では、そもそもどういうものがスタートアップに該当するのでしょうか。この記事では、スタートアップの定義を説明した上で、そのメリットやデメリットについても解説していきます。
スタートアップとは

スタートアップには明確な定義はありませんが、新しいビジネスモデルをもつ企業を立ち上げ、短期間で急成長を目指すという点が多くのスタートアップに共通しています。ここでは、もう少し深くスタートアップについて知っていきましょう。
ベンチャー企業との違い
十数年前までは、新しく立ち上げた企業はベンチャー企業と呼ばれていました。そのため、日本ではいまだに新興企業に対してはスタートアップよりベンチャー企業という言葉の方が馴染みのある方も多いのではないでしょうか。
ベンチャー企業とスタートアップには共通する部分も多いです。しかし、ベンチャー企業が既存のビジネスモデルをもとに立ち上げた新しい会社であるのに対し、スタートアップは新しいビジネスモデルを開発するという点が異なります。また、最終的に会社を大企業に売却し、多大な売却益を得ることを目的(イクジット戦略)とするケースもあるのがスタートアップの特徴です。
スタートアップの成功例
2010年代に入り、世界のトップに君臨するようになったGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)も元々はスタートアップから始まりました。Amazon以外の3社は立ち上がった段階で創業者がいずれも20代という点も共通しています。
日本でも、スタートアップの成功事例は豊富です。例えば、衣料品通販大手ZOZOの創業者である前澤友作氏はYahooにZOZO株を売却した際に、2,000億円以上の金額を手にしたと言われています。イクジット戦略にも成功したといえるでしょう。
スタートアップ時の資金調達方法
スタートアップ立ち上げ時には、経営資源が乏しいため、金策に走らなくてはいけないこともしばしば起こります。スタートアップでの資金調達には、自己資金や親族からの借入、補助金制度以外にも返済義務のない出資(エクイティファイナンス)と返済義務のある融資(デッドファイナンス)があります。
返済義務のない出資(エクイティファイナンス)
まず、注目すべき技術やアイディアがある場合はエンジェル投資家からの出資が期待できます。また、高い成長が見込めるスタートアップを中心に出資している投資会社(ベンチャーキャピタル)から調達することも可能です。
このように資金を調達すると、返済義務がないので事業に自社のリソースを集中させることができ、急成長が期待できます。ただし、出資を受ける形なので経営者の株式保有率が低下し決定権が低くなる点や成果次第では早々に出資金の回収が進められる可能性がある点はデメリットです。
返済義務のない出資には、オープンイノベーションを通じて民間企業から調達するケースもあります。オープンイノベーションとは、企業や業界の垣根を超えて外部からの知識や技術を活用することで新たなイノベーションの創出を目指すことです。
返済義務のある融資(デッドファイナンス)
返済義務のある融資とは、主に金融機関からの借入です。金融機関の種類には、メガバンク、地方銀行、信用金庫・信用組合、日本政策金融公庫などの政府系金融機関があります。
創業当初は金融機関からの審査が厳しい場合もありますが、創業から時間が経ち、取引実績もついてくれば融資も受けやすくなるでしょう。次からはスタートアップのメリットデメリットを確認します。
スタートアップのメリット

スタートアップを立ち上げることや、スタートアップで働くことで得られるメリットは主に2点です。
会社も自分自身も成長が期待できる
大企業で働くと、業務内容が部署によって細かく分かれているため、守りの事務から攻めの営業まで一通り経験するには数年から数十年かかってしまいます。しかし、短期的な成長を目指すスタートアップの場合、ひとりがこなす業務が多岐にわたることもしばしばです。その分、かけがえのない経験や知識を得ることができるでしょう。
また、自分で立ち上げた企業なので年功序列ではなく、会社が上手くいけばいくだけ自分の収入にも反映します。そのため、モチベーションもより上がるはずです。
売却益を期待できる
イクジット戦略を主な目的としてスタートアップを立ち上げる人もいます。なぜなら、先ほど紹介したZOZOの事例のように、莫大な資金も期待できるからです。
スタートアップのデメリット

一方、スタートアップを立ち上げることで以下のようなデメリットがあります。
失敗のリスクや不安定な収入
スタートアップには常に失敗のリスクがつきまといます。大企業に勤務する正社員であれば、失敗したからといって職を失う例は少ないですが、スタートアップの創業者は失敗が倒産、失職にもつながりかねないのです。
配偶者や子どもなど、扶養しなくてはいけない家族がいると不安が大きいため、スタートアップの創業者には学生などの若者が多いのかもしれません。
仕事量が膨大になる可能性もある
スタートアップは幅広い経験が得られることがメリットと説明しましたが、それはつまり仕事量も膨大になることを意味します。休日返上で働くこともあるため、「成功する」という強いモチベーションがなければ大変です。
スタートアップには可能性が秘められている

ここまで紹介したように、スタートアップを立ち上げることで多忙になったり、不安定な収入というリスクを抱えたりする可能性があります。しかし裏を返すと、充実した毎日を過ごしたり、若くして巨額の富を得ることができたりするなどの可能性が秘められています。
新しいビジネスモデルがあり、成功したいというモチベーションを持っているのであればすぐにでもスタートアップに挑戦してみてはいかがでしょうか。