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火曜日, 11月 29, 2022

新規事業創出の手法、オープンイノベーションが向いている会社と向いていない会社の違いとは

新規事業を創出する手法の一つである「オープンイノベーション」は、テクノロジーの進化や多様化する消費者のニーズを捉え、急速な変革を求められる現代の企業にとって、注目の手段です。既存のクローズドイノベーションに比べ、互いが既に持ち合わせているリソースを早速に活かし合うオープンイノベーションは、企業の垣根を超えた挑戦であると同時に、今、あるいは将来、社会が求める価値そのものを創出する可能性に満ちています。そのスピード感と創造性は、オープンイノベーションの魅力の一つではないでしょうか。オープンイノベーションへの取り組みが一般的となった今、はたして“オープンイノベーションに向いている会社”とは一。オープンイノベーションプログラム開催実績 業界No.1のCreww株式会社の木村太一氏とフォースタートアップス株式会社 アクセラレーション本部Public affairs戦略室 小田健博氏にお話を伺いました。

<目次>
今!なぜオープンイノベーションが必要なのか
オープンイノベーションの“いいところ”とは?!
どこが違う?!スタートアップとのオープンイノベーション
大企業じゃないと選ばれない?オープンイノベーションにおける優良なリソースって何?
具体的に教えて!受発注に留まらない共創関係はあるの?
マインドが大事!オープンイノベーションに向いている会社と、向いていない会社
向いている会社にしたい!オペレーションの方法は?
お心当たりは!?オープンイノベーションに向かない会社とは?
これがオープンイノベーション向きの会社!

今!なぜオープンイノベーションが必要なのか

現代において、「オープンイノベーション」という手法は、なぜ求められているのでしょうか。

小田:はい。一時期は、オープンイノベーションをすること自体が目的になってしまっていた時代もありましたが、最近ではオープンイノベーションという考え方が世の中に浸透し、「DXの為にオープンイノベーションを使う」など、目的意識をもった企業が増えてきました。
オープンイノベーションにおいて一番重要なことは、それを通じて何をするのかだと思います。オープンイノベーションという考え方をもって、新規事業の創出・DX・ICTに取り組むことが非常に重要だと思っています。

オープンイノベーションの“いいところ”とは

小田:オープンイノベーションの良いところは、自分達では考え付かなかったことも、外部と組むことで実現できる可能性があるということです。また、オープンイノベーションをすることで、既存事業に対する取り組みのスタンスも変わります。自前主義では、開発に10年かかっていたものが、オープンイノベーションを活かせば5年位で新しい取り組みにチャレンジし、マーケットに出すことができる。新規事業を創出する為の一つの手段として、オープンイノベーションは非常に有効であると言えます。

どこ違う?!スタートアップとのオープンイノベーション

ー世の中の流れが非常に高速な今、それに追いつくためにオープンイノベーションという手段は有効なのですね。そういった意味でも、大企業同士ではなくスタートアップと組む意義はあるのでしょうか。

小田:
一般企業とスタートアップではステージが異なりますので、一概には言えませんが、スタートアップの事業の作り方は、基本的にはプロダクトアウトではなくマーケットイン。「世の中の課題を見つけ、解決することで変えていこう」「解決した価値で、事業を作っていこう」という方が多いです。これまでに日本の企業が事業を作ってきたのとは異なる開発の方法や、スピード感を持っていると思います。そういう意味では、一緒に事業や産業を作ってく際には、本当に優良なパートナーになり得るのではないでしょうか。

大手企業であれば、自分達でスタートアップと同じ様に事業を作っていくこともできると思いますが、一から作るには、時間もコストもかかります。本当に“いいものを早く、自分達で創る方法”としては、既にいいものを持っているスタートアップと一緒に取り組む。かつ相手側の持っていないリソースを自分達が持っていたら、そのリソースを、提供ではなく共有することが出来れば、一緒に事業を発展させるいい形=オープンイノベーションとなるのではないでしょうか。

大企業じゃないと選ばれない!?オープンイノベーションにおける優良なリソースって何?

