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土曜日, 10月 23, 2021

農業の未来はアグリテックが創る。世界ではユニコーン企業が、日本ではスタートアップ支援も

世界の人口増による食糧問題や日本の農業を担う人手不足といった、食や農業に関する課題に対する解決策として期待されているアグリテック。今後世界でも日本でも大きな成長が期待されている分野です。この記事では世界と日本のアグリテック事情と、政府によるアグリテック支援について紹介していきます。
目次
・アグリテック(AgriTech)とは
・日本版アグリテック「スマート農業」とは
・日本のアグリテック事情
・アグリテックから目が離せない

アグリテック(AgriTech)とは

アグリテックとは農業の Agriculture と技術の Technology の頭を組み合わせた新しい言葉です。これまで人手で行われていた作業や生産管理、流通の過程などにテクノロジーを活用して農業の効率化を図ることを指します。

アグリテックを活用することで、これまでよりも少ない人手、用地、時間といった資源でこれまでよりも大きなリターンが得られると期待されています。

具体的には、人手不足の解消、後継者へのノウハウの継承、少ない用地での都市型農業、農業従事者の働き方改革といった効果が見込まれています。

テクノロジーの数だけあるアグリテックの種類

アグリテックに利用するテクノロジーの代表的な例としてIoTやAI、ドローンやロボットといった技術の活用が挙げられます。畑の作物の収穫するタイミングを学習し収穫するロボットや、作物の日射量や水分量を把握し最適なタイミングで肥料や水を供給するAIシステム、遠隔でスマートフォンやタブレットを使い飼育する牛の品種や出生日、体調、病歴など個別の情報と状態を確認できる管理システム、垂直に伸びるビルで少ない土地で多くの作付けを行う植物工場などがすでに実用化されています。

「農業×〇〇」というように〇〇に入るテクノロジーの数だけ、アグリテックの種類は広がっていきます。

世界ではユニコーン企業も誕生

アメリカのスタートアップ企業インディゴ・アグリカルチャー社はアグリテックによりユニコーン企業の仲間入りを果たしました。インディゴ・カルチャー社は作物の種に作物が育ちやすくなる微生物を付着させることで、生産効率を上げる技術を開発したほか、生産物の販売や流通をシステム化するサービスを提供しています。

世界人口の増加により見込まれている食利用問題に対する解決策となるとの期待が、投資家からの投資の額に表れていると言えます。

アジアのアグリテック

農業大国インドネシアでは Limakilo 社というスタートアップ企業が、生産者と小売業者をダイレクトに繋ぐプラットフォームを開発しました。これまでインドネシアの農業では仲買人の手数料搾取により、農家は十分な利益を得られないという構造がありました。

しかし同社のプラットフォームによって農家にとって不要な手数料が省け、労働環境や生活水準を改善されるということが実現されています。

ミャンマーの BioCarbon Engineering 社も林業のアグリテックのスタートアップとして存在感を発揮しています。同社はドローンによって植樹する技術を開発しました。ドローンで地形や地質を調査・解析し、植樹に適した土地を見つけて、ドローンから種子ポッドを発射し植樹するという技術です。

この技術で1日10万本の植樹が可能とされています。これにより、植樹にかけていた時間をすでに生えている木の手入れにかけることができるようになり生産性が向上しています。

日本版アグリテック「スマート農業」とは

「スマート農業」とは農林水産省が管轄する、アグリテックを支援する施策です。AIやIoT、ロボットなどの先端技術をスマート技術と呼び、その技術を農業に導入するための技術開発や農業への実装を支援しています。

スタートアップを支援する補助金も

農林水産省は「スマート農業総合推進対策事業費補助金」という、アグリテック導入のための経費に対する補助を行っています。自走するロボット農機を活用するための「ロボット技術安全性確保策検討事業」、土壌の調査・分析データを活用し生産量の向上を目指す「データ駆動型土づくり推進事業」、スマート技術を活用した温室園芸を支援する「スマートグリーンハウス先駆的開拓推進事業」などが用意されています。

また食品や農林水産の分野で新たな技術やサービスを開発するスタートアップを対象とした「スタートアップへの総合的支援」という施策も用意されています。この施策では研究開発から事業化までの支援が受けられます。

スマート農業のためのマッチングを支援

農林水産省は「『スマート農業新サービス創出』プラットフォーム」と名付けた、スマート農業のためのマッチング支援を行っています。産学官の連携によるオープンイノベーションを進めるため、農業や食品だけではなく、電器や機械の製造業、化学工業など様々な分野の生産と研究、事業化に関わる企業や個人がマッチングする場として「『知』の集積と活用の場産学官連携協議会」を組織しています。

地方自治体もスマート農業を支援

スマート農業に対して独自の支援策を打ち出している地方自治体もあります。より地域の特色や課題に対応した解決策を開発する目的があります。興味のある自治体のホームぺージなどから、同行をチェックしておくと良いかもしれません。

日本のアグリテック事情

あるマーケティングリサーチ機関の調査によると、2018年の日本のアグリテックの市場規模は約700億円と言われています。現在、アグリテックに参入している企業は、まだ大企業が多いようですが国による施策や世界的な傾向からも、今後はスタートアップの参入が増えていくことが予想されています。

市場規模の見通し

日本のアグリテック市場は2030年には1,000億円を突破するという試算もされています。これは2018年に比べて53.9%増の見込みです。日本においても今後見込まれている農業用ドローンの開発やDXの導入、生物工学との融合によって、アグリテック市場はますます活性化していくでしょう。

成長が見込まれる理由

日本でアグリテックの成長が見込まれている社会的な背景として、農業を担う人材の高齢化と後継者不足、食料自給率の低さという、長らく抱えてきた課題があります。アグリテックはこのような課題の解決策として大きな期待を寄せられています。

スタートアップや投資家にとってもビジネスチャンスとなりうる余白が十分に残されているということではないでしょうか。

アグリテックから目が離せない

ここまで、世界と日本のアグリテック事情と、政府によるアグリテック支援について紹介してきました。世界ではSDGsの潮流もありアグリテック企業が大きな影響力を持つ存在になりつつあります。

日本においてはまだ遅れをとっている状況ではありますが、国による後押しもあり市場の成長が見込まれています。アグリテックから目を離さずその動向を注視していきましょう。

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