することもありますが、時には緊急の依頼をいただく場合もあります。仮にそうした事態が発生しても、社内にクリエイターを抱えておりディレクション時間を短縮できるため、問題なく対応することができます。また、中には指名いただくようなクリエイターもおり、抜群の制作力を持っているのでコンテンツのクオリティの高さも大きな強みです。

― 今回、「crewwコラボ」に応募していただいた背景を教えていただけますか?

白壁:コンテンツ制作に強みを持ちつつも、次のステップとして制作の先にある「届けること」にも注力したいと考えていました。これまでにも実績があった漫画でのプロモーション事業に、より力を入れていこうというのが応募の理由です。今回はあいおいニッセイ同和損保(以下、あいおいニッセイ同和)さんとプロモーション漫画を掛け合わせることで、商材が複雑で重要性や魅力を伝えきるのが難しい保険という分野に「新たなコミュニケーションの在り方」を創れるのではと思い、コラボをさせていただきました。

― 協業までの経緯を教えていただけますか?

宮崎健太朗(以下、宮崎):既存の事業に新たなエッセンスを加えたいと考えており、「crewwコラボ」を利用させていただきました。これまで着手したことのない領域との協業を目指すにあたり、漫画はうってつけだと感じたんです。言わずもがな、漫画は日本独自の文化なので、プロモーションに絶大な効果があるだろうと思いました。

― すでに漫画を用いたプロモーションは始まっているのでしょうか?

宮崎:いえ、現在は新入社員など社内向けの研修資料を漫画でデザインするところから始めています。

漫画でインナーコミュニケーションを強化する“想定外”のオープンイノベーション

宮崎健太朗氏

― では、当初描いていた事業とは違う協業が実現しているということですね?

宮崎:はい。当社としてオープンイノベーションプログラムに挑戦するのは初めての試みだったので、最終的なゴールは描きつつお互いの意思疎通を行っていくと、「まずは社内のインナーコミュニケーションに効果があるのではないか」との結論に至りました。

保険は商品や業務が複雑で、慣れるまでには時間がかかります。文面だけでは理解に苦しむところを、漫画を利用することで解決できるのではないかと考えました。ここで実績が出れば顧客向けのプロモーションにも効果を発揮できると考え、効果測定も兼ねた取り組みから始めています。

― 大手企業とベンチャー企業は組織文化が異なるため、意思疎通が難しい場面も少なくないのではないかと思います。こうした方向転換を生んだ具体的なきっかけがあったのでしょうか?

白壁:協業するにあたり、大手企業さんは自社の課題を掲げています。もちろんその課題を解決し成功に導くことが使命ですが、協業の可能性はそれだけに止まりません。弊社の場合はIR情報等もチェックし、事前に提供できるリソースを明確にした上で複数の提案ができるよう準備しています。そうすると、見えていなかったニーズとシナジーを生むことがあるんです。

宮崎:今回のインナーコミュニケーション強化の取り組みは、まさにそうしたフーモアさんの姿勢によって生まれました。

― 実際に今回の取り組みは効果を発揮しているのでしょうか?

宮崎:当初は「本当に漫画でコミュニケーションが円滑になるのか」という思いもありましたが、漫画で制作した社内向けのマニュアルは好評です。たとえば社内風土を変革しようとしたときに、文面だけのメッセージや宣言するだけでは伝わりきらなかった部分が浸透しやすくなりました。

以来、社内で新たな取り組みをする際に「漫画で作ろう」と声が上がるようになり、数字では測れない部分で効果を発揮していると感じます。

井本:もともと漫画の持つコミュニケーションの力には絶対的な自信を持っていました。例えば、バナー広告に漫画をつかうことでクリック率が改善されたり、WEBコンテンツに漫画を使うことで、離脱率や滞在時間を改善できるといった数値でも計測をしています。

今回は、ビジュアルによる「興味喚起」とストーリーによる「疑似体験」の力をインナーコミュニケーションで活用することができました。

成約率向上よりも大切なこと。「後悔のない世界」を目指す異業種コラボのゴールとは?

― 今後は今回の実績をもとに、もともと描いていた顧客向けのプロモーションへと踏み込んでいくのでしょうか?

宮崎:保険商品は複雑で、すべてを漫画で説明することは難しいので、ニーズ喚起を目的にしたサービスを展開していければと思っています。

白壁:一番最初にご提案したときのゴールは、「保険に入っておけばよかった」という後悔がない世の中にすることでした。保険の成約率はもちろんですが、あいおいニッセイ同和さんの描く世界観の実現に向け動き出したところです。

宮崎:弊社のみならず、世の中一般が抱えている課題を解決したいと考えています。事故が起こった後に保険の重要性を理解するのでは遅い。悲しい想いをする前に保険というサービスの有用性を知ってもらうには、漫画が大きな効果を発揮するのではないでしょうか。サービスを売るだけではなく、世の中に保険の大切さを知ってもらうきっかけになれば嬉しいです。

― 両社ともに初めてのオープンイノベーションだとお伺いしました。最後に、これまでの経験を通じて得た教訓を教えていただけますか?

白壁:一般的にベンチャーは意思決定が早く、大手は遅い印象をみなさんお持ちだと思います。しかし、実はそうではないんです。スピード感は同じでも、組織の規模に比例してかける労力や必要なステップが大きくなっているだけ。そうしたイメージとのギャップは少なからずあるので、お互いの意思疎通、状況把握を怠らないのは大切だと思いました。

宮崎:スタートアップは、世の中の動きや日々変化するビジネスのトレンドに敏感です。私自身、さまざまなスタートアップとお話しさせていただいていますが、非常に勉強になります。企業の規模は関係なく、お互いに学ばせていただいている認識を持つのは重要です。

井本:スタートアップが大手さんとコラボする場合、自社のサービスに自信を持っていることが絶対の成功条件です。しっかりと有用性をアピールし、柔軟に対応することを心がけていればおのずと成功するのではないでしょうか。今回あいおいニッセイ同和さんとのコラボがそうであったように、当初の目的とは違う部分で横展開できることもあります。まずは小さく試し、形にして、小さな信頼を積み重ねていくことが大切だと思います。

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