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この度参加する企業は石鹸や洗剤、医薬品を手掛ける大手メーカー・ライオン株式会社と、日本の技術とデザインで新しい価値を生み出すオープンプラットフォームを運営する株式会社TRINUS。
現在ライオンが持つ2つの技術の活用コンセプトとデザインを一般公募する、新商品開発プロジェクトだ。プロジェクトの開始に先がけ、同企画についてデザイナー向けの説明会「ライオン x TRINUS 商品開発プロジェクト デザイナー向け説明会」が都内(docks)で開かれた。今回は熱気こもったdocksでの説明会の模様をお届けします。
取り組みの狙い(ライオン株式会社事業開発部 藤山氏)
ライオン株式会社事業開発部 藤山氏が登壇本取り組みの狙いや背景、期待することを経営ビジョンとともに語った。
『2030年に向けて、次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ』。
これは当社が今年から掲げる経営ビジョン。具体的に言いうと1つは「健康・快適・清潔・衛生を通じた新たな顧客体験価値を創造していく」こと、2つ目は「毎日の習慣をもっとさりげなく楽しく前向きなものにリデザインしていく」。この2つを軸に一人ひとりの心と体の健康を実現していきたいと考えている。この経営ビジョンの下、同プロジェクトをもって生活をより良いものにしていくことが狙い」と藤山氏。皆さんの多様なアイデアを活用させていただきながら、我々の商品をより良いものにしていきたい。本日は(商品)技術の話だけでなく、研究員の思いを感じてほしい。そしてたくさんのアイデアを出していただければ。
と集まったデザイナーたちに期待をかけた。
本企画について
続いてTRINUS代表、そして本プロジェクト責任者の佐藤氏が登壇。本事業の仕組みや選考の流れなどを説明した。
◇基本コンセプトとして採用された段階で賞金20万円
◇その後の開発プロジェクトへのご参画で20万円
◇テスト販売を経て一般販売に移行すれば、売上ロイヤリティ最大で0.5%を支払い
* ロイヤリティの上限は年間300万円、5年間(合計1,500万円)まで。
* 売上金額に応じた支払い
* 採用された場合でも、その後、一般販売に移行することをお約束するものではない。
最後は「みなさんの意欲的なエントリーを期待しております」と締めた。
技術に関する詳細説明①水を肌に貼る?剥がれにくく目立たない貼付剤技術
ここからはライオンが保有する、そして今回のプロジェクトの基となる技術についての説明パートに。ライオンビューティケア研究所・山下氏が、貼付剤技術について詳細を説明。貼付剤とは「冷えピタ」「休息時間」を代表とする、直接肌に貼ることで様々な効果をもたらす製品。ライオンが持つ技術的な優位性については「高含水と高粘着が特徴のPAC-55」「薄く透明な支持体」「口腔内貼付剤の開発」の3点が挙げられた。
⇒技術の応用可能性
①効果・形状などを組み合わせる
②体の不調を解決する
③別のものを置き換える

技術に関する詳細説明②水で洗い流しても成分が肌に残る。成分吸着技術
続いて、ボディソープを中心に応用されている「成分吸着技術」について、ライオンビューティーケア研究所・鈴木氏から説明。「消費者がボディソープを選ぶ基準は、ほとんどが『保湿効果』」と鈴木氏。しかし、ほとんどの商品がすすぎ時に洗い流されてしまうのが実情だという。そのような中でライオンは約3年の歳月をかけ、洗い流した後にも保湿成分を肌に残し潤いを与える「吸着保湿テクノロジー」を実現。同技術を活用して生まれたのが「hadakara」だ。
⇒技術の応用可能性
①効果から考える
②シーンから考える
③別のものを置き換える

質疑応答
ビックカメラのアクセラレータープログラムでは、企画の魅力や実現性に応じてA~Cのランク付を行っています。この顔合わせを通じて、企画を最も評価の高いAランクに持っていくために、今後両社で考えていくべき事項について確認することが、ミートアップの主目的とされています。
2つの技術と関連商品について説明がされると、デザイナーからは多数の質問がなされ、活発的なやりとりが展開された。以下に質疑応答一例を紹介する。
(貼付剤)
Q.口腔内貼付剤は時間を設定して、溶けてなくなるようにはできますか?
A.「溶けてなくなる」ということを想定はしておりませんが、
口の中で剥がれた後飲み込めるようにはできます。
Q.冷却ジェルについて、冷却時間の設定はどこまで細かくできますか?
A.製剤中の水の量で細かく設定できます。現状の技術レベルではマックス10時間まで設定可能です。
Q.口腔内貼付剤は無味無臭、あるいは味や香り付けは可能ですか?
A.無臭というのは少し難しいですが、味については調整可能です。
Q.冷えピタなどの冷却ジェルは外気温などの使用条件により効果に差は出るか?
A.外気の気温による効果の差はありませんが、高温の下では冷却時間が少なくなる可能性はあります。
(成分吸着)
Q.水がなければ保湿成分はできないのですか?
A.基本的には水が必要となります。
Q.今回の募集は「ハダカラ」だけでしょうか?
A.特に制限は設けておりません。ホームページに「シャンプーは除外」とありますが、
画期的なアイデアが出た場合はその限りではありません。
Q.複合体になってから時間経過によって成分がなくなる制限はありますか?
A.洋服を着ている部分は、衣類とのこすれにより、剥がれ落ちるということもあります。 また、その他の皮膚に関しては、毎日新しい皮膚にターンオーバーしていきますので、 時間ともに、吸着した成分は減少していきます。
Q.保湿効果は体の部位によって変わったりするのでしょうか
A.憶測の部分はありますが、肌と髪の毛では変わるということは考えられます
Q.複合体の技術(成分)は口の中に入っても問題はありませんか?
A.成分によっては口の中で複合体を作ることも可能です。
参加者からのコメント
イベント終了後、参加したデザイナー、そしてプレゼンを終えた参加者からは、「普段開かれるコンペでは、本日行われたような説明会というのはあまりないので実際に商品を見せながら説明していただけると、先方が何を求めているのかが分かりやすいですよね。」という意見や、「商品を実際に手に取ったり体験もできたので、よりイメージが湧きました。特に自分はあまり化粧品や美容にはこだわっていないので(笑)、こういうものがあるんだと知ることもできました。ただ今回はテーマが広いですね。難しい部分もありますが、考えがいがあると思います!」と意欲あふれるコメントをいただいた。
企画詳細
企画詳細や応募は下記URLからご確認ください。
水を肌に貼る?剥がれにくく目立たない貼付剤技術
https://trinus.jp/projects/17
水で洗い流しても成分が肌に残る。成分吸着技術
https://trinus.jp/projects/18

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