12.8 C
Japan
水曜日, 8月 10, 2022

“共感のメディア”ならではの 新たなビジネスモデルに挑む

日本を代表するスポーツ新聞の1つとして知られる「スポニチ」。株式会社スポーツニッポン新聞社(東京都江東区)は、500万読者を抱える高い知名度と、66年間のスポーツ・芸能報道で培ったプロモーション力を生かした次の展開を見据え、2015年9月にCreww株式会社のオープンイノベーションプログラムcrewwコラボを実施いたしました。多くのスタートアップから応募を集めた今回のcrewwコラボや新聞業界を取り巻く現状について、新規事業を担当する成田淳取締役に話を伺いました。
※この記事は、2016年4月22日、creww magagineにて公開された記事を転載しています。

“紙”の次にあるモデルを発明する段階に

― 成田取締役はスポーツニッポンの関連会社である毎日新聞社で、新聞制作の最前線から経営の現場まで幅広い経験を積まれてきましたが、現在の「新聞業界」をどう見ていますか

新聞というメディア自体は400年以上前からあり、毎日新聞社だけを見ても150年近い歴史を持っています。その役割は、世の中にある共通の課題を報じることにあり、スポーツ紙は生きる喜びを伝えるという目的を持っています。これはデジタル化しても変わりません。

一方、業界全体で見ると、紙の形で発行している新聞は、年に3%の割合で読者数が減っており、この15年ほどで社員数も20%減になりました。「紙」というパッケージモデルはなくなることはないにせよ、どこの新聞社も経営的には限界と言える状況にまで来てしまったのが現状です。

とはいえ、新聞社全体では社員数が少なくなっても、現場で取材する記者の数は減らしていませんので、プロのメディアとして、コンテンツのクオリティは落ちていません。課題はこのコンテンツをいかにマネタイズしていけるかです。デジタルに流すだけでいいのか、もっと付加価値を高めるためには何をすればいいのか、“紙”の次のモデルを発明しなければならない段階に来ています。

これまでのビジネスモデルに変革を起こすためには、外のアイデアを取り込まなければならないと考え、スポーツニッポン社として出した一つの答えがcrewwのオープンイノベーション「crewwコラボ」を行うことでした。


スポーツニッポン新聞社は66年の歴史を持っている

― 新聞の役割は変わっていないものの、今後のマネタイズ面で課題がある、ということでしょうか

いわゆる「全国紙」と呼ばれる大手新聞社の役割は「国家とは何か」「民主主義とは何か」ということを伝え、考え、守っていくことです。民主主義は“タダ”だと思われていますので、ここにお金を払っていただくのはなかなか難しいですし、“民主主義を守る”という目的で書かれた記事が読まれるとも限りません。

一方、スポーツ新聞は世の中の共通の関心ごとであるスポーツや芸能などを伝える役割を担っています。スポーツニッポン社では「楽しく元気な社会を築く」との目標を掲げているように、一般紙とは違い「共感のメディア」ということが言えます。そういう意味では、イノベーションを起こしやすい環境にあります。

― 「共感のメディア」であるスポーツ新聞だからこそ、新しいことに踏み出しやすいということですね

一般紙はともすれば理想や理念を優先せざるを得ない面がありますが、スポーツ紙は世の中の本音を引き出し、上手く伝えることに長(た)けています。まずは「何でもやってみよう!」という企業風土ですから、今回のcrewwコラボにおいてもスタートアップの皆さんには「NG項目なし」とお伝えしました。

― 今、誰もが情報を簡単に発信できる時代ですが、新聞社の強みはどんなところにあるのでしょうか

ブログなどで発信している一般の方と、新聞社が発信する情報の違いは、膨大な情報のなかから必要な内容を選び出し、パッケージ化できることにあると思っています。また、先ほど、本音を伝えると言いましたが、本音をストレートに伝えると、嫌な思いをさせてしまうことがありますよね。読む人に嫌な思いをさせずに本音を伝えるのが、われわれプロの腕の見せどころです。この価値を生かしたビジネスをしなければと考えています。

一方、これまでの新聞は客観的な匿名記事が中心でしたが、これからは、記者一人ひとりがコンテンツ化していかなければならない段階に来ているように感じています。情報の新たな伝え方を模索しているところです。

― 今回のオープンイノベーションでは多くのスタートアップから応募がありましたが、どのような印象を持たれましたか

社内からのアイデアは、どうしても旧来の価値観にとらわれがちですので、外の発想やアイデアをいただける素晴らしい機会で、本当にありがたかったです。

一方で厳しい見方をしますと、こちらの想像を超えるような提案がなく、類似サービスを提示いただくことが多かったのも事実です。

スタートアップの方による発想の本質と、スポニチが持つ価値をいかに融合させ、形にしていけるか、これからが勝負だと考えています。会社としては大きな期待感をもってコラボに取り組んでおり、社内に化学変化を起こしたいと思っています。

