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火曜日, 1月 26, 2021

オープンイノベーション促進に役立つモデル契約書とは?

モデル契約書とは、オープンイノベーション促進に欠かせないスタートアップと大企業の各種契約を締結する際のガイドラインとなる契約書です。
スタートアップは法務に関する専門人材が限られる一方で大企業には法務を専門とする部署があるため、知識に差が出ることは否めません。
この差によって特にスタートアップが不利益を被らないように作成されたのがモデル契約書です。
そこで今回は、モデル契約書の概要や活用方法、それぞれの契約書の内容について紹介していきましょう。

オープンイノベーション促進とモデル契約書

まずは、オープンイノベーション促進の現状と「モデル契約書」の概要について解説していきましょう。

オープンイノベーション促進の現状と課題

オープンイノベーションはスタートアップと大手企業が連携することで革新的な製品やサービスを創出するためのスキームとして注目されています。

これまでの日本企業は製品やサービスの開発を自社で完結させる傾向にありましたが、ICT化により社会変化のスピードが早くなり、グローバル化や社会の成熟によって多様な価値観に対応した製品が求められるようになりました。そこで、近年では専門分野に特化したスタートアップの技術を活用することで開発スピードを上げ、自社だけでは開発できない新製品やサービスを世に送り出すことが期待できるオープンイノベーションが注目されています。

モデル契約書とは

モデル契約書は、研究開発型のスタートアップが大手企業と契約する際に、必要な項目を予め入力したフォーマットのような契約書です。経済産業相と特許庁が知財や法務の専門家を委員として招聘して作成しました。

モデル契約書の特徴は以下の3点です。
・共同研究開発を進めるうえで必要な「秘密保持」「技術検証(PoC)」「共同研究開発」「ライセンス」の4種類のモデル契約書がある
・取引事例が紹介されているので、どのような内容を記載すべきか分かりやすい
・逐条解説それぞれの条項の内容を契約書に記載する意味や、記載しなかった場合のリスクが紹介されている

モデル契約書が作成された背景

モデル契約書が作成された背景には、スタートアップと大手企業が提携するうえでの法的な知見に関するギャップが挙げられるでしょう。大手企業は知的財産に関する専門部署があり、契約や特許、知的財産などに問題がないかをチェックします。しかしスタートアップには法務に関する知識を持った人材が必ずしも存在する訳ではなく、このギャップがオープンイノベーションを阻んでいると経済産業相や特許庁は分析。そこで特に研究開発型のスタートアップが大手企業と提携してオープンイノベーションを推進できるようなツールとして「モデル契約書」が作成されました。

モデル契約書の活用方法

続いて、モデル契約書を活用するための2つの方法について解説していきましょう。

どんな契約事項があるかシミュレートする

モデル契約書の特徴でも紹介しましたが、モデル契約書は研究開発を行ううえでの4つのプロセスごとに契約書があるため、研究開発のどのプロセスでどんな条項の契約を結ぶかを事前にシミュレートできます。大手企業と実際に契約を結ぶ前に契約内容について十分に検討できるため、条項の必要性や、条項がなかった場合のリスクを理解して交渉に臨めば、相手が提示してきた契約内容の内容に関しても不利な条項かどうかが判断できるでしょう。

スタートアップ・大企業の認識を一致させる

スタートアップと大企業は異なる強みを持っており、それぞれの認識を一致させて研究開発に取り組むことがオープンイノベーションにおいて重要です。モデル契約書を活用することで研究開発の目的やそれぞれの役割分担を明確にすることがモデル契約書の目的のひとつといえます。オープンイノベーションではスタートアップが優れた技術力やビジネスモデルを持ち、大企業が販売チャネルや生産体制を持っているのが一般的です。この異なるバックグラウンドをもつ2つの企業が認識を一致させ、協力体制を構築するためにもモデル契約書が活用できます。

モデル契約書の種類

モデル契約書は4種類あります。それぞれの契約書の内容について紹介していきましょう。

モデル契約書:秘密保持契約書

機密保持契約書は、お互いの企業が開示した情報に関する取り扱いを定めた契約書です。特にスタートアップが開示した技術などに特許がかけられていない場合、秘密保持契約書を取り交わして使用の範囲を定めておかないと、重要な技術が流出するリスクがあります。開示対象や利用目的を定めて技術を保護できるような内容で契約を締結するのが重要です。

モデル契約書:技術検証(PoC)契約書

技術検証(PoC)契約書は、技術検証を行ううえでコスト負担をどちらがするのか、検証方法や期間をどのように設定するのかを定める契約書です。特にスタートアップが技術を持っている場合、その検証費用を大企業が負担せず、スタートアップの資金繰りが悪化した事例が過去に散見されました。そこで、モデル契約書で技術検証(PoC)契約書を定めることで、スタートアップに過度な負担が寄せられることの内容に配慮されています。

モデル契約書:共同研究開発契約書

共同研究開発契約書は、オープンイノベーションによって共同研究した成果物に関する知的財産権をどこに帰属させるかを明確にする契約書です。モデル契約書では知的財産権をスタートアップに帰属させ、大企業には独占的通常実施権を認める旨の内容が示されています。共同研究の内容によって実態は異なるため、当事者間で十分に協議して契約を締結することが肝要です。

モデル契約書:ライセンス契約書

ライセンス契約書は、ライセンスの範囲や特許権非侵害、商標利用など各種ライセンス使用に関する取り決めを定めて契約書です。知的財産権は実務においてトラブルの発生しやすい項目ですので、事前にどんな内容を主張すべきかを検討しておき、双方が契約内容を遵守できるように合意形成を図る必要があります。

「研究開発型スタートアップと事業会社のオープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver1.0」は下記、特許庁のオープンイノベーションポータルサイトからダウンロードできます。
▶︎ https://www.jpo.go.jp/support/general/open-innovation-portal/index.html

モデル契約書を活用して適切に契約しよう

モデル契約書は、オープンイノベーションにおいて主にスタートアップが不利な契約とならないようにサポートするために経済産業省と特許庁が作成した契約書です。特に、オープンイノベーションによって大企業と初めて共同でプロジェクトを進めることになったスタートアップは、モデル契約書を活用することで契約のポイントや、それぞれの条項に記載すべき文言について検討しやすくなります。

オープンイノベーションは革新的な製品やサービスを生み出すことも当然ながら、スタートアップと大企業の双方に公正な利益をもたらすことも重要です。ぜひ、モデル契約書を活用して適切な契約を締結していきましょう。

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