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月曜日, 10月 3, 2022

地方でイノベーションが進まないのは何故?原因や対策を紹介

イノベーションの創出が大きなビジネステーマに掲げられている昨今、特に都市部ではオープンイノベーションなど様々な取り組みが実施されています。しかし地方では都市部に比べ、イノベーションが進んでいないのが実情です。
高度に情報化された環境が地方でも整い、都市部と同じような就労環境を作ることはできるようになりましたが、なぜ地方ではイノベーションが進まないのでしょうか。
今回は、地方でイノベーションが進まない原因を分析し、地方でイノベーションを促進するためのポイントについて解説していきましょう。

地方でイノベーションが進まない原因は?

まずは、地方でイノベーションが進まない原因について確認しておきましょう。

人材が不足している

地方でイノベーションが起こらない要因のひとつに、イノベーションを起こせるような人材(イノベーター)が地方に不足していることが挙げられるでしょう。

地方にはイノベーターだけでなく、若者や起業家といった将来的にイノベーション人材になり得る要素を持った人材も不足しています。これは、地方に行くほど雇用の受け皿の多様性がなくなるからです。人口10万人を切るような地方都市の主要産業は農業・工業・接客を中心としたサービス業か医療・福祉などが雇用の中心となっています。

近年は大学進学率が高くなっており、高等教育を受けた人材はこれらの産業に興味を持つことが少ないため、就職を機に地元に戻ろうという選択肢が失われているのが現状です。これにより「(若者にとって)魅力的な就職先がない→地元に戻ってこない→産業が衰退する→地域全体が衰退する」という悪循環が各地で発生しています。

最新の技術や情報が都市部に偏在する

イノベーション人材だけでなく若者や起業家が都市部に集中するのは、最新の技術や情報が都市部に偏在しているからです。イノベーションの鍵となる先端技術や新たなビジネスモデルに触れる機会が多い方がイノベーションを起こせる可能性は高まるでしょう。

また都市部にはイノベーターや起業家のコミュニティがあるため、起業やイノベーションに関する知見やノウハウが豊富に蓄積されています。また、場合によっては業務提携や出資などの可能性もあるため、成功率を高めることが可能です。このような環境がイノベーターを目指す若者を中心とした地方人材の人口流出を加速させ、地方へのUターンを抑制しているといえるでしょう。

自治体の政策も都市と地方で差がある

イノベーション促進は、民間企業だけでなく自治体の取り組みも都市と地方で差があります。そこで、自治体の取り組み内容や都市部と地方の違いについて紹介していきましょう。

都市部の自治体の方がイノベーション政策に積極的

自治体が行うイノベーション促進の取り組みとしては大きく「コンソーシアムの形成」と「ピッチ(ビジネスコンテスト)の開催」が挙げられます。

コンソーシアムは本来「事業共同体」という意味ですが、自治体の所在する地域内の企業同士や研究機関をマッチングするためのコミュニティという意味で用いられるのが一般的です。またピッチはスタートアップが自社の技術やビジネスモデルをプレゼンし、事業の提携先や投資家を募るイベントで、どちらも都市部にある自治体の方が積極的に取り組んでいます。

例えば、茨城県つくば市は「つくば Pitch Campus」を開催し、つくば市のスタートアップ企業や起業家を募集し、経営者などで構成されるメンターピッチに対してフィードバック。ビジネスのブラッシュアップを行い、最終日には投資家、起業家やビジネスパートナーなどを招待したイベントを開催することでビジネスマッチングに繋げています。

地方でイノベーション推進を支援している自治体

イノベーションの創出に熱心な自治体は都市部に多いですが、地方でも先進的な自治体ではイノベーション創出のサポートを提供しています。

ひとつの事例が埼玉県横瀬町の「官民連携プラットフォーム『よこらぼ』」です。よこらぼは「まちづくりの実践や実証試験などができるチャレンジのフィールド」というコンセプトでテクノロジーの社会実装に向けた実証実験を行うフィールドとして町を提供しています。

これにより、都市部の人材が実証実験のために町に訪れたり、滞在したりするようになりました。地域の課題をテクノロジーで解消しつつ、スタートアップは実証実験のデータを取得できるということで、町にとってもスタートアップにとっても魅力のある制度です。

地方でイノベーションを進めるポイント

地方でイノベーションを進めるには、どのようなポイントに注意すれば良いでしょうか。ここでは地方でイノベーションを推進するために意識してくと良い3つのポイントについて解説していきましょう。

イノベーター人材を登用する

イノベーションを起こすのは人です。プロジェクトやビジネスに登用する人材は、イノベーターとなる素質のある人材を選びましょう。具体的には、「既存の常識に囚われない柔軟な発想力がある」「プロジェクトを進める推進力がある」といった能力を持つ人材です。

中間支援組織を活用する

イノベーションを起こすためには、様々な知見を持つ企業と連携をした方がスムーズに進む場合があります。そこで、イノベーションに関心のある企業と繋がりを持っていなければ「中間支援組織」を活用しましょう。中間支援組織とは、主に行政と企業の間に入って地域課題や社会課題解決のサポートをする団体です。

中間支援組織であれば地域でイノベーションを起こすことに関心のある企業とのコミュニティを形成している場合があります。前述したコンソーシアムを運営している団体も中間支援組織のひとつなので、コンソーシアムで相談してみるのもひとつの方法です。

地域の研究機関と連携する

企業だけでなく研究機関と連携することも重要です。全国には各地に国公立大学があるため、これらの高等教育機関と連携して新商品やサービスを開発することでイノベーションに繋がる可能性が高まります。

特に地方の国立大学は産学連携の貢献度によって国立大学法人運営交付金の金額が変動する場合があるため、産学連携に積極的になっている場合があるでしょう。また、自治体の産業振興系の補助金も産学連携の場合には採択されやすいため、資金的なメリットを考えても一度大学などの研究機関にコンタクトをとってみることをおすすめします。

人材や専門機関を活用してイノベーションを起こそう

地方は都市部に比べ、人材や情報・技術が少ないことからイノベーションが進んでいないのが実情です。しかし、原因を把握して適切な人材を登用し、地域の企業や研究機関と連携を進めていけばイノベーションを起こすことは不可能ではありません。

近年は地方でのイノベーション促進について行政やメディアも注目しているため、成功すれば都市部でイノベーションを起こすよりも高い注目を集めることもできるでしょう。

地方でビジネスを行うデメリットだけでなく、地方の可能性に目を向けてイノベーションを巻き起こしていきましょう。

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PORT編集部https://port.creww.me/
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