― ありがとうございました

成田取締役(左)とコラボ担当者の内匠俊頌さん

スポーツニッポン新聞社のcrewwコラボページ(2015年9月実施分)
スポーツニッポン新聞社のコラボ担当者・内匠俊頌さんのページ

執筆
PORT編集部 
「PORT」はCreww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。
Facebook コメント
PORT編集部https://port.creww.me/
PORT by Crewwは、Creww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。

Featured

使い捨て傘ゼロへの挑戦 100年続く雨の日のインフラを築く「アイカサ」

【スタートアップインタビュー】ビニール傘の利用が、日本を「世界一位の傘消費国」にしています。これまで私たち日本人が他に選択肢を持たずにビニール傘を躊躇なく購入していたのは、そのビニール傘が欲しかったからではなく、濡れない体験が欲しかっただけ。株式会社Nature Innovation Group代表の丸川 照司氏は、「傘をシェアする」という発想のなかった日本に、「アイカサ」という傘のシェアリングサービスを提供。デザイン性の高いお洒落な傘を前に「雨の日に少しでもハッピーになってもらえたら嬉しい」と語ってくれました。使い捨て傘ゼロのサスティナブルな社会へ向け挑戦を加速する「アイカサ」のサービスとは?今や30万人が登録するまでとなった事業展開のコツやマネタイズのポイントについてもお話を伺いました。 #NatureInnovationGroup #アイカサ #傘 #シェアリング #サスティナブル #SDGs #スタートアップ #Creww #大挑戦時代をつくる

【三友プラントサービス×mint】循環型社会を実現|行動変容を促すLINE LIFFアプリの協働開発

【Creww Growth 活用協業事例】廃棄物処理事業のパイオニアである三友プラントサービス株式会社は、産業廃棄物を適正に処理する焼却処理事業に加え、廃棄されたものを「資源」へと活かす新たな事業の創出を求め、アクセラレータープログラムを開催。採択されたのは、会員制サービスやロイヤルティプログラムをローコードで作れるSaaSの開発運営を行っているスタートアップmint株式会社です。具体的な協業内容から、未来に臨むサービスの展望まで、株式会社三友環境総合研究所の増田氏・栗原氏、mint株式会社代表の田村氏にお話を伺いました。 #三友プラントサービス #三友環境総合研究所 #mint #カーボンニュートラル #廃棄物処理事業 #アクセラレータープログラム #SaaS #スタートアップ #Creww #大挑戦時代をつくる

【募集】サーキットを舞台に、社会課題や地域活性化、交通安全につながるアイデアを募集

【オープンイノベーションインタビュー】一般社団法人トヨタ・モビリティ基金は「もっといいモビリティ社会」の実現に向けたアイデアコンテスト「Make a More PROJECT」をスタート!多様な分野で活動する個人や団体がアイデアやソリューションで競い合い、取り組み次第では活動支援金を増加させられる仕組みがあること。募集テーマは「Fun & Safety 〜安全かつ最高に楽しい体験を〜」だ。サーキットを舞台にさまざまなアイデアやソリューションを求めるにあたり、トヨタ・モビリティ基金の福田氏と福島県のエビスサーキット代表の熊久保氏に話を伺った。 #募集 #エビスサーキット #トヨタモビリティ基金 #アクセラレータープログラム #アクセラレーターインタビュー #オープンイノベーション #スタートアップ #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

セイノーHD×次世代型農業への挑戦|生産からお届けまでの一気通貫を実現

【Creww Growth活用協業事例】セイノーホールディングスは、Crewwを通じてアクセラレータープログラム「SEINO Accelerator 2017」を実施。セイノーグループの保有する多様な事業領域と強固な顧客基盤等のアセットを活用し、世界最高の農業エンジニアテクノロジーで持続可能なアグリシステムを開発するスタートアップ「株式会社ファームシップ」と協業。中京地方で複合機能型植物工場事業を立ち上げたその協業内容や、今日に至るまでの両社の連携について、セイノーホールディングス オープンイノベーション推進室 室長 加藤 徳人氏と、KOTO no Ha fresh farm 工場長 松山 昌弘氏にお話を伺いました。 #セイノーホールディングス #オープンイノベーション #アクセラレータープログラム #スタートアップ #アグリシステム #SDGs #ファームシップ #植物工場 #Creww #大挑戦時代をつくる
Facebook コメント