12.8 C
Japan
木曜日, 12月 7, 2023

倉庫と荷主のマッチングプラットフォームsouco|社員の「主体性」を高める経営とは

潤沢な資金や体力に乏しく将来性の不透明なスタートアップにとって、優秀な人材を確保することは容易ではない。企業としての成長も加速させながら、個々人が迅速に働き結果を出すには…soucoの選んだ選択肢は、社員の「自律性」を重んじるということ、そしてテレワークの推進であった。
※この記事は、2019年6月19日、STARTUPismにて公開された記事を転載しています。

倉庫と荷主のマッチングプラットフォームsoucoの働き方

物流倉庫の空きスペースを有効に活用したい事業者と、一時的にスペースを借りたい企業とをマッチングするサービス『souco』。倉庫の空きスペースを有効活用するためのシェアリングサービスとして注目を集める同社は、2018年10月にサービスを本格稼働させて以来、約半年間で登録社数が1.6倍の約340社に達するほどの急成長を遂げる注目のスタートアップだ。

現在、社員はエンジニアを中心に10名が在籍。まだ少人数のためあえて組織化はしておらず、テレワークを推奨しているのだという。近年、政府が推進する働き方改革の一つとして注目されているテレワークは、生産性の向上だけにとどまらない就業機会の拡大や、意欲・能力を存分に発揮できる環境作りによる多様な働き方を実現することが大きな目的となっている。しかし、勤怠管理、情報漏えい、コミュニケーション、設備・環境の用意、業績評価が困難――など、まだまだ課題は山積であり、導入に二の足を踏む企業も少なくない中「強制的」にテレワークを推し進めるとは非常にユニークであり、興味深い。

スタートアップがプロフェッショナル人材を採用するコツとは

潤沢な資金や体力に乏しく、将来性の不透明なスタートアップにとって優秀な人材を確保することは最大の難関と言っても過言ではない。企業としての成長も加速させなければならない中、大手企業のように丁寧に時間をかけて人を育てる暇もない。どうすればプロフェッショナルを採用することができるのか――。行きついた答えが、個々人の「自律性」を重んじるということ、そしてテレワークの推進だ。決まり事は、少なくとも週に1回必ず全員が集まって顔を合わせて打ち合わせを行うことと、稼働時間は必ず各自がSlackなどのツールを通じて連絡が取れる状態にすることの2点のみ。

これは社員に対する中原氏の「主体性を持って仕事をしてもらいたい=成長につなげてもらいたい」という経営者としての親心でもある。一般的に、スタートアップでは迅速な働きと結果が求められる。だからこそ、次々と舞い込む案件をクリアするたびに社員はスキルの向上を実感することができ、同時に、少人数だからこそ仕事に対する責任感と主体性が生まれるという。soucoではこうした環境が功を奏して、社員同士が互いに連携を強め、協力し合う良い雰囲気が創り出されることによって社内に一体感が生まれている。また、基本的に日常的なコミュニケーションはSlackを使用しているため、業務の進捗や稼働率を常に全社で把握できているため、オフィスに出社しない「強制」テレワークスタイルであっても困ることはほとんどないそうだ。

少人数だからこそできること

少人数だからこそできることなのかもしれないと中原氏は謙遜するが、ゼロから事業を創造するスタートアップにとっては「エネルギー」と「スピード」が極めて重要であるため、効率のいい働き方が企業のビジョンともマッチしているのだろう。なお、同社は空きスペースのマッチングだけではなく将来的には効率的な物流ルートの整備を目指している。まずその第一歩として物流拠点の選択肢を広げる取り組みを始める計画だと教えてくれた。どんなに小さな空きスペースでも、それを物流拠点として利活用するシーンを広げることができれば、積み荷無しでトラックを走行させることや、コンテナに積みこむ荷物が満載になるまでの時間を待たずに済むなど、あらゆる無駄を省くことができ実に効率的だ。そしてそれは必然的にコスト削減にもつながる。

