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火曜日, 12月 6, 2022

オープンイノベーションが変えた 自社の風通し

まちづくりに携わっている人に絶大な知名度を誇るのが国際航業株式会社(東京都千代田区、土方聡社長)です。国土の姿を測量して正確な地図を作ったり、GPSなどを使って現在地を特定したりという地理空間情報事業に加え、太陽光発電事業やまちづくり支援といった「空間情報コンサルティング」を事業の柱に据え、日本やアジア各国での国土発展を支えています。まもなく創業から70年を迎える同社が挑んだオープンイノベーションの形について、事業開発本部の副本部長で事業開発部長の長谷川浩司さんと、同部新規ビジネスグループ長の藤原康史さんにお話を伺いました。
※この記事は、2016年4月4日、creww magagineにて公開された記事を転載しています。

crewwに登録されているスタートアップのページを見てイメージを膨らませる

―国際航業といえば、地理空間情報技術の分野では誰もが知る大手企業ですが、Creww株式会社のオープンイノベーションに踏み切った経緯を教えてください

弊社は1947(昭和22)年から航空写真の測量をベースに事業を始めました。現在では、GPSに代表される地理空間情報と建設コンサルティング技術を融合させた「空間情報コンサルティング」を事業の柱に据え、さまざまな技術開発やソリューションの提供を行っており、お客さまの中心は官公庁です。

現在、1700人ほどの社員がいますが、技術者の割合が高い企業ですので、技術開発力を高めながら、より良いモノを作るというプロダクトアウト的な発想が中心にあります。一方で市場のニーズを捉えたマーケットイン的な取り組みも必要ではないかとの思いもあり、近年は社内でも新規事業の立ち上げやアイデア募集も行っています。

ただ、社内リソースだけですと、新たな技術やアイデアには限界もありますので、地理空間情報の計測技術の提供などを軸に、昨年(2015年)11月からオープンイノベーションにチャレンジすることになりました。


国際航業は「空間情報コンサルティング」を事業の柱に据えている

― 今回のオープンイノベーションは「失敗が許されない大きなチャレンジだった」とのことですが、実施までに苦労されたのではないでしょうか

Creww株式会社の担当者の方もCEOである伊地知天さんもしっかりとした考えを持っており、このオープンイノベーションにかけてみよう! と思い、実施に踏み切りました。ただ、会社として初めての試みですので、オープンイノベーションがどういう仕組みなのかを社内で説明する際には、丁寧に伝えることを心掛けましたね。

社内リソースの棚卸しやゴールの設定など、準備をはじめたのは昨年の夏前です。まずはcrewwに掲載されていた1700社ほどのスタートアップのページにはすべて目を通してイメージをつかみ、また、先にオープンイノベーションを実施していた大手企業にもヒアリングをさせていただき、アドバイスをもらっています。

スタートアップの方々へのオリエンテーションでは、官公庁ビジネスがどういうものか、また弊社はどのような要素技術を持っているのかなど、みなさんにご理解いただけるようにつとめて話しをしたところ、「今まで関わったことがない業種」「初めて聞いた」との好反応があるなど予想以上に盛況で、オリエンテーションを2回にわたって行ったほどでした。

― 2015年11月下旬から募集を始め、数多くのスタートアップが応募しています

果たして応募があるのだろうかと不安もありましたので、ほっとしました。その後、部内の3人で手分けして内容を拝見するのはもちろんですが、やはり思いを直接聴きたいと思い、多くのスタートアップの方と実際にお会いしています。

このなかから10社の方にプレゼンテーションに来ていただきました。プレゼンの場には、弊社の社長や各事業の責任者だけでなく、持ち株会社である日本アジアグループの会長兼社長の山下哲生氏も参加しています。スタートアップの方には時間いっぱいまで説明をいただき、熱気あふれる場となりました。

― 東証一部上場企業の社長が時間を割き、自らスタートアップの話を聴きに出向いたという点で、オープンイノベーションにかける御社の意気込みが伝わってきます。その後、どのような選考が行われたのですか

事業の具体性や弊社の受け入れ体制といった指標は作りましたが、やはり最終的には「本気度」といいますか、コラボ度といいますか、一緒にできるのか否かという点が大事だったように思います。プレゼンいただいた10社はいずれも評価が高かったのですが、最後は“やりたい度”という点を見て、7社とコラボを進めることに決めました。

以後は連日打ち合わせを行い、今では弊社の現場担当者とスタートアップの方が直接やり取りしたり、全国に持つ弊社拠点を一緒に回ったりもしています。今後、コラボの具体的な成果が徐々に見えてくるはずです。

半期に一度行われる全社的な説明会の場があり、今回の取り組みを全社員に紹介したのですが、他の部署からは「オープンイノベーションのような取り組みを行いたいのだが、どうすればいいのか」といった問い合わせも寄せられるようになりました。

― 多数のスタートアップが参加した今回のオープンイノベーションですが、コラボにいたった企業といたらなかった企業の差はどういう部分でしたか?

応募いただいたスタートアップに大きな差はありませんでした。ビジョンを共有できるか否か、相性が合うか合わないかという部分が大事なのではないでしょうか。お見合いのようなものですから。


オープンイノベーションを振り返る長谷川さん(左)と藤原さん

― これからオープンイノベーションを行う大手企業の方にアドバイスをお願いいたします

われわれにとって大きなチャレンジでしたが、挑戦してよかったと思っています。アドバイスになるかどうかは分かりませんが、やはりスタートアップの方をリスペクト(敬意を表する)ことがもっとも大事ではないでしょうか。また、従来の固定概念を一度捨ててみることも必要かもしれません。

実務的な面ですが、オープンイノベーションを既に行った“先輩”となる大手企業に「あまり多くの人が関わるのではなく、少人数でやったほうがいい」とアドバイスをいただいたので、われわれもそのようにしました。一方で、社内での連携や各事業のリーダーに趣旨を理解してもらう活動は、積極的に行ったほうがスムースにことが運ぶはずです。

今後もオープンイノベーションは続けたいと思っていますので、ノウハウを貯めていくことはもちろん、今回とは異なる分野のスタートアップの方々とも積極的にお会いしたいですね。

― ありがとうございました。

国際航業株式会社のcrewwオープンイノベーション紹介(2015年11月) https://creww.me/ja/collaboration/kkc-2015

国際航業・藤原康史さんのcrewwページ
https://creww.me/ja/account/康史-藤原

執筆
PORT編集部 
「PORT」はCreww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。


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