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水曜日, 6月 23, 2021

オープンイノベーション加速へ向け キヤノンMJが社内で大規模報告会

キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は2016年4月からに開始したCreww(クルー)のオープンイノベーションプログラムについて、コラボレーションを予定するスタートアップ3社を招き、自社とグループの社員向けに進捗状況の報告会を8月4日に行いました。当日はキヤノンMJの品川本社に約60名が集まったほか、全国のグループ社員にもライブ中継を実施。スタートアップとの共同展開を見据え、熱心に耳を傾ける姿が見られました。

スタートアップ67社から応募を集める!

キヤノンMJの品川本社には同社社員やグループ社員ら約60名が集まった

「製品販売を超えた価値創造を」とのテーマで2016年4月に始まったキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)によるCreww(クルー)のオープンイノベーションプログラムでは、予想を大きく超える数のスタートアップから応募が集まりました。

夕方18時前から始まった社内向けの説明会では、キヤノンMJでスタートアップとの窓口となっている総合企画本部経営戦略部部長の横坂一さんが「エントリーいただいた数十社の中から、6社がプレゼンテーションに進み、現在は3社とプロジェクト化を進めている最中」という現状とともに、これまでの経緯を丁寧に説明しました。

続いてCrewwの担当者である李東徹が登壇し、世界におけるオープンイノベーションの動向を解説。そのうえで、キヤノンMJが行ってきた取り組みについて「各カンパニーからメンバーが集まり、オープンイノベーションのチームを結成したケースは非常にめずらしい」と紹介しました。

「EOS」とビジネス動画ソリューション

フレイ・スリーの石田貢CEO

キヤノンMJと取り組みを始めているスタートアップのなかで、最初に登壇したのは、3ステップで簡単にビジネス動画を作成できるソリューション「1Roll for Business(ワンロール・フォー・ビジネス)」が話題を集める株式会社フレイ・スリー(Hurray3、東京都港区)の石田貢代表取締役CEOです。

フレイ・スリーは、 CMの映像制作を軸とした事業を展開するピラミッドフィルムグループから2012年に生まれたスタートアップ。“短時間映像のプロ”として蓄積したノウハウを応用し、誰もが手軽にプロの動画を作成できるサービスを展開しているのが特徴です。

石田CEOは「1Roll for Businessでは不動産や人材採用、教育、eコマースなど、業種ごとに500を超えるテンプレートを用意しており、自社で簡単に動画作成ができることから、様々な業種で導入が増えている」と紹介しました。

動画撮影デバイスを取り扱うキヤノンMJとの相性は良好で、今後はそれらのデバイスと1Roll for Business との連携も見据えながら、法人顧客における動画作成ニーズを開拓していく計画です。

IoT時代ならではのサービスと連携

Z-Worksの小川誠社長

続いてプレゼンテーションに臨んだ株式会社Z-Works (ジーワークス、東京都新宿区)の小川誠代表取締役社長は、「IoT(アイオーティー=Internet of Things)」と呼ばれる“モノのインターネット”時代の進展を見据え、様々なセンサーを活用した家庭向け「スマートホームIoT」の各種サービスを紹介しました。

同社の特徴は多種多様なセンサーを連携させるクラウド型のIoT基盤を提供していること。センサーを通じてデータをクラウド上に集めて解析し、スマートフォン(スマホ)上からのデータ閲覧や遠隔操作などを可能としています。

「こうしたIoT技術を活用することで“頑張らずとも続けられる介護”が実現できる」と小川社長は言います。その一つとして、同社が開発した「LiveConnect(ライブコネクト)」を紹介。リアルタイムで家の状態が確認できたり、生活の不安を解消したりできる機能を備えたアプリで、介護時の見守りサービスへの活用が期待されています。

このほか、部屋の鍵や管理への展開も容易なため、一般の民家を宿泊場所として活用する“民泊”や不動産業界などに展開することも視野に入れているといいます。今後、介護分野を中心として、キヤノンMJグループと幅広い分野での連携が期待できそうです。

法人市場でニーズが広がる音声認識

Hmcommの三本幸司社長

3社目として登壇したのはHmcomm(エイチエムコム)株式会社(東京港区)の三本幸司社長。動画・音声コンテンツをアップロードするだけで、自動的に音声を文字データ化する法人向けの音声認識サービス「The Voice JP」を紹介しました。

同社は国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)で開発された技術の移転を受けた「産総研技術移転ベンチャー企業」として知られています。

「音声認識の市場は大幅な拡大が予想される」と話す三本社長。同社の特徴は、AI(人工知能)をとりいれた音声認識プラットフォームを構築していることです。自然な発話での音声認識を実現する音響学習技術をはじめ、社内データやインターネット上のテキストデータから最新用語や話題の学習を行うことで、日々認識機能が進化し続けていくため、ビジネス現場で活用するうえでも大きな強みとなりそうです。

現在、キヤノンMJとのPOCが実施されており、キヤノンデバイスとの連携ソリューションなど、ビジネスシーンへの応用を検討しています。

大手企業の事例紹介や本音での議論も

NTTデータの残間光太朗さん

今回の社内向け説明会では、協業を予定するスタートアップの紹介だけでなく、大企業でオープンイノベーションに取り組んでいる事例として、NTTデータからイノベーション推進部オープンイノベーション事業創発室長の残間光太朗さんを招きました。

残間さんはNTTデータでオープンイノベーションを推し進める一環として、「豊洲の港から」という定期イベントを企画したことでも知られています。これまでの経緯や知見を紹介するとともに、「さまざまな人々を巻き込んで、日本から世界を変えるソリューションを生み出したい」という目標や意義を熱く語りました。

その後、登壇したスタートアップ3社と残間さん、キヤノンMJで新規事業の創造・推進を担当する総合企画本部経営戦略部新規ビジネス推進課課長野間隆運さん、司会としてCreww担当者の李をまじえた6人で「事業創造の取り組み」をテーマにパネルディスカッションも開催。起業の経緯や、スタートアップ企業と大企業の協業のあり方など、時に本音の話も飛び出す白熱した議論が交わされました。

キヤノンMJの野間隆運さん

キヤノンMJの野間さんは、「オープンイノベーションを行うまでに2年間の時間を要し、これからもハードルは出てくると思うが、何とか乗り越えていきたい」と宣言し、会場に集まった社員やグループ企業の社員に対し「ぜひ輪のなかに入って、応援してほしい」と語りかけ、オープンイノベーションの成功へ向けてさらに多くの社員を巻き込む意欲を見せていました。

執筆
INNOVATIVE PORT編集部 
「INNOVATIVE PORT」はCreww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。
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