12.8 C
Japan
水曜日, 7月 28, 2021

スマホの画面だけでデータ送受信 注目を浴びる「FlashTouch」技術

スマートフォン画面が発する光のシグナル情報と、タッチパネルの静電容量によって情報のやり取りができる「FlashTouch(フラッシュタッチ)」を開発したのが2012年5月創業の株式会社マッシュルーム(東京都品川区)です。iPhoneでは対応していないNFC(近距離無線通信技術)や、電波干渉リスクが心配されるBluetoothなどに代わり、スマホの双方向通信システムのスタンダードとなる可能性を秘めた斬新技術。大きな可能性と今後のビジネス展開について、原 庸一朗(はら よういちろう)社長に伺いました。
※この記事は、2016年1月14日、creww magagineにて公開された記事を転載しています。

スマホの液晶画面で読み取り、アプリやチップも不要

—— スマホの専用アプリもいらず、画面をタッチするだけでなぜ双方向で情報が通信できるのですか?「FlashTouch(フラッシュタッチ)」は、特殊な電波でも発信しているのでしょうか?

いえ、FlashTouchは電波で通信するものではありません。人間の目ではなかなか見えませんが、スマホの液晶画面は光が点減しています。この点減情報を光センサーで読み取ります。「モールス信号」のようなイメージです。

もう一つ、タッチパネルは指から出る微弱な電流によって入力ができますが、このタッチパネルの静電容量によっても情報をやり取りします。

スマホのウェブブラウザで専用ページを表示していただき、その画面をFlashTouch専用端末にタッチするだけで情報の送受信が可能になります。

そのため、NFC(近距離無線通信技術)のようにスマホ内に専用チップを搭載する必要はありませんし、Bluetoothのように電波を発信することもありません。

たとえば、NFCはiPhoneでは対応していませんが、FlashTouchはウェブブラウザとタッチパネルを持つ端末なら誰もが今すぐ使えるようになる技術です。また、電波を発信しないため、情報を盗み取られるリスクも格段に低くなります。

—— スマホと専用端末間で情報(データ)をやり取りする、という技術は、日本が主導するFeliCa方式による「おサイフケータイ」や、世界標準的なNFCが主導していますが、双方が並び立つ状況で決定打がありません。その間隙を突く形ですごい技術を開発されましたね

まだ導入前の実験を行っている段階ですが、大手メガバンクや大手電機メーカーなどから引き合いをいただいています。

たとえば、スマホ内にキャッシュカードの情報を格納しておけば、専用端末のある所でスマホをタッチしていただくだけで決済ができるようになります。スマホさえあれば、わざわざ銀行やATMへ行ってお金をおろす必要がなくなるわけです。

タッチされる側となるFlashTouch用の専用端末ですが、製造には1台あたり500円以下というコストしかかかりませんので、小さな店舗などに無料配布して普及させるのもそれほど難しくないのもメリットとなるのではないでしょうか。

—— 原社長はもともと研究者や技術者を目指していたのですか

明治大学では農学部で再生医療分野を学んでいましたが、研究者や技術者志望ではありませんでした。2008年に卒業後は、不妊治療を行っている産科婦人科を比較するWebサービスで起業しています。利用者はそれなりに多く、ビジネスモデルとしても高い評価をいただいたのですが、病院側の供給不足が生じている市場ということもあり、1年で閉じました。

その後、2012年に現在のマッシュルームを3人で新たに立ち上げるとともに、自身でもう1社、バイオベンチャーを創設して今も運営しています。

—— マッシュルームでは当初からFlashTouchの開発に取り組んだのでしょうか

最初はソーシャルギフトサービスのようなビジネスを立ち上げています。この「ippy(イッピー)」は、ギフトを送る側がお金を払わずに済み、メーカーや店舗に販促目的で金券を出してもらうというめずらしいスキームでした。

ただ、金券を使う際には加盟店でバーコードを読んでもらう必要があり、加盟店側のオペレーションがボトルネックとなってしまいました。この経験を機にFlashTouchの仕組みが生まれたともいえます。

—— FlashTouch以外にも「CHARIO KART(チャリオカート)」というユニークなプロジェクトも行っています

自転車のホイールにコンピュータを取り付け、Apple Watch(アップルウォッチ)によって動きを制御することで、ゲームの「マリオカート」をリアルな自転車で実際にやってしてしまおうと……(笑)

キノコが出ポイントに来ると、実際に自転車が加速し、アップルウオッチから緑こうらを発射すると他のプレイヤーにはブレーキ負荷がかかります。こちらは、当面ビジネスになりそうにはありませんが、リアルなレースゲームとして楽しめますよ。

