そんな同社が“未体験の映画体験”をつくるパートナーとして選んだのが、結婚式をトータルプロデュースする株式会社テイクアンドギヴ・ニーズだ。両社は、格式高い迎賓館で上質な短編映画を楽しむ“非日常体験”をプロデュースし、映画史に新たな文化を醸成しようと奮闘している。「異業種のコラボが実現した理由は共通のビジョンがあったからです」と語るパシフィックボイスビジネスプランニングマネージャー・大橋哲也氏、テイクアンドギヴ・ニーズ新規事業開発部長・岩田能氏に協業に至るまでの道のりと今後の展望を伺った。
※この記事は、2017年11月16日、creww magagineにて公開された記事を転載しています。
—現場と本部が満場一致で可決。
“感動を届ける”新規事業、始動—“感動を届ける”新規事業「T&G Films」【後編】

― 企画をブラッシュアップする段階で、苦労した点はありますか?
大橋:企画を通す段階では、あまり苦労がありませんでした。というのも、弊社が一方的に企画を売り込む形ではなく、テイクアンドギヴ・ニーズさんと一緒にビジネスプランを作ることができたからです。
小さな企業が大きな企業とコラボレーションするのは簡単なことではありません。大企業同士の場合は経営陣の合意でビジネスが始まることも少なくないと聞きますが、規模の小さな会社はお問い合わせフォームからアプローチをすることもあります。その場合、企画部署にプランが届く前に頓挫してしまうことも少なくないのです。
しかし、今回のコラボレーションでは事業開発を手がける部署とピンポイントでつながれた上に、経営指標を一から一緒に作っていただきました。最初から全国展開を行うなど、大変スムーズな取引だったと思います。
― もともと全国展開する予定で協業を決めたのでしょうか?
岩田:少なくともゴールは遠くに置かなければ、両者共に関わるスタッフが白熱しないだろうとは思っていました。しかし、最初は勿論実験的にスタートして徐々に展開していく予定でした。
ただ、全国の店舗にニーズのヒアリングを行ったところ、「チャレンジしたい」という声が多く聞かれました。一般的に本部の意向で新規事業が始まると、現場のスタッフ達が不満を抱くケースも少なくありません。ただ、今回のケースはCrewwコラボの最初から、過程を社内にオープンにしていたので徐々に興味が集まり巻き込みが機能したのだと思います。
― 現場の評判も良かったんですね。お客様の反応はいかかでしょうか?
岩田:ランダムでアンケート調査を行っていますが、9割以上のお客様から高評価をいただいています。「映画を観ることに特化した設備を持つ映画館での鑑賞と比較してどうか」という敢えてネガティブな問いに対しても圧倒的にポジティブな回答をいただけており、リピーターも徐々に増えてきています。まだまだ小さい市場ですが、このコラボレーションが持つポテンシャルの高さを感じています。
—忙しい毎日に、映画を通じて“非日常体験”を届けたい
― お客様の多くは、もともと短編映画が好きな方でしょうか?
大橋:事業を立ち上げた当初はそうでしたが、現在は短編映画のファンか否かを問わず、多様な年代の方にお越しいただいているようです。
岩田:全国なので地域によって驚くほど刺さるポイントの違いが見えてきていますが、足を運んでくださるお客様は、共通して“非日常体験”を求めています。平日仕事が終わった後に、チャペルでシャンパンを飲みながら映画を観る。これって、ちょっとした贅沢であり、忙しい毎日から少しだけ解放される時間です。

― まだまだ未開拓の市場なので、これからの展開が楽しみです。最後に、今後の展望を教えていただけますか?
大橋:様々なジャンルの短編映画を、より多くの世代に届けていきたいです。短編映画は種類が豊富なので、ロマンス作品を恋人とチャペルで観たり、アニメーション作品を家族とバンケットで楽しむなど、作品と観る場所の組み合わせによって楽しみ方が変わります。ただ映画館で観るよりも、結婚式場で観るからこそ非日常の思い出深い体験になることもあるでしょう。
岩田:短編映画は徐々にお客様の心をつかみ始めています。さらにそれを映画館以外の場所で楽しめるとなれば、映画体験そのものが変わってくる。課題は多いですが、これから長く愛され続ける文化を一緒につくっていければと思います。
T&G Films:https://www.tgn.co.jp/tandgfilms/
パシフィックボイス: http://shortshorts.org/
テイクアンドギヴ・ニーズ:http://www.tgn.co.jp/