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火曜日, 11月 29, 2022

オープンイノベーションの必要性が高い理由とは?導入の課題も解説

消費者のニーズが多様化する現代、オープンイノベーションの必要性がクローズアップされています。他社や研究機関と連携して技術やノウハウを取り入れることにより、コストダウンや生産過程の短期化が可能です。
本記事では、オープンイノベーションの必要性を説明するとともに、導入事例も紹介します。
目次
・オープンイノベーションについて
・オープンイノベーションの必要性
・オープンイノベーションを創出する3つの手法
・オープンイノベーションを導入する際の課題
・オープンイノベーションの成功例
・オープンイノベーションの必要性を把握しよう

オープンイノベーションについて

オープンイノベーションとは、外部の企業や研究機関と連携して研究開発や新規事業を立ち上げる手法です。知識や情報に対する社内外の境界をなくすことで自由に流出入させ、イノベーションの効率を高めます。

オープンイノベーションと対極の考え方にクローズドイノベーションがありますが、ここでは両者の違いや、オープンイノベーションに関する日本の現状についてみていきましょう。

クローズドイノベーションとの違い

オープンイノベーションとは、他社や研究機関などの社外にある技術やアイデアを取り入れて課題を解決することです。オープンイノベーションの反対の概念として、クローズドイノベーションという考え方があります。

クローズドイノベーションとは、研究開発から製造・販売まで一貫して自社内部のリソースだけを活用して価値を創造するというものです。イノベーションを行うのは、あくまでも自分たち内部で行います。従来の日本企業が採用してきた、いわゆる自前主義と同じ考え方です。

クローズドイノベーションは技術の独占や情報漏洩を防ぐなどのメリットもありますが、国際競争の激化など、今日の環境変化に対応するには限界があります。

日本企業の現状

近年のグローバル化や顧客ニーズの多様化により、商品やサービスのライフサイクルが短くなっています。新たな価値を生み出してさまざまな顧客ニーズを満たしていくことが必要になり、オープンイノベーションの必要性が高まっている状況です。

しかし、日本の企業の多くは、未だ従来からの自前主義から脱却できていません。2015年に行われた経済産業省の調査では、研究開発を自社単独で行っている企業は61.4%に及んでいます。

参考:経済産業省「イノベーション政策について

経済産業省の政策

顧客ニーズの多様化に応えて新しい価値を創造するためには、オープンイノベーションが欠かせません。立ち遅れているオープンイノベーションを推進するため、経済産業省はさまざまな施策を打ち出しています。

オープンイノベーションの取り組みの現状を可視化し、広く共有することを目的とした「オープンイノベーション白書」を作り、日本の現状と課題、日本企業のイノベーション実現に向けての方策を提示。企業から大学・研究機関への投資を増やすなど、産学連携の体制の強化も進んでいます。

スタートアップとの連携を促す取り組みも行われており、そのひとつがオープンイノベーション促進税制です。スタートアップの新規発行株式を一定額以上取得する場合に税金を優遇する制度で、革新的なアイデアを生み出すスタートアップとの積極的なオープンイノベーションを促しています。

また、日本型のスタートアップ・エコシステムの拠点都市の形成も重要な施策です。地方自治体や大学、民間組織などが策定した拠点形成計画を認定し、選ばれた都市に対し、各省庁と連携して国の補助事業、海外展開支援などを積極的に行っています。

参考:経済産業省「オープンイノベーション促進税制

オープンイノベーションの必要性

オープンイノベーションに取り組むにあたっては、その必要性をしっかり認識しておかなければなりません。必要性を把握することで効果的なイノベーションの施策を実施でき、成功させることができます。オープンイノベーションの必要性が高まっている理由は、主に次の3つです。

顧客ニーズの多様化
生産サイクルの短期化
コストの削減

それぞれ順に紹介しましょう。

多様化する顧客のニーズに応える

インターネットの普及で消費者は自由に情報を取得できるようになり、ネットショッピングの利用も増えています。市場は変化し、顧客ニーズは多様化・複雑化しているのが現状です。

変化する顧客ニーズに対応するには、従来の経営戦略では追いつけません。開発のスピードを上げ、新たな価値を創造していく必要があり、自社内部で完結する自前主義では限界があります。

オープンイノベーションは多様化する顧客ニーズに応えたい企業にとって、迅速に取り組むべき課題となっているのです。

生産サイクルの短期化に対応する

近年、技術の進化は早く、新しい商品やサービスが次々と生み出されています。生産サイクルの短期化により競争は激化し、これまで市場で高いシェアを獲得していた企業もそのままの状態を維持できるとは限りません。

競合他社と差別化して優位に立つためには、開発から製品化までのスピードを速めることが必要です。そのためには、新しい技術やアイデアを外部から取り入れるオープンイノベーションを推進していかなければなりません。

時間的・人的コストを抑える

企画から開発、製品化までをすべて内部のリソースのみで進めようとすると、多くの人的コストと時間が必要です。これまでと同じペースで開発を進めていては、変化する顧客のニーズには対応できません。

生産サイクルの短期化に対応していくためには、短期間でコストを抑える手法が求められます。外部の技術を取り入れるオープンイノベーションにより、時間的・人的コストを抑えなければなりません。

オープンイノベーションを創出する3つの手法

オープンイノベーションは、大きく分けて3つの手法があります。知識や技術を社内へ取り込む「インバウンド型」、社内から社外へと流出する「アウトバウンド型」、両方を組み合わせた「連携型」です。必要性に応じ、自社に合う方法で取り組むとよいでしょう。

