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水曜日, 9月 28, 2022
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【インタビュー】IoT×サンゴで生態系課題に挑戦!東大発スタートアップ「イノカ」

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Crewwが注目のスタートアップを掘り下げて紹介する『大挑戦時代を生きるスタートアップ特集』。今回は、東大発のスタートアップである「イノカ」へ赴きお話を伺いました。東京都神谷町に構えた施設の水槽には、サンゴ礁の生態系がそのまま切り取られ再現。環境移送技術の研究開発を活かしたイノカの具体的なサービスとは一体どのようなものなのでしょうか。また、その社会実装の推進やマネタイズの面を含めた現在、さらには環境問題の解決を見据え、イノカが目指す展開とはー。自身が身を置いていたAIの世界から一転、サンゴの魅力を原点に環境移送技術をもって起業したイノカ代表の高倉葉太氏が、社会に広めたい想いーその熱い胸の内をお話くださいました。

サンゴ礁の生態系をそのまま切り取る!環境移送技術の開発から生まれたサービスとは??

―環境移送技術の開発を活かし、イノカさんが展開するサービスについて教えていただけますか。

高倉:主に2軸で進めております。

まずは、「サンゴの水槽を色々なところに作っていくこと」が我々のサービスの中心になっています。
「本物を見せられる強みを生かした」いわゆる“教育”のサービスですね。イノカの水槽を商業施設に設置させていただいたり、また、この神谷町の施設も休みの日には開放しております。社会課題の解決に向け、環境を学ぶ“塾”として使用していただいています。

教育といっても、「環境にいいことをやりましょう」というサービスではないんです。結果としてはサンゴは守らないといけないのですが、まずは「サンゴって面白いよね」という原点ですね。色々な生き物を実際に見て、不思議に感じて研究するーそこを伝えたいと思っています。

そしてもう一つの軸は、「海を守る研究」です。
これまでは、沖縄まで行って、時間をかけて色々な許可を取った上で研究をするのが主流でした。一方で、我々の技術は、都内にいながら何の許可も要らず、さらには天候に左右されない安定した環境で、より細かな定量評価を可能にするという研究開発の理想を叶えるものとなっています。海の研究をしている様々な先生や企業様にご協力いただきながら、サンゴを守る研究を進めています。

覗いてみたい!サンゴとともに歩む仕事

―設置されているモニターでは何をしているのですか?

高倉:これはモニタリングアクアリウム(Moniqua)です。サンゴの飼育は性質上非常に難しいので、誰でも飼育できる様に管理のシステム化を目指しています。我々のコアテクノロジーですね。

ー今実際に作業をされていますが、何のお仕事をしているのでしょうか?

高倉:今は水質検査をしています。全てをIoT化するわけではなくて、そのコストパフォーマンスも考えて、本当に必要な数値だけを図れるように知恵を絞っています。こういった泥臭い作業もあるところは、普通のIT系スタートアップとは異なるところかもしれませんね。

モニタリングアクアリウム(Moniqua)

サンゴの神秘!海の研究に環境移送技術が活きる理由とは!?

ーいくつも水槽がありますね。何種類の魚が生息しているのでしょうか?

高倉:はい。大きなものが3台と、小型の水槽が7台あります。我々が作った最大の水槽には、サンゴも合わせると大体100種類くらいの生き物がいます。

ーそんなに多くの生態系がそのまま再現されているのですね!環境移送技術を活かして現在のサービスに辿り着くまでの軌跡を教えていただけますか?

高倉:僕の自宅にあった機材を組み合わせて作った水槽で、サンゴの人工産卵の研究をしたのが始まりです。そもそも、サンゴというのは、年に一回、満月の夜付近で産卵するロマンティックな生き物ですが、年に一回であるがために研究がなかなか進まない大変さがありました。

それが、人工的な環境であれば季節をずらすことができる。毎月卵が手に入るため「よりサンゴの研究を推進できる技術になるのではないか」というのが僕達の始まりでした。

サンゴで起業しようと思ったワケは?!サンゴの魅力も大解説!!

ーとは言え、サンゴと普段の生活とでは、なかなか接点がない印象もあります。高倉さんは、どうしてサンゴで起業しようと思われたのでしょうか?

