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木曜日, 12月 7, 2023

中小企業におけるイノベーションの実態は?現状把握から始めよう

イノベーションとは新たな考え方や技術を取り入れ、これまでになかった価値を生み出し、革新や変革をもたらすことです。技術はもちろんのこと、資金的にも限りのある中小企業には、このイノベーションが必要不可欠です。
では日本における中小企業のイノベーションの現状は、どのような実態なのでしょうか。当記事では中小企業におけるイノベーション活動の実態にも注目しながら、取り組み状況や相手先に関する情報などを解説します。
目次
・中小企業におけるイノベーション活動の実態
・中小企業の具体的な取り組み状況
・イノベーション活動の相手先に関する実態
・中小企業のイノベーションの実態を把握しよう

中小企業におけるイノベーション活動の実態

中小企業におけるイノベーション活動の実態は現状どのようなものなのでしょうか。ここでは2020年に東京商工会議所が実施した「中小企業のイノベーション実態調査」をもとにイノベーション活動の実態を掘り下げていきます。

中小企業全体の7割以上が実施

実態調査の結果、イノベーション活動に取り組んでいると回答した中小企業は「73%」でした。つまり中小企業全体の7割以上がイノベーションを実施しているのです。

次にイノベーションの種類ごとに実施状況を見ていきましょう。イノベーションの種類には大きく分けて2つあります。

1つ目がプロセスイノベーションです。プロセスイノベーションとは業務プロセスにおけるイノベーションのことで、取り組む中小企業は「23.8%」という結果でした。

2つ目はプロダクトイノベーションです。プロダクトイノベーションは新商品や新技術を開発するイノベーションを指し、これに取り組む中小企業は「2.9%」となりました。

いずれにも取り組んでいると回答した中小企業は「46.3%」にのぼっています。つまりどちらか一方というよりも、両方を取り組むほうが一般的といえるでしょう。

革新的なイノベーションに取り組む企業は約3割

革新的なイノベーションとは、他社がまだ導入していない新しい仕組みに取り組んでいることを指します。イノベーション活動に取り組む中小企業が7割以上にいるのに対し、この革新的なイノベーションに取り組む企業は3割ほどと、大きく下回っているのが現状です。

プロセスイノベーションで「9.5%」、プロダクトイノベーションで「7.8%」、両方取り組んでいる中小企業は「13.2%」という結果になっています。

参考:「中小企業のイノベーション 実態調査」報告書

中小企業の具体的な取り組み状況

ここではイノベーション活動を行う中小企業の具体的な取り組み状況について、代表的なものを3つ紹介します。それぞれの取り組み内容について見ていきましょう。

生産プロセスの見直し

取り組み状況でもっとも多かったのが生産プロセスの見直しで、実態調査には3つ紹介されています。

1つ目が廃材のニーズを捉えた環境に良い商品開発事例です。廃材を再利用する技術のある工場と提携することで、自社では不可能だった生産プロセスを確立し、新商品の開発に成功しています。

2つ目が応力の解析ソフト導入事例です。金型設計を従来の経験に基づいた設計ではなく、専用ソフトを導入することで経験値にIT技術が加わり、経験が少ない社員でも設計能力のスピードアップに成功しています。

3つ目が業界内での差別化の成功です。お客さんからの依頼をヒントに新しい加工技術を確立した事例になります。

商品やサービスの提供方法の追加

次に紹介する取り組み状況は商品やサービスの提供方法の追加です。こちらは大きく分けて2つあります。

1つ目の事例は刺繍アイテムの加工料金に定額制を導入した事例です。定額制を導入したことで、都度の見積りが不要となり営業の負担軽減とECサイトでの顧客の開拓を成功しています。

2つ目が音楽やスクール事業です。新型コロナウイルスの流行に伴い、対面式のオンラインだけでなく、オンラインレッスンをスタートさせました。

広告やプロモーション施策の改善

最後が広告やプロモーションの施策改善で小売業が取り組んでいる事例です。販売管理システムを開発するだけでなく、店舗とECを上手く組み合わせ、システム販売という新たな販路にもつなげています。

イノベーション活動の相手先に関する実態

イノベーション活動において相手先に関する実態はどうでしょうか。ここでも東京商工会議所の実態調査を基に紹介します。

取引先との連携が7割以上を占める

イノベーション活動の連携相手は顧客や販売先、仕入れ先など元々関係があった相手が多く、全体の7割以上を占めます。言い換えれば、取引先が少ない企業ほど連携相手が見つけにくいともいえるでしょう。そのため、どの企業でも一律に連携相手を見つけられるようなイノベーション支援が欠かせません。

連携満足度はスタートアップなどが高め

連携相手への満足度については、スタートアップ企業などが高めです。スタートアップ企業の満足度は「26.1%」という結果でした。

連携相手として多い顧客や販売先の満足度は「21.1%」で、仕入れ先は「20.7%」となっている結果からも、スタートアップ企業との連携は満足度が高いことが見て取れます。

参考:「中小企業のイノベーション 実態調査」報告書

中小企業のイノベーションの実態を把握しよう

中小企業におけるイノベーションの実態と東京商工会議所の実態調査を基に現状について解説しました。中小企業のおけるイノベーションの実態を少しご理解いただけたのではないでしょうか。

中小企業のイノベーションを促進するには、地域や経済団体が一体となり、効率的な支援の仕組みを構築する必要があります。そのためにも中小企業のイノベーション実態の把握が欠かせません。イノベーションをしたい事業者に寄り添った支援の輪を構築しましょう。

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