
鉄道工事現場にて実証実験を行った背景
建設業界では今、生産年齢人口減少による仕事の担い手・技術者不足や、作業工程が複雑化する中で現場における全体の作業進捗や作業員・重機の位置把握が困難といった課題が顕在化しています。
なかでも鉄道建設工事は、終電から始発までのわずかな時間で作業を行う場合も多く、現場によっては軌陸車10数台、作業員100名以上が短時間で集中的に作業を行います。また、営業線に近接した現場での作業になるため、夜間、昼夜問わず列車の安定輸送、顧客や作業員の安全管理は最重要課題です。
しかしながら、現在は現場で人力に頼った安全管理を行っており、安全性を確保しつつ管理コストを下げたいという課題に対し、位置情報のリアルタイム把握が必要不可欠でした。
本実証実験では、JR浜松町駅における夜間改良工事で、これまで全体把握が困難な鉄道工事をデジタルツイン化し、鉄道工事現場におけるデータ活用について検証を行いました。
実証実験概要
(1)内容
本実験では、JR東日本のDXプラットフォームの構築と実運用を想定した検証ならびに、これに伴うデジタルツインのプロトタイピングを実施しました。具体的な実証方法は以下の通りです。
① 工事関係者・軌陸車のリアルタイム位置情報把握(準天頂衛星対応GPSトラッカー使用)
② 工事関係者の活動状況・バイタル相関分析(活動量計測シューズセンサ、超小型温度計測パッチセンサ使用)
③ 鉄道工事中で使用する保安機器の状況把握(準天頂衛星対応GPSトラッカー使用)

(2)実施時期
2022年1月〜2022年3月
(3)検証結果
本実験で実証できた主な結果は以下の通りです。
1.作業時間の4時間で14,000歩/人 以上の活動量を確認しました。特に安全確認の注意力が必要な撤収作業時間帯に歩数が多くなっており、体力的にも負荷がかかりやすい時間帯であることを認識することができました。
2.約二ヶ月で、59項目の知見、12項目の課題を取得し、次のステップでの取り組みが明確になりました。
3.アンケート結果から、80%の作業者が負担にならないと回答し、現場に負担のかからないセンシングを検証できました。
4.工事関係者、軌陸車の位置をリアルタイムに把握することができました。
今後について
本実証実験を通して、現場データ全てをリアルタイムで収集・蓄積することの有効性が確認され、実用化に向けてはGPS精度の検証を継続する必要性が認識されました。
次は実運用展開・多用途展開を目標に、地方部や夏季の運用、センシング機能の拡張、サービス事業での活用などに向け取り組みが行われます。
活用事例の紹介
2022年2月2日(水)に開催した「MODE BizStack新製品発表会」にて、JR東日本スタートアップ株式会社 吉田 知史氏による実証実験について発表がありました。
記事URL:https://www.tinkermode.jp/interview/jrestartup
MODEについて

MODEは、現場DXを加速させるIoTソリューションを提供しているシリコンバレー発のスタートアップです。
2022年2月には業界初のSaaS型部門横断IoTプラットフォーム「MODE BizStack」をリリースしました。IoT技術を使い、アナログな業務の多い現場データをクラウド上に集約し、専用のダッシュボードで一元的に可視化することで、経営戦略を効率的に遂行できるようになります。
インターネット未接続機器をIoT化したり、サイロ化しやすい様々なセンサデータをMODE BizStackという1つのプラットフォーム上に統合したりすることで、データを収集する側と分析する側の双方で、現場測定における雑務をなくし、本来の仕事に集中することが可能となります。
社名 | MODE, Inc. |
設立 | 2014年7月 |
所在地 | アメリカ合衆国カリフォルニア州サンマテオ市ゲートウェイドライブ1840、スイート250 |
代表者 | 上田 学 |
事業概要 | 建設事業(土木事業・建築事業)及び開発事業 |
URL | https://www.tinkermode.jp MODE, Inc.の採用ページ https://www.tinkermode.jp/careers MODE, Inc.の募集職種一覧 https://boards.greenhouse.io/tinkermode |
CEOメッセージ動画:
