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水曜日, 1月 19, 2022

主要4社が語るコロナ禍で進んだ共創のオンライン化「オープンイノベーションのリアル」座談会 Vol.2

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

前半では日本国内におけるオープンイノベーション、協業・共創の10年を専業プレーヤーとして現場に取り組んできたAUBACreww01BoosterKDDI ∞ Laboのみなさんに振り返っていただきました。後半は2020年に世界的な社会問題となったパンデミックの影響をお聞きします。

企業と企業が結びつく際、創業者・代表者の意思疎通は何よりも大切です。コミュニケーションの基本である「対面」が奪われた時、共創の現場には何が起こったのでしょうか。オープンイノベーションの現場にもたらされたオンライン化はどのように働いたのか、各社が模索した企業共創のフレームワークや失敗談についても大いに語っていただきました。(文中太字の質問は全てMUGENLABO Magazine編集部、回答は以下の方々です・敬称略)

登壇者
中村 亜由子さん eiicon company代表・founder
鈴木 規文さん 01Booster(ゼロワンブースター)代表取締役CEO
伊地知 天さん Creww代表取締役CEO
石井 亮平さん KDDI ∞ Labo(KDDI)

コロナ禍によるトレンドの変化

ーコロナ禍による影響についてお聞きしたいです。共創・協業の現場は会ってナンボ、というリアル重視でしたが、みなさんどのような対応や検討をされていますか

中村:弊社のプラットフォームはもともと地の利に関係なく企業同士が出会えるように設計されたオンラインプラットフォームであるため、コロナ禍においては活用されるケースがかなり増えましたね。イベントの相次ぐ中止で、リアルの場で出会いを担保されていた企業がオンラインに移行された結果です。面談の実現率は4月以降、コロナウイルス発生前の約1.5倍になっていて、7割の企業様が面談自体もオンラインで実施しています。

公開できるケースとしてWEB上にも多数事例を掲載していますが、例えば森創さんはオンラインでのマッチングへシフトされた一社で、パチンコ部品開発製造のノウハウから、新市場領域進出を検討しており、オンライン面談から共同開発が決定しています。

石井:私たちはこれまで実際に合わないと共創は始まらないという「リアル最強説」を唱えてきたのですが、オンラインにシフトしたことで新しい発見もありました。特に共創は決裁権を持っているキーマンの理解が大切なのですが、リアルなイベントだとどうしても時間が合わないなどで参加ができないケースがあったんですね。それがオンラインになったことで参加の敷居が低くなり、事業部への説明や協業に繋がりやすい環境ができた、というのはあります。

ーオンラインの課題をどう見ていますか

中村:リアルで会えないからオンラインでやるしかない、という企業の意識の変化は私も感じていますし実際、数字にも出ています。オフラインであった偶発的な出会いをどう演出するのか、という点は大切ですね。

昨年12月にバーチャルコワーキングスペース「SHABERUBA(シャベルバ)」を開始して、アイコンが近づくとオンラインで会話できるような仕組みを提供することにしました。今月開催する「Japan Open Innovation Fes(JOIF)」でも同様の偶発的な出会いを演出できるように、参加者の方々の名札アイコンに近づいて話しかけると商談できるようにしています。オンラインであってもオフライン同様の体験ができるようなイベントが理想です。

鈴木:コロナ禍で大手企業のDX化への取り組みが待ったなしで進みましたよね。2020年度のオープンイノベーション活動の大半はオンラインで行われました。ミーティング、ピッチコンテストでも、メンタリングでも、デモデイでもほとんどがオンラインでした。各社がオンラインコミュニケーションに慣れ、オンラインでもいろいろできることを認識できたということはとてもポジティブな効果だと思います。

逆にオフラインでしかできない価値も浮き彫りにしたということかと思います。細かいことですが、スタートアップとのコミュニケーションでSlack等のオンラインツールがよく使われますが、まだ使えない大手企業は多いです。このコロナ禍においてSlack等のアプリケーションが解禁される企業が増えたということも特徴です。

ーCreww(クルー)はオンライン化を以前から実施されていましたよね

伊地知:そうですね。コロナ禍の前からCrewwが開催するアクセラレータープログラムのほとんどがオンライン上で行われていました。事業化に向けた最後のプレゼンテーションなど要所要所では対面もありましたが、基本は日本全国のスタートアップが参加するのでオンラインコミュニケーションが多かったです。ですので、プログラム自体には大きな変化ではないという印象ですが、先にもお話したように、特に地方の中堅企業からのお問い合わせが急速に増え続けています。これは、デジタル化に対する危機感という部分も大きいのかと思います。

産業創出の仕組みとケーススタディ

ーKDDIはインキュベーションとファンドという形でスタートし、現在は共創プラットフォームへと仕組みを進化させています。大きな産業を創出する上で重要なポイントをどう考えていますか

石井:共創を積極的に仕掛ける「∞の翼」や大手のアセットとスタートアップを繋げる「支援プログラム」などを通じてライトな協業ぐらいは仕組み化できるようになりました。しかし、新しい産業を生み出すような大きな規模の協業はやはりキーマンをしっかり繋げることが大切です。例えばJR東日本さんとKDDIで共同発表した品川開発「空間自在プロジェクト」のケースもやはり両社の中心人物が繋がった結果、実現しています。ただ、こういった重要人物は普段あまりイベントには出てこられなかったりなので、発掘することから始めないといけません。これを仕組み化して、どこまでこういったキーマンが乗ってきてくれるのか、そこが私たちの腕の見せ所なのかなと思っています。