ー「協業は、大・中・小規模に限らず実施できるものなのでしょうか。」という質問も届いております。

小田:スタートアップではない企業側の規模という意味ですよね?当然スタートアップからすると、組む必要性がなければ組みません。組む理由には、自分達がアクセスできない様なマーケット、あるいはPOCのフィールドなど、「一緒に組むことによって自分達の成長を最大化できるかどうか」「社会にインパクトを与えられるかどうか」がポイントになると思います。

例えば、センサーをつくる技術や、センサーを通じたAIの解析技術はあっても、それを搭載するデバイスや量産する技術がない場合、そこに強みを持つ中・小企業には、十分に協業相手として選ばれる理由があります。“自分達にしか相手に共有できない価値”を盛り込めるかどうかが非常に重要であり、意外と規模は関係ないと思います。

ー私も、名の知れた大企業もあれば、地方の製造メーカーなどの案件も取り扱っておりますが、中・小企業様も、地方ならではの製造設備や技術のノウハウ等、大企業に負けないリソースを抱えていらっしゃいます。それに対してスタートアップ様の技術やビジネスモデルを掛け合わせる取り組みが見受けられている所です。

具体的に教えて!受発注に留まらない共創関係はあるの?

小田:はい。愛知県で製造業を営む中・小企業様の事例です。プロトタイプを作る30人位の会社で、県のプログラムを通じたスタートアップとの協業を望んでおられました。始めは企業の規模に不安がありましたが、スタートアップは興味を持ってくれました。スタートアップにとっては、会社の規模よりも、協業先の業界やネットワークが大きいわけです。
一方で、ものづくりの会社にとっては、「職人さんの高い技術を会社の資産として残しにくい」という問題がありました。そこで、VRのグラスとVRのソフトを扱うスタートアップと3社で、技術継承のVRを創り、それをサービスとして同じ様な課題を持つ企業に向け、横展開したといった事例があります。

受発注だとは思い込まずに、「自分達の価値を一度違った角度から見てもらうこと」。事業化は難しくても、小さくスモールテストをするスタンスでいると、上手くマッチする企業から協業のお話があるはずだと思います。一緒に創っていくマインドを持つことが大事です。

マインドが大事!オープンイノベーションに向いている会社と、向いていない会社

ーずばり「オープンイノベーションに向いている会社」とは、どんな組織であるとお考えでしょうか。

小田:やはり会社としての指針・方向性が、しっかりある会社であると思います。マインドセットが出来ていないだけなら良いのですが、変わろうと思っていない企業様とは、オープンイノベーションができません。明確な出口がないまま、時間だけを使うのでは、双方にとってとても勿体ないことであるからです。

一方で、体制は整っていないものの「オープンイノベーションをやってみたい」という“想い”のある担当者様には、「どの様に上層部へプレゼンをすれば良いのか」また、立場が上の方であれば、「どう下にチームを組成するのか」などをご紹介することもあります。今はオープンイノベーションに向いていない会社も、どこかで向くタイミングがあるかもしれません。オープンイノベーションの起こりやすい組織風土を作り上げることが大事だと思っています。

会社の熱意・組織体制・どういった世界を実現していきたいのかというスコープが、オープンイノベーションに向いている会社の要素であると言えそうですね。

向いている会社にしたい!オペレーションの方法は?

「実際に、どのように社員を巻き込んでいくべきか」といった質問も来ております。組織の熱量を高める“仲間作り”という点については、どんなお考えですか?

