12.8 C
Japan
火曜日, 3月 21, 2023

“コーヒーの濃さ”を簡単に調節できるドリッパー『ドリルドリッパー』

KOANDRO株式会社は、コーヒーに関わる全てのヒト・モノ・情報をプラットフォームとして展開し、おいしいコーヒーを家庭で飲める環境を日本市場で作っていくことを目指している。コーヒー文化のフォースウェーブを牽引していきたいと考える代表取締役大澤広輔氏に、起業に至るまでの想いや、当社の製品・サービスについてお話を伺った。

簡単なアタッチメントの交換でコーヒーの濃さを調節

 私は以前、ドイツに本社を置くコーヒー機器の総合メーカー、メリタジャパンでマーケティング部のプロダクトマネージャーとして市場調査や分析、商品開発を手掛けていました。市場への理解を進めるにつれて、コーヒー消費者の好みは昔より多様化しているにもかかわらず、ツールであるドリッパーはここ数十年改良されていないことに気付きました。ハンドドリップで入れるコーヒーは細かなニュアンスまで自分好みに近付けることができる反面、入れ方次第で味わいが大きく変わってしまう繊細なものです。誰もが自宅で簡単においしいコーヒーを味わうことができる “コーヒードリッパー”を開発しようと思い、起業しました。

ドリルドリッパー

 当社はコーヒーの濃さを一台で3段階調整できるコーヒードリッパーを販売しています。第一号として2016年11月に販売を開始した九谷焼の『FUJIコーヒードリッパー』(定価税込1万5,800円)に続き、2018年11月からプラスチック製でより手頃な『ドリルドリッパー』(定価税込2,500円)の販売を開始しました。これら製品の特長は、簡単なアタッチメントの交換によってお湯の落ちる速度を変化させ、3パターンのコーヒーの濃さを味わうことができる点です。自分でお湯を入れる速度や量さを調整する必要がなく、家庭で手軽においしいコーヒーを味わうことができるドリッパーのため、日々の生活でコーヒーを楽しむきかっけになればうれしく思います。


変化するコーヒー市場。本当においしい味が求められる時代の到来

 コーヒー市場にはこれまで3回の波「ウェーブ」※1が押し寄せたと言われており、特にサードウェーブの到来以降は「農園の違い」にまで注目が集まり、さらにスペシャルティコーヒー※2の基準ができてからは高品質のコーヒーが消費者から求められる時代となりました。国内の動向を見てみると、 2013年にセブンイレブンなどコンビニで手軽に買える100円コーヒーが登場してからは、値段の安さと質の高さが爆発的ヒットとなり、日本人のコーヒーの消費量は以前のほぼ2倍になったと言われています。

 コンビニコーヒーが席巻する一方で、最近の日本では、多少値段は高くても落ち着いた雰囲気の店で一味違うコーヒーを味わいたいというニーズも増加してきたことから、注文を受けて1杯ずつドリップするコーヒーの見直し機運も高まっています。「ブルーボトルコーヒー(アメリカ)」のような、焙煎後48時間以内の厳選したコーヒー豆しか使用せず、注文を受けてから1杯ずつ丁寧に入れる品質や入れ方にこだわったコーヒーの人気も相まって、現在では「第4の波(フォースウェーブ)」が押し寄せつつあります。日本のコーヒー品質においても「本当においしいもの」や、「その日のベストな味」を出すことが強く求められており、「栽培方法の違い」や「誰が入れたか」が問われる時代が来ています。

 家庭用コーヒー機材は、ヒット商品が生まれては消える家電市場の中においてもここ数年、右肩上がりで拡大しています。この市場拡大をけん引しているのは、カプセルタイプのエスプレッソマシン、インスタントコーヒー専用の製品、日本茶や紅茶も入れられるドリンクメーカーといった新機軸製品ですが、コーヒーを飲む文化やライフスタイルが定着していることを考えると、日本のコーヒー消費は欧米に近づくことが想定され、まだまだ伸びる余地があるのではないかと考えています。


フォースウェーブを牽引する存在となるために

 当社は、コーヒーに関わる全てのヒト・モノ・情報をプラットフォームとして展開し、おいしいコーヒーを家庭で飲める環境を日本市場で作っていくことを目指しています。フォースウェーブが上陸しつつある今、消費者のコーヒーに対するリテラシーを高めるため、2018年11月より『DRIP ADVISOR(ドリップアドバイザー)』というウェブサービスのベータ版の提供を開始しました。ドリップしたときのお湯の温度や豆の量などを入力すると、一般的なコーヒーと比較したときの「濃さ」、「酸味」、「苦味」を評価し、自分が入れたコーヒーに関するデータも蓄積していくサービスです。また、実際に飲んだ感想として「濃い」「薄い」「おいしい」などを入力すると、お湯を入れる速さや温度、豆の量など、味や香りをデータで分析し、好みを可視化したアドバイスを提供します。2019年中には正式版の『ドリップアドバイザー』をリリースする予定で、自動的にコーヒーの濃さを測定できるような付属品も発売する予定です。これらの製品・サービスを通じて消費者の興味を喚起し、コーヒー文化のフォースウェーブを牽引していきたいと考えています。

