その活用でDXに成功した事例もあります。外部から新しい価値を取り込み、既存システムを変えることがDX成功の近道ともいえるでしょう。
記事では、日本におけるDXの現状を考察しながら、スタートアップ活用によるDX推進の成功事例を紹介します。
DXの推進が今後の日本経済の成長を左右するキーポイント

DXの推進は今後の日本経済の成長を左右するとされ、急ピッチでの変革が求められています。DXは日本の経済にどのような影響を及ぼすのか、日本の現状とともに見ていきましょう。
DXの経済効果
私たちの暮らしはデジタル技術の普及で大きく変化し、より良いものへと進化していきます。DXの推進は、既存の価値観や枠組みを覆す革新的なイノベーションをもたらすものです。
マイクロソフト社は2018年、世界のビジネス意思決定者を対象とした調査を行いました。その結果、主に次のような予測を公表しています。
- 2021年までに日本の国内総生産の約50%をデジタル製品やデジタルサービスが占める
- DXは利益率向上やコスト削減などを実現し、3年間で約80%向上させる
- 2021年までにDXはGDPのCAGR(年平均成長率)を0.4%増加させる
DXのもたらす経済効果が非常に大きいことを示唆しています。その一方で、日本のDXの現状は深刻です。
日本は遅れが目立つ
DXの推進が今後の日本経済に大きなメリットをもたらすと予測されていますが、日本企業のDXは海外に大きく遅れをとっています。
経済産業省のDXレポート
経済産業省は2018年「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」をまとめました。その報告によると、日本のデジタル技術導入の遅れについて切迫した報告を行っています。「2025年の崖」と呼ばれるもので、日本がこのまま世界から遅れた状況が続けば、競争に負けるという指摘です。
企業の既存システムはすでに老朽化・複雑化しており、そのまま残存した場合は2025年以降の経済損失は年間で最大12兆円にのぼると推定しています。
スタートアップ活用でDXを推進
1日も早いDXの推進が求められる中で注目されているのが、スタートアップの活用です。現在、さまざまな分野で企業のDXを推進するスタートアップが数多く活躍しており、企業のデジタルシフトを実現しています。
「内部から古いシステムを変えることができない」「DX推進の人材がない」など、DXがなかなか進まない企業は、スタートアップを活用することがいち早くデジタル化を達成し、コスト削減や業務改革を果たす方法といえるでしょう。
スタートアップ活用で成功した事例

新しい価値を生み出すスタートアップを活用してデジタル技術を導入することで、飛躍的な進化を遂げている企業は数多くあります。ここでは、DX領域で活躍するスタートアップを活用してDXの成功を果たした事例を紹介しましょう。
AI技術を提供する「OPEN8」
OPEN8は動画領域のDXを推進するスタートアップです。国内初のAIが搭載された自動動画編集クラウドを提供。専門知識がなくてもビジネス活用できる動画コンテンツが簡単に作れるシステムです。
素材を入稿するだけで、AIがさまざまなサポートを行い、最短5分で制作が完了。これまでは動画編集を外注しなくてはならなかった企業も、インハウスで動画編集ができます。
高速バス事業などを営むWILLER株式会社は同社の動画編集ツールを導入。動画広告のコストを88%の削減に成功しています。
材料開発をDXする「MI-6」
MI-6は、材料開発をDXするスタートアップです。材料開発にAI技術を活用するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を導入するためのコンサルティングやデータ解析を行っています。
MIは、データサイエンスと材料科学を融合することで短期間かつ低コストで新しい材料を探索・開発する最新技術。欲しい性能の素材を狙い撃ちして開発できるため、最終製品の開発スピードを飛躍的に早めることが可能となりました。
化学品専門商社のキシダ化学はMI-6との共同開発でリチウムイオン電池の性能向上に有効な研究成果を得るなど、10年以上の実験を繰り返していたものをわずか数カ月で成功させています。
スタートアップを活用してDXを成功させよう

DXの推進は、企業が社会の急激な変化に対応して成長を続けるために欠かせません。スタートアップの活用で、多くの企業がDXを成功させています。自社だけではデジタルシフトが難しいという企業は、新しい価値を生み出すスタートアップ活用も検討してみるとよいでしょう。
