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月曜日, 8月 15, 2022

電源・ネットワーク不要のスマホ制御型宅配ボックス『VOX』

マッシュルームは、電源やネットワークなしに運用できるスマホ制御型の宅配ボックス『VOX』を開発している。『VOX』の普及を進めるのは提供する事業者側であり、消費者は無償で『VOX』を設置し、自由に使える時間が作られる。「置く」までのハードルを最小限にした後に展開が期待されるサービスとは。その構想について代表取締役の原庸一朗氏にお話を伺った。
※この記事は、2019年1月30日、STARTUPismにて公開された記事を転載しています。

無料で使える宅配ボックスを普及させる仕組みとは?

当社は、電源やネットワークなしに運用できるスマホ制御型の宅配ボックス『VOX』を開発しています。荷物の受け取りや出荷ができるため、EC(ネット通販)での利用を想定されると思いますが、このほかにもネットスーパー、フードデリバリー、宅配のクリーニングなどでの受け渡しの場所としても活用していただきたいと考えています。宅配ボックスを提供している企業は複数ありますが、消費者側に有料で販売するようでは普及が遅くなるな、と思っていました。再配達が問題になっているとは言え、困っているのは配送業者であって、消費者にとっては再配達に費用が発生しているわけではありませんから。

そこで当社は、ネットスーパーや宅配クリーニングなど、商品やサービスを提供する事業者側に『VOX』の普及を進めていただき、消費者は無償で『VOX』を設置できるBtoB課金モデルにしていきたいと考えています。私たちは宅配ボックスを作って売るだけのメーカーという位置づけではありません。宅配ボックスを「置く」ことがスタートであって、コストやネットワーク・電源など「置く」までのハードルを最小限にして、各種サービスに利用を拡大させていきたいと思っています。

マンションではタッチパネル式の宅配ボックスが普及してきていますが、戸建て住宅では電子化された宅配ボックスをあまり見かけません。その理由は、電源を引くための工事が大変だったり、家の中のWi-Fiの電波が外まで届きにくいことなどが挙げられます。その点『VOX』は開け閉めする際の認証はスマホの回線を使用するためWi-FiやLANなどは不要で、電力も認証時しか消費しないためソーラー充電で十分補えるようになっています。「戸建て住宅の屋外でもネットワークや電源なしで設置できるけど、スマホで制御できる」という点が当社の技術力であり、他社との大きな違いです。

対面でなくとも受け渡しOK。段ボール自体を宅配ボックスに

今は本人確認が必要な書類はサインや捺印が必要ですが、スマホ制御の『VOX』だと本人が受け取ったという記録が残されるため、今まで対面でないとできなかった受け渡しもできるようになります。代金引換の荷物についても、ボックスにロックをかけてアプリやコンビニで決済を終わらせてから開けられる仕組みになっているため、配送業者は荷物をボックスに入れるだけで配送が完了します。ここ数年、コンビニ受け取りが拡大してきましたが、コンビニ側もキャパシティーが足りなくなっているほどで、ECの伸びしろがまだまだあるにもかかわらず、今後はコンビニ受け取りを増やさない方針であるとも聞きました。ですから、今は、自宅での受け取り場所や手段を増やすことが最善だと考えています。

私たちが目指している世界は、段ボール自体が宅配ボックスになることです。簡単に言うと、マンションや家の前などに箱を固定するベースを置き、そこにロックがかかった箱が運ばれてくるという仕組みです。中身が取り出されたら次の配送時に箱を回収できるような、より効率的な手法も考えています。また、今は生協などが玄関前に食品を配送していますが、スマホ制御によって受け取った時間も管理できるため、事業者側は配送後の衛生上のリスクを軽減していくことができると思います。

「宅配ボックス」というワードではなく、「開け閉めの制御ができる箱」と考えれば、自動販売機のような使い方も可能になります。例えば、フリマアプリのように売りたいものをボックスに入れて、何を出品したのか登録する。通りかかった人が欲しいと思えばその場で買える――こういう発想で、レンタル事業やシェアリング事業にも応用していけると思います。最近は無人コンビニが話題ですが、これはアメリカからスタートした考え方です。日本には自動販売機という文化があるので、自動販売機にフレキシビリティを持たせる方法も日本には合っているのではないでしょうか。

新たな野望はアパレル産業の課題解決!

当社が軸に考えているのは「時間」です。今は受け取り時間や洗濯、料理などに時間を拘束されていますよね。宅配時間に家にいなくても荷物を受け取れて、洗濯は宅配クリーニングを利用でき、時にはフードデリバリーも注文できる。これは、見方によれば自由に使える時間が作れるということです。普及が進めばボリュームディスカウントされ、より安く、手軽に利用できるようになっていくと思います。

このほか、アパレルブランドが服を製造するだけでなく、洗濯から保管、修繕まで行えるようにする仕組みを、ある大手企業と構想中です。要は、今まで5000円で売り切って終わっていただけのワイシャツを、洗濯や保管、修繕などのサービスも付加して8000円で販売するような方法です。『VOX』の受け渡し拠点と、大手企業のトラッキングのタグを組み合わせると、このようなモデルが可能となります。

この構想が実現すれば、ほかのブランドにスイッチングされる不安にさらされてきたアパレル産業が、顧客の囲い込みを維持し続けられるようになるかもしれません。「このシーズンにこの服を着た」というデータも取得できるため、マーケティングデータとしても活用することが可能となります。今のアパレル産業の課題として、国内では年間33億着、120万tが廃棄されているといわれており、製造しても7割が廃棄されている実情が挙げられます。当社の技術や発想が、幅広い業界で役立てられることを期待しています。

インタビュイー
原 庸一朗 氏 株式会社マッシュルーム 代表取締役CEO

ラストマイル物流を中心に、独自開発のセキュア通信認証技術を組み込んだスマートコンテナとトラッキングプラットフォームを提供することで、不在配達/再配達や盗難セキュリティ、衛生リスクなど、従来の使い捨てダンボールを用いた配送オペレーションに起因する様々な問題を解決するサービス「Vox Container」を運営。

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