12.8 C
Japan
日曜日, 11月 27, 2022

スマホの画面だけでデータ送受信 注目を浴びる「FlashTouch」技術

スマートフォン画面が発する光のシグナル情報と、タッチパネルの静電容量によって情報のやり取りができる「FlashTouch(フラッシュタッチ)」を開発したのが2012年5月創業の株式会社マッシュルーム(東京都品川区)です。iPhoneでは対応していないNFC(近距離無線通信技術)や、電波干渉リスクが心配されるBluetoothなどに代わり、スマホの双方向通信システムのスタンダードとなる可能性を秘めた斬新技術。大きな可能性と今後のビジネス展開について、原 庸一朗(はら よういちろう)社長に伺いました。
※この記事は、2016年1月14日、creww magagineにて公開された記事を転載しています。

スマホの液晶画面で読み取り、アプリやチップも不要

—— スマホの専用アプリもいらず、画面をタッチするだけでなぜ双方向で情報が通信できるのですか?「FlashTouch(フラッシュタッチ)」は、特殊な電波でも発信しているのでしょうか?

いえ、FlashTouchは電波で通信するものではありません。人間の目ではなかなか見えませんが、スマホの液晶画面は光が点減しています。この点減情報を光センサーで読み取ります。「モールス信号」のようなイメージです。

もう一つ、タッチパネルは指から出る微弱な電流によって入力ができますが、このタッチパネルの静電容量によっても情報をやり取りします。

スマホのウェブブラウザで専用ページを表示していただき、その画面をFlashTouch専用端末にタッチするだけで情報の送受信が可能になります。

そのため、NFC(近距離無線通信技術)のようにスマホ内に専用チップを搭載する必要はありませんし、Bluetoothのように電波を発信することもありません。

たとえば、NFCはiPhoneでは対応していませんが、FlashTouchはウェブブラウザとタッチパネルを持つ端末なら誰もが今すぐ使えるようになる技術です。また、電波を発信しないため、情報を盗み取られるリスクも格段に低くなります。

—— スマホと専用端末間で情報(データ)をやり取りする、という技術は、日本が主導するFeliCa方式による「おサイフケータイ」や、世界標準的なNFCが主導していますが、双方が並び立つ状況で決定打がありません。その間隙を突く形ですごい技術を開発されましたね

まだ導入前の実験を行っている段階ですが、大手メガバンクや大手電機メーカーなどから引き合いをいただいています。

たとえば、スマホ内にキャッシュカードの情報を格納しておけば、専用端末のある所でスマホをタッチしていただくだけで決済ができるようになります。スマホさえあれば、わざわざ銀行やATMへ行ってお金をおろす必要がなくなるわけです。

タッチされる側となるFlashTouch用の専用端末ですが、製造には1台あたり500円以下というコストしかかかりませんので、小さな店舗などに無料配布して普及させるのもそれほど難しくないのもメリットとなるのではないでしょうか。

—— 原社長はもともと研究者や技術者を目指していたのですか

明治大学では農学部で再生医療分野を学んでいましたが、研究者や技術者志望ではありませんでした。2008年に卒業後は、不妊治療を行っている産科婦人科を比較するWebサービスで起業しています。利用者はそれなりに多く、ビジネスモデルとしても高い評価をいただいたのですが、病院側の供給不足が生じている市場ということもあり、1年で閉じました。

その後、2012年に現在のマッシュルームを3人で新たに立ち上げるとともに、自身でもう1社、バイオベンチャーを創設して今も運営しています。

—— マッシュルームでは当初からFlashTouchの開発に取り組んだのでしょうか

最初はソーシャルギフトサービスのようなビジネスを立ち上げています。この「ippy(イッピー)」は、ギフトを送る側がお金を払わずに済み、メーカーや店舗に販促目的で金券を出してもらうというめずらしいスキームでした。

ただ、金券を使う際には加盟店でバーコードを読んでもらう必要があり、加盟店側のオペレーションがボトルネックとなってしまいました。この経験を機にFlashTouchの仕組みが生まれたともいえます。

—— FlashTouch以外にも「CHARIO KART(チャリオカート)」というユニークなプロジェクトも行っています

自転車のホイールにコンピュータを取り付け、Apple Watch(アップルウォッチ)によって動きを制御することで、ゲームの「マリオカート」をリアルな自転車で実際にやってしてしまおうと……(笑)

キノコが出ポイントに来ると、実際に自転車が加速し、アップルウオッチから緑こうらを発射すると他のプレイヤーにはブレーキ負荷がかかります。こちらは、当面ビジネスになりそうにはありませんが、リアルなレースゲームとして楽しめますよ。

株式会社マッシュルーム 代表取締役社長 原 庸一朗さん

—— Crewwではかなり積極的にコラボレーション(アクセラレータープログラム)に応募されていますね

インターネット上でCrewwの存在を知り、これまで5〜6社のコラボレーションに応募しています。もちろんFlashTouchのほうです。大企業の方の前のプレゼンテーションはやはり緊張しますが、出資に関係するプレゼンとは異なり、長期計画や市場の大きさなどが聞かれないのが特徴的でした。

