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金曜日, 10月 22, 2021

大企業と一緒に同じスピード感で何かを生み出せるのが魅力

スマホでレシートを撮影するだけで内容を読み取ってくれる全自動の家計簿アプリ「Dr.Wallet(ドクターウォレット)」で知られるのが株式会社BearTail(ベアテイル、東京都千代田区)です。筑波大学発のエンジニア集団として2012年6月の創業以来、社会の道しるべとなるような斬新サービスを相次ぎ発表してきました。一方でCreww(クルー)が大手企業とのコラボレーションマッチングを開始した当初から参加しており、既に日本を代表する大手新聞社とのコラボも決定しています。BearTailの黒﨑賢一社長に事業の展望や、大手企業とのコラボのあり方について話を伺いました。
※この記事は、2015年12月10日、creww magagineにて公開された記事を転載しています。 

大学3年生で起業、全自動の家計簿アプリを開発

―もともと黒崎社長はIT系のメディアでライターをされていたそうですね

高校生の頃からソフトバンク系のメディアで、ウイルスソフトの紹介記事などIT関連の内容を書かせていただいていました。ライターのアルバイトを通じてまとまったお金が貯まったので、卒業旅行でインドへ行ったのですが、そこで少し価値観が変わりました。

インドの人々は1日数百円のお金で懸命に暮らしていますが、私はといえば、自分で稼いだお金とはいえ、高校生の身分なのにそれなりの収入があり、不自由もなく暮らしています。「こんなぬるま湯の中にいて大丈夫だろうか。本気で働かなければ」と感じ、これが後の起業に繋がったのかもしれません。

―筑波大学への進学後は何か変化がありましたか

良いのか悪いのかは分かりませんが、勉学よりもライター業によりのめり込みました。自分の書いた記事が無数の人に読まれ、多くの人に影響を与えるという仕事に魅了され、1日に10本くらい記事を書いていたことさえありました。そのため、学業には目を向けていられないという弊害はありましたが……(苦笑)

―そして大学3年生の時に起業に踏み切ります

取材して記事を書いているのはもちろん楽しいのですが、いつしか「紹介する側」ではなく、「紹介される側」になりたいと思ったことが一つのきっかけです。8畳しかない私のアパートに同級生4人が集まって会社を立ち上げました。“オンライン墓地”とか、筑波大学周辺の情報マッチングサイトとかECの最安値自動購入サービスとか、とにかく色んなサービスを立ち上げましたね。

―さまざまなサービスを立ち上げたなかで、家計簿アプリ「Dr.Wallet(ドクターウォレット)」が生まれたのですね

それぞれのサービスを運営するなかで、解決しがたい課題も見えてきました。たとえば、各ECサイトの最安値を自動で探し出して購入するサービスの場合、人によっては最安値よりも最速で届けてくれことを望む場合もありますし、保証が充実している店の方がいいという人もいるでしょう。個々人に応じた最適化が難しかったのです。

ただ、こうしたサービスの開発を通じて「買物が人生を変える、モノによって人生が変わるのではないか」という思いが生まれ、“購買”に焦点を絞ったサービスを考えた末、購買を管理する「家計簿」という形に行きつきました。2012年ごろから開発をはじめ、実際にリリースできたのは2013年です。

―現在、多くの家計簿アプリが登場していますが、Dr.Walletはどう差別化を図ってきたのでしょうか

スマートフォン(スマホ)のカメラでレシートを撮ればデータ化ができる、という点では同じですが、われわれが開発したDr.Walletは、裏側でオペレーターがすべて手入力しているのが特徴です。OCR(光学文字認識)でデータ化するケースと比べ、ほぼ間違いはないですね。手入力している家計簿アプリは日本で初めてです。

現在、全国2500人ほどのオペレーターを確保しており、クラウドソーシング的に働いてもらっています。ユーザのみなさんには正確な入力という面を高く評価いただいているためか、アプリの継続利用率が非常に高く、ある調査ではトップになりました。

―Dr.Walletは120万ダウンロードを誇るアプリに育ちましたが、ビジネス(マネタイズ)面での展望を聞かせてください

これまでの2年間は、アプリをより良くすることだけにひたすら注力してきましたので、本格的なマネタイズは来年から取り組む予定です。機能を強化した有料版を設定するなどの「フリーミアムモデル」はもちろんですが、一方で広告モデルも見込んでいます。

たとえば、利用者が特定の商品を購入した場合は、レシートによって分かりますので、キャッシュバックキャンペーンを行ったり、クーポン券を出したりして、店舗への送客や販売促進を行うといったビジネス向け(BtoB)の事業を考えており、これは既に試行しています。

―そんななか、Creww(クルー)に参加したのはどんなきっかけだったのですか

2年ほど前、弊社に出資いただいているベンチャーキャピタルの方に「参加してみては」と勧めていただきました。Crewwが始まって間もない頃ですので、ある意味で今では“古参”かもしれませんね(笑)

―Crewwで活動したなかで感じたことはありましたか

最初は「大企業の人に会ってみたい」という単純な動機があったのですが、とにかく前向きな話をできるのが非常にいいですね。担当者の方もスピード感があって新しい何かが生まれやすい雰囲気がありますし、プレゼンテーションの時以外はオンラインで完結するのも効率的で気に入っているところです。

あと、Creww自体はマッチングプラットフォームとして黒子に徹していますが、実に良い仕組みなのですから、ベンチャー企業としてもっと目立ってもいいのでは、ということは感じています。

―既に大手新聞社とのコラボレーションが決まっています

先方にプレゼンした時は、幹部の方の多数いらっしゃったのでさすがに緊張しましたが、普段はピッチ(短時間プレゼン)ばかりだったので、Crewwのプレゼンでは担当者の方から具体的で適切なアドバイスをいただけるのは非常にありがたかったですね。

16社が参加したなかで、コラボ先として選んでいただけたのは素直に嬉しかったです。

―これからCrewwに参加したり、コラボにエントリーするスタートアップへのアドバイスをお願いします

スタートアップですから、自らが目指す方向性や夢はしっかりと持つのは当然ですが、“我が道を行く”という姿勢ばかりではなく、コラボ先の企業が何をやりたいのか、優先度が高い分野はどこなのかをきちんと理解し、そこに合った提案を行うことが大事なのではないでしょうか。そのため、先方の担当者とよく話し合いながら提案に落とし込んでいく作業は不可欠です。

大企業とのコラボということで、そのインフラを使った壮大な事業提案をしたくなる気持ちは分かりますが、相手側も大きなリスクを背負うことになるため、慎重にならざるを得ません。まずはスモールスタートでのコラボを提案し、それが上手くいったら次のステップに、という考え方も持っていただけたらと思っています。

執筆
PORT編集部 
「PORT」はCreww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。
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