リーンスタートアップにおける「MVP」とは?
リーンスタートアップにおいて、自身のアイデアや仮説が果たして本当に人が欲しがる物なのかを検証していくために必要であるのが、「MVP(Minimum Viable Product)」です。
頭でわかっていてもなかなか落とし込むのが難しいのが「MVP」ですが、初心者の方でも分かりやすく、噛み砕いて書きたいと思います。
目次
1 : MVPとは
2 : MVPの型
2-1 : 取材型
2-2 : LP(ランディングページ)型
1 : MVPとは
まず、「MVP」とは何か?を考えてみましょう。
MVP(Minimum Viable Product)= 実用最小限の製品
ここで重要なのは、「MVPはプロダクト開発ではない」ということです。
「MVP」は仮説を検証するための「プロセス」であるということ。
そもそも「リーンスタートアップ」というのは、思い込みで製品やサービスを開発してしまう際に発生する「ムダを省き、いかに失敗のダメージを減らすか」というマネジメント手法のことです。

「A地点からB地点に早く移動したい」というユーザーのニーズに対し、「そもそもユーザーはA地点からB地点に移動をしたいと思うのか?」という課題検証をします。①の初期仮説検証段階に自動車の一部の車輪をつくったところで、人は移動できないですね。検証ができません。
そこで、「移動をしたい」というニーズがあるのかどうか、必要最低限の機能を実装したもの(MVP)でユーザーの反応を確かめるのです。その為、初期仮説検証段階ではユーザーニーズを検証をするために、「移動ができる最低限のなにか」でいいと言えます。
このようにMVPを定義し、検証→ユーザーの反応→検証・・を繰り返し、その時々の仮説立ての価値を検証する、MVPは最小限の機能を実装したものでいいのです。

-POINT-
●機能は最小限に留めるべき!
逆に、ユーザーが欲しいと思う機能を全て盛り込むのはNGとされています。
(何がユーザーに刺さったかわからないため)
●「何を検証すべきなのか」を考えるべし!
よく見るケースで、①のようないきなり車を作り出してしまう
「プロダクトアウト」が強いケースがあります。
作り手が「絶対、ユーザーが必要としているはずだろう!」と思って車を作ってしまうケース。
蓋をあけてみたら、ユーザーに全く使われなかった…ということがあります。
あなたの「作りたいもの」ではなく、「何を検証すべきなのか」を考える!
ここまでで、なんとなく「MVP」について理解できましたでしょうか?
2 : MVPの型
一概に「MVP」といっても様々な型があります。ここでは、STARTUP STUDIO by Crewwで主に取り入れている主なMVPについてご紹介します。

2-1 : 取材型
取材型は一番最初に手をつけやすい方法です。STARTUP STUDIO by Crewwでも初期選考基準の一つとして取り入れています。ここでは、課題の対象ユーザー、ペルソナに対しユーザーインタビューや、実際にコミュニティに入り観察することが効果的です。
例えば、あなたが「クラウド名刺管理サービス」を作っているとしましょう。ユーザーに対し、「名刺管理どうしていますか?」、「あの人の連絡先なんだっけ?ってなった時、どのようにしていますか?」などとヒアリングをしていくとします。ユーザー100人に聞いたとして、80人が同じ課題感をもち機会損失している検証ができたら、そこに「人が欲しがるプロダクト」が存在します。
-POINT-
よく知り合いや関係者にユーザーインタビューをするケースがあります。
その際、「それいいね!」「すごく欲しい!」と共感してくれるかもしれませんが、知り合いは優しい嘘をつきます。悪いことは言いません。
ポジティブな意見に惑わされないようにしましょう!
そこの裏どりをとるために、次のLP型で検証してみるのも一つの手です。
2-2 : LP(ランディングページ)型
取材型と合わせて、LP型もSTARTUP STUDIO by Crewwの初期検証方法として取り入れています。
例えば、LP上に解決するソリューションを提議し「事前申込はこちら」という入り口だけ設けるとします。

事前登録数のトラクション(牽引力)をはかることで、ユーザーニーズがどれだけあるかを検証することができます。実際に、SmartHRの代表宮田さんは、LPを作りFacebookで2万円ほどの広告を出すと、なんと3日間で100件もの申し込みがあり、課題の手応えを掴んだとインタビューでお話しています。
また今は、WEBサイトを作成できなくても、NoCodeツールのWixやSTUDIOなどを用い誰でも簡単にWEBサイトを作成することができるので、検証しやすいMVPの一つです。
2-3 : 人力型
取材型でユーザーの課題の抽出、LP型で解決策がユーザーにフィットしているかの手応えを掴んだら、今度は実際にプロトタイプを作り、ユーザーに使ってもらいます。人力型は、「コンシェルジュ型」とも呼ばれています。ホテルのコンシェルジュのごとく何でもこなすMVPのことです。
入り口だけ綺麗につくっておいて、裏側は人力でまわし、実際にユーザーのニーズがあるか、役に立つかどうかの検証をします。そもそも自動化できるプロダクトを作ったところで、それを使ってくれる人がいなかったら作るだけ無駄になってしまいます。
先ほどの「クラウド名刺管理サービス」の例えでもありましたが、まずオペレーションの部分を人力でまわし、実際にユーザーは名刺の写真を撮り、データとして取り込むことを必要としているのか、名刺がデータとして取り込まれることに価値を感じる人がどれだけいるのかを検証するためのMVPです。
ーPOINTー
●ユーザーの反応を直接感じるべし!
人力でできることを最初の段階からすべて自動化にしてしまうのはオススメではありません。
(実際にユーザーと直接あって反応を感じることが大切です)
上記の他にも、動画型と呼ばれるものや(動画を通し、ユーザーがプロダクトに興味を示すか検証するMVP)パッチ型(ゼロから開発するのではなく、既存のプラットフォームを組み合わせること)やツール型(SNSを作る際の手法)といったものがあります。
先ほどもお話しましたが、未経験の人ほどプロダクトイメージがどうしても先行してしまい、下図のように先に車を作りがちです。

そのためSTARTUP STUDIO by Crewwの一次選考では、プロダクトを作っていただくことはしません!まずはユーザーにひたすら話を聞いてくる!というのが第一段階です。
「作る前に売れ」 - Y Combinator
STARTUP STUDIO by Crewwでは、全てがゼロの状態からスタートするため、一つ一つステップを踏んでトラクションを作っていく必要があります。
下の絵にあてはめてみると・・・

1:ユーザーにヒアリングする為のGoogleフォームでいい
2:LPでCVをはかればいい
3:NoCodeでそれらしいものをつくって、裏で人力でまわせばいい
4:ある程度仮説が読めてきたら既存のサービスと組み合わせて作っていけばいい
この様に仮説検証、MVP開発、サービスローンチと進めていきます。他にも、以下にMVPについてわかりやすい本がありましたので参考にして下さい。
●参考書籍:「起業の科学」「リーン・スタートアップ」
