12.8 C
Japan
水曜日, 11月 30, 2022

コラボ先へのメリット提示が重要 IR情報も活用して課題を見つける

株式会社Warrantee(ワランティ) 代表取締役 庄野裕介

電化製品などの保証書をスマホのカメラで撮影すると電子化され、保証期間などの管理ができるサービス「Warrantee」を2014年3月に開始した株式会社Warrantee(大阪市中央区)は、Crewwへの参加後、大手企業とのコラボレーションを相次いで決めている注目のスタートアップ。他に例を見ないユニークなビジネスモデルと、コラボを成功させるためのポイントを庄野裕介氏に聞いた。
※この記事は、2015年12月15日、Crewwmagazineにて公開された記事を転載しています。

保証書の電子化・管理サービスが持つ広がりと有望性

― 庄野社長は京都大学で理系の学部から経済学部に転部し、卒業後にすぐ起業するというめずらしい経歴をお持ちです

元々は研究者を目指して入学したのですが、「自分には研究職は向いていない」と感じ、4年生の時に経済学部へ移っています。結局、大学へは計6年間行ったことになりますね……。

経済学部で出会ったゼミの先生がセブン・イレブンチェーンのPOSシステム開発に深く関わっていて、ここでITの重要性を認識させられることになりました。卒業後は大手のシステムインテグレーター(SIer=エスアイアー=企業システムの構築・運用会社)に内定をいただいたので、そこへ就職してITエンジニアの修行をするつもりでした。

― ところが起業に踏み切ってしまう

大学卒業の間際に大阪市が主催する米国シリコンバレーツアーがあり、ここに参加したことがきっかけです。グーグルなどの名だたるIT企業を見学できただけでなく、現地では短時間のプレゼンも行えたのですが、ここで保証証を電子化するビジネスを提案したところ、出資が決まりました。内定していた大手SIerさんには申し訳ない気持ちでしたが、起業を決断し、現在にいたっています。

― そして、大学卒業後の2013年4月に大阪で起業することになります

出身は東京なのですが、大阪市内のほうがエンジニアを採用しやすいとの思いがあり、現在は関西一の金融街である北浜にオフィスを置いています。ただ、今はどうしても首都圏へ出張する機会が多いですね。

― 事業の柱である「Warrantee」はどのようなサービスですか

無料アプリをダウンロードし、スマホのカメラで保証書や購入時のレシートなどを撮影すると電子化され、各製品の保証期間などを容易に管理ができるようになるサービスです。紙の保証書ですと、いつの間にか紛失するなどして必要な時に見つからず、保証を受けられないことがあります。電子化しておくことで、保管の手間を大幅に減らすことができます。

また、登録した製品の説明書が閲覧できたり、アプリ上から簡単にメーカーへ修理依頼することも可能です。サポートセンターへ電話をかけたり、購入店へ持ち込む必要がなくなります。

将来的には電化製品の売却サポートや、家電の処分時に回収の申し込みができるようなサービスも予定しています。

―  Warranteeのビジネスモデルを教えてください

ユーザからお金をいただくことはありませんので、電化製品メーカーやIT関連サービスを行っている企業とのビジネスが中心となります。電化製品の保証書を通じ、ユーザの購入履歴や嗜好が分かりますし、メーカーの正規修理へ繋げることもできます。買い替え時期になると、メーカーから適切な案内を行うということも考えられます。

Warranteeでは、保証書だけでなく、契約書の電子化と管理できますので、たとえば携帯電話契約の更新月に、MVNO(格安スマホ)を案内する、といったことも可能です。単に保証書や契約書を電子化するだけではなく、製品の「アフターサポートにおけるプラットフォーム」を目指していますので、さまざまな形のビジネスに発展させていけると考えています。企業の方々にはCRMツールとして使っていただく、というイメージです。

― そうした高い可能性が評価され、Crewwでは次々とコラボを成立させていますね

以前、大阪市で開かれたあるピッチに参加したところ、Crewwの伊地知天(いじちそらと)さんが審査員をつとめており、それがきっかけで登録しました。大変ありがたいことに、これまで5社のコラボに応募しましたが、このうち3〜4社から引き合いをいただいています。CRMという部分で評価されているのかもしれません。

― すごい確率です。大手企業に採択されやすくするコツか何かがあるのですか?

