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金曜日, 3月 31, 2023

協業で新規事業をスタートするプロセスとは?オープンイノベーションのステージのステップアップ方法も解説

「オープンイノベーションで新規事業を進めたいが、どのようなプロセスで進めれば自社にとってメリットが大きくなるだろうか」。初めての外部との協業ではこのような悩みはよくある話です。違う文化を持つ者同士の協業なので当然の悩みかもしれません。
この記事では、初めてのオープンイノベーションを検討されている方にも分かるよう、協業で新規事業をスタートさせるプロセスと手法、自社におけるオープンイノベーションのステージをステップアップさせる方法について紹介していきます。
目次
・新規事業を進めるための6つのプロセスとは
・他社と協業する3つの手法と導入のタイミング
・オープンイノベーションのステージとステップアップの方法
・新規事業の継続でオープンイノベーションをステップアップ

新規事業を進めるための6つのプロセスとは

一般的に新規事業を進めるには次の6つのプロセスを循環させていくことになります。途中、課題が見つかりうまく行かなければ、課題の原因が生じているプロセスまで戻り、再度プロセスを進めていきましょう。協業相手ともこのプロセスについて共通の理解を持っておくことが必要です。

1.リサーチとアイデアの収集

マーケットの特徴や今後起こりえる変化についてリサーチを行います。特に「どれくらい数の消費者がどいて、どれくらいのお金が動くのか」といった市場性や「どんな人がどれくらいの対価であれば購入するのか」といった事業性をリサーチしましょう。

また、競合他社の動向や市場の成熟度合のリサーチも欠かせません。一通りのリサーチを終えたら、事業計画を立案していくためのヒト・モノ・カネに関するアイデアを収集します。

2.事業計画の立案

リサーチと収集したアイデアをもとに事業計画を立案します。事業のミッションを掲げ、どのような事業をどのような資源を活用して行うのか、事業を行う上で脅威となるものは何か、対抗手段は何か、といった内容を検討し立案していきましょう。

資金の調達で助成金を活用する場合や出資を受ける場合は、この段階での検討が重要です。

3.事業計画の評価

ビジネスとして成立しているか、市場規模と事業への投資が見合うかどうか、この企業がこの事業を行う価値は何かといったことを軸に、事業計画を評価します。ここで事業実施に至らなくとも、最初のリサーチにもどりリスタートを行いましょう。

4.資金の調達とメンバーの確保

事業計画で定義した必要なスキルを持ったメンバーを確保し、事業開始と当面の事業の運転に必要な資金を調達します。

5.開発、サービス化

ここから、本格的に経営資源の事業への投入が進んでいきます。事業を開始したら事業計画に沿いながら事業の収益化を目指しましょう。評価にも関連することですが、収益化しない場合の撤退要件も、あらかじめ定めて協業相手と確認しておくことが重要です。

6.評価

事業を進めながら、事業計画と実際の事業のギャップを常に把握・分析・評価し、必要なタイミングで改良や修正を加えましょう。改良や修正を加えるたびに、アイデア収集のプロセスまで戻りプロセスを循環させていきます。

他社と協業する3つの手法と導入のタイミング

オープンイノベーションの手法として代表的なものに「コーポレートアクセラレータプログラム」「M&A」「コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)」の3つがあります。それぞれ特徴に応じて新規事業へのプロセスのうちどのプロセスで導入するか、タイミングが異なります。自社の事業の性質や目的に最適なものを選択しましょう。

コーポレートアクセラレータプログラム

ノウハウのある大手企業や自治体がスタートアップ企業と協働して事業を創生する手法です。リサーチはスタートアップ企業が行い、事業計画のアイデアを収集するタイミングから協業を始めます。事業の種を持つスタートアップと事業化のノウハウや資金という資源を持つ大手企業が双方を補完しながら、事業を進めていくものです。

M&A

スタートアップ企業の買収や合併により、自社に足りない経営資源や立ち上げを行った事業そのものを自社に取り込む手法です。スタートアップ企業が資金調達を始めるタイミングで行います。スタートアップ企業からM&Aを行う企業への株式の譲渡のほか、株式の持ち合い合弁会社を立ち上げるという方法をとる場合もあるでしょう。

コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)

企業が自社の事業と相乗効果を生む可能性のあるスタートアップ企業に対して、自社の資金でファンドを作り、間接的に投資を行う手法です。M&Aが経営にまで入り込む手法であるのに対し、CVCは出資先の企業が持つ技術の活用のみを目的とする手法といえます。

この手法を取る場合は、新規事業を進めるプロセスのうちどのタイミングでも協業を開始することが可能です。ただし、スタートアップ企業側の視点に立つと、プロセスの後半に入ってから協業を始める方が体制が整っていることもあり、CVCを行う企業だけにうまみのある事業になることを防げるという見方もあるようです。

オープンイノベーションのステージとステップアップの方法

企業におけるオープンイノベーションの段階には、その成長度合いに応じて7つのステージがあります。

オープンイノベーションの7つのステージ

新規事業の目標設定は、新規事業の生まれた数ではなく、ステージのステップアップにおくことが必要です。

Stage.0 「現状に危機感はあるが、まだ何もしていない状態」
Stage.1 「情報収集等、共創の検討はしているが実施はしていない状態」
Stage.2 「外部の力を借りるなどして、共創を実施し始めた状態」
Stage.3 「経験やノウハウを元に、継続的に共創を実施している状態」
Stage.4 「自社独自で、戦略的に共創ができる状態」
Stage.5 「共創や出資まで自社独自で行える状態」
Stage.6 「新しいイノベーションが次々に生まれる仕組みが文化として根付いている状態」
Stage.7 「企業の枠を超えた社会的資源を生かした挑戦の主体となる状態」

こちらの記事でより詳しく紹介しています。
https://port.creww.me/innovation/61993

ステップアップする方法とは

新規事業のプロセスのサイクルを繰り返し循環させ、オープンイノベーションを継続的に行うことでステージをステップアップすることができます。一度オープンイノベーションで新規事業を行ったくらいでは、7つのステージではStage.2 のあたりで、イノベーションが生まれる風土とは言えません。

失敗を許容し失敗から学びながら挑戦を継続することで、イノベーションが次々に生まれる環境へとステップアップしていきます。

新規事業の継続でオープンイノベーションをステップアップ

この記事では、オープンイノベーションで新規事業をスタートさせるプロセスと手法、目標設定について紹介しました。

重要なことは、目標設定をオープンイノベーションのステージのステップアップに置いて、新規事業のプロセスを循環させていくことです。小さな新規事業で得た経験がもとになり、大きな事業へと成長していくこともあります。

オープンイノベーションによる新規事業を繰り返すことで、数多く起きる大きなイノベーションを目指してみてはいかがでしょうか。

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PORT編集部https://port.creww.me/
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