目次
これからの地方銀行には地域企業を支援する役割も求められるようになっており、地方銀行がどれだけ効果的な企業支援を行えるかによって地域企業や地場産業の今後が決まるといっても過言ではなくなってきました。
そこで今回は、地方銀行による企業支援の現状やオープンイノベーションによる地域企業の支援の有効性について解説していきましょう。
・地方銀行(地銀)がオープンイノベーションを推進すべき理由
・地方銀行(地銀)がオープンイノベーション促進に取り組む事例
・地方銀行(地銀)発のオープンイノベーションによって地域企業の成長を支援していこう
地方銀行(地銀)によるスタートアップ支援や企業支援の現状

まずは、地方銀行によるスタートアップ支援や企業支援の現状について紹介していきます。
地域経済における地方銀行(地銀)の役割の変化
これまでの地方銀行のイメージは顧客に融資することで収益をあげていましたが、地方銀行が拠点を置いている地域で人口減少や産業の衰退が進むことで融資先が減少する課題を抱えています。また、マイナス金利によって単に融資しているだけでは収支をあげることが難しくなりました。
このような環境変化に対して、先進的な地方銀行では顧客企業の成長を支援することや、地域事業者の雇用を守ることが地域経済の発展に繋がると考えるようになっています。これまでのような「融資先」ではなく、「地域経済を守るパートナー」に地方銀行の役割が変化しているのです。
地方銀行(地銀)のスタートアップ支援や企業支援の現状
地方銀行による企業支援の取り組みの中心は、地域での創業支援や事業承継の支援です。起業家の創業を支援することで融資先が増え、長い目で見れば銀行にメリットがあるため、多くの地方銀行で創業支援に注力するようになりました。
また、多くの企業が世代交代がうまく行かずに廃業に陥っているため、事業承継がスムーズに進むためのサポートも行っています。また、先進的な地方銀行ではオープンイノベーションを主導し、地域企業のイノベーション促進にも取り組んでいます。
地方銀行(地銀)がオープンイノベーションを推進すべき理由

続いて、地方銀行がオープンイノベーションによってスタートアップをはじめとした企業の支援を行うべき理由を紹介していきます。
地域企業の成長を後押しできる
地方銀行の役割の一つに、融資を通した地域企業へのサポートが挙げられますが、地域企業が成長しなければ大きな融資の機会は訪れません。オープンイノベーションにより地域企業の成長を後押しできれば、新規事業の実施にともなう新たな融資の獲得にも繋がります。
地域の社会課題の解決に繋がる
オープンイノベーションは外部組織との連携によってイノベーションを促進する手法ですが、オープンイノベーションによって社会課題を解決できる場合もあります。例えば、ロボット技術を用いた人材不足の解消や、自動運転技術を活用した過疎地交通問題の解消などが挙げられるでしょう。
地方銀行がオープンイノベーションを促進することで、企業の成長だけでなく地域社会の抱える課題も解決できる可能性が高まります。
新たな融資先が開拓できる
オープンイノベーションは外部組織と連携することでイノベーションを促進する手法です。地方銀行がオープンイノベーションを主導する場合、都市部のスタートアップと地方企業のハブになる役割を担う場合がありますが、この繋がりによって新たな融資先が開拓できる可能性が高まるでしょう。
地方銀行(地銀)がオープンイノベーション促進に取り組む事例

静岡銀行
静岡銀行では「TECH BEAT Shizuoka」という静岡県内の企業と都内のスタートアップをマッチングするイベントを開催しています。静岡県にある全35市町村の後援を受けて、地域企業のイノベーションを促進するために行われました。
静岡県から参加した企業の担当者を意思決定権がある人物にすることでスムーズな意思決定を後押し、単なる交流会に終わらせず、その後の商談に繋げる取り組みとして注目されています。
広島銀行
広島銀行は、オープンイノベーションプラットフォームの「creww」を活用して広島県内にある企業のオープンイノベーション推進に取り組んでいます。
中国地方の大手企業とスタートアップをマッチングする「HIROSHIMA OPEN ACCELERATOR 2020」では、広島銀行が広島県・crewwと連携し、広島県内に新たな産業を興すために広くスタートアップを募集。複数の選考を通過したスタートアップが参加企業と協業します。
地方銀行(地銀)発のオープンイノベーションによって地域企業の成長を支援していこう

人口減少や地域産業の衰退、マイナス金利など地方銀行を取りまく環境は厳しくなっています。このように時代が変化するからこそ、地域経済の重要な担い手である地方銀行も変化しなければなりません。
地方銀行は首都圏に支店がある場合が多く、地元企業とスタートアップをマッチングするためのハブとしての役割を果たすことができるため、今後はオープンイノベーションの推進することで地域経済を活性化させる流れが加速していくでしょう。