代表取締役 大澤 広輔氏

※1「第1の波」とは1960 年~1990 年ごろに起こった、大量生産、大量消費を重視したものを指す。「第2の波」とはシアトル系コーヒーチェーンなどの台頭により広がった深煎り高品質の豆を使うコーヒーの時代を指す。「第3の波」は90 年代後半、シアトル系に続くコーヒーカルチャーを指す。

※2消費者の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしいおいしさであり、消費者がおいしいと評価して満足するコーヒーを指す。

社名KOANDRO株式会社
設立2014年12月1日
資本金〒142-0062 東京都品川区小山 5-3-10
代表者大澤広輔
URL https://koandro.com/
Facebook コメント
PORT編集部https://port.creww.me/
PORT by Crewwは、Creww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。

Featured

【SceneryScent × アネスト岩田】“香り噴霧器”で新たな価値と市場を生み出す

【Creww Growth活用協業事例インタビュー】日本の塗装機器や空気圧縮機の業界を95年以上リードし続けているアネスト岩田。“開発型企業”として国内外で1,200件を超える特許出願数を持ち、世界20カ国以上の拠点、35社のグループ会社を持つ企業だ。 同社は2020年に導入したアクセラレータープログラムで、香り空間演出・プロデュース事業を展開するスタートアップSceneryScent社(シーナリーセント)を採択し、わずか1年半で、人感センサー内蔵香り演出機器「Ambiscent(アンビセント)」のデモ機を開発。社外でのトライアルがスタートした。 具体的にどのような取り組みを重ねているのか。アネスト岩田の和泉孝明氏と、SceneryScent代表の郡香苗氏にお話を伺った。 #アネスト岩田 #SceneryScent #シーナリーセント #Ambiscent #アンビセント #スタートアップ #オープンイノベーション #活用協業事例インタビュー #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

【熊平製作所 × MAMORIO】創業125年のトータルセキュリティ企業が、スタートアップ共創で未来の「安心・安全」を創る

【Creww Growth活用協業事例インタビュー】広島銀行とCrewwは、広島県下のイノベーションエコシステムの構築に向け、広島県内に新たな事業の創出を図ることを目的に「HIROSHIMA OPEN ACCELERATOR 2021(広島オープンアクセラレーター2021)」を共催しました。本記事では、プログラム参加企業である熊平製作所と、「なくすを、なくす」をミッションに、紛失防止デバイス「MAMORIO」を始めとした 様々な製品・サービスを提供するIoTスタートアップ「MAMORIO」との共創プロジェクトにフォーカス。株式会社熊平製作所 新規事業開発部 取締役部長 茶之原 氏に、プロジェクトの共創に至った背景や、スタートアップとの共創から実際に得た体感や変化について、お話を伺いました。 #広島銀行 #広島県 #イノベーション #広島オープンアクセラレーター2021 #熊平製作所 #MAMORIO #IoT #スタートアップ #共創 #新規事業 #協業事例インタビュー #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

関東近郊2万坪の土地 × スタートアップで、今までにない斬新な “場” を作りたい|Gulliverが挑む!

【オープンイノベーションインタビュー】中古車売買でお馴染みの「Gulliver」を運営する株式会社IDOMが、2022年10月24日から「Gulliver アクセラレータープログラム2022」を実施。新しい購買体験の提供と、生活を彩るクルマの価値を創造する新しいコンセプト店舗の開発をテーマに、関東近郊に2万坪の土地を用意し、スタートアップの皆さんと一緒に新しい場づくりに取り組みたいという。具体的に、どのような構想を描いているのか。株式会社IDOMの経営戦略室チームリーダー、三樹教生氏に話を伺った。 #Gulliver #IDOM #スタートアップ #アクセラレータープログラム #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

スタートアップ募集!【豊富な開発技術力 × デミング賞大賞の社内風土】モノづくりメーカーのOTICSに、今求めるパートナーを聞く

【オープンイノベーションインタビュー】高出力・低燃費・低エミッション化などの要求に対し、積極的な技術提案と高精度な品質で応えるOTICS(オティックス)の自動車部品は、多くの車種で採用されています。一方で、120以上の国と地域が目標に掲げる「2050年カーボンニュートラル」に向け「脱炭素化」の企業経営に取り組むOTICSは、初めてのアクセラレータープログラムを開催。豊富な開発経験と生産技術力を活かせる協業案、自然環境保全や社会・地域に貢献できるアイデア等をスタートアップから広く募集します。デミング賞大賞も受賞したOTICSの社風、アクセラレータープログラムの開催に至った背景や、募集ページだけでは伝わらない魅力、プログラムに関わる方々の想いを、株式会社オティックス 経営管理本部TQM経営戦略室 係長 奥村守氏に話を伺いました。 #OTICS #自動車 #カーボンニュートラル #アクセラレータープログラム #協業 #スタートアップ #デミング賞 #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる
Facebook コメント