12.8 C
Japan
土曜日, 1月 29, 2022

スマホの画面だけでデータ送受信 注目を浴びる「FlashTouch」技術

スマートフォン画面が発する光のシグナル情報と、タッチパネルの静電容量によって情報のやり取りができる「FlashTouch(フラッシュタッチ)」を開発したのが2012年5月創業の株式会社マッシュルーム(東京都品川区)です。iPhoneでは対応していないNFC(近距離無線通信技術)や、電波干渉リスクが心配されるBluetoothなどに代わり、スマホの双方向通信システムのスタンダードとなる可能性を秘めた斬新技術。大きな可能性と今後のビジネス展開について、原 庸一朗(はら よういちろう)社長に伺いました。
※この記事は、2016年1月14日、creww magagineにて公開された記事を転載しています。

スマホの液晶画面で読み取り、アプリやチップも不要

—— スマホの専用アプリもいらず、画面をタッチするだけでなぜ双方向で情報が通信できるのですか?「FlashTouch(フラッシュタッチ)」は、特殊な電波でも発信しているのでしょうか?

いえ、FlashTouchは電波で通信するものではありません。人間の目ではなかなか見えませんが、スマホの液晶画面は光が点減しています。この点減情報を光センサーで読み取ります。「モールス信号」のようなイメージです。

もう一つ、タッチパネルは指から出る微弱な電流によって入力ができますが、このタッチパネルの静電容量によっても情報をやり取りします。

スマホのウェブブラウザで専用ページを表示していただき、その画面をFlashTouch専用端末にタッチするだけで情報の送受信が可能になります。

そのため、NFC(近距離無線通信技術)のようにスマホ内に専用チップを搭載する必要はありませんし、Bluetoothのように電波を発信することもありません。

たとえば、NFCはiPhoneでは対応していませんが、FlashTouchはウェブブラウザとタッチパネルを持つ端末なら誰もが今すぐ使えるようになる技術です。また、電波を発信しないため、情報を盗み取られるリスクも格段に低くなります。

—— スマホと専用端末間で情報(データ)をやり取りする、という技術は、日本が主導するFeliCa方式による「おサイフケータイ」や、世界標準的なNFCが主導していますが、双方が並び立つ状況で決定打がありません。その間隙を突く形ですごい技術を開発されましたね

まだ導入前の実験を行っている段階ですが、大手メガバンクや大手電機メーカーなどから引き合いをいただいています。

たとえば、スマホ内にキャッシュカードの情報を格納しておけば、専用端末のある所でスマホをタッチしていただくだけで決済ができるようになります。スマホさえあれば、わざわざ銀行やATMへ行ってお金をおろす必要がなくなるわけです。

タッチされる側となるFlashTouch用の専用端末ですが、製造には1台あたり500円以下というコストしかかかりませんので、小さな店舗などに無料配布して普及させるのもそれほど難しくないのもメリットとなるのではないでしょうか。

—— 原社長はもともと研究者や技術者を目指していたのですか

明治大学では農学部で再生医療分野を学んでいましたが、研究者や技術者志望ではありませんでした。2008年に卒業後は、不妊治療を行っている産科婦人科を比較するWebサービスで起業しています。利用者はそれなりに多く、ビジネスモデルとしても高い評価をいただいたのですが、病院側の供給不足が生じている市場ということもあり、1年で閉じました。

その後、2012年に現在のマッシュルームを3人で新たに立ち上げるとともに、自身でもう1社、バイオベンチャーを創設して今も運営しています。

—— マッシュルームでは当初からFlashTouchの開発に取り組んだのでしょうか

最初はソーシャルギフトサービスのようなビジネスを立ち上げています。この「ippy(イッピー)」は、ギフトを送る側がお金を払わずに済み、メーカーや店舗に販促目的で金券を出してもらうというめずらしいスキームでした。

ただ、金券を使う際には加盟店でバーコードを読んでもらう必要があり、加盟店側のオペレーションがボトルネックとなってしまいました。この経験を機にFlashTouchの仕組みが生まれたともいえます。

—— FlashTouch以外にも「CHARIO KART(チャリオカート)」というユニークなプロジェクトも行っています

自転車のホイールにコンピュータを取り付け、Apple Watch(アップルウォッチ)によって動きを制御することで、ゲームの「マリオカート」をリアルな自転車で実際にやってしてしまおうと……(笑)

キノコが出ポイントに来ると、実際に自転車が加速し、アップルウオッチから緑こうらを発射すると他のプレイヤーにはブレーキ負荷がかかります。こちらは、当面ビジネスになりそうにはありませんが、リアルなレースゲームとして楽しめますよ。