国内ではまだこの分野を手掛けているプレーヤーはいない。物流市場14兆円、倉庫市場だけでも1兆円規模といわれている業界のスキマ分野に突如現れたスタートアップ『souco』。徹底的に効率化にこだわる彼らが今後一体どのような方法で物流の非効率を解決してくれるのだろうか。今後の活躍に期待したい。

社名株式会社souco
設立2016年7月
所在地〒102-0083
東京都千代田区麹町 1-4-4 LIFULL HUB
代表者中原 久根人
事業概要物流マッチング事業
システムサービス事業
URLhttps://corporate.souco.space/
Facebook コメント
PORT編集部https://port.creww.me/
PORT by Crewwは、Creww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。
- Advertisment -
- Advertisment -

Featured

【安藤ハザマ × Cube Earth】日米特許技術で世界の都市OSにイノベーションを起こす

【Creww Growth活用協業事例インタビュー】安藤ハザマは、2022年度のアクセラレータープログラム「安藤ハザマ 新規事業共創プログラム2022」で、米国と日本で特許を取得している地理情報システムのプラットフォーム「Cube Earth」を活用し、自治体へ「スマート防災システム」を提供しているスタートアップ企業 「Cube Earth」を採択。自治体危機管理のDX化の一環として、防災システムやスマートシティ、ドローン、デジタルツインのシステムなど、次世代の社会インフラ基盤を開発するスタートアップだ。具体的にどのような取り組みを進めているのか。安藤ハザマ 経営戦略本部イノベーション部副部長の堀井浩之氏と、Cube Earth代表取締役会長の阿藻成彦氏、代表取締役社長の武田全史氏に話を伺った。

【三機工業 × スタートアップ】選ばれ続ける会社になる|スタートアップとの共創に挑む新しい歩み

【Creww Growth活用協業事例インタビュー】2025年に創立100周年を迎える三機工業株式会社は、2050年ビジョンに掲げた「選ばれ続ける」企業になるため、コア事業の強化や三機ブランドの向上に努めると同時に、会社の「信頼」を高める新施策も積極的に推進しています。 そこで、新たな取り組みの1つとして、「SANKI オープンイノベーションプログラム2023」に挑戦。初めてのアクセラレータープログラムに挑むファシリティシステム事業部 佐々木 宏之氏、経営企画室 経営企画部 石綿 央氏、 徳田 直也氏に、それぞれの立場から率直な想いを伺いました。

【安藤ハザマ × エアデジタル × 久喜市】デジタルスポーツで健康寿命の延伸に挑む!

【Creww Growth活用協業事例インタビュー】オープンイノベーションによる新規事業創出を推進している総合建設会社の安藤ハザマは、2022年度のアクセラレータープログラム「安藤ハザマ 新規事業共創プログラム2022」でデジタルスポーツ空間開発やデジタルスポーツフィールドの運営を手掛けるエアデジタル株式会社を採択した。 その後、安藤ハザマ、エアデジタル、埼玉県久喜市の3者で連携協定を締結し、久喜市内のショッピングモール施設「アリオ鷲宮」に出店している国内最大級のデジタルスポーツクラブ「スポーツ60&スマート」で協業を進めている。具体的にどのような取り組みを行なっているのか。 安藤ハザマの本社経営戦略本部イノベーション部担当課長・榊原翼氏と、エアデジタル代表取締役・前田相伯氏、久喜市役所 健康スポーツ部スポーツ振興課所属・金澤剛史氏に話を伺った。

【スタートアップ募集】地域の健康をケア|新規事業で地域に根差した未来のアイセイ薬局へ

【スタートアップ募集】アイセイ薬局は、全国に400店舗を超える調剤薬局を展開しています。まもなく創業40周年を迎える今、次なる事業の柱を求めてアクセラレータープログラムに挑戦!地域の人々に必要とされる薬局を目指し、新規事業創出の可能性を模索します。本インタビューでは、アイセイ薬局がなぜ今スタートアップとのオープンイノベーションに挑むのか、株式会社アイセイ薬局 事業企画部部長の堀浩之氏に話を伺いました。
Facebook コメント
jaJA