高倉:サンゴって非常に面白い生き物で、実はジュラ紀から地球上に存在しています。生き残る進化の過程で色々な性質を持っていて、人類の大大大先輩生命なんですね。

動物なのに体内に植物プランクトンが入っていて光合成ができる。つまり日の光を浴びていれば、ご飯を食べなくても生きられる。また、動物の中で唯一地形を作ることができる。さらには、サンゴが、人の癌の治療薬の研究に使われていたりもします。

何より素晴らしいのは、サンゴが作ったサンゴ礁の面積は、海洋面積のたった0.2%しかないにも関わらず、サンゴ礁中には、全海洋生物の内およそ25%が暮らしているということです。海の中で一番生物の多様性が高いー。まさに海の大都会なんですね。その中心にいるサンゴというものを非常に興味深く思っています。

一方で、今後20年でサンゴの90%が失われてしまう。それは、しっかりと止めていかなければならない。実はサンゴ大国である日本から、サンゴを守る活動をしていかなければならないと思っています。

事業成長の裏話!?環境系スタートアップのマネタイズが知りたい

ー初期の資金調達は、どのように見込まれていたのでしょうか。

高倉:珍しいとは思いますが、未だにVCから出資は一切いただいていない状況です。環境系スタートアップなので、上場を目指して行きつつも、それを目的にするのでは変な方向にいってしまうので…。色々な選択肢を残しておく為にも、今はエンジェルの投資家さんから資金を調達しつつ、売り上げを基本に事業を回しています。

ーなるほど。では、マネタイズのポイントはどこに置かれているのでしょうか?

高倉:1つは教育ですね。環境課題を解決する人材を、もっと育成していかなければならない時代であると思っています。特に日本はそこが絶望的に弱いんですね。「社会課題を解決するんだ!という熱いパッションを育てること」が、今後の日本においてとても重要です。そういった理解が進む中で、企業様の社内イベントや、塾、あるいは共同研究といったところでマネタイズしています。

イノカのアクセラレータープログラム活用法とは?

ー事業成長の一つの手段として、アクセラレータ―プログラムがあると思いますが?

高倉:Crewwさんも含めてよく利用させていただいております。もちろんコンペ的なところも重要ではありますね。それから、我々のようにディスカッションをする中で色々な新しいビジネスを考えていく企業にとっては、プログラムの中で賞金をいただけなくても、いいご縁が繋がっていくことも多々あります。

ー具体的には、どんな企業様との協業に取り組まれていたのでしょうか。やはり海に関連した企業様とになるのでしょうか。

高倉:実は幅広です。今、一番一緒に取り組んでいる会社は、三井不動産様と商船三井様の2社ですね。三井不動産様とは、商業施設にサンゴ礁を作って教育事業を展開しております。商船三井様とは、モーリシャス島沖で、燃料油が流出してしまった件で、現地調査を含めてご依頼をいただいておりました。

「海をみてほしい。」協業に込めるイノカの想い

我々としては、海に関係のない方々を、こちらの世界に引っ張ってきたいんですね。というのも、環境の話をすると、皆さんが一番に思い浮かぶのは陸側。陸側がすごく注目されがちなんですけれども、地球ってそもそも7割が海ですよね。海って実は宇宙よりも分かっていないことが沢山ある。実用化されている薬に使われている生き物は、陸では考えられませんがたったの9種類しかいません。そのくらい海は未活用の資源なんです

今はまだ、多くの企業様が「海は関係ない」「サンゴ関係ない」とおっしゃるけれども、この先欧米と戦っていくには、日本が海洋大国である自覚を持っていく。環太平洋諸国を引っ張って、海を守っていく―。

日本から真のイノベーションを生み出すためには、「海をみてほしい。海を見ていくべきだ。」と我々は思って、今少しずつ、仲間を増やしています。

ーそうですよね。海に関する新たなイノベーション…今後の展開が凄く楽しみです!
本日は、貴重なお話をどうもありがとうございました!

社名株式会社イノカ / Innoqua Inc.
設立2019年4月
所在地〒105-0001 東京都港区虎ノ門3丁目7−10 ランディック虎ノ門ビル 2F
代表者高倉葉太
事業概要環境コンサルティング / AIシステム開発 / サービス運営
URLhttps://corp.innoqua.jp
インタビュイー
高倉葉太 氏 株式会社イノカ 代表取締役CEO
1994年生まれ。東京大学院 落合陽一を輩出した暦本研究室所卒。大手企業からスタートアップまで数多くのシステム開発を受託。2019年に大学院を卒業し、株式会社イノカを設立。アクアリストのノウハウと、IoT・AIの技術を組み合わせ、海洋生態系の管理・育成を行うシステムを開発。環境移送技術を活用し、企業とのイノベーションや共同研究を推進。一方で、守るべき海の生体系やその価値を伝える教育も行う。
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ai taniuchi
2020年からPORT by Creww にてフリーランスライターとして活動中。
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