またこれまでの反省としてマッチングして「後よろしく」、ではダメですね。確かにリソースにも限りはありますが、KDDIもしっかり入って2社間ではなく3社共創を目指すことが必要です。今年は実はKDDI ∞ Laboとして10年目のメモリアルイヤーなんです。2020年から始まった大きな危機とチャンスに溢れた中、5Gというインフラも開始しました。企業にとっては産業同士が混じり合って構造を大きく変え、デジタル化を一気に進める最後の機会だと考えていますので、一緒に挑戦したいですね。

ー企業をどんどん登録してデータベース型のマッチングを目指したのがAUBAだったと思います。ソーシングやマッチングはなんとかなりそうなのですが、具体的なハンズオンはどのように考えておられますか

中村:これまでに登録していただいている企業数は1.7万社で、昨年1年で5000社以上の企業さまに新規でご登録いただいています。共創が発生したケースは750件になりました。確かに継続的にコンタクトを実施される企業さんが増えていて、雪国まいたけさんのように1年以上活用いただいて共同研究に進まれる例もありますし、医療機器のファイテンさんのケースでは3カ月という短い期間に21社とコンタクトしていくつかの共創を並行進行させる、という事例もあります。

自律自走が可能なプラットフォームとして展開をしていますが、一方でハンズオンは必要だと考えています。そのため、私たちも実はしっかりハンズオンの支援をしているというのが現状です。プラットフォームユーザーに対してはオンラインでコンサルタントがつき、Enterpriseのお客様には対面も含めしっかり張り付きの形でコンサルタントがサポートしています。

プラットフォームに蓄積されてきたデータを活用しノウハウ化しており、共創のプロである自負はありますが、大手の進める事業化や社会実装については、我々単体で支援するというより、専業のプレーヤーと共にご支援させていただく方が様々な角度からの強固な支援ができるのではないかとも考えており、今後はコンソーシアム型で役割を分担できるような仕組みがあればよいのではないかと思っています。

ー一方のゼロワンさんはややコンサルティング的なアプローチですよね

鈴木:オープンイノベーションは社内外の壁を越えた資源の最適再配分手続きで、画一的なモデルはありません。オープンイノベーションは、比較優位性があるものだけ自社に取り込み、ないものは社外に貢献する雰囲気を推進させました。

傾向的にスタートアップは大手の販売チャネルが魅力的なのでマーケティング領域が多くなりますが、プロダクトがある場合は品質保証や仕入れのノウハウが求められる場合もありますし、人材をスタートアップに送り込む「ベンチャー留学」のような取り組みもあります。スタートアップのグロースに必要な資源をいかに特定し、社内から調達することが柔軟にできなければなりませんが、多くの大手企業はまだ試行錯誤されています。そのために、人材の交流や移動が重要で、人材の流動が進めば、資源の再配分の効率化がさらに進むと期待しています。

ーこういった仕組み化の結果としてのケーススタディとして特徴的な例などありますか

伊地知:技術との掛け算などは増えてきていますね。具体的な事例としては、大手企業とスタートアップが協業してウェアラブルデバイスを開発していたり、地方のネジを製造する企業がAIスタートアップと協業をした事例もあります。実際にいくつか事例もありますが、大学や企業に眠る特許などの知財をビジネス化していくハブとしてスタートアップが注目されるというのも今後は増えていくと思います。

手法については本当に増えてきたと思います。新規事業創出やオープンイノベーション活動の手段・手法としてアクセラレーターやCVCやビジネスマッチングやスタジオなどはあると思いますが、開催側のリテラシーやニーズによって何が適切な方法かというのは変わっていきます。多くの企業がイノベーション活動に本腰を入れてきているなか、必要とされる手段手法も多様化してきているというのが現状かと思います。

鈴木:アクセラレータープログラムもどれ一つとして同じ型のものはないですし、CVC、プログラマティックM&A、スタートアップスタジオ、EIR、ベンチャー留学等いろいろな活動があり、これらはオープンイノベーションのパラダイムの中の手続きに過ぎません。綺麗な解はないので、最初は「型」を学び、一部の企業が自社にあったオープンイノベーションを模索し始めました。大手企業が事業ポートフォリオを変えるとき、大規模なM&Aや協業案件でなければ合理性はありません。スタートアップへのマイナー投資を繰り返しても、目的には相当遠いでしょう。ただし、一発必中で大型のM&Aや提携を成功させるのは難易度が高いので、プログラマティックなオープンイノベーション活動を繰り返し、小さな失敗から学び、体制・文化を整えたところが、結果としてイノベーション能力を高めるのは当然なことだと思います。

伊地知:地域やテーマに絞って複数の企業が参加をして開催するイノベーションプログラムのニーズは近年高まってきたと思いますし、慣れている企業ですと、自社のリソースや人材を外に出してスタートアップスタジオ型のプログラムに参画などもされています。Crewwのスタジオプログラムでは、大手企業の社員など本業がある人たちが集まりゼロイチプロダクトを作るという事をやっていて、登録者数は既に約1,700人になっています。今後は、イノベーション人材の育成という観点で、このような課外活動への参加や、大手企業からスタートアップに人を出向させるようなニーズも増えていくかと思います。

ーありがとうございました

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