小田:熱量だけあってもなかなか上手く行かないものです。ただ、熱量は伝播するはずなので、まずは熱量を持った方が、共感できそうな仲間を巻き込んで行って、チームを作り、会社としての承認を取ることが大事かなと思います。

また一見すると失敗であっても、良しとするような会社としての“許容度”も重要なのかなと。やりきる事=成功。最後までやり切ってみないと、本当にそれが良いのかどうかは分からないので、経営層は「やり切らせてあげるまでは口を出さない」といった懐の深さを見せてあげることも、一つの方法だと思います。

―POCまで進んだものの、部署を超えた共感や理解が得られず、社内のリソースを必要とする段階で躓かれる企業様もいらっしゃるようです。

木村:
社内の理解を得て実証実験をスムーズに進めるためには、事前の選考プロセスにおける取り組み内容や意義を、随時社内へ発信していただくようお勧めしております。また、プログラムを回す希望者を全社員から募る企業もあるようです。

小田:そうですね。新規事業を企画している方は、既存事業の事業部からすると“なにかやってるな”という感じでもあるらしいんですよね。でも、最終的には当然自分達の事業にも関連してくるべきですし、“なにかやってるな”の中にも“あ、いいな”と思っている方もいるはずです。POCをやる目的のためだけにリソースを貸して下さいというのではなく、POcの先にある資本提携等を見据え、情報を表に出して社内の気運を高めることが大事かもしれません。

お心当たりは!?オープンイノベーションに向かない会社とは?

木村:行く先にどういった社会を実現したいのかという目標値の設定がぼやけたまま、短期的な利益の創出にKPIを置かれている企業様が、成果が出ずオープンイノベーションプログラムを終わらせてしまった時には、勿体ないと感じることがあります。

小田:僕からも一つお伝えしますと「最終的に成否って人に紐づくな」と思っていて。トップの方にいくらやる気があっても、実際にオープンイノベーションを回す現場の方とで空気感があまりにも違い過ぎるのでは上手くいかないんですよね。現場の方が、そもそも何でやるのかを理解しないままでは、“やらされ感”が出て、自分で判断しなくなってしまうんです。

これがオープンイノベーション向きの会社!

小田:プログラムであれば、トップの方と事務局側の目線合わせというのが、やはり大事になってくるのかなと思います。そこさえ上手くいけば、ある程度の結果は出せる様なフォローアップはしますので、向いてる会社にする為には“目線合わせ”がすごく大事になってくるかと思います。

ーありがとうございます。ご視聴頂いた皆様にも貴重なお話となったことと思います。
小田さん、本日はありがとうございました!

ゲストスピーカー
小田 健博 氏 フォースタートアップス株式会社 アクセラレーション本部 Public affairs戦略室 
Web制作会社、映画会社、広告代理店の営業・プロデューサーとして日本や上海でコンテンツ企画制作や広告プロモーションを担当。2016年、creww株式会社に参加後はアクセラレータープログラムのディレクターとしてスタートアップと大手企業の新規事業創出やマッチング機会の創出に従事、またコワーキングスペースの事業責任者として様々な面からスタートアップ支援を行う。2019年度より愛知県の受託事業として、愛知県内企業とスタートアップとのオープンイノベーションを目的としたビジネスマッチング「Aichi Matching」を通じて数多くのオープンイノベーションによる事業創出を支援。2020年度はステーションAi早期支援拠点の統括マネージャーとしてインキュベーションプログラム、ビジネスプランコンテスト、コミュニティ構築を通じて、愛知県内のスタートアップ支援と愛知県内企業のオープンイノベーションを推進。2021年4月よりフォースタートアップスにジョイン。行政や自治体、事業会社とスタートアップ支援、起業支援、オープンイノベーション推進に取り組む。
モデレーター
木村 太一 氏 Creww株式会社 Open Innovation Dept. CS Team Manager
商社、総合系コンサルティングファームを経験した後、Crewwの挑戦者を応援するvisionに共感し、2020年よりジョイン。Crewwでは、カスタマーサクセスチームに所属し、新事業創出を狙う事業会社のサポートを実施。スタートアップと向き合うためのマインドセットや、新事業を創出するためのポイントを伝授し、共創プログラムの成功確度の向上に貢献している。
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ai taniuchi
2020年からPORT by Creww にてフリーランスライターとして活動中。
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