コツというわけではないのですが、コラボ先の大手企業に利益をもたらせそうにない場合は応募をしていません。必ず先方のメリットを提示できるように努力しました。

とはいえ、まだまだ小さな組織ですので、できることには限りがあります。背伸びして先方に迷惑をかけることがないようには心がけています。先方企業が抱えている課題は調べる方法としては、上場企業の場合は、IR(インベスター・リレーションズ=投資家向け)情報に掲載されているケースが多くありますので、必ず読むようにしています。特に決算説明資料には大きなヒントが隠されているんです。

― これまでコラボに応募してきたなかで、感じたことはありましたか

やはり組織が大きい企業の場合は、少し動きが遅いと感じることもありましたが、今は慣れたこともあり、「当たり前」と理解できるようになりました。それよりも、先方企業内で明確な目標設定や課題意識が共有されていない場合は、どうやって提案すればいいのか迷うことがありますので、方向性を示していただけるとありがたいです。

ただ、Crewwに参加しておられる大手企業のほぼすべてが、スタートアップのサービスを導入したいとの姿勢が強いので、非常にやりやすいと感じています。また、最初のやり取りはチャットやメールが中心ですので、大阪にいても苦労することがないのはいいですね。その後、実際に先方企業とお会いできると、議論がふくらみますので、新しいことが生まれやすくなります。

― Crewwに参加しているスタートアップのみなさんにアドバイスをお願いいたします

我々はクックパッドから投資を受けていますが、「料理レシピ」と「保証書の電子化」とは一見すると関係が薄いように思えます。しかし、料理には家電が必要だ、と考えれば関連性が見えてきます。近い業界よりも、遠い業界との組み合わせの方が、意外性のあるコラボが可能となり、かえって
上手くいくのではないかと思っています。

― ありがとうございました

取材先 : 株式会社 Warrantee   http://www.warrantee.jp

Facebook コメント
PORT編集部https://port.creww.me/
PORT by Crewwは、Creww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。
- Advertisment -
- Advertisment -

Featured

関東近郊2万坪の土地 × スタートアップで、今までにない斬新な “場” を作りたい|Gulliverが挑む!

【オープンイノベーションインタビュー】中古車売買でお馴染みの「Gulliver」を運営する株式会社IDOMが、2022年10月24日から「Gulliver アクセラレータープログラム2022」を実施。新しい購買体験の提供と、生活を彩るクルマの価値を創造する新しいコンセプト店舗の開発をテーマに、関東近郊に2万坪の土地を用意し、スタートアップの皆さんと一緒に新しい場づくりに取り組みたいという。具体的に、どのような構想を描いているのか。株式会社IDOMの経営戦略室チームリーダー、三樹教生氏に話を伺った。 #Gulliver #IDOM #スタートアップ #アクセラレータープログラム #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

スタートアップ募集!【豊富な開発技術力 × デミング賞大賞の社内風土】モノづくりメーカーのOTICSに、今求めるパートナーを聞く

【オープンイノベーションインタビュー】高出力・低燃費・低エミッション化などの要求に対し、積極的な技術提案と高精度な品質で応えるOTICS(オティックス)の自動車部品は、多くの車種で採用されています。一方で、120以上の国と地域が目標に掲げる「2050年カーボンニュートラル」に向け「脱炭素化」の企業経営に取り組むOTICSは、初めてのアクセラレータープログラムを開催。豊富な開発経験と生産技術力を活かせる協業案、自然環境保全や社会・地域に貢献できるアイデア等をスタートアップから広く募集します。デミング賞大賞も受賞したOTICSの社風、アクセラレータープログラムの開催に至った背景や、募集ページだけでは伝わらない魅力、プログラムに関わる方々の想いを、株式会社オティックス 経営管理本部TQM経営戦略室 係長 奥村守氏に話を伺いました。 #OTICS #自動車 #カーボンニュートラル #アクセラレータープログラム #協業 #スタートアップ #デミング賞 #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

OPA × somete の挑戦|「まちクロッ」でファッションロス問題の解決を目指す!

【Creww Growth活用協業事例インタビュー】金沢フォーラス、キャナルシティオーパ、横浜ビブレなど、OPA・VIVRE・FORUSの3ブランドを主軸に、都市型商業施設の開発運営を行う株式会社OPA。そんな同社は2021年、「OPAアクセラレータプログラム2021」を実施し、地域と連携したファッションロス削減に取り組むsometeとの協業をスタートさせた。OPAとsometeは具体的にどのような実証実験を重ねているのか。株式会社OPA 事業創造部 新業態開発チームの安達有美氏と、someteを運営する株式会社Play Blue代表の青野祐治氏に話を伺った。 #OPA #somete #オープンイノベーション #活用協業事例インタビュー #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

【空間ID × スタートアップの着想】デジタルツイン社会実装への挑戦

【オープンイノベーションインタビュー】現実世界をデジタル空間に複製する絶対的な技術を持つダイナミックマップ基盤株式会社は、「cm」級の高精度3次元データを有し、モビリティの自動走行において要となる同社のプロダクトは、既にグローバルに展開されています。今般、デジタル庁の肝煎り案件となるアクセラレータープログラムを開催。リアル/サイバー両空間を組み合わせたユースケースの創出に向け、「空間ID」を活用した共創案を募集します。ダイナミックマップ基盤株式会社 第二事業部 事業開発2課 課長 兼 空間IDプロジェクトPMOの望月洋二氏に話を伺った。 #ダイナミックマップ基盤 #デジタルツイン #空間ID #デジタル庁 #ミラーワールド #アクセラレータープログラム #共創 #Creww #大挑戦時代をつくる
Facebook コメント