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水曜日, 7月 28, 2021

クールであること以上に、問題を解決することを第一に

スマホで撮った子どもの写真・動画をそのまま実家のテレビへ配信するサービス「まごチャンネル」は株式会社チカクのサービス。ユーザーの声に耳を傾け、その声を製品に転換する、ちょっと普通ではない尖ったスタートアップに至るには色々な経験があった。
※この記事は、2015年12月10日、creww magagineにて公開された記事を転載しています。

かっこよさ以上に、自分が本当に解決したい課題に挑む

Appleの日本法人に新卒から12年間勤務していましたが、自分で何かを創りだすことをやってみたいと思っていました。法人をつくることは、あまり重要なことだとは考えていなかったのですが、補助金の申請などで会社化しておいた方が色々とやりやすかったこともあり株式会社チカクを立ち上げた次第です。

「まごチャンネル」の原案は数年前からあったのですが、Appleに在籍していたのだから、「イノベーティブ」で「クール」なことをしないと周りから見てカッコがつかないんじゃないか? といった気負いや思い込みが、当時は正直あったと思います(苦笑)

そんななか、周りからどう見られようが、自分が個人としてまず解決したい問題をやろうと吹っ切れたタイミングがありました。事業規模や収益を一旦度外視して、やりたいことを突き詰めてみようと、今に至ります。

そういう背景もあり、あまり先の計画を立てないようにしています。市場環境の変化が早いので、計画に縛られすぎて変化に対応できなくなれば本末転倒です。何が最善かは環境やチームによるので一概には言えませんが、今この状況ではそれがひとつの正しい道だと信じて頑張っています。

売ることに気を取られ、つくることをおざなりにする危険

スタートアップは当然人数が少ないので、焦って販路拡大へ進むと、結局リソースを販売へ割くことになり、つくることが疎かになってしまいます。販売力があれば、微妙な製品でも売れてしまうので結果としてコレで良い、ということになるのは結局製品を磨くことを疎かにしてしまうことになるので今の段階では優先度は低いです。

リソースがふんだんにある大手企業に比べてスタートアップが差別化できる部分があるとすれば、とにかくユーザーの声をどれだけ聞いているのかという部分でしょうし、これからいつまでチームがユーザーの声を聞きながら動き続けられるかということでしょう。

小回りを効かせた動きこそスタートアップの強み

技術背景の変化も非常に大きく寄与していて、大手企業は決してユーザーの声を無視して開発をしているとは言えないと思います。やりたくてもできなかったという言い方が正解かもしれません。どうしても大企業は新しい製品を作る場合1製品あたり10万個といった数をつくらなければならないので、前提としてできなかったのだと思います。

スタートアップはその辺が臨機応変にユーザーの声を反映させることができて、結果としてユーザー満足度の高い製品を比較的提供しやすい環境にあるかもしれません。

3Dプリンターの登場により、プロトタイピングに必要なコストが1桁下がったことも大きな要因ですが、それもうまく使っているところと、従来型の開発方法にこだわっているところに分けられます。

設計をしっかりして、試作に入る従来型のパターンは決して間違っていないですし正しいと思いますが、私も含めて若い研究者は、設計に多くの時間を割くのではなく、粘土をこねるようにどんどんつくって仮説検証を何度も繰り返すことが、結果としてアイデアを形にするスピードが早いことに気付いています。

とはいえ変化は今後も起きてくるはずなので、新しい方法論について自分自身も常に注目し、使いこなせるように自らを変化していけるように準備をしてなければならないと考えています。

デザインの新しさとユーザーの満足度の両立

「まごチャンネル」の発想は、例えば正月に会った孫も、次の年の正月に会うと、成長していますよね。前に会った時は、赤ちゃんという印象だったのに、次に会った時はもうペラペラしゃべっているという成長の過程も、おじいちゃん、おばあちゃんに楽しんでもらいたいというところからきています。

私たちはスマホやPCの操作には慣れているのですが、ユーザーのおじいちゃん、おばあちゃんにはTVとTVリモコンの方が慣れています。自宅のテレビに「まご」専用チャンネルをつくることがあれば、気軽に写真や動画を見ることができます。

デザインの面では苦労しました。製品的にいわゆる黒物家電にカテゴライズされると、元々のコンセプトと違ってしまう。まったく新しい製品と体験を訴求するには見た目から違うことが重要でした。

ユーザーテストはかなり実施して、本体デザインには、おばあちゃんや主婦の皆さんから色々意見をいただいて今の形になりました。メディアアートみたいな感じだったり、八木アンテナを立てていたりしたものは、評判がよくなかったですね。埃が溜まって掃除が大変と言われてしまいました。

新しい写真や動画がくるとまるで離れて暮らす孫たちがこの家に帰ってきたかのように、窓が光るようになっています。これは、新しい写真がなかったら、楽しみを提供したいのに「がっかり」を提供してしまうことになります。そのようなことを避けるためです。

見据えている世界観の近い人の厳選採用

まだまだ小さなチームなので、採用基準については妥協しないようにしています。その裏返しとして採用にはまだまだ苦労しているのが正直なところですね(笑) 決して焦ってはいないですが、スキルや経験はもちろんのこと、私たちが実現したい世界観にきちんと共感してもらえるか、チームのカルチャーに溶け込める性格か、ということをとても重視しています。やはり少人数でやっている以上、新しく入社する人がチーム全体に与える影響は大きいです。

いまの創業メンバーも人の紹介であったり、採用ページ経由での面接だったりしたのですが、共通しているのは会って1時間話をしただけで見据えている世界観がとても近いことがはっきりと互いに分かったことです。もうすぐ新しいメンバーも増えるのですが彼も同じですね。これから体制としてはまず10人を目指していきたいと思います。もちろんアウトソースで出来る部分もあるのですが、同じ目標を共有し、同じ環境でずっと一緒に働くというのは非常に重要だと考えています。そう言ったことは製品の完成度にも影響するはずなので。

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