株式会社マッシュルーム 代表取締役社長 原 庸一朗さん

—— Crewwではかなり積極的にコラボレーション(アクセラレータープログラム)に応募されていますね

インターネット上でCrewwの存在を知り、これまで5〜6社のコラボレーションに応募しています。もちろんFlashTouchのほうです。大企業の方の前のプレゼンテーションはやはり緊張しますが、出資に関係するプレゼンとは異なり、長期計画や市場の大きさなどが聞かれないのが特徴的でした。

—— FlashTouchの技術を使ったどんなビジネスを提案してきたのですか

主にFlashTouchの要素技術を使った新規事業です。ただ、新しい技術ということもあり、そのリスクをとっていただける大手企業が少ないのが残念です。現時点では、どんなコラボの形が最適なのか模索しているところです。

—— 最後に、Crewwのコラボを体感してみて、どのように思われたかお話いただけますでしょうか

現状はかなり広いテーマで募集されていますが、大企業のなかで絞られた具体的な課題で募集されていたなら、こちらの提案もより細かな内容とすることができます。

新しいことをやりたい、ということを目的化するのではなく、募集する側の大手企業がゴールをどこに置いているかを見極めなければならないと感じています。

執筆
INNOVATIVE PORT編集部 
「INNOVATIVE PORT」はCreww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。
Facebook コメント
PORT編集部https://port.creww.me/
PORT by Crewwは、Creww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。

Featured

【募集】暮らしの未来を創造する次世代のプラットフォーマーへ | イオンモールがスタートアップと協業

【オープンイノベーションインタビュー】 「アジア50億人の心を動かす企業へ」をビジョンに掲げるイオンモールは、「Life Design Developer」として、人々のライフスタイルの向上と地域社会の発展に貢献することをミッションに、国内外の大型商業施設を開発から運営まで一気通貫で手掛けるディベロッパー企業です。 同社はこの度、ライフスタイルの変容や地域の社会課題に対して、商業施設の枠組みを越え、新たな「暮らしの未来」を創造する事業領域を拓くべく、Crewwのプラットフォーム「Creww Growth」を用いて、アクセラレータープログラムを開催します。イオンモール株式会社DX推進部 ビジネス開発担当部長 野口 耕司氏に、オープンイノベーションへ乗りだすに至った思いを伺いました。 #アクセラレータープログラム #アクセラレーターインタビュー #オープンイノベーション #スタートアップ #イオンモール #CrewwGrowth #大挑戦時代をつくる #Creww

現代の社会課題である食品ロスを解決する「Freeat(フリート)」

【ファウンダーインタビュー】 「大挑戦時代をつくる。」をビジョンに掲げるCrewwでは、毎月オンラインネットワーキングにて、事業会社・スタートアップ・個人起業家などの挑戦者をリコメンドしています。CrewwのSTARTUP STUDIOプログラム運営をメインに担当する寺田 麗未が今回ご紹介するスタートアッププロジェクトは、Freeat(フリート)です。 #フードテック #SDGs #インキュベーションプログラム #スタートアップスタジオ #Freeat #フリート #大挑戦時代をつくる #Creww

潜在的イノベーターの挑戦と覚醒を促す“パートタイム”という選択肢

【新プロジェクトインタビュー】 “大挑戦時代をつくる。”をビジョンに掲げ、数々のオープンイノベーションを
支援してきたCreww社が、スタートアップへパートタイムで参画できるプロジェクトを開始します。
SHIFT(x)プロジェクトで実施する新たな取り組みについて、担当者にインタビューしました。 #スタートアップ #
SHIFT(x) #シフトエックス #STARTUPSTUDIO #スタートアップスタジオ #大挑戦時代をつくる #Creww

【募集】大阪メトロ アドエラがスタートアップ協業で目指す「ローカル経済を結びつけた大阪の活性化!」

【アクセラレーターインタビュー】 株式会社 大阪メトロ アドエラがスタートアップとのオープンイノベーションに乗り出した。人口減少による交通利用の影響に立ち向かうべく、2025年に向け新しい事業の柱を創っていくという大阪メトログループ全体のミッションがある中、各グループで新規事業創出に向けた準備が着々と進められていたが、新型コロナウィルスの影響がよりこの流れを加速させたと言う。 そんな中、大阪メトロアドエラではスタートアップの斬新なアイデアや先進的な技術を取り入れ、協業による新規事業を生み出すべくアクセラレータープログラムを開催する。大阪メトロアドエラの新規事業創出を担う事業創造本部の奈良大和氏に、オープンイノベーションに取り組む背景やスタートアップとの共創に向けた狙いや想いを伺った。 #大阪メトロアドエラ #オープンイノベーション #アクセラレータープログラム #Creww #大挑戦時代をつくる
Facebook コメント