そこで注目されるのがDX(デジタルトランスフォーメーション)ですが、DXに失敗してしまうケースも多いのが現実です。この記事では、オープンイノベーションを活用してDXを推進する方法を紹介します。
今、自社のDXを検討中の方はぜひ参考にしてください。
製造業にはDXが欠かせない

近年、技術革新が目まぐるしく進んでおり、各企業はDX(デジタルトランスフォーメーション)をスピーディーに導入することが求められています。その中でも、特にDXが不可欠な業界が製造業です。
なぜ製造業にはDXが必要か
今、製造業はただモノを作るだけでなく、膨大なデータを収集することでより顧客のニーズにあった高品質の製品をスピーディーに提供することが求められています。しかし、少子高齢化で人材を始めとしたリソースが不足していることもあり、その対応は容易ではありません。
そこで、デジタル化を進めることで生産性や品質向上に結びつけていく必要があるのです。
DXが実現されるとどうなるか
製造業でDXが実現されると、例えば今まで手作業で集計していた不良発生頻度を自動で集計することができるようになります。また、今まで集計してきた顧客のニーズやクレームをAIが解析することで、より顧客が満足できる製品を開発できるようになるでしょう。
外部機関との連携方法

専門人材やノウハウがない場合、DX推進には外部機関との連携が欠かせません。DX推進に外部機関と連携するには、主に以下の方法があります。
業務委託や業務提携
今まで一般的だったのが、契約締結によって連携する業務委託や業務提携です。業務委託とは特定の業務を外部の業者や個人に委託するもので、業務提携は特定の業務を複数の企業で協力して進めることを指します。
いずれも自社の独立性を保ちつつDXを進めることができる点がメリットです。
より強い結びつきの資本提携
資本提携とは、経営権を取得しない範囲で他の企業に出資することで協力することです。外部組織とより連携を深めることができるので、スムーズなDX推進が期待できる一方、一度提携すると失敗しても解消に手間がかかる点はデメリットでしょう。
そのほか、異なる組織文化や制度を持つ企業同士で出資し、ジョイントベンチャーを設立するという方法もあります。
オープンイノベーションを活用
ここまで紹介した2種類の連携方法では、一定の資金を必要するため、中小の製造業ではすぐに進めることが難しいかもしれません。そこで、自社負担が比較的少ない手法として近年注目を集めているのがオープンイノベーションの活用です。
オープンイノベーションとは、製品開発時に他社や機関の知識やノウハウなどを取り込み自前主義からの脱却を図る手法。オープンイノベーションに対して、開発時に必要な技術や知識を自社のみでまかなうことをクローズドイノベーションと呼びます。
DX推進にはオープンイノベーション

先ほど述べたように、DX推進に役立つ手法として最近活用されているのがオープンイノベーションです。ここでは、その理由や事例を紹介します。
なぜオープンイノベーションなのか
DXという言葉が広く知れ渡るようになり、導入を進める企業も増えてきました。しかし、導入を試みた企業の全てがDXに成功しているわけではありません。
特に製造業においては、DXに伴い今までの製造プロセスを大幅に変える必要があるため、現場に大きな負担をかけてしまいます。また、DXの知識や経験に長けた従業員がいなければ、何から優先すれば良いか職員が戸惑いを覚えるはずです。
だからこそ、外部の知識やノウハウを生かすことができるオープンイノベーションの活用が役に立ちます。
製造業のオープンイノベーション事例
◆三菱電機とムセンコネクトによるオープンイノベーション事例
製造業では、すでにさまざまなオープンイノベーションが進んでいます。そのひとつが無線化支援サービスを提供するムセンコネクトによる取り組みです。
ムセンコネクトは2020年3月に三菱電機と共同で製造業向けの生産性向上が期待できるスマート工場化システムの実証実験開始を発表しました。ムセンコネクトは「三菱電機アクセラレーションプログラム2019」で三菱電機と共創パートナーに採択された企業です。
このように、大手企業がスタートアップなどと協業することを目的に開催されるアクセラレータープログラムはオープンイノベーションのひとつのきっかけとなります。
◆富士通株式会社による「FUJITSU ACCELERATOR」
製造業界でのアクセラレータープログラム事例は様々あり、総合エレクトロニクスメーカーの富士通株式会社もFUJITSU ACCELERATORというアクセラレータープログラムを実施しています。このプログラムの目的は「現場遠隔作業支援をサポートする革新的な技術、製品、ビジネスモデル」などの分野でスタートアップとの共創を実現することです。
DXのオープンイノベーション事例
製造業ではありませんが、DX推進にオープンイノベーションを活用したのがJAグループです。JAグループでは、農業の高度化と効率化(AgTech)やバンキングサービスの高度化と効率化(FinTech)などを対象にテクノロジーやイノベーションでよりよい社会へ価値を循環させていく場(AgVentureLab)を立ち上げました。
すでに少数のスタートアップ企業を短期集中的に支援することを目的にアクセラレータープログラムも実施し、2社が採択されています。
製造業もオープンイノベーションでDX

時代の移り変わりとともに国内の製造業を取り巻く環境も大きく変わりました。効率性を高め、品質の高いモノを提供してこれからの競争に勝つためにも、DXの推進が不可欠です。
しかし、DX推進は自社のリソースだけで進めることには限界があります。製造業を営む方で、DX推進を検討中であれば併せてオープンイノベーションの活用も考えてみてください。