株式会社マッシュルーム 代表取締役社長 原 庸一朗さん

—— Crewwではかなり積極的にコラボレーション(アクセラレータープログラム)に応募されていますね

インターネット上でCrewwの存在を知り、これまで5〜6社のコラボレーションに応募しています。もちろんFlashTouchのほうです。大企業の方の前のプレゼンテーションはやはり緊張しますが、出資に関係するプレゼンとは異なり、長期計画や市場の大きさなどが聞かれないのが特徴的でした。

—— FlashTouchの技術を使ったどんなビジネスを提案してきたのですか

主にFlashTouchの要素技術を使った新規事業です。ただ、新しい技術ということもあり、そのリスクをとっていただける大手企業が少ないのが残念です。現時点では、どんなコラボの形が最適なのか模索しているところです。

—— 最後に、Crewwのコラボを体感してみて、どのように思われたかお話いただけますでしょうか

現状はかなり広いテーマで募集されていますが、大企業のなかで絞られた具体的な課題で募集されていたなら、こちらの提案もより細かな内容とすることができます。

新しいことをやりたい、ということを目的化するのではなく、募集する側の大手企業がゴールをどこに置いているかを見極めなければならないと感じています。

執筆
INNOVATIVE PORT編集部 
「INNOVATIVE PORT」はCreww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。
Facebook コメント
PORT編集部https://port.creww.me/
PORT by Crewwは、Creww株式会社が運営する、社会課題をテーマに、新規ビジネス創出を目指すスタートアップ、起業家、復業家、 企業をつなぐ挑戦者のためのオープンイノベーションメディアです。

Featured

【インタビュー】IoT×サンゴで生態系課題に挑戦!東大発スタートアップ「イノカ」

Crewwが注目のスタートアップを掘り下げて紹介する『大挑戦時代を生きるスタートアップ特集』。 今回は、東大発のスタートアップである #イノカ に注目してみました。 東京都神谷町に構えた施設の水槽には、サンゴ礁の生態系がそのまま切り取られ再現。AIの世界から一転、サンゴの魅力を原点に環境移送技術をもって起業したイノカ代表の高倉葉太氏が、社会に広めたい想いーその熱い胸の内をお話くださっています!

東芝が取り組む、“本気”のオープンイノベーションとは

【オープンイノベーションインタビュー】1875年に創業し、エネルギーや社会インフラ、ICTなど、人と地球の明日を支える「社会の基盤となる事業」に取り組む東芝。そんな東芝が “本気” のオープンイノベーションで新規事業創出に取り組んでいる。すでに法人化したプロジェクトもあるというが、具体的に何をしているのか。グループ全社で新規事業創出の旗振り役をしているCPSxデザイン部 CPS戦略室の相澤宏行氏と岩本晴彦氏に話を伺った。 #募集 #東芝 #アクセラレータープログラム #アクセラレーターインタビュー #オープンイノベーション #スタートアップ #CrewwGrowth #大挑戦時代をつくる #Creww

【募集】古野電気の社内ベンチャーと一緒に、「建設DX」を実現するパートナーを求む!

【オープンイノベーションインタビュー】センシング、情報処理、情報通信の3つをコアテクノロジーに、魚群探知機等の船舶電子機器や、社会・産業に貢献するさまざまなソリューションをグローバルで提供している古野電気。その技術力を活用して、全く新たな領域に挑戦しているのが建設業界のデジタル化だ。社内ベンチャープロジェクトを立ち上げて、建設業界のデジタル化・遠隔施工の実現のため、現場環境に適した通信やセンサー機器を積極的に展開している。ただ、多様な建設業界の課題を解決する“建設DX”を1社で実現するのは困難なため、「FURUNO 建設DXアクセラレーター」を実施。具体的にどのような共創を目指しているのか、社内ベンチャー 建設DX事業責任者の石野祥太郎氏に話を伺った。 #募集 #古野電気 #インタビュー #アクセラレータープログラム #アクセラレーター #オープンイノベーション #スタートアップ #CrewwGrowth #大挑戦時代をつくる #Creww

【入山章栄×佐々木紀彦】30歳は動くとき。「大企業1社」キャリアからの脱却

【インタビュー】「入社すれば一生安泰」という“神話”を信じ、手にした大企業の切符。しかし、年功序列と終身雇用は既に崩壊している──。 転職や複業前提で働く「Z世代」とは違い、大企業神話を信じて1社で働き続けている30代、40代のビジネスパーソンは、このまま変わらない日々を送り続けても大丈夫なのか。 早稲田大学ビジネススクール教授で経営学者の入山章栄氏と、42歳で起業し新著『起業のすすめ さよなら、サラリーマン』を出版した佐々木紀彦氏に、1社経験しかない30代40代がこれからすべきこと、ミドル世代のキャリア論を聞いた。 #複業 #転職 #Z世代 #Creww #大挑戦時代をつくる
Facebook コメント