この記事では、リーンスタートアップの解説やオープンイノベーションとの関係を紹介します。新規事業の開発に携ることになった方、スタートアップを立ち上げ予定の方はぜひ参考にしてください。
リーンスタートアップとは

「効率的な、無駄のない(lean)」、「起業(start-up)」という意味からもわかるように、リーンスタートアップとは費用や時間、品質を最小限に抑えつつも最大限の成果を発揮させる手法です。ここではリーンスタートアップについて理解を深めていきましょう。
ビジネスシーンでムーブメントに
リーンスタートアップは米国マサチューセッツ工科大学の教授が日本のトヨタ自動車の生産方式を研究した上で体系化したリーン生産方式に由来します。その後、米国の起業家であるエリック・リースが自身の起業経験をもとにした著書「リーン・スタートアップ」を発表したことで、世界中のビジネスシーンでその考えが広まり実践されるようになりました。
リーンスタートアップの流れ
リーンスタートアップでは、構築、計測、学習、(再構築)というサイクルが短期間で繰り返されます。構築とは、アイディアが思いついた段階で実用最小限でまずは開発してみることです。
計測では、構築で出来上がった製品に対して顧客などがどのような反応をみせるかを確認します。計測した結果に基づき、どうすればより顧客に受け入れてもらえるかを考え、改善していくことが学習です。この段階で成功可能性が低いと判断すればできるだけ少ないコストで撤退することができます。
MVPがキーワード
リーンスタートアップではMVPがキーワードです。MVPとは、Minimum Viable Product(最小の実行可能な製品)の略称で、顧客に提供するために必要な最低限の機能を備えた試作品を意味します。
ムダなく最大限の成果を目指すリーンスタートアップだからこそ、完全形ではないものの、一定限の品質を備えたこの試作品が重要です。MVPを元に、顧客の反応を見極めながら完成形に近づけていきます。
リーンスタートアップで新規事業

では、実際に企業はリーンスタートアップでどのように新規事業を進めているのでしょうか。
新規事業立ち上げの流れ
SNSを代表するうちのひとつ、Instagramもリーンスタートアップが関連しています。実は、Instagramは当初位置情報を共有するサービスでした。
しかし、顧客からの反応が芳しくなかったため構築→計測→学習のプロセスを繰り返し、写真の共有機能に関するニーズを発掘します。そこで再構築した上で誕生したのが現在のInstagramのサービスです。
リーンスタートアップで新規事業を立ち上げる際には、まずはアイディアを元にMVPを開発し、その後顧客の反応を必ず分析するようにしてください。そして、最初のアイディアに固執するのではなく、発想の転換が必要にみえたら再構築してMVPを再度リリースすることがポイントです。
最近は課題も生じている
数々の優れたサービスの誕生に貢献したリーンスタートアップですが、最近では「時代遅れ」と表現する人もいます。理由のひとつがSNSの浸透です。
リーンスタートアップではいわゆる試供品(MVP)で潜在顧客の反応を知ることが重要ですが、その段階での失敗がSNSで広まるとネガティブなイメージがついてしまいます。むしろ、SNSの活用次第でより多くの人の意見を効率的に確認することができるのでリーンスタートアップはいまだに時代遅れの手法ではないはずですが、くれぐれもSNSとの向き合い方には注意してください。
オープンイノベーションとの関係性

では、どちらもスタートアップとの親和性が強い「リーンスタートアップ」と「オープンイノベーション」を結びつけることはできないのでしょうか。
オープンイノベーションの今
オープンイノベーションとは、企業が自社資源にのみ頼る今までのやり方と異なり、スタートアップや自治体、他業種・他企業のリソースを活用しながら開発を進める手法です。現在は、大企業がオーガナイザーとなり、ビッグデータを用いて産官学の連携を進めるオープンイノベーション3.0の段階にあるといわれています。
オープンイノベーションへの活用
オープンイノベーションは他のリソースを利用することから、自社にリソースが揃っていなくても開発することができるため、効率的という点でリーンスタートアップにも通ずるところがあります。さらに、オープンイノベーションでもリーンスタートアップの考え・プロセスでMVPをリリースすれば各社・団体が様々な実証結果を得ることができ、技術革新に役立つのではないでしょうか。
リーンスタートアップを活用していく

一部では時代遅れともいわれるリーンスタートアップですが、SNSを活用しつつ進めれば新規事業の立ち上げに役立ちます。オープンイノベーションに参加する企業・団体の中にはこの考えを取り入れてビジネスを進めていることも多いはずです。
新規事業の開発に携ることになった方、スタートアップ立ち上げを考えている方は、まずリーンスタートアップを活用することを検討してみてはいかがでしょうか。