—— FlashTouchの技術を使ったどんなビジネスを提案してきたのですか

主にFlashTouchの要素技術を使った新規事業です。ただ、新しい技術ということもあり、そのリスクをとっていただける大手企業が少ないのが残念です。現時点では、どんなコラボの形が最適なのか模索しているところです。

—— 最後に、Crewwのコラボを体感してみて、どのように思われたかお話いただけますでしょうか

現状はかなり広いテーマで募集されていますが、大企業のなかで絞られた具体的な課題で募集されていたなら、こちらの提案もより細かな内容とすることができます。

新しいことをやりたい、ということを目的化するのではなく、募集する側の大手企業がゴールをどこに置いているかを見極めなければならないと感じています。

執筆
INNOVATIVE PORT編集部 
「INNOVATIVE PORT」はCreww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。
Facebook コメント
PORT編集部https://port.creww.me/
PORT by Crewwは、Creww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。

Featured

【募集】関東近郊2万坪の土地 × スタートアップで、今までにない斬新な “場” を作りたい|Gulliverが挑む!

【オープンイノベーションインタビュー】中古車売買でお馴染みの「Gulliver」を運営する株式会社IDOMが、2022年10月24日から「Gulliver アクセラレータープログラム2022」を実施。新しい購買体験の提供と、生活を彩るクルマの価値を創造する新しいコンセプト店舗の開発をテーマに、関東近郊に2万坪の土地を用意し、スタートアップの皆さんと一緒に新しい場づくりに取り組みたいという。具体的に、どのような構想を描いているのか。株式会社IDOMの経営戦略室チームリーダー、三樹教生氏に話を伺った。 #Gulliver #IDOM #スタートアップ #アクセラレータープログラム #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

スタートアップ募集!【豊富な開発技術力 × デミング賞大賞の社内風土】モノづくりメーカーのOTICSに、今求めるパートナーを聞く

【オープンイノベーションインタビュー】高出力・低燃費・低エミッション化などの要求に対し、積極的な技術提案と高精度な品質で応えるOTICS(オティックス)の自動車部品は、多くの車種で採用されています。一方で、120以上の国と地域が目標に掲げる「2050年カーボンニュートラル」に向け「脱炭素化」の企業経営に取り組むOTICSは、初めてのアクセラレータープログラムを開催。豊富な開発経験と生産技術力を活かせる協業案、自然環境保全や社会・地域に貢献できるアイデア等をスタートアップから広く募集します。デミング賞大賞も受賞したOTICSの社風、アクセラレータープログラムの開催に至った背景や、募集ページだけでは伝わらない魅力、プログラムに関わる方々の想いを、株式会社オティックス 経営管理本部TQM経営戦略室 係長 奥村守氏に話を伺いました。 #OTICS #自動車 #カーボンニュートラル #アクセラレータープログラム #協業 #スタートアップ #デミング賞 #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

OPA × somete の挑戦|「まちクロッ」でファッションロス問題の解決を目指す!

【Creww Growth活用協業事例インタビュー】金沢フォーラス、キャナルシティオーパ、横浜ビブレなど、OPA・VIVRE・FORUSの3ブランドを主軸に、都市型商業施設の開発運営を行う株式会社OPA。そんな同社は2021年、「OPAアクセラレータプログラム2021」を実施し、地域と連携したファッションロス削減に取り組むsometeとの協業をスタートさせた。OPAとsometeは具体的にどのような実証実験を重ねているのか。株式会社OPA 事業創造部 新業態開発チームの安達有美氏と、someteを運営する株式会社Play Blue代表の青野祐治氏に話を伺った。 #OPA #somete #オープンイノベーション #活用協業事例インタビュー #CrewwGrowth #Creww #大挑戦時代をつくる

【空間ID × スタートアップの着想】デジタルツイン社会実装への挑戦

【オープンイノベーションインタビュー】現実世界をデジタル空間に複製する絶対的な技術を持つダイナミックマップ基盤株式会社は、「cm」級の高精度3次元データを有し、モビリティの自動走行において要となる同社のプロダクトは、既にグローバルに展開されています。今般、デジタル庁の肝煎り案件となるアクセラレータープログラムを開催。リアル/サイバー両空間を組み合わせたユースケースの創出に向け、「空間ID」を活用した共創案を募集します。ダイナミックマップ基盤株式会社 第二事業部 事業開発2課 課長 兼 空間IDプロジェクトPMOの望月洋二氏に話を伺った。 #ダイナミックマップ基盤 #デジタルツイン #空間ID #デジタル庁 #ミラーワールド #アクセラレータープログラム #共創 #Creww #大挑戦時代をつくる
Facebook コメント