ここでは、オープンイノベーションを創出する3つの手法について紹介します。

インバウンド型

インバウンド型とは、外部から知識や技術を取り入れてイノベーションを行う手法です。自社にはないアイデアやノウハウ、人材といったリソースを受け入れ、効率的に開発や製品化を行います。

一例として、代金を支払い、技術の使用権を取得するライセンスインや、大学などの教育機関・研究機関と民間企業が連携する産学連携があげられます。

アウトバウンド型

アウトバウンド型は、自社が保有している技術などを外部に提供することです。社内の技術をさらに発展させ、新たな開発や製品化につなげることを目的にしています。

アウトバウンド型としては、コラボレーションによる共同開発、社内で利用していない研究開発成果や知財などを独立させ、別企業として新事業を推進するスピンオフがあげられます。

連携型

連携型は、インバウンド型とアウトバウンド型の両方を統合したオープンイノベーションです。連携型の例となるオープンイノベーションは多様で、主に次のようなものがあげられます。

アイデアソン・ハッカソンの開催:エンジニアやクリエイターなどが共同開発をするイベントを開催すること
ジョイントベンチャーの設立:複数企業が共同出資を行い、新規事業を立ち上げること
コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC):事業会社がファンドを形成し、未上場の新興企業に出資や支援を行う組織
インキュベーター:新しいビジネスの起業家などを支援する組織

このほか、複数の企業が特定の分野に関して事業の協力関係を持つ事業提携も、連携型のオープンイノベーションです。

オープンイノベーションを導入する際の課題

オープンイノベーションを成功させるためには、把握しておきたい課題があります。

まず、オープンイノベーションを行うことへの社内の理解が必要です。また、成功させるための組織づくりも欠かせません。さらに、情報漏洩を防ぐためのセキュリティ体制の整備も重要です。

オープンイノベーションを導入する際に考えるべき課題について紹介します。

オープンイノベーションへの理解

オープンイノベーションの導入にあたっては、その必要性について経営層が十分に理解していることが大切です。理解が得られないと、必要な予算や人員の確保が満足にできず、意思決定のスピードも遅くなります。オープンイノベーションの成功は難しくなるでしょう。

また、必要性は認識していても、実際に何をしていいのかわからないという問題もあります。 オープンイノベーションを行うこと自体が、 組織の戦略や目標となってしまっている場合も少なくありません。

会社としての戦略にオープンイノベーションを位置づけ、 組織として何をいつまでに目指すのか、 経営戦略として明らかにする必要があります。

自社のニーズや課題、顧客に対して提供できる価値について洗い出し、そのために必要なものは何か整理してみましょう。

オープンイノベーションに向けた組織づくり

オープンイノベーションを推進するための体制づくりも必要です。特に、これまで自前主義による開発を行ってきた企業は、組織改革を行うつもりで取り組まなければなりません。事業にオープンイノベーションを組み込んでいく戦略を策定し、目標を明確にします。

オープンイノベーションを効果的に取り入れていくためには、開発部門の一部ではなく、全社に渡って見渡せる部門として立ち上げる必要もあるでしょう。

セキュリティ体制の整備

オープンイノベーションの推進とともに、セキュリティ面で注意も必要です。すべて自社内でおこなうクローズドイノベーションと比較すると、オープンイノベーションは自社の技術やノウハウが漏洩するリスクが高くなります。

他社との連携を行う際は、データの管理などセキュリティ面についてルールを作り、体制を整えることも必要になるでしょう。

オープンイノベーションの成功例

オープンイノベーションに立ち遅れている現状がある一方、積極的に推進して成功を収めている企業も少なくありません。数多くの事例から、オープンイノベーションに成功するためのヒントを得ることができます。

ここでは、オープン&リンクイノベーションを推進する「味の素」と、自前主義から脱却して積極的に協業を進める「日産自動車」の成功例を紹介します。

共創プロジェクトを始める味の素

食品会社の大手である「味の素」は、国内外の企業や研究機関とリンクするオープン&リンクイノベーションの活動を推進しています。これまでにない新しい価値を創造することをプログラムとしており、それぞれの研究者が互いの技術やアイディアを融合させる取り組みです。

2021年には、「食と健康の課題解決」を実現する新しい事業モデルの構築を推進するため、共創プロジェクトを開始しています。これまでもスタートアップや大学との共創を実現しており、今回のプロジェクトでも、味の素グループが持つノウハウを通じて社会課題を解決できるパートナーとの共創が期待できるでしょう。

自前主義から脱却する日産自動車

自動車の大手メーカー「日産自動車」は、オープンイノベーションにより自前主義から脱却し、「世界初」の技術開発にチャレンジしています。自社の工場で「ベンチャー企業展示会」を開催するなど、ベンチャーとのオープンイノベーション推進に積極的です。

同社が直面している課題を解決する技術を積極的に外部のベンチャーから取り入れ、開発資源を「コア技術」に集中することで、他社との競争で優位を保てると考えています。

同社が着目したのは、ベンチャーの「領域は広くないものの非常に深い技術力」です。自社では時間を割けない領域を取り入れることで、新しい価値の創造を目指しています。

オープンイノベーションの必要性を把握しよう

オープンイノベーションは顧客ニーズの多様化や生産サイクルの短期化という現状を受けて、必要性が高まっています。政府も数多くの施策を打ち立てるなど、積極的な取り組みが行われている状況です。

これまで長く自前主義の開発を行ってきた日本企業には、導入に際しての課題もあります。まず経営陣がオープンイノベーションについて理解し、経営戦略に組み込んだ運用を行わなければなりません。推進に向けた体制づくりも必要です。これからの競争社会に生き残るためにも、オープンイノベーションの必要性について把握しておきましょう。

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